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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3 |
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管理番号 | 1322366 |
審判番号 | 不服2016-12795 |
総通号数 | 205 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-01-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-08-25 |
確定日 | 2016-11-29 |
意匠に係る物品 | 手摺用笠木の被覆材 |
事件の表示 | 意願2015- 20815「手摺用笠木の被覆材」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成27年(2015年)9月18日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「手摺用笠木の被覆材」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由および引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁が平成19年(2007年)9月20日に公開した公開特許公報記載,特開2007-239411(発明の名称,「手摺り」)の第8図及び第9図に示された手摺用被覆材の意匠(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照) 第3 当審の判断 1.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品について 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品について,本願意匠は,「手摺用笠木の被覆材」に係るものであり,引用意匠は「手摺用被覆材」に係るものであるが,いずれも主に建物の階段や廊下等に設けられる手摺において,手摺の笠木芯材に被せて取り付けて使用される被覆材であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 (2)形態について 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 なお,両意匠を同一方向から対比するため,引用意匠の側面図を本願意匠の正面図の向きを揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定し,対比する。 <共通点> (A)全体は,底面部の中央に長手方向にわたり細幅帯状の開口部(以下,「底面開口部」という。)を形成した,断面略倒C字形状の筒体で,長手方向に連続する長尺材からなる点, (B)底面開口部の縁部から内側に折り上げるように,笠木芯材と嵌合させるための係止部(以下,「係止部」という。)を形成し,その先端を内周面に向かう斜め方向に形成した点, が認められる。 <相違点> (ア)係止部の態様について,本願意匠は,底面開口部の縁部から内周面に至るまで連続的に楕円弧状に折り返し,先端が先細った,断面視略かぎ針のかぎ状に形成しているのに対して,引用意匠は,底面開口部の縁部先端を隅丸とし,底面開口部の鉛直方向の肉厚高さの位置から内周に向かう斜面を形成し,上辺を水平,頂点を直角にした断面視略台形の突起状に形成した点, (イ)被覆材内周面の係止部近傍の態様について,本願意匠は,係止部の先端の直下を過ぎた位置にある,係止部の根元を小円弧状にえぐった形状に形成しているのに対して,引用意匠は,内周面を係止部の先端の直下に止め,係止部の先端へ正面視鉛直状に形成した点, が認められる。 2.本願意匠と引用意匠の類否判断 以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 まず,両意匠は,いずれも手摺の笠木に用いる被覆材に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 次に,共通点(A)及び共通点(B)について,底面部の中央の長手方向に開口部を形成した,断面略倒C字形状の筒体において,底面開口部の縁部の内側に係止部を形成し,その係止部の先端を内周面に向かう斜め方向に形成した点は,引用意匠のほかにも多数見受けられ,手摺の笠木に用いる被覆材の構成態様としてありふれたものであって,本願意匠と引用意匠のみがもつ共通点とはいえず,両意匠の類否判断に与える影響は軽微なものにとどまるものである。 これに対して,相違点(ア)については,本願意匠は,係止部の態様について,開口部の縁部から内側へ巻くように楕円弧状に一体形成された,略かぎ針のかぎ状の視覚的印象を与える点が,下端に隅丸部があるものの,全体に角張った略台形状の視覚的印象を与える引用意匠とは大きく異なる点であり,両意匠に別異の印象を与えるものであって,相違点(ア)は,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。 また,相違点(イ)についても,係止部近傍の被覆材内周面の形状ではあるが,正面及び背面から視認可能な部位であり,芯材との接合に関わる形状であることから,需要者にとって,上記相違点とともに両意匠の類否判断に一定の影響を及ぼすものといえる。 そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠全体として見た場合,上記共通点を凌ぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものということができる。 したがって,両意匠は,意匠に係る物品について一致し,形態の基本的な形状においても共通点が存在するものの,相違点の印象が共通点の印象を凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2016-11-16 |
出願番号 | 意願2015-20815(D2015-20815) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 恭子 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
神谷 由紀 正田 毅 |
登録日 | 2016-12-09 |
登録番号 | 意匠登録第1566980号(D1566980) |
代理人 | 田中 勲 |
代理人 | 森貞 好昭 |
代理人 | 仲 晃一 |