• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1324912 
審判番号 不服2016-14521
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-28 
確定日 2017-01-04 
意匠に係る物品 電気コネクタ用ハウジング 
事件の表示 意願2015- 13249「電気コネクタ用ハウジング」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)6月15日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は「電気コネクタ用ハウジング」であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似する意匠)に該当するため,同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は,本願の出願日よりも前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載され,又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,下記の意匠である。

【引用意匠】(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1347386号
(意匠に係る物品,電気コネクタ)の意匠

第3 当審の判断
1 両意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品はメス端子が収容された「電気コネクタ用ハウジング」であり,引用意匠に係る物品は,ハウジングを備えたメス型の「電気コネクタ」であるから,両意匠の意匠に係る物品は,共通するものと認められる。

(2)両意匠の形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
<共通点>
(A)全体を,略横長直方体状のハウジング本体部と,背面側に斜めに突出して設けられた略横長角筒状のレバー部からなる,電気コネクタのハウジングとした点
(B)ハウジング本体部の正面から背面に貫通する多数の略細長角筒状貫通孔を碁盤目状に縦略3段設けて,端子収容部とした点
(C)レバー部を,略横長長方形板状の上面板及び下面板と,上面板と下面板とを背面側右端部において鉛直方向に連結する中空略口の字板状の連結板より構成し,連結板の背面の上部及び下部に,鉛直方向の複数の溝部を並行に並べて設けた点
(D)ハウジング本体部の上面及び下面の正面側中央やや左よりの位置に断面略L字状の小さな係止部を設け,該係止部と,レバー部の上面板及び下面板の左端部正面側に設けた突起部とを嵌合した点
(E)ハウジング本体部の上面及び下面の中央やや背面よりの位置に,略偏平円柱状のガイド軸を左右方向に並べて二つ設け,該ガイド軸と,レバー部の上面板及び下面板に設けた湾曲長円状の大小のガイド孔とを嵌合した点
(F)レバー部の上面板及び下面板の左端付近に略偏平隅丸三角柱状の凸部を設けた点

<相違点>
(ア)ハウジング本体部に設けられた端子収容部の正面視における配置に関し,本願意匠では,上段左部に略正方形状の大きな端子収納部を横に7個並べて設け,その右に略縦長長方形状の小さな貫通孔を設け,その右の上段中央部に略正方形状の大きな端子収納部を横に6個並べて設け,その右に略縦長長方形状の小さな貫通孔を設け,その右の上段右部に略正方形状の大きな端子収納部を横に7個並べて設け,中段の左右にそれぞれ略横長長方形状の貫通孔を設け,下段左部及び下段右部にそれぞれ略正方形状の大きな端子収納部を4個ずつ横に並べて設け,中央中段及び下段の左部に略縦長長方形状の小さな端子収容部を上下2段として横に4個ずつ並べて設け,その右に縦長長方形状の貫通孔を設け,その右の中央中段及び下段の中央部に略縦長長方形状の小さな端子収容部を上下2段として横に9個ずつ並べて設け,その右に縦長長方形状の貫通孔を設け,その右の中央中段及び下段の右部に略縦長長方形状の小さな端子収容部を上下2段として横に4個ずつ並べて設けているのに対し,引用意匠では,中央左及び中央右に縦長の余地部及び溝部を設けて全体を3つの領域に分割して左側領域,中央領域及び右側領域とし,左側領域上段に略正方形状の大きな端子収納部を横に6個並べて設け,その下の左側領域中段及び下段に略縦長長方形状の小さな端子収容部を上下2段として横に9個ずつ並べて設け,中央領域上段に略正方形状の大きな端子収納部を横に4個並べて設け,その下の中央領域中段及び下段に略縦長長方形状の小さな端子収容部を上下2段として横に6個ずつ並べて設け,右側領域上段に略正方形状の大きな端子収納部を横に6個並べて設け,その下の右側領域中段及び下段に略縦長長方形状の小さな端子収容部を上下2段として横に9個ずつ並べて設けている点
(イ)ハウジング本体部の上面中央部の形状に関し,本願意匠では,係止部を除いて全体を略平坦状に形成しているのに対し,引用意匠では,正面側中央左の略3分の1の位置に平面視略凸字状のカバー取付凸部を設け,中央右略3分の1の位置に縦長の溝部を設け,その左の正面側に平面視略正方形状の第2の係止部を設け,溝部の右の正面側に平面視略凸字状のカバー取付凸部を設けている点
(ウ)ハウジング本体部の右側面の形状に関し,本願意匠では,右側面正面側に略縦長直方体状の凸部を設け,その上下に横長の溝部を設けているのに対し,引用意匠では,右側面正面側及び背面側に横筋状の凹凸を上下方向に並べて設けている点
(エ)ハウジング本体部の左端部の形状に関し,本願意匠では,上面及び下面の左端部全幅にわたって突起部を設けているのに対し,引用意匠では,正面側にのみ突起部を設けている点
(オ)レバー部の上面板及び下面板の形状に関し,本願意匠では,平面視における上面板の下端が右に行くにしたがって円弧曲線状に緩やかに背面側に湾曲し,右端付近に下方に突出した略縦長長方形状の突出部を並べて2個設け,下面板も略同様に形成しているのに対し,引用意匠では,平面視における上面板の下端が右に行くにしたがって略直線状に背面側に傾斜し,中央やや右寄りの位置において背面側に直線状に折曲し,その右に略直線状に背面側に傾斜した短い傾斜部と略直線状の水平部を形成し,中央左略3分の1の位置に下方に短く突出した突出部を設け,中央やや右寄りの背面側に直線状に折曲した部分に,右側に突出する略横長長方形状の突出部を設け,下面板も略同様に形成している点
(カ)本願意匠では,連結板の正面側に係止部材を1個設けているのに対し,引用意匠では,連結板の正面側に係止部材を2個設けている点
(キ)ハウジング本体部の形状に関し,本願意匠では正面視におけるハウジング本体部の縦横比が約1:6.8であるのに対し,引用意匠では同比が約1:6であり,本願意匠の方が引用意匠よりも横長である点
(ク)レバー部の位置に関し,本願意匠では,ハウジング本体部の左から約4分の1の位置にレバー部の左端が位置するのに対し,引用意匠では,ハウジング本体部の左から約3分の1の位置にレバー部の左端が位置する点

2 両意匠の類否判断
上記1(1)のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,形態については以下のとおりである。
(1)共通点について
ア 共通点(A)は,下記参考意匠1及び2に見られるように,当該物品分野において公然知られた態様であって,需要者に対して新規な印象を与えるものではないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ 共通点(B)は,当該物品分野において端子口として特徴のない態様に過ぎないものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
ウ 共通点(C)に関し,レバー部を上面板,下面板及び連結板により構成したものは下記参考意匠下記参考意匠1及び2に見られるように,当該物品分野において公然知られた態様であって,需要者に対して新規な印象を与えるものではなく,また,連結板を中空略口の字板状とすることや,連結板の背面の上部及び下部に鉛直方向の複数の溝部を並行に並べて設けることも,この種の回動式のレバーにおいて普通に見られる態様に過ぎないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
エ 共通点(D)及び(E)は,この種の回動式のレバーにおいて普通に見られる態様に過ぎないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
オ 共通点(F)は,ごく細部の形状に係るものに過ぎないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
カ 上記アないしオのとおり,共通点(A)ないし(F)が両意匠の類否判断に与える影響はいずれも小さく,また,共通点全体があいまって生じさせる美感を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

【参考意匠1】(別紙第3参照)
特許庁が平成17年(2005年)5月12日に発行した公開特許公報
特開2005-122942号
図16及び関連する記載に示された「レバー嵌合式コネクタ」の意匠

【参考意匠2】(別紙第4参照)
特許庁が平成19年(2007年)9月13日に発行した公開特許公報
特開2007-234475号
図9及び関連する記載に示された「レバー式コネクタ」の意匠

(2)相違点について
ア 相違点(ア)及び(イ)により,引用意匠は全体が3分割された印象を与えるのに対し,本願意匠は一体の平板からなる印象を与えるものである。したがって,相違点(ア)及び(イ)が相まって両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
イ 相違点(イ)ないし(オ)により,引用意匠は全体として凹凸が多く複雑であるとの印象を与えるものであるのに対し,本願意匠は全体としてすっきりとしたシンプルな印象を与えるものである。したがって,相違点(イ)ないし(オ)が相まって両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
ウ 相違点(カ)ないし(ク)により,引用意匠は全体としてずんぐりとした印象を与えるのに対し,本願意匠はスリムな印象を与えるものである。したがって,相違点(カ)ないし(ク)が相まって両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
エ 上記アないしウのとおり,相違点(ア)及び(イ)が相まって両意匠の類否判断に与える影響,相違点(イ)ないし(オ)が相まって両意匠の類否判断に与える影響,及び相違点(カ)ないし(ク)が相まって両意匠の類否判断に与える影響は,いずれも大きい。

(3)小括
上記1(1)のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通するものの,両意匠部分の形態においては,上記2(1)カのとおり,共通点が両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し,上記2(2)エのとおり,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕(りょうが)し,両意匠は,視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-12-12 
出願番号 意願2015-13249(D2015-13249) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 江塚 尚弘
須藤 竜也
登録日 2017-02-03 
登録番号 意匠登録第1571052号(D1571052) 
代理人 特許業務法人栄光特許事務所 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ