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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1325917 
審判番号 不服2016-13811
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-09-14 
確定日 2017-02-07 
意匠に係る物品 呼気中の二酸化炭素濃度測定用ポート付き酸素フェイスマスク 
事件の表示 意願2015- 4740「呼気中の二酸化炭素濃度測定用ポート付き酸素フェイスマスク」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,2013年12月12日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,意願2014-12605号を原出願とする意匠法第10条の2第1項の規定による分割出願であって,平成27年(2015年)3月4日に出願した意匠登録出願である。その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「呼気中の二酸化炭素濃度測定用ポート付き酸素フェイスマスク」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとし,その拒絶の理由として引用した意匠は,特許庁意匠課が平成18年(2006年)11月30日に受け入れたカタログ「ULTRA-SONIC」第2頁所載の「医療用噴霧器用マスク」の意匠(以下,「引用意匠」という。)(特許庁意匠課公知資料番号第HD18024039号)であって,その形態は,同頁に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)
なお,「ULTRA-SONIC」第2頁所載の「医療用噴霧器用マスク」の意匠は2つあるが,以下,右側のNo.3010の「医療用噴霧器用マスク」を引用意匠として,本願意匠と対比して類否判断を行うものとする。

3.本願意匠と引用意匠(以下,本願意匠と引用意匠を「両意匠」という。)の対比
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「呼気中の二酸化炭素濃度測定用ポート付き酸素フェイスマスク」であり,引用意匠は,「医療用噴霧器用マスク」であるが,いずれも医療用のマスクであって,患者の顔の鼻と口を覆うように装着し,管を接続して酸素や蒸気を取り込むことができるマスクであるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
なお,両意匠を対比するため,引用意匠の向きを本願意匠の図面の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定し,対比する。
(1)共通点
(A)全体を,顔の正面側を覆う正面視略楕円形状の透明な略半球状とし,正面視上下の略中央付近において水平方向に段差を設け,マスクの上半分を正面側に突出させて鼻を覆う部分(以下,「鼻突出部」という。)とし,マスクの下半分にやや平坦な面を設けた点,
(B)鼻突出部の下面に短円筒形状の太い管状体を設け,吸気管を接続する部分(以下,「接続管部」という。)とし,外周全体に薄い縁部(以下,「縁部」という。)を設けた点,
(C)正面視した上方側の外形を下方側よりやや先を尖らせた略放物線形状とし,上端辺を平面視凹円弧状に湾曲させ,下方側の外形を緩やかな円弧状としている点,
(D)鼻突出部の左右側面にそれぞれ排気する部分を備えている点,
において主に共通する。
(2)差異点
(ア)鼻突出部の左右側面の態様について,本願意匠は,薄い円形の板状体を鼻突出部の正面寄りにそれぞれ設け,その内側に小円形の孔を等間隔に6個配しているのに対して,引用意匠は,そのような板状体を設けずに,大きめの円形状の孔をそれぞれ鼻突出部の外周寄りに設けている点,
(イ)本願意匠は,正面内側寄りに円形の板状体に接するように,二酸化炭素を測定する機械に接続するための,正面視斜め上方に突出する略円筒形状の管を配しているのに対して,引用意匠は,そのような管を配していない点,
(ウ)縁部の外周の輪郭形状について,本願意匠は,左右の端辺部が側面視略S字状とし顎側に向けて弧状に湾曲させているのに対して,引用意匠は,左右の端辺部側面視直線状で上端辺以外の縁部が顎側に向けてほぼ平坦としている点,
(エ)本願意匠は,下方側の顎を覆う左右及び下方部分が膨出し,顎を覆う部位の左右及び下方部分がやや角張った稜線を有しているのに対して,引用意匠は,顎を覆う左右及び下方部分が角張っておらず,凸弧状の滑らかなカーブである点,
(オ)引用意匠は,外周の縁部の左右に突出した紐固定部と頭部に固定するための紐部,及び鼻突出部の上部にその稜線に沿うように細い帯状部材を設け,鼻突出部の接続管部の内側にさらに管状部を配しているのに対して,本願意匠は,紐部や帯状部がなく,接続管部の内側にさらに管状部を配していない点,
において主な差異が認められる。

4.類否判断
そこで検討するに,共通点(A)については,この種の医療用のマスクの物品においては基本構成といえるものであるが,全体を,顔の正面側を覆う正面視略楕円形状の透明な略半球状とし,正面視上下の略中央付近において水平方向に段差を設け,マスクの上半分を正面側に突出させて鼻突出部とし,マスクの下半分にやや平坦な面を設けた態様は,他にも見られるありふれた態様であり,概括的な共通点といえるもので,この共通点によってのみでは,両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まる。
次に,共通点(B)については,鼻突出部の下面に短円筒形状の太い管状体を設け,吸気管を接続する接続管部とし,外周全体に薄い縁部を設けることも,同様の形状のものが,他にも見られるありふれた態様であって,この共通点のみでは,両意匠を類似と判断するには至らない。
また,共通点(C)についても,正面視した上方側を下方側よりやや幅狭い略放物線形状とし,下方側を緩やかな円弧状としている点が共通しているが,前記した共通点(A)と同様に,同様の形状のものが,他にも見られるありふれた態様といえ,また両意匠の輪郭形状には,多数の差異点が見受けられ,この共通点のみで,両意匠を類似と判断する程の大きな特徴点とはいうことができず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そして,共通点(D)についても,鼻突出部の左右寄りにそれぞれ排気する部分を備えている態様が共通しているが,医療用マスクとしての機能に応じて設けられるもので,それ自体に特徴があるものとはいえず,意匠全体から見た場合には,部分的な共通点にすぎないものであり,この点によってのみでは,両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
そうして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。

これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。
すなわち,まず,差異点(ア)の鼻突出部の左右側面の態様について,この種の物品分野において,本願意匠のように薄い板状体に小円形の孔を等間隔に6個配した態様も,引用意匠のように大きめの円形状の孔を配した態様のいずれも,他にも見られる態様であって,それだけでは大きな特徴とはならないものであるが,薄い円形の板状体の有無や孔の数は使用される酸素の流量や濃度の差異によって各種のものがあり,医療用マスクを使用する際に医療関係者が着目する目立つ部分における差異であるため需要者の関心が高く,その位置の違いについても,鼻突出部の正面寄りに設けている本願意匠と鼻突出部の外周寄りに設けている引用意匠とは,見る者に与える印象が異なり,外側から見える部分であることから,これらの差異は,いずれも両意匠全体の印象に影響を与え,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
次に,差異点(イ)の略円筒形状の管の有無について,酸素マスクに排気等のための管を設けることは,本願の出願前から行われているものであるが,排気孔部の正面内側寄りに円形状の板状体に接するように,正面視斜め上方に突出する略円筒形状の管を設けた本願意匠の態様は,他には見られない特徴的な態様であって,引用意匠とは,見た目の印象が大きく異なり,二酸化炭素濃度を測定する機械に接続される排気管であることから,その用途及び機能も相違し,需要者に与える印象が大きく異なり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与える。
また,差異点(ウ)の縁部の外周の輪郭形状について,顔の輪郭に合うように左右の端辺部が側面視略S字状とし弧状に湾曲させているものである本願意匠の態様は,医療用マスクを使用して二酸化炭素の濃度を測定するためには,患者の顔とマスクが密着している必要があるためのものであって,見る者の注意が払われる目立つ部分であり,左右の端辺部側面視直線状で上端辺以外の縁部が顎側に向けてほぼ平坦としている引用意匠とは,マスクの縁部の形態が異なっており,正面視した場合の印象が異なるものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。
そして,差異点(エ)の顎を覆う左右及び下方部分の形状の差異について,その違いが目立つものとはいえないが,やや角張った稜線を有している本願意匠は,口の周囲の空間が広い印象を与えるもので,凸弧状の滑らかなカーブである引用意匠とは,需要者に与える印象が異なり,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。
さらに,差異点(オ)の引用意匠が外周の縁部の左右に突出した紐固定部と頭部に固定するための紐部,及び鼻突出部の上部にその稜線に沿うように細い帯状部材を設け,鼻突出部の接続管部の内側にさらに管状部を配している点については,付加的で部分的な部位における差異であり,さほど目立つものとはいえないが,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものである。
そうすると,差異点(ア)ないし(オ)の差異点が相俟って,それぞれの差異が,意匠全体として需要者に与える印象を異ならせるもので,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。

以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-01-23 
出願番号 意願2015-4740(D2015-4740) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 前畑 さおり 
特許庁審判長 山田 繁和
特許庁審判官 正田 毅
斉藤 孝恵
登録日 2017-03-17 
登録番号 意匠登録第1574065号(D1574065) 
代理人 平木 康男 
代理人 平木 祐輔 
代理人 安田 徹夫 
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