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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1324919 
審判番号 不服2016-14608
総通号数 207 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-29 
確定日 2017-01-23 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2016- 256「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成28年(2016年)1月7日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成27年11月24日)に掲載された,意匠登録第1538707号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,ともに自動車用タイヤであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

(2)形態
両意匠の形態を対比すると,その形態には,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
なお,自動車用タイヤの分野では,車体の右側に取り付けるタイヤと左側に取り付けるタイヤを左右対称形とすることが普通に行われており,実施にあたり右側タイヤと左側タイヤとは実質同一のものと認められるから,本願意匠と引用意匠を比較検討しやすいように,便宜上,本願意匠の形態と引用意匠を左右対称にした形態とを対比する。(当審において作成した,引用意匠の「正面図の部分拡大図」と左右対称の図,別紙第3参照)

まず,共通点として,
(A)全体は,略横向き短円筒形状のタイヤの外周面に略凸状に突出したトレッド部を設け,タイヤの左右側面部に中空円板状のサイドウォール部を形成し,サイドウォール部の中空円板内周側端部にビード部を一体的に形成した構成としたものであって,
(B)トレッド部は,その中央部に,大型のブロック(以下「中央ブロック」という。)をタイヤ周方向に並設してなるブロック列(以下「中央ブロック列」という。)を形成し,その左右に,ブロック(以下「左右ブロック」という。)をタイヤ周方向に並設してなるブロック列(以下左側のものを「左ブロック列」,右側のものを「右ブロック列」,左右を合わせて「左右ブロック列」という。)を,中央ブロック列の凹凸と左右ブロック列の凹凸が噛み合うような配置で形成し,トレッド部左右端部に,左右のショルダーブロックをタイヤ周方向に並設してなるブロック列(以下左側のものを「左ショルダーブロック列」,右側のものを「右ショルダーブロック列」,左右を合わせて「左右ショルダーブロック列」という。)を,左ブロック列の凹凸と左ショルダーブロック列の凹凸が,そして,右ブロック列の凹凸と右ショルダーブロック列の凹凸が,噛み合うような配置で形成したものであって,その結果,中央ブロック列と左ブロック列及び右ブロック列との間に,やや細幅で略ジグザグ状の縦溝(以下「幅細縦溝部」という。)がそれぞれ表れ,左ブロック列と左ショルダーブロック列及び右ブロック列と右ショルダーブロック列の間に,太幅で略ジグザグ状の縦溝(以下「幅広縦溝部」という。)がそれぞれ表れている点,
(B-1)中央ブロックは,正面視を斜状に変形した変形六角形状とし,この上下に並ぶ中央ブロックの間に右下に傾斜した直線状の横溝(以下「中央ブロック横溝部」という。)を形成し,各中央ブロックの右下に傾斜した対向する左右辺の間に,細幅の溝(以下「中央ブロック細溝部」という。)を一つ形成している点,
(B-2)左右ブロックは,いずれも中央ブロックより小型の変形六角形状とし,この上下に並ぶ左右ブロックの間に左下に傾斜した直線状の横溝(以下「左右ブロック横溝部」という。)を形成し,各ブロック部の左下に傾斜した対向する左右辺の間に,細幅の溝(以下「左右ブロック細溝部」という。)を一つ形成している点,
(B-3)ショルダーブロックは,そのブロックの外側辺を直線状に,内側辺を略「く」の字状に突出した変形五角形状とし,この上下に並ぶショルダーブロックの間に,タイヤ外側に向かって略ラッパ状に拡がる横溝(以下「ショルダーブロック横溝部」という。)を形成し,このショルダーブロック外側辺の中央部分に,ブロック表面部分から根元部分まで続く切り欠き(以下「ショルダーブロック切り欠き部」という。)を形成し,各ブロックのショルダーブロック切り欠き部とブロック内側の略「く」の字状突出部との間に細幅の溝(以下「ショルダーブロック細溝部」という。)を一つ形成している点,
(C)サイドウォール部の断面形状は,ビード部からトレッド部にかけて外側に凸弧状に膨出した形状に形成している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)幅広縦溝部,幅細縦溝部,中央ブロック横溝部及び左右ブロック横溝部の溝幅の比率について,本願意匠は,約8:6:7:5であるのに対して,引用意匠は,約7:3:5:6である点,
(イ)中央ブロック細溝部の態様について,本願意匠は,2つの〔(亀甲括弧)を点対称となるように配した左に傾斜した略S字状としているのに対して,引用意匠は,へん平な略N字状とし,その両端部に略三角形状の小切り欠き部を形成している点,
(ウ)左右ブロック細溝部の態様について,本願意匠は,2つの〔(亀甲括弧)を点対称となるように配した右に傾斜した略反転S字状としているのに対して,引用意匠は,へん平な略反転N字状とし,その両端部に略三角形状の小切り欠き部を形成している点,
(エ)ショルダーブロックの態様について,本願意匠は,2つの〔(亀甲括弧)を点対称となるように配した水平な略横S字状とし,そのタイヤ外側端部に正面視略等脚台形状の小切り欠き部を形成しているのに対して,引用意匠は,へん平な略N字状とし,そのタイヤ外側端部に正面視略三角形状の小切り欠き部を形成している点
が認められる。

2.両意匠の形態の評価
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。

まず,共通点(A)の全体の態様,共通点(B)ないし(B-3)のトレッド部及びトレッド部を構成する各ブロック及び各溝部の態様,及び共通点(C)のサイドウォール部の断面形状は,各ブロックに施された細溝部の形成位置は異なるものの,この自動車用タイヤの物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠:日本国特許庁発行の意匠公報(秘密解除公報発行日:平成27年(2015年)3月16日)に記載された,意匠登録第1436645号(意匠に係る物品,自動車用タイヤ)の意匠,別紙第4参照)であるので,これらの共通点(A)ないし(C)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,これらの共通点(A)ないし(C)は,意匠全体としてみても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)については,溝幅がさほど変わらない4本の略ジグザグ状の縦溝により分けられた5つのブロック列(中央ブロック列,左右ブロック列及び左右ショルダーブロック列)からなるトレッド部であるとの印象を与える本願意匠の形態と,幅細縦溝部の溝幅が細いために幅広縦溝部により分けられた3つのブロック列(中央ブロック列及び左右ブロック列からなる中央のブロック列群と左右ショルダーブロック列)からなるトレッド部であるとの印象を与える引用意匠の形態とは,各ブロック部の上下間に傾斜して形成された直線状の横溝の溝幅の相違も含めて看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいといえる。
次に,相違点(イ)の態様,相違点(ウ)の態様,及び相違点(エ)の態様についても,ブロック表面の目に付く部位に形成されたものであって,ブロック接地面の形態を注視する看者に対して,各細溝部端部の切り欠き形状の相違も含めて異なる印象を与えるものであるから,この相違点(イ)ないし(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きいものである。
そして,これらの相違点によって生じる視覚的効果はいずれも大きい上に,それらが相まって生じることでより大きな視覚的効果を看者に及ぼすことになるから,これらの相違点(ア)ないし(エ)は,両意匠の類否判断を左右するものであるといえる。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については一致するものの,その形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく,意匠全体として見た場合には,これらの相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して看者に別異の印象を与え,両意匠に異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠が引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-01-05 
出願番号 意願2016-256(D2016-256) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 加藤 真珠 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 橘 崇生
江塚 尚弘
登録日 2017-02-03 
登録番号 意匠登録第1571000号(D1571000) 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
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