• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1322352 
審判番号 不服2016-7439
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-05-20 
確定日 2016-11-21 
意匠に係る物品 医療用注射器 
事件の表示 意願2015- 4120「医療用注射器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2014年(平成26年)8月27日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,本意匠を意願2015-004123号とする関連意匠の意匠登録出願であって,平成27年(2015年)2月27日に出願された意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「医療用注射器」であり,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(意匠公報発行日:平成20(2008年)6月2日)に記載された意匠登録第1332080号(意匠に係る物品,医療用注入器)の意匠であって,その形態は,同公報の図面代用写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 請求人の主張の要点

これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。

1.本願意匠の要旨
本願意匠は,本体内部に収納された薬液を患者に注射することができる「医療用注射器」に係るものであり,その意匠の要旨は下記の通りである。

1)基本的構成態様
(ア)細長略円筒状のペン形状とし,注射器本体とクリップ付きのキャップとから成り,注射器本体は,キャップを外した際に表れる円筒状のカートリッジホルダー(カートリッジ設置部分),投与量窓を備えたグリップ部,投与量調整部(ダイアル),及び近位側端部の短円筒状の作動ボタンとから構成されている。
(イ)キャップのクリップの形状は,投与量窓の形状に合わせて形成され,全体として尖った印象を与える一体感のある態様で構成されている。

2)具体的構成態様
(ウ)投与量調整部を複数の凸状リブ付きの短円筒状としている。
(エ)その凸状リブは,幅広のリブと幅狭のリブを交互に,作動ボタン側に少しの隙間を空け,正面視で少なくとも7か所設けられている。
(オ)投与量窓は,略平行四辺形状である。
(カ)その投与量窓の周辺が取付枠で囲まれている。
(キ)投与量インジケーターが投与量窓内に延伸している。
(ク)注射器本体は,窪みのない滑らかな表面で形成されている。
(ケ)キャップの頂部にクリップが接続されている。
(コ)クリップは,注射器本体と同様に窪みのない滑らかな表面である。
(サ)クリップの側面は注射器本体と軸方向に平行とし,かつその先端部は投与量窓の取付枠の側面に平行な縁部を有している。
(シ)キャップのテーパー部は,平行なクリップ側面とは対照的に角度の大きい状態で形成されている。

2.引用意匠の要旨
引用意匠は,本体内部に収納された薬液を患者に注射することができる「医療用注入器」に係るものであり,その意匠の要旨は下記の通りである。

1)基本的構成態様
(ア)細長略円筒状のペン形状とし,注射器(注入器)本体とクリップ付きのキャップとから成り,注射器(注入器)本体は,キャップを外した際に表れる円筒状のカートリッジホルダー(カートリッジ設置部分),投与量窓を備えたグリップ部,投与量調整部(ダイアル),及び近位側端部の短円筒状の作動ボタンとから構成されている。
(イ)キャップのクリップの形状は,クリップ周辺の窪み及び投与量窓周辺の窪みの形状に合わせて形成され,全体として丸みのある印象を与える一体感のある態様で構成されている。

2)具体的構成態様
(ウ)投与量調整部を複数の凸状リブ付きの短円筒状としている。
(エ)その凸状リブは,投与量調整部の軸方向全長にわたって,同一の大きさで近位側が先細となるように形成され,正面視で少なくとも3か所設けられている。
(オ)投与量窓が略平行四辺形状である。
(カ)その投与量窓の周辺には取付枠が設けられていない。
(キ)投与量インジケーターは,投与量窓内に延伸せず,投与量調整部を回転させることで,凸状リブと一体の形状になるように形成されている。
(ク)注射器本体は,投与量窓の周辺に扇状の窪みが形成されている。
(ケ)キャップの頂部にクリップが接続されている。
(コ)クリップは,注射器本体の投与量窓周辺と同様に,扇状の窪みが形成されている。
(サ)クリップの側面は周囲の扇状の窪みの形状に合わせて湾曲しており,かつその先端部の頂点である縁部が丸みを帯びた形状をしている。
(シ)キャップのテーパー部は,湾曲したクリップ側面に合わせるように角度の小さい状態で形成されている。

3.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠と引用意匠(意匠登録第1332080号)は,意匠に係る物品が共通しており,その形態については,下記の共通点と差異点が認められる。
1)共通点
(ア)全体について,注射器(注入器)本体とクリップ付きのキャップとから成り,注射器(注入器)本体は,遠位側から,キャップを外した際に表れる円筒状のカートリッジホルダー(カートリッジ設置部分),投与量窓を備えたグリップ部,投与量調整部(ダイアル),及び近位側端部の短円筒状の作動ボタンとから構成されている点が共通する。
(ウ)投与量調整部が複数の凸状リブ付きの短円筒状をしている点が共通する。
(オ)投与量窓が略平行四辺形状である点が共通する。
(ケ)キャップの頂部にクリップが接続されている点が共通する。

2)差異点
(イ)全体について,本願意匠は,キャップのクリップの形状が投与量窓の形状に合わせて形成されていることで,全体として尖った印象を与える一体感のある態様で構成されているのに対し,引用意匠は,キャップのクリップの形状がクリップ周辺及び投与量窓周辺の窪みの形状に合わせて形成されていることで,全体として丸みのある印象を与える一体感のある態様で構成されている点で差異が認められる。
(エ)投与量調整部の凸状リブについて,本願意匠の凸状リブは,幅広のリブと幅狭のリブを交互に,投与量調整部の作動ボタン側に少しの隙間を空け,正面視で少なくとも7か所設けられているのに対し,引用意匠の凸状リブは,投与量調整部の軸方向全長にわたって,同一の大きさで近位側が先細となるように形成され,正面視で少なくとも3か所設けられている点で差異が認められる。
(カ)投与量窓の周辺について,本願意匠の投与量窓周辺は取付枠で囲まれているのに対し,引用意匠の投与量窓周辺には取付枠が設けられていない点で差異が認められる。
(キ)投与量インジケーターについて,本願意匠の投与量インジケーターが投与量窓内に延伸しているのに対し,引用意匠の投与量インジケーターは,投与量窓内に延伸せず,投与量調整部を回転させることで,凸状リブと一体の形状になるように形成されている点で差異が認められる。
(ク)注射器本体について,本願意匠の注射器本体は,窪みのない滑らかな表面で形成されているのに対し,引用意匠の注射器本体は,投与量窓の周辺に扇状の窪みが形成されている点で差異が認められる。
(コ)クリップについて,本願意匠のクリップは,注射器本体と同様に窪みのない滑らかな表面で形成されているのに対し,引用意匠のクリップは,注射器本体の投与量窓周辺と同様に,扇状の窪みが形成されている点で差異が認められる。
(サ)クリップについて,本願意匠のクリップは,その側面が注射器本体と軸方向に平行であり,かつその先端部が投与量窓の取付枠の側面に平行な縁部を有しているのに対し,引用意匠のクリップは,その側面が周囲の扇状の窪みの形状に合わせて湾曲しており,かつその先端部の頂点である縁部が丸みを帯びた形状をしている点で差異が認められる。
(シ)キャップのテーパー部について,本願意匠のテーパー部は,クリップ側面と対照的な角度の大きい状態で形成されているのに対し,引用意匠のテーパー部は,クリップ側面に合わせるように角度の小さい状態で形成されている点で差異が認められる。

4.本願意匠と引用意匠との類否
まず,共通点(ア)は,基本的構成態様における共通点であり,この種のペン型の医療用注射器の分野においては,普通に知られた態様である。
また,共通点(ウ)において,投与量調整部が複数の凸状リブ付きの短円筒状をしているのは,ダイアル状の調整部を操作しやすいようにするためであり,共通点(オ)において,投与量窓が略平行四辺形状であるのは,傾斜して印字されている設定投与量を,投与量窓内の中央に表示させるためである。
したがって,共通点(ウ)及び(オ)は,この種の物品の機能を果たすために必要不可欠なものである。
また,共通点(ケ)は,ペン型の医療用注射器を使用する需要者にとって,見えにくく目立たないものであり,特に新規な特徴でもなく,局所的な共通点に過ぎないものである。
以上より,(ア),(ウ),(オ),(ケ)のいずれも両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きいとはいえず,それら共通点を総合しても,両意匠全体の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対して,差異点(イ),(エ),(カ),(キ),(ク),(コ),(サ),(シ)は,いずれも両意匠に異なる視覚的効果を生じさせており,特に差異点(イ)は看者の注意を強く惹くもので,その差異は両意匠の類否判断に重大な影響を与えるものである。
まず差異点(イ)は,差異点(ク),(コ),(サ),(シ)と相まって,美感の基調を決定する基本的構成態様における差異点となっている。
すなわち,本願意匠は,クリップの先端部の縁部と投与量窓の取付枠の側面が平行となっている上,平行なクリップ側面と角度の大きなキャップのテーパー部との間に視認上のギャップが生まれることにより,意匠全体として尖った印象を与える。
その一方,引用意匠は,湾曲したクリップ側面とキャップのテーパー部,クリップ周囲の扇状の窪みと投与量窓の周辺の扇状の窪みとが相まって,意匠全体として丸みのある印象の特徴を与えており,差異点(イ)は意匠全体の美感が異なるとの印象を与えるものである。
また,差異点(エ)は機能的ではなく装飾的な部分,差異点(カ),(キ),(ク)は需要者にとって使用時に目を引きやすい部分,差異点(コ),(サ)は携帯時にポケット等から露出する目につきやすい部分での差異であり,かつ,これらは創作の自由度のある部分の差異点でありますから,意匠の要部をなし,それぞれ異なる美観を与えるものである。
以上より,差異点(イ),(エ),(カ),(キ),(ク),(コ),(サ),(シ)に係る態様が相乗して生じる視覚的効果は,両意匠の共通の特徴による視覚的効果を圧するものであり,両意匠の類否判断に重大な影響を与えるものであり,したがって,両意匠は,意匠に係る物品が共通するものではあるが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであり,類似しないものである。

5.むすび
以上より,本願意匠は引用意匠とは類似しない意匠であり,意匠法第3条第1項第3号にも該当しないものと思量する。


第4 当審の判断

1.両意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「医療用注射器」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「医療用注入器」であるが,いずれも,キャップを取り付けた薬液を患者に注射するための医療機器であるから,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,共通する。

(2)両意匠の形態
両意匠の形態については,主として,以下の通りの共通点及び差異点がある。

(2-1)共通点
両意匠は,基本的構成態様として,
(ア)全体は,薬液カートリッジを取り付け,使用時に把持する本体(以下,「本体部」という。)とキャップから成り,キャップをした状態を,細長円筒状のペン型形状としている点,
(イ)全体の細長円筒状のペン型形状を,キャップ側の先端に向けて窄め,その先端からキャップよりやや長さの短いクリップを設けている点,
(ウ)本体部の端部に正面視で投薬量を表す正面視で略菱形の表示窓部を設け,本体部の先端に,略円柱状の投薬量を調節するダイアル(以下,「ダイアル部」という。)とダイアル部より径の小さい扁平な略円筒状の作動ボタンを設けた態様としている点,
において共通する。

両意匠は,具体的構成態様として,
(エ)ダイアル部を,側面視で扁平な略円柱状とし,略円柱状周面に凸条を多数配している点,
(オ)キャップをはずした状態において,本体部のキャップで覆われていた部分を,キャップの外径よりやや細い細長略円筒状として,薬液カートリッジを収納する部分(以下,「カートリッジホルダー部」という。)とし,その先端で径を細くし,注射針を取り付ける雄ねじを設けた態様としている点,
(カ)カートリッジホルダー部の略円筒状周面に,細長の略長方形状の開口部を2カ所設けている点,
において共通する。

(2-2)差異点
具体的構成態様として,
(A)本願意匠のキャップは,キャップ全体の約1/3の付近から先端に向けて円筒形状を窄め,先端でクリップの幅と同程度に直径が小さいのに対し,引用意匠のキャップは,キャップ全体の約1/4の付近から先端に向かって直径を緩やかに小さくし,先端でクリップの幅より大きい直径としている点,
(B)本願意匠のキャップは,凹凸のない表面としているのに対し,引用意匠は,クリップの下において,細長の略半楕円形状の窪みを有している点,
(C)本願意匠のクリップは,正面視で細長の略四角形状で先端を斜めな辺としているのに対し,引用意匠のキャップに設けられたクリップは,正面視で細長の略楕円形状としている点,
(D)本願意匠の本体部端部にある投薬量を表す略菱形の表示窓部の周囲に凹凸はないが,引用意匠の投薬量を表す表示窓部の周囲には,横に長い半円形状の窪みが設けられている点,
(E)本願意匠のダイアル部は,略円柱状周面に配した凸条を,細長の略直方体形状として正面視で7つ設け,幅の狭い凸条としているのに対し,引用意匠は,ダイアル部周面の凸条を,細長い半球形状として正面視で3つ設け,幅がやや広い凸条としている点,
(F)本願意匠のカートリッジホルダー部は,薬液量を量る目盛りがなく,2つの開口部を略四角形状としているのに対し,引用意匠のカートリッジホルダー部は,薬液量を量る目盛りがあり,2つの開口部を略四角形状の先端側を略半円形とし,開口部の縦中央に細い部材を設けている点,
(G)本願意匠は,色分けがないのに対し,引用意匠は,キャップ及び注入器本体のキャップで覆われない部分とダイアル部及び先端の作動ボタンを,それぞれ明度を変えて色分けをしている点,
において差異が認められる。

2.両意匠の類否判断
以上の共通点及び差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

(1)両意匠の意匠に係る物品の評価
両意匠は,意匠に係る物品が共通する。

(2)両意匠の形態についての共通点の評価
基本的構成態様に係る共通点については,意匠全体としてみた場合には,この種の医療用の注射器及び注入器の分野においては,ペン型形状とする共通点(ア)やキャップにクリップを設け,本体端部に表示窓部,ダイアル部及び作動ボタンを設けるとした共通点(イ)及び(ウ)は,ユーザーが携帯するペン型の注射器としては,ありふれた態様といえるもので,格別目立つ態様とはいえず,具体的構成態様に係るダイアル部に略円柱状周面に凸条を多数配したとする共通点(エ),カートリッジホルダー部の共通点(オ)及び(カ)についても,ありふれた態様であって,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。

(3)両意匠の形態についての差異点の評価
一方,差異点(A)のキャップ全体の窄め方の違いによる視覚的印象の差異は,この種の物品を保管若しくは携帯する際に,需要者がキャップの形態によって,使用するものを見分けることができるため,注目する部分であり,差異点(A)は両意匠の類否にある程度の影響を与えるものといえる。
次に,差異点(B)のキャップ表面の凹凸の有無は,引用意匠のキャップの窪みは,クリップの形状と相似させて,クリップの形態を強調する装飾としているが,本願意匠のキャップに凹凸がないことから,クリップの形態を強調するような装飾は見られず,この種の物品において,キャップに装飾がないものとあるものとでは,見る者に異なる印象を与え,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。

また,差異点(C)のクリップの形状の違いは,この種の物品を携帯する際に,クリップを利用すると,本体よりもクリップの形状が目立ち,その形状の違いが際立つことから,クリップの形態の差異は軽視することができず,両意匠の類否判断にある程度の影響を及ぼすものである。
そして,差異点(D)の投薬量を表す表示窓部周囲の凹凸の有無の差異は,差異点(B)と同様に,投薬量表示窓を強調する装飾がないものとあるものとでは,需要者に与える印象を異ならせるものであり,差異点(D)は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。

その他,差異点(G)の色分けの有無の差異は,この種の物品において,いずれも一般的な色分けであり,両意匠の類否判断に与える影響は小さいが,見る者に与える印象は異なるものである。

なお,差異点(E)のダイアル部周面の凸条の形態の差異は,本物品の使用時において,ユーザーがダイアル部を操作する際に,投薬量を表す表示窓部若しくはカートリッジホルダー部を確認しながら薬液量を調節するため,ダイアル部のみに注目するものとはいえず,差異点(F)のカートリッジホルダー部の開口部の差異は,細部でかつ目に付きにくい部位に係る差異であり,目盛りの有無もこの種の物品において,本願出願前からいずれも見受けられることから,本願にのみ表された特徴とはいえず,いずれの差異点も両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱にとどまる。

そうすると,キャップの凹凸の有無の差異点(B)及び本体部の表示窓部周囲の凹凸の有無の差異点(D)は,いずれも非常に目に付き易い部位に係るものであって,これらの差異点は,両意匠の形態についての需要者の類否判断に大きな影響を与えるものであり,キャップの形態の差異点(A)及びクリップの形態の差異点(C)や色分けの有無の差異点(G)が相俟った視覚的効果を考慮すると,差異点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。

(4)小括
以上の通り,両意匠は,意匠に係る物品,基本的構成態様が共通するものであるが,両意匠の具体的構成態様において,差異点が共通点を凌駕し,それらが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。


第4.むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとはいえないので,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-11-09 
出願番号 意願2015-4120(D2015-4120) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 前畑 さおり 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 山田 繁和
正田 毅
登録日 2016-12-09 
登録番号 意匠登録第1567278号(D1567278) 
代理人 特許業務法人アイ・ピー・ウィン 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ