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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 J1
管理番号 1323550 
審判番号 不服2016-12304
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-15 
確定日 2016-12-10 
意匠に係る物品 水準器 
事件の表示 意願2015- 7816「水準器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成27年(2015年)4月7日に出願された意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「水準器」であり,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,本願意匠は,「水準器」に係るものであるが,この種物品の分野において,この意匠の出願前より公然知られた意匠1に示すように,水準器を構成するケースの正面図において下辺部の基部より前記下辺部と平行状の上辺部方向に目盛を延設することはこの意匠の出願前より広く行われているものであり,また,目盛の形状として,この意匠の出願前より公然知られた意匠2に示す,正面視下方の目盛のように,「左から右方向に,1mm単位の目盛を見やすく,且つ測定しやすくするために10mm単位毎に,ただし5mm目盛を他の目盛よりも長目に形成し,1mm目盛を最も短く,2mm目盛以降順次長くして10mm目盛を最も長くした階段状目盛を連続して形成し,前記階段状目盛の中,10mm単位の各目盛における1mmおきの2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に,前記各mm目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を複数形成し,前記10mm目盛単位毎に「0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」の数字を表示する」ものは,この種測定機器の属する分野おいて出願前より公然知られたものと認められるから,本願意匠は,当業者であれば容易に創作することができたものであるというものである。

意匠1
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2013年 9月24日
受入日 特許庁意匠課受入2013年10月11日
掲載者 The Boeing Co.
表題 Boxed Aluminum Level :Whats New
掲載ページのアドレス http://www.boeingstore.com/Boxed-Aluminum-Leve l/dp/B00F3JAS2I?class=quickView&field_availabi lity=-1&field_browse=2363090011&field_product site_launch_date_utc=-1y&id=Boxed+Aluminum+Lev el&ie=UTF8&refin
に掲載された「水平器」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ25039144号)

意匠2
特許庁普及支援課が2014年 7月10日に受け入れた
大韓民国意匠商標公報 2014年 6月 3日14-17号
巻尺用テープ地(登録番号30-0746088)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH26423606号)


第3 請求人の主張の要点

これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。

1.本願意匠が登録されるべき理由
(1)本願意匠の要旨
本願意匠の水準器の構成態様は,下記のとおりである。
第1に,水準器を構成するケースの正面図において下辺部の基部より前記下辺部と平行状の上辺部方向に延設し,且つ左辺部より右辺部にかけて,10mm単位毎に,ただし5mm目盛を他の目盛よりも長目に形成し,1mm目盛を最も短く,2mm目盛以降順次長くして10mm目盛を最も長くした階段状目盛を連続して形成したこと。
第2に,前記階段状目盛の中,10mm単位の各目盛における1mmおきの2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に,前記各mm目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を複数形成したこと。
第3に,前記10mm目盛単位毎に「0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」の数字を表示すること。
である。

(2)引用意匠の要旨
(2-1)引用1(公知資料番号第HJ25039144号)の構成態様
引用1の水準器は,該水準器を構成するケースの正面図において,下辺部の基部より,前記下辺部と平行状の上辺部方向に目盛りを延設するものである。

(2-2)引用2(大韓民国意匠商標公報の巻尺用テープ地の意匠(HH26423606)の構成態様
引用2の巻尺用テープ地は,第1に,正面視下方の左から右方向に,10mm単位毎に,ただし5mm目盛を他の目盛よりも長目に形成し,1mm目盛を最も短く,2mm目盛以降順次長くして10mm目盛を最も長くした階段状目盛を連続して形成し,前記階段状目盛の中,10mm単位の各目盛における1mmおきの2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に,前記各mm目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を複数形成し,前記10mm目盛単位毎に「0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」の数字を表示するものである。
第2に,巻尺用テープ地は,正面視上方の左から右方向に,33m分の1宛に仕切った寸相当目盛と,寸相当に換算した1,2・・・の数字を順次付し,且つ前記寸相当目盛の長さを20等分して「5厘」及び「分」相当目盛に換算した厘及び分の目盛を付し,さらに「1,3,5,7,9,11,13,15,17,19」の5厘相当目盛の長さが,全部同じ長さにして形成され,他の「2,4,6,8,12,14,16,18」の分相当目盛の方は順次長くなる,いわゆる「階段状目盛」とし,前記5分相当目盛だけを,他の分相当目盛よりも長く形成せしめ,さらに5分相当目盛の頂部には,各目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛が付されていることである。
また,前記正面視下方のmm目盛と,正面視上方の寸相当目盛との中間部位に,左側方から右側方に1本の区切り線を付した構成態様である。


(3)先行周辺意匠の摘示
(3-1)本願意匠の出願前の先行周辺意匠として,意匠登録第1332453号意匠公報(参考資料の1)が開示されている。
前記参考資料の1の先行周辺意匠には,正面視下方の左から右方向にかけて測定目盛は一切形成されていない。さらに,正面図において,測定目盛は一切形成されていない。

(3-2)本願意匠の出願前の先行意匠として,意匠登録第1421496号意匠公報(参考資料の2)が開示されている。
前記参考資料の2の先行周辺意匠には,正面視下方の左から右方向にかけて測定目盛は一切形成されていない。また,正面図において,測定目盛は一切形成されていない。

(3-3)本願意匠の出願前の先行意匠として,意匠登録第1459690号(参考資料の3)が開示されている。
前記参考資料の3には,正面視下方の左から右方向にかけて測定目盛は一切形成されていない。さらに,正面図において,測定目盛は一切形成されていない。

(4)本願意匠と引用文献との対比
(4-1)本願意匠と引用意匠1の共通点
(ア)両者の物品は共通である。すなわち,本願意匠が水準器であるのに対し,引用意匠1も水平器であるので,物品は共通である。
(イ)両者の目盛は「mm目盛」である点において共通である。
(ウ)両者の目盛が付されている部位は共通である。すなわち,本願意匠の目盛も引用1の目盛も正面視下方の左から右方向にかけて形成されている点において共通である。

(4-2)本願意匠と引用意匠1との異なる点
(ア)第1に,本願意匠の部分意匠に関する測定目盛は,10mm単位毎にただし5mm目盛を他の目盛よりも長目に形成し,1mm目盛を最も短く,2mm目盛以降順次長くして10mm目盛を最も長くすると共に,前記10mm単位の各目盛中,2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に,前記各目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を複数形成した階段状目盛を連続して形成せしめた点であるのに対し,引用意匠1の測定目盛は,1mm単位の長さが全部同じ長さで形成されている点において相違する。
(イ)第2に,本願意匠の階段状目盛の10mm目盛の単位毎に,「0から10」までの数字が付されているのに対し,引用意匠1は,10mm目盛の単位毎に「1から20」までの数字が表示されている点において相違する。

(4-3)本願意匠と引用意匠2との異なる点
(ア)第1に,本願意匠の測定目盛は,10mm単位毎にただし5mm目盛を他の目盛よりも長目に形成し,1mm目盛を最も短く,2mm目盛以降順次長くして10mm目盛を最も長くすると共に,前記10mm単位の各目盛中,2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に,前記各目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を複数形成した階段状目盛を連続して形成せしめた点であるのに対し,引用意匠2の測定目盛は,巻尺用テープ地の正面図において,下辺部の基部より前記下辺部と平行状の上辺部方向に延設する左辺部より右辺部にかけて,1mm目盛を最も短く,2mm目盛以降順次長くして10mm目盛を最も長く,且つ10mm目盛は中央の仕切線に接続せしめ形成し,5mm目盛は5mm目盛以外の1mm目盛から9mm目盛よりも長くすると共に,前記10mm単位の各目盛中,2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に,前記各目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を複数形成した階段状目盛を連側して形成し,前記階段状目盛を構成する10mm目盛の左側方向に1,2,3,4,5・・・の数字を付したこと,さらに,テープ地の正面図において上辺部の基部より前記上辺部と平行状の下方部方向に延設する33m分の寸,分,5厘相当目盛の中,5厘相当目盛の長さを同一とし,且つ1分相当目盛から1寸相当目盛を最も長く,5分相当目盛を4分相当目盛と6分相当目盛よりも長く,且つ5分相当目盛の頂部に5厘相当目盛及び各分相当目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を形成した階段状目盛を連続して形成し,寸相当目盛は,中央の仕切線に接続せしめ形成し,各寸相当目盛の右側方部に1,2,3,4,5・・・の数字を表示せしめること,
以上のように引用意匠2の形態は,巻尺用テープ地において,中央の仕切線を境界とし,この境界線の上段部には33m分の寸相当目盛と分相当目盛と5厘相当目盛の階段状目盛を複数形成し,前記中央の仕切線の下段部には10mm目盛が階段状目盛となって複数形成された「mm目盛と寸相当目盛を同時に測定可能な複合目盛形態」と云う特殊な形態である点において両者の形態は著しく相違している。
(イ)第2に,本願意匠の物品が水準器であるのに対し,引用意匠2の物品が巻尺用テープ地である点において,物品が著しく相違している。

(5)本願意匠と引用意匠1,2との類否
(5-1)本願意匠が引用意匠1と類似しない理由
(ア)本願意匠は,正面図において,下辺部の基部より下辺部と平行状の上辺部方向に延設する左辺部より右辺部にかけて,10mm単位毎に,ただし5mm目盛を他の目盛よりも長目に形成し,1mm目盛を最も短く,2mm目盛以降順次長くして10mm目盛を最も長くした階段状目盛を連続して形成し,前記階段状目盛の中,10mm単位の各目盛における1mmおきの2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に,前記各mm目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を複数形成し,前記10mm目盛単位毎に「0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」の数字を表示する」と云う形態を特長としているのに対し,引用意匠1の水平器の1mm単位の測定目盛は,全部同じ長さにて形成されていると共に,10mm目盛単位毎に,1・・・20までの数字が表示され,さらにmm測定目盛は,階段状目盛でもなく且つ2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に各mm測定目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛も形成されていない。
(イ)従って,本願意匠の水準器における部分意匠の特長である2,4,6,8の各mm目盛の頂部に各mm目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を有する階段状目盛が複数形成された形態は,階段状目盛と円形に塗りつぶした円形状の測定目盛を全く有していない引用意匠1の水平器を凌駕するものであるので,両者は非類似である。

(5-2)本願意匠が引用意匠2と類似しない理由
(ア)本願意匠は,正面図において,下辺部の基部より下辺部と平行状の上辺部方向に延設する左辺部より右辺部にかけて,10mm単位毎に,ただし5mm目盛を他の目盛よりも長目に形成し,1mm目盛を最も短く,2mm目盛以降順次長くして10mm目盛を最も長くした階段状目盛を連続して形成し,前記階段状目盛の中,10mm単位の各目盛における1mmおきの2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に,前記各mm目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を複数形成し,前記10mm目盛単位毎に「0,1,2,3,4,5,6,7,8,9,10」の数字を表示する」と云う形態を特長としているのに対し,引用意匠2の巻尺用テープ地は,正面図において,下辺部の基部より前記下辺部と平行状の上辺部方向に延設する左辺部より右辺部にかけて,1mm目盛を最も短く,2mm目盛以降順次長くして10mm目盛を最も長く,且つ10mm目盛は中央の仕切線に接続せしめ形成し,目盛は5mm目盛以外の1mm目盛から9mm目盛よりも長くすると共に,前記10mm単位の各目盛中,2mm目盛,4mm目盛,6mm目盛及び8mm目盛の夫々の頂部に,前記各目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を複数形成した階段状目盛を連側して形成し,前記階段状目盛を構成する10mm目盛の左側方向に1,2,3,4,5・・・の数字を付したこと,
さらに,テープ地の正面図において上辺部の基部より前記上辺部と平行状の下方部方向に延設する33m分の寸,分,5厘相当目盛の中,5厘相当目盛の長さを同一とし,且つ1分相当目盛から1寸相当目盛を最も長く,5分相当目盛を4分相当目盛と6分相当目盛よりも長く,且つ5分相当目盛の頂部に5厘相当目盛及び各分相当目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状目盛を形成した階段状目盛を連続して形成し,寸相当目盛は,中央の仕切線に接続せしめ形成し,各寸相当目盛の右側方部に1,2,3,4,5・・・の数字を表示せしめること,
以上のように引用意匠2の形態は,巻尺用テープ地において,中央の仕切線を境界とし,この境界線の上段部には33m分の寸相当目盛と分相当目盛と5厘相当目盛の階段状目盛を複数形成し,前記中央の仕切線の下段部には10mm目盛が階段状目盛となって複数形成された「mm目盛と寸相当目盛を同時に測定可能な複合目盛形態」と云う特殊な形態である点において両者の形態は著しく相違している。
(イ)従って,本願意匠の水準器における部分意匠の特長である2,4,6,8の各mm目盛の頂部に各mm目盛の幅員よりも大きい径の円形に塗りつぶした円形状測定目盛を有する階段状目盛が複数形成された形態は,引用意匠2の一部分である仕切線の下段部に形成された10mm目盛の階段状目盛が存在していたとしても,物品(巻尺と水準器)が非類似であるので,容易に意匠の創作ができると認められるとする意匠法第3条第2項の規定は適用されるべきではない。

2.むすび
以上のとおり本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められないので,意匠法第3条第2項の規定に該当しない。
仍って,拒絶すべき理由がなく,原査定を取消し本願意匠は登録すべきものである。


第4 当審の判断

請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.意匠の認定
(1)本願意匠
1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,水平面からの傾斜を検定する「水準器」である。

2)本願部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分は,水準器に設けた目盛であって,長さを測ることができるようにしており,扁平な略横長直方体形状の水準器本体の正面の底辺部に,左右両端全幅を使うことなく右寄りに目盛を配置し,100mm分の長さを計測できるように,底辺に対して垂直な縦線を1mm単位に100本設けて目盛とした部分である。

3)本願部分の形態
本願部分の形態は,水準器本体の正面の底辺部に設けた目盛であり,水平な本体の正面の底辺に対し,垂直な縦線を等間隔に1mm単位毎に100mmまで,100本設けて目盛線とし,0から10mm毎に11本の長目を100mmまで配置し,長さの1桁目が5mmとなる10本の目を10mmの長目よりやや短い長目としたものである。
また,長さの1桁目が1mmとなる目を最も短くし,2mmから4mm,6mmから9mmの目を,順次長くしてそれぞれの偶数の目の目盛線の頂点に縦線の幅よりもやや大きい径の塗りつぶした円形を設けて階段状の目盛とし,0から10mm目盛単位毎に0から10の数字を10mmの長目の左側に配した態様である。

(2)意匠1(別紙第2参照)
意匠1は,BOEINGSTOREのホームページに掲載された水平器の意匠であり,本願部分に相当する部分は,水平器本体正面の底辺の左端から右端まで配された目盛の部分である。
その態様は,水平な本体の正面の底辺に対し,垂直な縦線を等間隔に1mm単位毎に200mmまで,約200本設けて目盛線とし,10mm目から10mm毎に19本の長目を190mmまで配置し,長さの1桁目が5mmとなる10本の目を10mmの長目よりやや短い長目とし,長さの1桁目が1mmから4mm,6mmから9mmの目を,同じ長さで5mmの目より短い目盛としており,0から10mm目盛単位毎に1から19の数字を10mmの長目の左側に配したものである。

(3)意匠2(別紙第3参照)
意匠2は,大韓民国意匠商標公報2014年6月3日14-17号に掲載された巻尺用テープ地(登録番号30-0746088)の意匠であり,本願部分に相当する部分は,巻尺用テープ地に表されている目盛のうち,巻尺用テープ地の横中央やや下にある水平線の下に位置する目盛の部分である。
その態様は,水平な巻尺用テープ地の底辺に対し,垂直な縦線を等間隔に1mm単位毎に目盛線を設け,0から10mm毎に長目を配してその頂点を巻尺用テープ地の横中央やや下にある水平線に接続し,10mm毎に略長方形を構成して横につなげ,長さの1桁目が5mmとなる目を他の目よりも長目としている。
また,長さの1桁目が1mmとなる目を最も短くし,2mmから4mm,6mmから9mmの目を,順次長くしてそれぞれの偶数の目の目盛線の頂点に縦線の幅よりもやや大きい径の塗りつぶした円形を設けて階段状の目盛とし,0から10mm目盛単位毎に1から昇順に自然数を10mmの長目の左側に配したものである。

2.創作非容易性の判断
本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か,すなわち,本願意匠が,この意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に創作することができたものであるか否かについて,請求人の主張を踏まえて,以下,検討する。

まず,本願部分のような目盛を,水準器の正面の底辺に設けることは,意匠1に見られるように,本願の出願前より公然と知られたものであって,本願出願前からすでに見られる手法であるといえる。
そして,長さを測る目盛として,等間隔に1mm単位毎に目盛線を設け,0から10mm毎の目を最も長くし,長さの1桁目が5mmとなる目を10mm毎の目よりもやや短い長目とすることや,長さの1桁目が1mmとなる目を最も短くし,2mmから4mm,6mmから9mmの目を,順次長くしてそれぞれの偶数の目の目盛線の頂点に縦線の幅よりもやや大きい径の塗りつぶした円形を設けて階段状の目盛とし,0から10mm目盛単位毎に1から昇順に自然数を10mmの長目の左上に配したものも,意匠2に見られるように本願の出願前に既に公然知られた態様である。

しかし,本願部分の機能,並びに位置,大きさ及び範囲について検討すると,本願部分が,水準器の正面の底辺において,気泡管の下あたりから右端の手前までに100mmの目盛を配し,水準器の左右両端全幅を使うことなく100mm分の長さを計測できる部分としているのに対し,意匠1は水準器の正面の底辺において,左端から右端までを計測の対象とするように目盛が配されているため,左端から右端までが全て水平としていることによって計測ができる部分としているため,本願部分とは機能,並びに位置,大きさ及び範囲が異なるものである。

次に,目盛の形態についても,意匠2は,0から10mm毎に長目を配置し,長さの1桁目が5mmとなる10本の目を10mmの長目よりやや短い長目としたものであって,長さの1桁目が5mmとなる目を他の目よりも長目とし,長さの1桁目が1mmとなる目を最も短く,2mmから4mm,6mmから9mmの目を,順次長くしてそれぞれの偶数の目の目盛線の頂点に縦線の幅よりもやや大きい径の塗りつぶした円形を設けて階段状の目盛とし,0から10mm目盛単位毎に1から昇順に自然数を10mmの長目の左側に配したものではあるものの,0から10mm毎に長目を配してその頂点を巻尺用テープ地の横中央やや下にある水平線に接続し,10mm毎に略長方形を構成して横につなげたものとしていることから,本願部分とは異なる形態である。

そして,これらの相違は,水準器の分野における通常の知識に基づいて創作を加えたとしても,本願部分の形態とすることは,容易にできたものとはいえず,当業者であれば容易に着想できたということはできない。

また,本願部分は,水準器本体の正面の底辺に目盛が配されていることにより,水平か否かを検知しながら,物または場所の長さを計測できるものであるのに対し,意匠2の巻尺用テープ地は物または場所の長さを計測できるが,水平を検知できるものではなく,さらには,意匠2の巻尺用テープ地の横中央やや下にある水平線を含まない目盛部分を本願部分に相当する部分であるとしても,意匠2の巻尺用テープ地の2つある目盛のうちの片方の目盛を,水準器の目盛として配置したこととなり,本願意匠とは,機能や用途が異なるほか,位置や範囲も異なるため,水準器の分野における通常の知識に基づいて,容易に創作できたということはできない。

なお,拒絶査定で示された気泡管を内蔵した巻尺(例えば意匠登録第1060175号の意匠(別紙第4参照))が本願出願前にあったとしても,この巻尺は,巻尺本体をおいた地点のみの水平を検知できるが,巻尺本体をおいた場所の長さを測ることができないものであるため,本願意匠と機能や用途が異なり,水準器の分野における通常の知識に基づいて,容易に着想できるものとはいえない。

そうすると,本願部分は,当業者であれば容易に着想できたということはできないものであるから,意匠全体として,本願意匠は,容易に創作することができたということはできない。


第5.むすび

以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものに該当するとはいえないので,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-11-21 
出願番号 意願2015-7816(D2015-7816) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (J1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 大峰 勝士 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 正田 毅
山田 繁和
登録日 2017-01-20 
登録番号 意匠登録第1569548号(D1569548) 
代理人 庄司 修 
代理人 庄司 建治 
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