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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F4
管理番号 1321284 
審判番号 不服2016-11058
総通号数 204 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2016-12-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-07-22 
確定日 2016-10-28 
意匠に係る物品 包装用箱 
事件の表示 意願2015- 6539「包装用箱」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)3月26日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたもので,「実線であらわした部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。端面図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである。(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願実線部分」という。)(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。

この意匠登録出願は,包装用箱に係るものであるが,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分は,包装用箱の内側に取り付けられた台紙の正面側,即ち中央寄りの長辺を波曲線状とした縦長方形の部分である。
ところで,容器或いは台紙の辺縁を波曲線状に表すこと(例えば,意匠1,意匠2,意匠3,意匠4),又,表面模様として,種々のノート型をした物品の開蓋状態で見られる極一般的な態様(例えば,意匠5,意匠6,意匠7)を表すことも極普通におこなわれているところ,この出願の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である台紙は,長辺の一辺を波曲線状(例えば,前掲意匠1)に表し,その中央稍下方寄りに,ノート型をした物品の開蓋状態で,極普通に見受けられる,例えば前掲意匠5のような向きに電子機器を表したものであって,創作に当たり格別な創作力を要したものと認めることはできない。
したがって,この種物品分野に於ける通常の知識を有する者が公然知られた形態に基づいて容易に創作できたものである。

意匠1(別紙第2参照)
特許庁意匠課が2004年 6月30日に受け入れたFriendship House発行の外国カタログ「Special Awards Edition 2004」第30頁所載
包装用箱の意匠の当該部
(特許庁意匠課公知資料番号第HD16009957号)
(平成16年度外国カタログNO,045)

意匠2(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第969958号の意匠の当該部

意匠3(別紙第4参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2009年12月22日
受入日 特許庁意匠課受入2010年1月8日
掲載者 帝人株式会社
表題 TEIJIN|ニュース|プレスリリース
掲載ページのアドレス http://www.teijin.co.jp/news/2009/jbd091120.html
に掲載された「包装用台紙」の意匠の当該部
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ21051783号)

意匠4(別紙第5参照)
特許庁普及支援課が2014年5月22日に受け入れた大韓民国特許庁発行の
大韓民国意匠商標公報2014年4月11日14-10号
イカ包装用台紙(登録番号30-0738628)の意匠の当該部
(特許庁意匠課公知資料番号第HH26415928号)

意匠5(別紙第6参照)
特許庁発行の公開実用新案公報記載
平成2年実用新案出願公開第37855号
第1図に表されている蓋板を明けた状態の斜視図の態様

意匠6(別紙第7参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2012年11月12日
受入日 特許庁意匠課受入2012年11月16日
掲載者 ケンコーコム株式会社
掲載ページのアドレス http://photo.kenko.com/E275016H_L.jpg
に掲載された「包装用台紙」の意匠の中央に表されている電子機器の態様
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ24047003号)

意匠7(別紙第8参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2013年12月17日
受入日 特許庁意匠課受入2014年 1月17日
掲載者 Toys”R”US
表題 Toysrus
掲載ページのアドレス http://www.toysrus.com/product/prodpop.jsp?LargeImageURL=http%3A//www.toysrus.com/graphics/product_images/pTRU1-17706698enh-z6.jpg&displayTab=enh&productId=30501886&totCount=0
に掲載された「包装用容器」の意匠の中央に表されている電子機器の態様
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ25055456号)

3.請求人の主張の要旨
(1)意匠法第3条第2項の適用において,出願に係る意匠が寄せ集めの意匠や置換の意匠である等として,本願意匠が創作容易な意匠であると言うためには,複数の公然知られた意匠を当業者にとってありふれた手法により寄せ集めたにすぎない意匠,公然知られた意匠の特定の構成要素を当業者にとってありふれた手法により,他の公然知られた意匠に置き換えて構成したにすぎない意匠等である必要があり(審査基準23.5.2,23.5.1),その判断手法については,審査基準23.5.2事例1乃至3に挙げられているように,寄せ集める複数の公然知られた意匠を組み合わせたものが出願意匠とほぼ同一であること,審査基準23.5.1事例1乃至5に挙げられているように,置換する公然知られた意匠の独立した構成要素同士を置き換えて構成したものが出願意匠とほぼ同一であることが必須要件になるものと思料する。
本件において上記判断手法をとるとするのであれば,審査官が引用された意匠1と,審査官殿が本願出願前に広く知られた所謂スマートフォンをありふれた二つ折りカバーに装着した状態の図と認定する開蓋状態の模様を組み合わせたものが本願意匠とほぼ同一である,意匠1の外箱に表された英文字を前記模様に置き換えたものが本願意匠とほぼ同一でなければならない。
(2)そこで検討するに,まず審査官は,本願の意匠登録を受けようとする台紙部分の形状は,本願出願前に公然知られた意匠1に見られると認定しているが,意匠1の本願意匠の台紙部分に相当する部分は,透明体(透明フィルム,または透明ケース)の外側に設けられた外箱そのものであるため,透明な外箱の内側に設けられてなる本願意匠の台紙部分と当該部分に相当する意匠1の部分(外箱)とではその位置及び各部分の用途・機能が明らかに相違している。
従って,本願意匠の破線である透明な外箱に相当する意匠1の外箱と如何なる模様を組み合わせたとしても,意匠1の外箱に表された英文字を如何なる模様に置き換えたとしても,透明な外箱の内側に位置する本願意匠の台紙部分とほぼ同一になることはあり得ないため,本願意匠の創作性が否定されるものではないと思料する。
(3)また,審査官は,本願意匠の台紙部分に表された模様は,スマートフォンをありふれた二つ折りカバーに収納した開蓋状態の模様(以下,開蓋模様)で,本願出願前に広く知られていたと認定しているが,スマートフォンを二つ折りカバーに収納した開蓋状態の模様には,例えば,甲第2号証等に示すような種々の態様があるため,開蓋模様について具体的な開示が一切ない以上,そもそも意匠1と組み合わせする模様や,意匠1の外箱に表された英文字と置き換える模様が特定できないどころか,本願意匠のような開蓋模様が本願出願前に広く知られているとするには無理があり,組み合わせや置き換えすることができないことは明白である。
従って,本願意匠の破線である透明な外箱に相当する意匠1の外箱と,種々の態様がある状況において一切例示がない開蓋模様に基づいて,本願意匠とほぼ同一な意匠を創作できるとするのには到底無理があるため,本願意匠の創作性が否定されるものでないことは明らかであると思料する。
(4)なお,開蓋模様が本願出願前に広く知られていることを意匠5乃至意匠7に基づくとしても,意匠5は公開実用新案公報に掲載された弁当や菓子類の収容箱として説明するための単なる図面で,容器や台紙に表された表面模様ではない態様,意匠6は台紙の略中央全面に電子辞書が大きく表された態様(表面模様),意匠7は包装用容器の略中央全面に電子機器が大きく半開きで表された態様(表面模様)であるため,本願意匠のような開蓋模様が本願出願前に広く知られている根拠とするには無理があることは明らかである。
よって,意匠1と意匠5乃至意匠7を組み合わせたとしても,意匠1の外箱に表された英文字を意匠5(収容箱を説明するための単なる図面)や意匠6及び意匠7の表面模様に置き換えたとしても,本願意匠とほぼ同一になることはあり得ず,本願意匠の創作性が否定されるものでないことは明らかである。
すなわち,本件は審査基準23.5.2事例1にある,寄せ集めたものとは認められない事例に相当するものと思料する。
(5)また,拒絶理由通知で例示された意匠1乃至意匠7によって上記判断手法をとるにしても,意匠1は外箱の前縁が波曲線状で横向き縦方向に英文字が全面に表された態様,意匠2は包装用合紙の前縁が波曲線状とまでは言えず,抽象的な模様が全面に表された態様,意匠3は台紙の前縁が波曲線状であるが,袋に入れられた態様で表面模様がない態様,意匠4は台紙上下の前縁が波曲線状で表面模様がない態様である。
従って,意匠1乃至意匠7を組み合わせても,意匠1乃至意匠4の外箱等に表された模様等を単なる図面である意匠5や,意匠6及び意匠7の表面模様に置き換えても,透明な外箱(包装用箱)の内側に取り付けられた台紙の正面側,即ち中央寄りの長辺を波曲線状とした長方形部分の中央稍下方寄りに,ノート型をした物品の開蓋状態を表した態様からなる本願意匠とほぼ同一になることはあり得ず,本願意匠の創作性が否定されるものでないことは明らかである。

4.当審の判断
本願意匠が,当業者であれば,容易にその意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。
(1)本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,全体を略縦長扁平直方体状の透明な筺体として破線で表し,その上部には平面視中央部に薄板状の突出片を設けて,その突出片の中央に略隅丸凸字状の孔を設けて破線で表したもので,本願実線部分は,その筺体内部に表された,平面視略逆コ字状に折られた台紙の正面に位置する部分である。本願実線部分の形態は,正面視略縦長長方形状とし,その右辺を波状(以下,この部分を「波状辺」という。)に形成したもので,波状辺は,上方寄りを緩やかに湾曲した凸弧状とし,そこから下方に向かって緩やかな凹弧状としたものであって,台紙の正面側の高さと最大幅の縦横比を約3:1とし,最小幅の縦横比を約4:1としたもので,左辺を筐体内部の左辺の内側に合わせ,左上及び左下の角を直角として上下辺を水平状とし,上辺を下辺よりやや短く設けたものであって,上下中央よりやや下側に,ブックレット型のカバーの上に携帯情報端末を載せた状態を表すイラストを施し,そのイラストは,携帯情報端末のディスプレイを覆う側のカバーが斜め上方に開いており,扁平な略直方体状の携帯情報端末は,ディスプレイを上にして,やや右斜めに傾けて配置し,その下に台座カバーが見える態様としたものである。
(2)原査定の拒絶の理由の引用意匠
(ア)意匠1
意匠1は,意匠に係る物品を「包装用箱」とし,全体を正面視において筺体全体の縦横比を約3:5とした縦長長方形状とし,前面に開口部のある略縦長扁平直方体状の筺体としたもので,奥側上部に左右幅一杯に略横長長方形状で上側の2つの角を丸めた薄板状の突出片が設けられ,その突出片の中央やや上寄りに略隅丸凸字状の孔を設け,筐体をその横幅の約2/5程度の幅の縦長の面で覆ったものであって,本願実線部分に相当する引用部分の筐体前面の縦長の面の形態は,正面視略縦長長方形状とし,その右辺を波状辺としたもので,左上及び左下の角を直角状として上下辺を水平状とし,上辺と下辺をほぼ同じ長さとし,右辺を波状辺としたもので,波状辺は,上方寄りを緩やかに湾曲した凸弧状とし,そこから下方に向かって緩やかな凹弧状としたものであって,縦長の面全体の縦横比を約4:1とし,表面に英字を倒して上から縦方向に「Addition」と描いたものである。
(イ)意匠2
意匠2は,意匠に係る物品を「包装用合紙」とし,全体を厚みの薄い平面視略コ字状に折られた合紙で背面側を正面側より幅広としたもので,正面側の縦長の面を正面視した全体の横幅の約2/5程度の幅であって,本願実線部分に相当する引用部分の正面側の面の形態は,正面視略縦長長方形状とし,その右辺を波状辺としたもので,左上及び左下の角を直角状として上下辺を水平状とし,上辺を下辺よりやや長く設けたもので,波状辺は,上方寄りを緩やかに湾曲した凸弧状とし,そこから下方に向かって緩やかな凹弧状としたものであって,正面側の面全体の縦横比を約3:1とし,表面に縦長の垂直方向の波状の太線と渦巻き状の太線からなる模様を描いたものである。
(ウ)意匠3
意匠3は,意匠に係る物品を「包装用台紙」とし,掛けカバー用とピローケース用の2種類の商品が表されたもので,透明な袋状のフィルムの内側に,製品が左側に見えるように右側に台紙を設けたものである。
掛けカバー用は,正面側の縦長の台紙を正面視したフィルム全体の横幅の約1/2程度の幅であって,本願実線部分に相当する引用部分の正面側の台紙の形態は,右辺をフィルム全体の右辺に合わせて垂直とし,右上及び右下の角を直角として上下辺を水平状に設け,上辺を下辺よりやや短くし,左辺を波状辺としたものであり,波状辺は,上方寄りを凹弧状とし,そこから下方に向かって凸弧状としたものであって,正面側の台紙全体の縦横比を約2:1とし,表面に横長長方形状の枠,商品名,下方寄りにベッドの写真を表したものである。
ピローケース用は,正面側の縦長の台紙を正面視したフィルム全体の横幅の約4/5程度の幅であって,本願実線部分に相当する引用部分の正面側の台紙の形態は,右辺をフィルム全体の右辺に合わせて垂直とし,右上及び右下の角を直角として上下辺を水平状に設け,上辺を下辺よりやや短くし,左辺を波状辺としたものであり,波状辺は,上方寄りを凹弧状とし,そこから下方に向かって凸弧状としたものであって,正面側の台紙全体の縦横比を約5:3とし,表面に横長長方形状の枠,商品名,下方寄りの長方形の区画に枕や布団のあるベッドの写真を表したものである。
(エ)意匠4
意匠4は,意匠に係る物品を「イカ包装用台紙」とし,台紙の上下を折り曲げて左側面視略C字状に,それぞれ略倒コ字状と略逆倒コ字状に折られた薄い台紙としたものであり,正面側の上下にある2つの台紙を,上側は正面視した台紙全体の縦幅の約1/4程度の幅とし,下側は正面視した台紙全体の縦幅の約1/6程度の幅としたものであって,それぞれの台紙の形態は,上側の本願実線部分に相当する引用部分の台紙は,左上及び右上の角を直角として,上辺を水平状とし,左右辺を背面側の台紙の左右辺に合わせて垂直とし,右辺を左辺よりやや長く設け,下辺を波状辺としたもので,波状辺は,左辺寄りを中央に向かって凸弧状とし,そこから右辺に向かって凹弧状としたもので,下側の本願実線部分に相当する引用部分の台紙は,左下及び右下の角を直角として,下辺を水平状とし,左右辺を背面側の台紙の左右辺に合わせて垂直辺とし,左辺を右辺よりやや長く設け,上辺を波状辺としたもので,波状辺は,左辺寄りを中央に向かって凹弧状とし,そこから右辺に向かって凸弧状としたものであって,正面視した台紙全体の横幅に対する正面側の台紙の縦幅の最大の長さの比が,上側は約2:1,下側は約3:1としたものである。
(オ)意匠5
意匠5は,考案の名称を「弁当,菓子類収納箱」とし,第1図に扁平な縦長直方体状の弁当箱の蓋板をあけた状態が示されているものである。蓋板は長方形状で箱主体の側面を覆う側板と繋がり,側板は裏板とも繋がっており,蓋板は表面紙と折り返し片で覆われて蓋体を構成し,蓋体の長辺中央に略隅丸三角形状の開閉用の舌片を設けたもので,箱主体の周側面である四周壁の内側には仕切り板が設けられたものである。
(カ)意匠6
意匠6は,意匠に係る物品を「包装用台紙」とし,縦横比を約9:5とする長方形状の台紙を透明なビニールシートで包んだもので,台紙の上方中央に略隅丸凸字状の孔部を設け,台紙は上方の左右の角を隅丸状とし,下方の左右の角は直角としたもので,全体の地色を赤色とし,右上方角部を金色とし,上方寄りの孔部の下に青色の帯状部,台紙下部に,上端に黒色の細帯状部を設けた水色の横長長方形部を設け,中央に約155度の鈍角にディスプレイを開いた電子辞書のイラストが表され,その上下に上は略逆L字状の,下は略L字状の黄色の吹き出し部を設けたものである。
(キ)意匠7
意匠7は,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,正面の縦横比を約3:2とする略縦長直方体状の箱としたものであり,その箱の上部中央に隅丸横長長方形状の突出片を設け,突出片の中央付近に略隅丸三角形状の孔を設けたものである。箱の正面には黒色のカバーを付けた携帯情報端末の写真を斜めに大きく表しており,携帯情報端末は,周側面,背面側及び正面側をカバーで覆い,正面側のカバーを約30度開いた状態としたもので,カバーの蓋には長辺側中央付近に隅丸長方形状の突出片が設けられたものである。箱の地色は明るい灰色で,箱の正面下方に黄緑色の細帯状部を設け,下方寄り左端部から横長長方形状部を設けたものである。
(3)創作容易性の判断
まず,この種の包装用箱の分野の台紙においては,正面側の台紙の面積を背面側より小さくし,片側の角を直角として上下辺を水平状とし,正面側の縦長の台紙の中央寄りに波状辺を設けることは,意匠1ないし意匠4に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
また,正面側の台紙の波状辺を上方寄りを緩やかに湾曲した凸弧状とし,そこから下方に向かって緩やかな凹弧状とすることも,意匠1に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
そして,正面側の台紙の幅を様々なものとすることもまた,意匠3及び意匠4に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
しかしながら,意匠5に表されたものは弁当箱であり,意匠6に表されたイラストは電子辞書であり,また,意匠7は,携帯情報端末のイラストであるが,その大きさや位置が異なり,その具体的な態様についても,本願実線部分のイラストは,カバーの開いた状態も意匠5の弁当箱の蓋の開いた状態とは異なるものであり,蓋状カバーが斜め上方に開いた状態も,意匠6に表された電子辞書のイラストとは異なる。また,本願実線部分のイラストは,扁平な略直方体状の携帯情報端末の正面の縦長長方形状の暗色の画面が斜めに見え,その下に台座カバーが見える状態であり,意匠7の携帯情報端末のイラストのカバーで覆い,カバーを約30度開いた状態とも,その画面に表示されたものまで含めて,その全体の形態が異なる。本願実線部分のイラストの態様は,これらのいずれの態様とも大きく異なるものである。
この種の包装用容器の台紙に描かれるイラストについては,その容器に入れる商品の態様を示すために商品の使用状態などを表すことが通常行われているところであるが,携帯情報端末が広く知られているものであったとしても,イラスト自体は,本願意匠の物品である包装用箱に入れる商品を,どのような態様で表すかによって,台紙の視覚的な印象が異なり,携帯情報端末の正面側のカバーを約30度開いた状態の意匠7があったとしても,本願実線部分のイラストと同様のものは,他には見当たらず,本願実線部分のイラストは商品の使用状態を表す創作がなされているものであり,当業者にとって,本願実線部分のイラストの態様が容易に創出し得るものということはできない。
また,本願実線部分は,全体を略縦長扁平直方体状の透明な筺体として破線で表し,その上部には平面視中央部に薄板状の突出片を設けて,その突出片の中央に略隅丸凸字状の孔を設けて破線で表し,その筺体内部に表された,平面視略逆コ字状に折られた台紙の正面に位置する部分であり,意匠1の正面側を覆う縦長の面を意匠2に見られるような台紙全体の横幅の約2/5程度の幅としたとしても,それらの意匠から,本願実線部分の態様を直ちに導き出すことができるとはいえない。
そうすると,本願実線部分は,略縦長扁平直方体状の透明な筺体の内部に表された,平面視略逆コ字状に折られた台紙の正面に位置する部分であり,本願実線部分の形態は,正面視略縦長長方形状とし,その右辺を波状に形成したものであって,上下中央よりやや下側に,ブックレット型のカバーの上に携帯情報端末を載せた状態を表すイラストを施したもので,特にそのイラストの,携帯情報端末のディスプレイを覆う側のカバーが斜め上方に開き,そのカバーの上にディスプレイを上にして,やや右斜めに傾けて配置された携帯情報端末のイラストの態様は,本願実線部分の独特の態様といえるもので,当業者であれば容易に創作することができたものとはいうことができないものである。
よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,意匠1ないし意匠7に見られる,日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。
5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-10-17 
出願番号 意願2015-6539(D2015-6539) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木本 直美 
特許庁審判長 山田 繁和
特許庁審判官 正田 毅
斉藤 孝恵
登録日 2016-11-11 
登録番号 意匠登録第1565233号(D1565233) 
代理人 藤本 昇 
代理人 野村 慎一 
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