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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
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管理番号 | 1324927 |
審判番号 | 不服2016-12035 |
総通号数 | 207 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-03-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-08-09 |
確定日 | 2017-01-31 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2015- 18489「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成27年(2015年)8月24日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(本願の出願前発行の刊行物に掲載された意匠に類似するため,同条同項の規定により意匠登録を受けることができない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願の出願前に特許庁が発行した意匠公報に掲載された意匠登録第1496813号(意匠に係る物品,包装用容器)の意匠であり,その形態は,同公報に掲載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照)。 第3 当審の判断 以下,本願意匠と引用意匠(以下,「両意匠」という。)を対比することにより,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行い,本願意匠が,引用意匠に類似するか否かについて判断する。 なお,両意匠の形態の対比は,引用意匠の図面の向きを本願意匠の図面の向きに揃えたものとして行う。 1.両意匠の共通点及び相違点の認定 (1)両意匠の共通点の認定 意匠に係る物品は,両意匠ともに「包装用容器」であるから一致する。 形態は,両意匠共に,(A)全体の基本的構成態様を,高さ,底面の直径及び開口部上端の直径の比率を約1対2対4とする略円形皿状型とし,(B)具体的構成態様については,(B1)周側面には,高さ方向の中間付近やや上方に屈曲部「以下「屈曲部」という。」を設け,この屈曲部から上方(以下「上部周側面」という。)を,その上下にわたり平面視円形状とし,側面視弧状で反り返るように拡げ,開口部の周縁を端部が下方へ向けて略倒への字状に折れ曲がった平面視円形状の鍔状とし,屈曲部から下方(以下「下部周側面」という。)を,下端は平面視略12角形状とし,側面視弧状に反り返るように拡げ,(B2)底面は,平面視12角形状の細幅環状の接地部(以下「環状接地部」という。)とその内側の平面視12角形状の上げ底部(以下「上げ底部」という。)とし,環状接地部と上げ底部とは,上げ底部の12個の各頂点が環状接地部の12本の各辺の略中央と向き合う位置となるように約15度ずらした態様とし,(B3)下部周側面の中間付近から環状接地部にかけて筋状に延びる凸部(以下「筋状凸部」という。)を列状に配したものである。 (2)両意匠の相違点の認定 両意匠の形態について,主に,以下の(ア)ないし(エ)の点が相違する。 (ア)周側面の態様について,本願意匠は,下部周側面を上下にわたり平面視12角形状とし,その上端の12本の各辺のところに平面視弓形状の水平な段部が形成された屈曲部を経て,平面視円形状の上部周側面に至るものであるのに対して,引用意匠は,下部周側面を屈曲部寄りは平面視円形状とし,それより下方は平面視12角形状とするものであって,S字状の屈曲部を経て,平面視円形状の上部周側面に至るものである。 (イ)筋状凸部について,本願意匠は,筋状凸部を四方にのみ配し,その筋状凸部の両端を底面中心から放射線状ではなく、平面視斜めにずらして配したものであるのに対して,引用意匠は,全周にわたり筋状凸部を底面中心から放射線状に配し,四方の各3本の筋状凸部については,他よりも短くしたものである。 (ウ)開口部上端について,本願意匠は,当該部分を水平な平坦面としたものであるのに対して,引用意匠は,当該部分を湾曲した曲面としたものである。 (エ)底面について,本願意匠は,上げ底部の端縁の四方に,平面視半円形状の突起部を設けたものであるのに対して,引用意匠は,そのような突起部を設けていないものである。 2.両意匠の共通点及び相違点の評価 (1)両意匠の共通点の評価 共通点(A)ないし(B3)の態様は,意匠全体を大まかに捉えたものであり,具体的には上述のとおり相違点が認められるものであるから,両意匠の類否判断を決するまでには至らない。 (2)両意匠の相違点の評価 相違点(ア)は,周側面の相違であるが,本願意匠が,水平な段部のある屈曲部を境界として上部周側面と下部周側面とが分断され,角張った印象を需要者に与えるものであるのに対して,引用意匠が,上部周側面と下部周側面とがS字状の屈曲部を介して一続きのつながりのある面を構成し,丸味のある印象を需要者に与えるものであり,需要者に異なる印象を強く与えるから,相違点(ア)が,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点(イ)は,筋状凸部の相違であるが,引用意匠についても,平面において長い筋状凸部に着目すれば本願意匠と同様の四方に配したものに見えるとしても,具体的に見れば長短の筋状凸部をそれぞれ4つのまとまりにして交互に配したものであり,また,筋状凸部を平面視斜めに配したか否かという相違も存在し,これらが装飾部分として,容器にものを入れる際に目に付く大きな相違となって表れ,需要者に異なる印象を与えるものであるから,相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。 相違点(ウ)は,開口部上端部分の相違であるが,弧状に反り返るように拡がる上部周側面の延長上において,当該部分を水平な平坦面としたか湾曲した曲面としたかという相違は,一般的に観察されやすい斜め上方から見た際に,さほど目立つ相違とはいえないから,相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に止まる。 相違点(エ)は,底面の突起部の有無に係る相違であり,本願意匠に設けた突起部は,審判請求書の主張によれば,容器を積み重ねた際に役立つものであるといえるが,意匠全体からみれば極めて部分的であり,また,通常目に触れにくい部分に形成されたものであるから,相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さい。 そうすると,両意匠の相違点は,特に相違点(ア)及び(イ)の与える印象に加えて,その余の相違点(ウ)及び(エ)が相俟って,両意匠に視覚的に異なる印象を与えるものといえる。 3.両意匠の類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品について共通するものの,その形態において,相違点が相俟って生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕するものであって,意匠全体として異なる美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。 第4 むすび 以上のとおりであり,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-01-17 |
出願番号 | 意願2015-18489(D2015-18489) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 成田 陽一 |
特許庁審判長 |
山田 繁和 |
特許庁審判官 |
正田 毅 江塚 尚弘 |
登録日 | 2017-02-10 |
登録番号 | 意匠登録第1571549号(D1571549) |
代理人 | 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 |