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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1324917 
審判番号 不服2016-12195
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-10 
確定日 2017-01-10 
意匠に係る物品 発光ダイオード電球 
事件の表示 意願2015- 11434「発光ダイオード電球」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)5月25日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「発光ダイオード電球」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて,両意匠という。)は,特許庁が平成9(1997)年12月22日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第999296号「蛍光ランプ」の意匠であって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「発光ダイオード電球」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「蛍光ランプ」であって,両意匠の意匠に係る物品は,発光ダイオードによる発光であるか,蛍光管による発光であるかの点で相違するが,ともに発光体を内蔵し,グローブ越しに照光する照明器具の電球にかかるものであるから両意匠にかかる物品は共通する。
(2)形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。
なお,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。
(2-1)共通点
基本的構成態様として,
(A)全体は,透光性部材からなる略半球状のランプグローブ部(以下,「グローブ部」という。)と略逆円錐台形状のヒートシンク部(以下,「ヒートシンク部」という。)及び略円柱形状のソケット部(以下,「ソケット部」という。)からなる構成とした点,
具体的構成態様として,
(B)全体の縦横比率が約3.5:2である点,
(C)ヒートシンク部についてグローブ部との接合箇所からソケット部にかけて内側へ湾曲したしぼり部分があること,
(D)ソケット部の外周に螺合溝を施し,下端には下に向かって縮径する突出部を設けている点,
が共通している。
(2-2)相違点
具体的構成態様として,
(ア)グローブ部,ヒートシンク部及びソケット部の縦の長さの比率が,本願意匠は,約2:1:1であるのに対し,引用意匠は,約2:1.5:1であり,本願意匠より引用意匠のほうがヒートシンク部の占める割合が大きく,グローブ部,ヒートシンク部及びソケット部のそれぞれの縦横比率が本願意匠は約9.5:11,2:3,1:1であるのに対し,引用意匠は9:11,3:4,10:11であって,各部位の縦横比率から,本願意匠はグローブ部が横幅に対して短めでヒートシンク部は横幅に対してやや短くソケット部はほぼ縦横が等しいものであるのに対し,引用意匠はグローブ部が横幅に対して,より短めでヒートシンク部は横幅に対してやや短くソケット部は横幅に対してやや短めのものである点,
(イ)グローブ部の具体的形状について,本願意匠は,球状体の下約15分の2を切削したような球状に近い略半球状の態様であって,ヒートシンクとの接合部手前でごく僅かに内側に湾曲しているものであるのに対し,引用意匠は,球状体の下約5分の1を切削したような態様で全体が外側に凸状の曲面から成る略半球状のものである点,
(ウ)ヒートシンク部の具体的形状について,本願意匠は,ヒートシンク部を略逆円錐台形状とし,漸次縮径する周側面の下端に接合線で区切られた細幅環状部分があり,下縁部は大きめの円弧状の角部を形成しているのに対し,引用意匠は,ヒートシンク部を略逆円錐台形状とし,漸次縮径する周側面の半ばほどからほぼ鉛直状の円柱状となり,下端部は接合線はなく下縁部は小さめの弧状に形成されたものである点,
(エ)ヒートシンク部の上端の径と下端の径(周側面の径)の比率が本願意匠はは6:5であるのに対して,引用意匠は,4:3であるのものである点,
(オ)ソケット部について,本願意匠は,ソケット部円柱部中程に配された螺合溝部の下方の下縁部において,大きく円弧状の縁部とし,底面に略逆円錐台形状の突出部を1段設けて,その中央先端部はやや丸みを帯びて突出しているのに対して,引用意匠は,円柱部下縁部間際まで螺合溝を設け,下縁部は角張ったものとし,底面に扁平な略逆円錐台形状突出部を1段設けて,その突出部先端は,同径の円板状体が突出しており,その下端はほぼ平坦なものである点,
で相違している。

2.両意匠の類否
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の意匠全体としての類否を検討し,判断する。

両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,形態については,以下のとおりである。
(1)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(A)は,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。また,具体的構成態様としてあげた共通点(B)も,発光ダイオードランプも含む電球の分野においては,ごくありふれた縦横比率でよく見受けられることから,この点が,看者の注意を惹くものとはいえず,(C)のヒートシンク部の周側面に内側へ湾曲したしぼり部分が形成されたものは,発光ダイオードランプも含む電球の分野において,ほかにもよく見られるものでもあって,この点が両意匠にのみ共通する特徴であるとはいえない。
また(D)のソケット部の外周に螺合溝を施し,下端には下に向かって縮径する突出部を設けている点は,ソケット部の概括的態様に係る共通点でもあり,この種,発光ダイオードランプも含む電球の分野において,ごく普通に見受けられるソケット部の態様であって,この点が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
よって,共通点(A)ないし(D)の両意匠の類否判断に及ぼす影響は共に小さく,共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。
(2)相違点の評価
これに対して,両意匠の具体的構成態様に係る各相違点は,相違点(ア)については,各部位の構成比率に関わり,各部位の縦横比については,全体の具体的プロポーションにかかるものであるから,この点が類否判断に与える影響は大きい。
次に(イ)のグローブ部の具体的形状について,ヒートシンク部に接する箇所の手前の部分的相違ではあるが,グローブ部の具体的な形状の相違であって,ヒートシンク部に接する箇所の手前は,全体の中で中央部に位置し,発光ダイオードランプのグローブ部として,看者も一定の注意を払うところでもあって,両意匠の印象に関わり,一定程度の類否判断への影響を与えるものである。
また,相違点(ウ)については,ヒートシンク部の具体的形状に係り,本願意匠は,ヒートシンク部を略逆円錐台形状とし,漸次縮径する周側面の下端に接合線で区切られた細幅環状部分があり,下縁部は大きめの円弧状の角部を形成しているのに対し,引用意匠は,ヒートシンク部を略逆円錐台形状とし,漸次縮径する周側面の半ばほどからほぼ鉛直状の円柱状となり,下端部は接合線はなく下縁部は小さめの弧状に形成されたものである点は,下辺近くの接合線については,発光ダイオードランプも含む電球の分野においてもよく見られる態様であるからこの点のみが両意匠を別異の印象を与えるものとはいえないが,胴部全体がなだらかに縮径して成るものか半ばから下端にわたって円柱状の鉛直方向への直線状部が形成されたものとでは,特に(ア)の本願意匠より引用意匠の方がヒートシンク部の占める割合の大きいものであることもあいまって全体のプロポーションに影響を与え,印象を異にするものであって,この点が類否判断に与える影響は極めて大きいといえる。
さらに,(エ)ヒートシンク部の上下の横幅の比率の相違は,(ウ)の相違点とも関わって一定程度の影響を与えるものである。
そして,(オ)のソケット部の形状の相違は,ソケット部は,使用時にはあまり観察できない部位ではあるが,ソケット部の円柱部下縁部において,大きく円弧状の縁部としたものか,角張ったものとしたものか,底面において,略逆円錐台形状の突出部を1段設けて,その中央先端部はやや丸みを帯びて突出しているものか,扁平な略逆円錐台形状突出部を1段設けて,その突出部先端には,円板状体が突出しており,ほぼ平坦なものであるかは,視覚的に印象を異にし,類否判断に一定程度の影響を与えるものである。
そうすると,(ア)は類否判断に与える影響は大きく,(ウ)が類否判断に与える影響は極めて大きいものであって,相違点(イ),(エ)及び(オ)については類否判断に一定程度の影響を与えるものであるから,それら相違点(ア)ないし(オ)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると,相違点は,共通点を凌駕して,両意匠を別異のものと印象づけるものであるから本願意匠が引用意匠に類似するということはできない。
(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,共通するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,両意匠は,意匠全体として別異のものと印象付けるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2016-12-09 
出願番号 意願2015-11434(D2015-11434) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
刈間 宏信
登録日 2017-02-03 
登録番号 意匠登録第1570992号(D1570992) 
代理人 伊藤 捷雄 
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