• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 B3
管理番号 1322340 
審判番号 不服2016-5973
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-04-22 
確定日 2016-10-17 
意匠に係る物品 メガネフレームのリム線 
事件の表示 意願2015- 8283「メガネフレームのリム線」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成27年(2015年)4月13日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「メガネフレームのリム線」であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものであって,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)
なお,願書に添付した図面中の一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線と認める。また,以下では,本願において意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであり,具体的には,本願意匠に係る物品分野においては,リムの内周面の態様として,略V字状の傾斜面とすることは,例を挙げるまでもなくごく一般的にみられる態様であり,また,各種分野において物品の表面に周知形状の凹凸を規則的に配列することはごく普通に行われており,リムの内周面に凹凸を設けることも,下記意匠1,2に見られるように,本願出願前より公然知られているところ,本願意匠部分は,メガネフレームのリム線において,ごく一般的な傾斜面状の内周面に周知の細長長方形状の凹部を規則的に配置したにすぎないとしたものである。

意匠1(別紙第2参照)
特開2008-241849
【図2】,【図3】及び関連する記載に表された「眼鏡フレームのリム」の意匠(以下「引用意匠1」という。)

意匠2(別紙第3参照)
昭和48年実用新案出願公開第098163号
第4図及び関連する記載に表された「眼鏡縁枠」の意匠(以下「引用意匠2」という。)

第3 請求人の主張の要点
これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。
「【請求の理由】
……(中略)……
A.意匠1(特開2008-241849号公報)
上記特開2008-241849号公報の図2,図3には眼鏡フレームを構成するリム断面が記載されている。
該リムは外側傾斜面の傾斜長さが内側傾斜面の傾斜長さより長く,そして傾斜面の摩擦力を増す為に,リム溝に沿って小溝を形成している。リムのリム溝にはレンズが嵌り,リム溝からレンズが離脱し難くなる。

B.意匠2(実開昭48-098163号公報)
この眼鏡リムは概略コ形断面を成して溝底に複数の小突起を一定間隔で配列した形態としている。そして,小突起の向きはリム線の長手方向に対して垂直を成している。図4はテープ状の小突起体を適宜長さに切断したものをリム溝底に嵌挿した構造である。
溝底に小突起を設けることで,レンズの外周形状と眼鏡縁枠との間に僅かな誤差が生じている場合であっても,眼鏡縁枠にレンズが無理なく嵌ることが出来る。
このように,特開2008-241849号に係る「眼鏡フレームのリム」(意匠1)と実開昭48-098163号に係る「眼鏡縁枠」(意匠2)は共にリム内周面を凹凸化したものであるが,発明の目的,及びリムとしての作用効果は互いに違っている。

C.本願意匠に係る「メガネフレームのリム線」は,リムとしてレンズが嵌る内面に複数の凹溝を等間隔で形成している。そして,内面は両傾斜面(内側傾斜面及び外側傾斜面)を有し,該凹溝の向きはリム線の長手方向に対して垂直を成している。そして,凹溝の形状は細長い長方形をなし,内側傾斜面から外側傾斜面にかけて連続している。しかも,凹溝と凹溝でない部分とはほぼ等間隔の配列形態と成っている。
ところで,上記意匠1の場合,リム溝傾斜面に形成されている小溝はリム線の長手方向に沿っており,本願意匠のリム線とは異なる。
意匠2の場合,リム線の長手方向に対して垂直を成して複数の小突起を形成しているが,リム線の断面が概略コ形であることから内面に傾斜面を有すことなく,平坦な底面を備えている。したがって,両傾斜面に凹溝を形成した本願意匠とは異なる。
このように,本願意匠に係るリム線は内側傾斜面と外側傾斜面にてV溝を形成し,両傾斜面にはリム線に対して垂直方向に複数本の細長い凹溝を等間隔で形成している。
この本願意匠はV溝を有すリム線の内側傾斜面と外側傾斜面に,小溝をリム線に沿って形成している意匠1とは異なり,類似することはない。
溝の形態だけに注目してもリム線に対しての向きが違うと共に,本願意匠では平坦な底面を有す細長い凹溝であるのに対して,意匠1の場合にはV形断面の溝としている。溝の目的が摩擦力を高めてレンズの外れ防止であることから,必然的に意匠1のような溝形態となる。
また,意匠2ではリム断面がコ形を成し,このコ形断面の溝底に複数の小突起をリム線に沿って形成している。コ形断面のリムに嵌ったレンズは外れることはなく,溝底に小突起を形成することでレンズ外周とリムとの間に僅かな寸法誤差が存在しても,レンズに無理な応力が作用することなく嵌ることが出来る。
そこで,V溝を有している本願意匠とコ形断面のリム線を有す意匠2とが類似することはない。
また,溝だけに注目しても,本願意匠は細長い凹溝であるのに対して,意匠2の場合には小突起である。突起と突起の間は凹溝とみることが出来るが,例えば,図4に示している小突起の場合,断面は先が尖った山形をしていて,その為に両小突起の間を凹溝として観るならば,小突起の幅に対して凹溝の幅は非常に大きく,本願意匠の凹溝の配列間隔とは異なり,この点だけを見ても,類似して誤認混同を生じることはないと思われる。

D.このように,本願意匠は両引用意匠とは,リムを構成するリム線の形状並びにリム内周面に形成される溝の形態も違い,本願意匠が両引用意匠と類似することはなく,またレンズが嵌るリム内周面に小溝や小突起を形成して凹凸化している引用意匠を基にして,本願意匠を容易に創作することが出来るものではないと考える。」

第4 当審の判断
1 本願意匠及び本願意匠部分
本願意匠は,第1に述べたとおりのものである。
すなわち,本願意匠は,「メガネフレームのリム線」に係るものであり,本願意匠部分の形態は,左右に連続する断面視略V字状のリム線の傾斜面の部分に,当該リム線の長手方向に対して鉛直の向きをなす細長短冊状凹部が,両側の傾斜面にわたって等間隔に並列な配置態様で形成されたものであり,上記細長短冊状凹部の横幅は,当該細長短冊状凹部を形成していない部分の横幅とほぼ同じである,というものである。

2 引用意匠1及び2
(1)引用意匠1
引用意匠1は,「眼鏡フレームのリム」に係るものであって,当該眼鏡フレームのリムの内周に,外側傾斜面と内側傾斜面からなる略V字状のリム溝が形成され,上記外側傾斜面には,長手方向に略V字状の小溝が2条形成されている。
(2)引用意匠2
引用意匠2は,「眼鏡縁枠」に係るものであって,当該眼鏡縁枠のレンズ嵌入用溝内に,一定間隔で断面視半円形状の小突起が等間隔に多数突設されている。

3 本願意匠の創作容易性について
本願意匠の創作容易性に関し,まず,本願意匠部分の態様のうち,リム線の傾斜面の部分に,当該リム線の長手方向に対して鉛直の向きをなす細長短冊状凹部が,両側の傾斜面にわたって等間隔に並列な配置態様で形成された態様について,検討する。
引用意匠1及び2には,上記の態様が示されておらず,当業者が引用意匠1,2に基づいて上記の態様を容易に想到し得たものということはできない。
なお,引用意匠1,2によって,リム溝の内周に凹凸を設けることが本願出願前から公然知られていたとしても,凹凸の形態には無数の選択肢が存在するのであるから,当業者が引用意匠1及び2に基づいて上記の態様を容易に想到し得たものということはできない。また,仮に「細長短冊形状」が本願出願前に周知の形状であったとしても,細長短冊状凹部を両側の傾斜面にわたって等間隔に並列な配置態様で形成した形状が周知であったとは認められないから,当業者が当該形状を容易に想到し得たものということはできない。
したがって,上記の態様を含む本願意匠は,当業者が引用意匠1及び2に基づいて容易に創作をすることができたものということはできない。

第5 むすび
したがって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第2項に該当するということはできないから,原査定の理由をもって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-09-06 
出願番号 意願2015-8283(D2015-8283) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (B3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 鈴木 康平並木 文子 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 須藤 竜也
江塚 尚弘
登録日 2016-12-02 
登録番号 意匠登録第1566400号(D1566400) 
代理人 平崎 彦治 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ