• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E3
管理番号 1323558 
審判番号 不服2016-13766
総通号数 206 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-02-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-14 
確定日 2017-01-10 
意匠に係る物品 テニスラケットフレーム 
事件の表示 意願2015- 12354「テニスラケットフレーム」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)6月3日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)の意匠に係る物品は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,「テニスラケットフレーム」であり,本願意匠の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界を示すためのみに引いた線である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠は,下記のとおりのものである。
「(引用意匠)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第421639号
(意匠に係る物品,テニスラケツトダイワク)の意匠(本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分)」である。(別紙第2参照)(以下,上記意匠を「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」といい,引用意匠のうち,本願意匠部分に相当する部分を「引用意匠部分」という。)

第3 本願意匠と引用意匠の対比
1.意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,「テニスラケットフレーム」と「テニスラケツト台枠」であって,共にテニスラケット用の台枠であるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
2.用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
本願意匠部分は,「テニスラケットフレーム」の握り部から球打面へと至る柄部(シャフト部)が球打面(フェイス面)方向に二股に分岐し,フェイス面周囲のフレームに合わさって形成された略穴あき三角形板状部の各頂点方向に延びる3本の肢フレーム部を任意に平面視で縦方向に周面を一周する一点鎖線によって,意匠登録を受けようとする部分として区画した,いわゆる,テニスラケットフレームのスロート部分(フェイス面直下の柄部へと至る部分)であり,引用意匠部分も「テニスラケツト台枠」のシャフト部がフェイス面方向に二股に分岐し,フェイス面周囲のフレームに合わさって形成された略穴あき三角形板状部であって,いわゆる,テニスラケットフレームのスロート部分として対比できる部分であるから,本願意匠部分と引用意匠部分(以下,「両意匠部分」という。)は,物品全体の中での用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
3.形態
両意匠部分の形態を対比すると,主として,以下の共通点と相違点が認められる。なお,対比のため,引用意匠の図面における正面,平面等の向きを,本願意匠にあてはめることとする。
(ア)共通点
基本的構成態様
(A)全体形状は,シャフト部がフェイス方向に二股に分岐し,フェイス面周囲のフレームに合わさって形成された略穴あき三角形板状であって,三辺が内方に湾曲した略棒状の肢フレームからなる点。
(B)正面視で,両意匠部分の穴部は,略逆正三角形状である点。
(イ)相違点
具体的構成態様
(a)本願意匠部分は,各肢フレーム部内側角部に面取りを施し,穴部のシャフト方向隅部にフェイス面側は段状に落ち込んで,シャフト方向に向けて徐々にシャフト面と一致するような略三角状の傾斜面を形成しているのに対し,引用意匠部分は,各肢フレーム部内側角部に面取り部も穴部のシャフト方向隅部に段状の傾斜面も形成していない点。
(b)正面視において,本願意匠部分の穴部は,シャフト側隅部の下端は直線状に切断されたような態様で,他の隅部は,隅丸状であり,横方向にフェイス面側の肢フレーム1本の幅の約2倍幅の大きさであるのに対し、引用意匠部分の穴部は,全ての隅部が隅丸状で,横方向にフェイス面側の肢フレーム1本の幅の約3.5倍幅のものである点。
(c)本願意匠部分はフレーム部に突出部を設けていないものであるのに対し,引用意匠部分はフェイス面フレーム部下辺に2つ,左右肢フレーム部外側辺に1つずつ突出した略短円形状突出部を設けている点。
(d)本願意匠部分は,全体に濃淡を施していないのに対し,引用意匠部分は全体が暗調子である点。
第4 本願意匠と引用意匠の類否
以上の「意匠に係る物品」と「用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲」と「形態」の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
1.意匠に係る物品の評価
上記,第3の1.のとおり,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。
意匠に係る物品は,類否判断における前提(物品の形態(意匠)の類否判断をすることから)としては大きいものであるが,同様の意匠に係る物品(本願意匠においては「テニスラケットフレーム」)であるものは,あまたあり,この共通点が,類否判断に与える影響は,小さいものである。
2.用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲の評価
上記,第3の2.のとおり,両意匠部分は,物品全体の中での用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
この種ラケットフレームの物品分野において,テニスラケットフレームのスロート部分として対比可能な,用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲であるものは,ごく普通であって,この共通点が,類否判断に与える影響は,小さいものである。
3.両意匠部分の形態の評価
(1)両意匠部分の形態の共通点の評価
共通点(A)は,全体形状は,テニスラケットフレームのいわゆるスロート部分であって,三辺が内方に湾曲した略棒状の肢フレームからなる略穴あき三角形板状であるというものであるが,このような態様は,テニスラケットフレームの物品分野において,ごく普通に見受けられる基本的構成態様であるから,この共通点が類否判断に与える影響は小さい。共通点(B)についても,略逆正三角形状の穴部は,本願の属するテニスラケットフレームの物品分野において,よく見受けられるものであるから,この共通点が類否判断に与える影響は小さい。
よって,共通点(A)及び共通点(B)の両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,共通点(A)と共通点(B)も共に小さいものであり,共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
(2)両意匠部分の形態の相違点の評価
これに対して,相違点(a)は、各肢フレーム内側の面取り部の有無と,穴部シャフト方向隅部の段状の傾斜面の有無の相違であるが,この種テニスラケットフレームの物品分野において,フェイス面の直下でラケット全体の略中央にあることから,スロート部は需要者の注目するところであり,面取り部の有無や隅部の段状の傾斜面の有無については,スロート部の穴部周縁の具体的な態様の相違であって,視覚的に異なる印象を与えるものであり,この相違点が類否判断に与える影響は大きい。
相違点(b)は,正面視においてのスロート部の穴部の態様の相違であって,下端隅部が隅丸状か直線状かについては,部分的な相違に留まるとしても,その横方向の幅から見た大きさの相違は、一見して看取できる顕著な相違であって,この相違点が類否判断に与える影響は大きい。
相違点(c)は,フレーム部の突出部の有無の相違であり,フレーム部に関わる具体的態様の相違点ではあるが,ごく小さな突出部の有無であるから,類否判断に与える影響は一定程度に留まるものである。
相違点(d)については,全体に暗調子を施したものも,施さないものもこの種テニスラケットフレームの物品分野において,ごく普通の態様であるから,この相違点の類否判断に与える影響は小さい。
(3)両意匠部分の形態の総合評価
そうすると,共通点(A)及び共通点(B)の両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,共に小さく,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し,相違点(a)及び相違点(b)については,共に類否判断に与える影響は大きく,相違点(c)が類否判断に与える影響が一定程度に留まるものであって,相違点(d)が類否判断に与える影響が小さいとしても,それら相違点(a)ないし(d)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると,相違点は,共通点を凌駕して,両意匠部分を別異のものと印象付けるものである。
4.小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通するが,これらの共通点が類否判断に与える影響は小さく,形態においては,共通点が未だ両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,両意匠部分を,全体として別異のものと印象付けるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-12-27 
出願番号 意願2015-12354(D2015-12354) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (E3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 八重田 季江桐野 あい 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 刈間 宏信
渡邉 久美
登録日 2017-01-27 
登録番号 意匠登録第1570460号(D1570460) 
代理人 青木 宏義 
代理人 天田 昌行 
代理人 北川 雅章 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ