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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 C3
管理番号 1322338 
審判番号 不服2015-21248
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-11-30 
確定日 2016-09-03 
意匠に係る物品 ごみ箱 
事件の表示 意願2014- 11815「ごみ箱」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成26年(2014年)5月31日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「ごみ箱」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照)
すなわち,本願意匠は,具体的には,(イ)全体は,上面の開口した,下方へ次第にすぼまって成る前後面が左右面より幅広の略縦長直方箱体形状とし,(ロ)開口部は上面を細幅鍔状に形成し,端部は下方へ鉛直方向に屈曲して断面視略逆L字状の上縁部とし,(ハ)正面視略三角形状の二つの同形の板片を前後に設け,延出した外側下方角部に差し渡した小円筒を把持部とした持ち手部を2つ,上端寄り左右側面の中央に左右対称に配し,(ニ)胴部の前後(幅広面)には,下端までにかけて全長の約4分の3を占める,やや裾広がりの略縦長台形状の,高さ,上辺,下辺の比率が約7:3:3.5の浅い凹部を設けたものであって,(ホ)全長,横幅,奥行き比率は約9:7:5としたものである。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における平成26年3月27日付けで通知した拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,「 この種ごみ箱において,本体部の全体が,やや下すぼまり状の有底四角筒状体とし,その左右両側面上端部に,略三角形状の支持板部2枚と丸棒状の把持部とからなる持ち手部を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠1】。
同様に,ごみ箱の本体部正面及び背面部に,上方に向かって幅狭となる態様で凹陥状部を形成したものが,本願意匠の出願前に公然知られています【意匠2】。
本願意匠は,その出願前公然知られた【意匠1】の意匠に基づき,当業者にとってありふれた手法を用いて,正面及び背面部に【意匠2】の意匠の様に,上方に向かって幅狭となる態様で凹陥状部を形成したまでのものにすぎませんから,容易に意匠の創作をすることができたものと認められます。」というものである。

意匠1(別紙第2参照)
特許庁意匠課が2001年 6月 8日に受け入れた
アロン化成の環境保全用品と清掃用品カタログ
第26頁所載
ゴミ容器の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HN13004791号)
の蓋部を除く本体部の意匠
意匠2(別紙第3参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2013年 3月15日に受け入れた
集合住宅・店舗のゴミ置き場,もっとキレイに。 ゴミストッカー
第35頁所載
ごみ箱の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HC25006046号)

第3 請求人の主張
これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。
1 本願意匠が登録されるべき理由
本願意匠と意匠1とは「全体が本体部と蓋体部とからなり,本体部は,やや下すぼまり状の有底四角筒状体とし,その左右両側面上端部に,略三角形状の支持板部2枚と丸棒状の把持部とからなる持ち手部を形成した」という上位概念においては共通する。
また,ごみ箱の本体部正面及び背面部に,上方に向かって幅狭となる態様で凹陥状部を形成したものが,意匠2によって本願意匠の出願前に公然知られている。
しかしながら,公然知られているのはあくまでも「本体部正面及び背面部に,上方に向かって幅狭となる態様で凹陥状部を形成した」という抽象的なもので,本願意匠における「上方に向かって幅狭となる凹陥状部」の具体的な形状に関しては公然知られていない。
すなわち本願意匠における「上方に向かって幅狭となる凹陥状部」は底辺を1とした場合,高さは1.8,上辺は0.65の比率の縦長のものだが,これと同一あるいは類似の形状のものは公然知られてはいない。
公然知られているのは底辺を1とした場合,高さは0.6,上辺は0.7の比率の意匠2における「上方に向かって幅狭となる凹陥状部」の形状である。
本願意匠における前記の「上方に向かって幅狭となる凹陥状部」はごみ箱の高さの80%近くまで立ち上がることにより,看者が正面及び背面を観察した場合に,残余の部分が横起きコ字状の枠のような印象を与えることにより軽快な美感を生じさせるものであり,仮に意匠2における「上方に向かって幅狭となる凹陥状部」をそのまま本願意匠に適用してもそのような印象は与えず軽快な美感を生じさせない。
たしかに,「上方に向かって幅狭となる凹陥状部」という抽象的な概念を捉えれば公知かも知れないが,意匠は本来は物品全体でその美感や創作性を考慮すべきであり,公知の概念をどのように具体化して配するかにより独自の美感が生じることは経験則の教えるところである。
そうした場合,前記の通り独自の美感が生じ,この点において公知意匠1,2に基づいて創作することには困難性がある。
2 結び
以上の通り本願意匠は意匠法第3条第2項の規定には該当しない。

第4 当審の判断
請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。
1 意匠1
意匠1の意匠に係る物品は「ゴミ容器」であり,その形態は,蓋体部と本体部からなり,本体部は上面の開口した,下方へ次第にすぼまって成る前後面が左右面より幅広の略縦長直方箱体形状とし,正面視略三角形状の二つの同形の板片を前後に設け,延出した外側下方角部に差し渡した小円筒を把持部とした持ち手部を2つ,本体部の上端寄り左右側面の中央に左右対称に配したものであって,本体部の全長と横幅の比率は約8.5:7とし,奥行きの比率は遠近感のある図版のため正確な値が不明であり,蓋体部は略直方体の浅い箱状とし,周側面に段状の縁部を設け,短辺側中央に横長留め片部を設け,上面,長手方向(左右方向)中央を全幅に渡って緩やかに膨出した帯状隆起部を配したものである。
2 意匠2
意匠2の意匠に係る物品は「ごみ箱」であり,その形態は,蓋体部のない本体部のみからなり,本体部は上面の開口した下方に向かうにつれてわずかにすぼまった前後面が左右面より幅広の略横長直方箱体形状とし,正面視略三角形状の二つの同形の板片を前後に設け,外側角部に差し渡した小円筒を把持部とした持ち手部を,上端寄り短辺側中央に配し,前面(幅広面)と右側面(幅狭面)の本体胴部には,前面(幅広面)には下端までにかけて全長の約2分の3を占めて,やや裾広がりの略横長台形状の浅い凹部を右側面(幅狭面)には略縦長台形状の浅い凹部を設けたものであって,本体部の全長と横幅の比率は約4:5とし,奥行きの比率は遠近感のある図版のため正確な値が不明であり,底部にはキャスターを四隅に設けているものである。前後面並びに左右面は,それぞれ持ち手部,凹部などについて,同様の態様であると推認される。
3 本願意匠の創作容易
本願は,意匠に係る物品は「ごみ箱」であり,その形態は,前記第1のとおりのものである。
本願意匠の(イ)の蓋体部と本体部からなり,本体部は上面の開口した,下方へ次第にすぼまって成る前後面が左右面より幅広の略縦長直方箱体形状とした態様は,ごみ箱に係る物品分野の基本的態様としてごく普通に見受けられる態様であって,意匠1にも見受けられ,この態様とすることに格別の創作を見いだすことはできず,(イ)の態様は,容易に想到することができたものといえる。
次に(ロ)の開口部の態様において,断面視略逆L字状の上縁部としている点については,上縁部の態様は原審提示の引用意匠(意匠1,意匠2)からは観察できないものの,開口部上面に細幅鍔状に略逆L字状の上縁部を設けることはごみ箱に係る物品分野においてごく普通に見受けられる態様である。
そして,(ハ)の本体部の上端寄り左右側面の中央に左右対称に略三角形状の二つの板片に前後から挟まれ差し渡した小円筒の把持部とした持ち手部を配した態様も,ごみ箱に係る物品分野において,ごく普通に見られる態様(例えば,意匠1)であるから,この点についてもまた,容易に想到することができたものといえ,(ホ)の本体部の全長,横幅,奥行き比率は約9:7:5としたものである点は,ごみ箱に係る物品分野においては,普通に見られるプロポーションであって,本願意匠独自の特徴ある態様とまではいえない。
しかしながら(ニ)の本体胴部の前後(幅広面)には,本体下端までにかけて全長の約4分の3を占める,やや裾広がりの高さ,上辺,下辺の比率が約7:3:3.5の略縦長台形状の浅い凹部を設けたものである点を検討すると,略縦長台形状の浅い凹部については,ごみ箱に係る物品分野においてよく見られる態様であるが,その高さ,上辺,下辺の比率が約7:3:3.5の略縦長台形状の浅い凹部を前後本体胴部(幅広面)にのみ設けた態様は,よく見受けられるものとはいえず,本願意匠の特徴部分といえ,この点について容易に想到することができたものということはできない。
よって,本願意匠の上記(イ),(ロ),(ハ)及び(ホ)の態様については,当業者が公然知られた意匠に基づいて容易に想到することができたものであるとしても,(ニ)の具体的態様については,独自の態様を創出したものというべきであるから,(イ),(ロ),(ハ),(ニ)及び(ホ)からなる本願意匠は,意匠全体としては,意匠1及び意匠2に基づいて容易に想到することができたものとはいえない。
したがって,本願意匠は,当業者であれば,公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作することができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときに該当しないので,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-08-16 
出願番号 意願2014-11815(D2014-11815) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (C3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 刈間 宏信
渡邉 久美
登録日 2016-12-09 
登録番号 意匠登録第1567107号(D1567107) 
代理人 神保 欣正 
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