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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 C3
管理番号 1322360 
審判番号 不服2016-8787
総通号数 205 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-01-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-06-14 
確定日 2016-11-29 
意匠に係る物品 携帯型洗濯機 
事件の表示 意願2015-1483「携帯型洗濯機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成27年(2015年)1月28日の意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「携帯型洗濯機」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである(別紙第1参照)。

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は意匠法第9条第1項に規定する最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとしたもので,引用された意匠は,意願2015-000330号(意匠登録第1539391号)の意匠(以下「引用意匠」という。)であって,意匠に係る物品を「携帯型洗濯機」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである。

3.手続の経緯
引用意匠が出願された日 平成27年 1月 9日
本願意匠が出願された日 平成27年 1月28日
引用意匠が設定登録された日 平成27年11月 6日
引用意匠の公報が発行された日 平成27年12月 7日
本願の拒絶査定が送達された日 平成28年 3月15日
本件審判が請求された日 平成28年 6月14日
本件に係る手続補正の提出された日 平成28年 8月25日

4.本件に係る補正について
上記,平成28年8月25日に提出された手続補正書によって,請求人は,願書に「本意匠の表示」の欄を追加し,引用意匠である意願2015-000330号(意匠登録第1539391号)の意匠を本願意匠の本意匠とする補正をした(別紙第2参照)。
これにより,本願意匠に対する原査定の拒絶の理由は解消しているものであるから,原査定の拒絶の理由によっては,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

5.当審の判断
本件においては,上記の手続補正による補正があったので,ここでは,本願意匠が意匠法第10条第1項の規定に該当する意匠か否かについて,つまり,本願意匠が本意匠と類似するか否かについて検討する。

(1)両意匠の対比
(1-1)意匠に係る物品について
本願意匠と本意匠(以下「両意匠」という。)を対比すると,意匠に係る物品は,共に「携帯型洗濯機」であって,一致している。

(1-2)形態について
まず,先に出願された本意匠の構成態様について検討する。
ア.本意匠の構成態様
本意匠は,
(ア)本体とキャップから成るもので,全体が略円柱状で,その縦横の長さの比を約4:1としたもので,
(イ)有底円筒状のキャップは透けていて,その縦横の長さの比を約1:1としたもので,
(ウ)本体は,ノズルヘッドと,そのノズルヘッドを取り巻くガードと,その根本に位置するノズルヘッド基台部(以下,単に「基台部」という。)から成る先端部,及び本体下端部,本体周面部,並びに本体上端部から成り,
(エ)先端部,本体下端部,本体周面部,及び本体上端部のそれぞれの高さの比を約6:1:18:2とし,
(オ)先端部を,本体中心に対して,正面側に片寄せて設け,
(カ)ノズルヘッドを,略倒立凸型の下端に略倒立椀型を垂下させた形とし,
(キ)そのノズルヘッドの周りに,ノズルヘッドより僅かに短い,やや裾広がりの透けた素材による円筒形のガードを,基台部の半分の高さまで差し込んで設けたもので,
(ク)基台部は,ガードがはまった下半部を扁平な円筒形で,上半部は正面側に偏る倒立円錐台形状とし,
(ケ)本体下端部を極扁平な円筒状とし,
(コ)本体周面部は円筒状とし,
(サ)有蓋で扁平な円筒状の本体上端部には,正面側の半分の部分に,上側から2分の1強の高さの平面視半円形の電池ケース蓋を設け,背面側に,球面状に僅かに膨出した平面視円形の電源スイッチを設けたものである。

イ.本願意匠の構成態様
これに対して,本願意匠は,以下の点を除き,本意匠とほぼ同一のものと認められる。
(ア)本体周面部のほぼ全面を,垂直方向の細溝による凹凸の筋模様としている点。
(イ)基台部,本体下端部及び本体上端部の色彩を暗調子にしている点。

ウ.両意匠の一致点及び共通点,並びに相違点
両意匠を対比すると,意匠に係る物品は,共に「携帯型洗濯機」で一致し,形態については,主として以下のとおりの共通点と相違点が認められる。

(ア)共通点
両意匠は「ア.本願意匠の構成態様」にて挙げた,(ア)ないし(サ)の点において,共通している。

(イ)相違点
一方,両意匠は,具体的な構成態様において,
A.本体周面部の模様につき,本願意匠は,本体周面部のほぼ全面に,垂直の細溝による凹凸の筋模様を施しているのに対して,本意匠は,無模様で平滑な円筒形状である点,
B.色彩につき,本願意匠は,基台部,本体下端部及び本体上端部の色彩を暗調子にしているのに対して,本意匠は,形状のみで色彩を表していない点,
で相違する。

(2)類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
両意匠において共通する,共通点(ア),同(ウ),同(オ),同(カ)及び同(キ)は,両意匠の形態全体の骨格を成す部分と,ノズルヘッドの形状,及びノズルヘッドを含む先端部の態様及び位置という物品として要部に関わる部分における共通点であって,これらの構成態様が相まって両意匠の基調を形成しているから,これらの共通点が相まって生ずる共通感は,両意匠の類否判断に多大な影響を与えているといえる。
次に,各部の高さの比である共通点(エ)によって生ずる共通感は,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えているといえる。
加えて,共通点(サ)は,本願意匠の使用時には,1番目に付く手前の部分であり,かつ,電池の交換や,電源スイッチのオン・オフの操作の際に,必ず目が行く部分であるから,この部分の共通感は,両意匠の類否判断に影響を与えるといえる。
そうすると,その他の共通点を挙げるまでもなく,これら共通点がもたらす印象によって,見る者に両意匠が類似すると認識させるものである。
これに対して,前記各相違点については,それらはいずれも微弱な相違にとどまるものであって,それぞれが類否判断に及ぼす影響は極めて僅かであるといえる。
すなわち,相違点(A)については,単なる筋模様であるから独創性はなく,その凹凸は本の僅かであり,ほぼ全面に施されているところから地紋と認識し,かつ,表層の模様であるから付加的と考えられ,全体観察における両意匠の類否判断においては,その影響力は微弱であり,両意匠の形態全体の骨格及び要部に生ずる共通感を覆すほどのものとはいえない。
相違点(B)については,色彩設計(色彩計画)を表していない本意匠に対して,本願意匠は,明暗調子のみの配色を表したものであるが,この配色に独創性が高いと判断することはできず,全体観察における両意匠の類否判断においては,その影響力は微弱であり,この配色をもって,共通点から醸し出される両意匠の共通感を覆すものとはいえない。
結局,本願意匠の本意匠に対する相違点は,全て類否判断に及ぼす影響が微弱なものであるから,これらによる視覚効果は,意匠全体の印象を変更するほどの強さはなく,それゆえ,両意匠はなお,意匠全体として,基本的な骨格形状とまとまり感を共通としているとの印象を,観者に与えているものであり,共通の美感を起こさせるので,両意匠は互いに類似する意匠であるというべきである。

6.結び
以上のとおり,本願意匠は本意匠に類似する意匠と認められ,なおかつ,本意匠の意匠権について専用実施権が設定されておらず,本意匠の意匠権者から,両意匠に係る出願人が同一の者と認められ,本願意匠の出願日がその本意匠の意匠登録出願の日以後であって,その本意匠の意匠公報の発行の日前であるので,意匠法第10条第1項の要件を充足していると認められるから,本願意匠は,本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができる。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-11-14 
出願番号 意願2015-1483(D2015-1483) 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (C3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 橘 崇生
刈間 宏信
登録日 2016-12-22 
登録番号 意匠登録第1568343号(D1568343) 
代理人 秋元 輝雄 
代理人 吉澤 大輔 
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