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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F5
管理番号 1325932 
審判番号 不服2016-15208
総通号数 208 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-11 
確定日 2017-03-14 
意匠に係る物品 公営競技用電光表示盤 
事件の表示 意願2015- 24276「公営競技用電光表示盤」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成27年(2015年)10月30日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)の意匠に係る物品は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,「公営競技用電光表示盤」であり,本願意匠の形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」ともいう。)は,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「破線で表された部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。色彩を含めて意匠登録を受けようとする部分を構成するものであるが,着色部分の内側の,破線白抜きの数字は意匠登録を受けようとする部分を構成するものではない。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)(別紙第1参照)。
具体的には,全体形状は,台部と表示盤部からなる略扁平直方体状の「公営競技用電光表示盤」であって,(イ)上半部の正面視で略横長長方形状の表示画面部右半部のオッズ表部右下隅に配したオッズ表の最下欄を除く上下逆L字状の枠の番号又は馬の番号などを表示する縦横同幅の黄色の表示帯部分であり,表題を示す横表示帯部(左端から右端まで)と対比する項目を表示する縦表示部(横表示部左端直下から下端まで)からなり,(ロ)縦表示帯部に表の項目横列のオッズ値に対応する番号(枠又は馬の番号など)の背景となる略正方形状の黄灰色部を(ハ)周囲に僅かな余地部を設けて等間隔に縦に6つ並べ,数字部は除いたものである。

第2 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,「本願意匠に係る公営競技用電光表示盤が属する物品の分野において,表示面にレースに関する各種の情報を表形式で表し,表単位ごとに上部の項目行と左部の番号列を上下逆のL字形に繋げて表すことは,下記画像1に見られるように,本願出願前から公然知られています。
また,番号列内の各番号を囲むように略正方形の模様を表すことは,下記画像2,画像3に見られるように,本願出願前から広く行われています。
本願意匠は,上記形状の項目行と番号列を単に略同じ幅とし,各番号を囲む略正方形の模様をこれと異なる色彩で縦に6つ表して,表示画面の右方に配した程度の創作に過ぎません。
画像1
特許庁発行の公開特許公報記載
平成11年特許出願公開第018061号
(発明の名称:オッズ情報のワイドプラズマモニター出力装置)
【図2】に表されたワイドプラズマモニター上に表示される表示画面

画像2
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2004-157911
(発明の名称:レースデータ送受信システム,レースデータ送受信プログラム,レースデータ受信端末装置及びレースデータ受信プログラム)
【図19】に表されたLCDに表示されるランキング表

画像3
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2014-010602
(発明の名称:故障処理支援装置)
【図2】に表されたLED表示盤に表示される画面」
としたものである。

第3 請求人の主張の要点
これに対し,請求人は,審判を請求し,要旨以下のとおり主張した。
1 本願意匠が登録されるべき理由
(1)本願意匠について
本願意匠は,有彩色の上下逆L字状領域の垂直帯状部分に,暗色調の略正方形領域を列設し,それぞれの正方形領域の内側に,破線で描いたように数字を配置したものである。上下逆L字状領域の水平帯状部分には賭けの「軸」となる枠の番号などが配置され,上記正方形領域の内側に配置される数字は,その「軸」に対する「相手」となる枠などの番号を表す。
ここで,上下逆L字状領域は,垂直帯状部分も含めて,賭けの軸となる枠の色でもって着色されており,その垂直帯状部分に設けられる正方形領域は,枠色として用いられることのない暗色調の色でもって着色されているものである。
例えば競馬では,頭数に応じてそれぞれの出走馬に1枠から8枠までの枠が割り当てられ,それぞれの枠は,白,黒,赤,青,黄,緑,橙,桃色の8色によって表されることになる。
本願意匠の垂直帯状部分に設けられる正方形領域は,そのいずれの枠色とも異なる色で表示される領域ということになる。
以下,適宜,上下逆L字状領域の垂直帯状部分に列設される略正方形状領域を,数字の下(背景)に座布団のように敷いている領域という意味で「座布団領域」という。
(2)本願意匠の態様
以上の内容を踏まえると,本願意匠は以下の態様を有していると認められる。
(A)枠色の上下逆L字状領域の垂直帯状部分に,座布団領域を,上下に隣接するそれぞれの座布団領域の間に隙間を空け,かつ,左右にも,垂直帯状部分の縁との間に隙間を空けて列設した点
(B)上下逆L字状領域の垂直帯状部分に列設した座布団領域を,全て,いずれの枠色とも異なる同一色の暗色調の領域とし,それぞれの座布団領域の内側に数字を表した点
(3)態様(A)について
拒絶査定の謄本においては,態様(A)としての上下逆L字状領域の垂直帯状部分に列設した座布団領域について,「数字体が周りの地色と同化して見えてしまうことを防止するために,数字体の周囲に地色とは異なる色の領域を設けて視認性の向上を図ること自体は,引用の画像3の左端で縦に並んだ枠番号の周囲に見られるように,既に本願出願前から普通に行われていること」と認定されており,これは,画像3の左端の枠番号の周囲の正方形状の領域を,画像1にある上下逆L字状領域に並べることによって本願意匠に想到するとの認定であると解されるが,かかる認定は妥当ではない。
確かに,画像1には,軸となる枠/馬の数字が配置される水平帯状部分と,相手となる枠/馬の数字が配置される水平帯状部分とを繋げて上下逆L字状領域を形成し,上下逆L字状領域を枠色で表した点が記載されており,画像3の左端には,暗色調の正方形状の領域の内側に枠番号を配置する点が記載されているものの,画像3の暗色調の正方形状の領域を画像1の上下逆L字状領域に組み合わせる際に,画像3の暗色調の正方形状の領域を,どのように,画像1の上下逆L字状領域の垂直帯状部分に並べるのかについては,全く記載されていない。
すなわち,画像3の暗色調の正方形状の領域は,画面の地との同化を防ぐために,画面の地の上に表示されるものであるから,細い帯状の領域を地としてその上に表示するとした場合に,どのように暗色調の正方形状の領域を配置するのかといったことについては,画像3を含むどの引用意匠からも不明である。
本願意匠の態様(A)は,上下逆L字状領域の垂直帯状部分に,上下と左右に隙間を空けて座布団領域を列設し,その隙間から枠色を見せることにより,「軸」と,各座布団領域に表示されている数字との関係の把握を容易ならしめるものである。
また,座布団領域の配置について付言すると,本願意匠においては,上下逆L字状領域の垂直帯状部分にのみ座布団領域を配置し,水平帯状部分には座布団領域を配置しないようになっているが,引用意匠からは,座布団領域のそのような配置をも導き出すことができない。
意匠審査基準(平成28年3月11日改訂版)の「第7部 個別の意匠登録出願 第4章 画像を含む意匠 74.4.3.5 容易に創作することができる意匠と認められるものの例」には,「寄せ集めによる意匠」が容易に創作することができる意匠であるとして,「車載用経路誘導機」の例が記載されている。
この例によれば,「車載用経路誘導機」に係る「公然知られた意匠1」と「公然知られた意匠2」を,「公然知られた配置」でもって寄せ集めた場合に,「出願の意匠」が容易に創作することができる意匠と認定されるものである。
座布団領域を具体的にどのように配置するのかについての記載がいずれの引用意匠にもないということは,まさに,「公然知られた配置」がないことに相当し,「公然知られた意匠1」に相当する画像1の上下逆L字状領域と,「公然知られた意匠2」に相当する画像3の暗色調の正方形状の領域があったとしても,それだけでは,本願意匠が容易に創作することができる意匠であると認定するには足りないといえるものである。
このように,態様(A)は,第1に,上下と左右にそれぞれ隙間を空けて座布団領域を上下逆L字状領域に設けた点において引用意匠と異なり,第2に,上下逆L字状領域の垂直帯状部分にだけ座布団領域を設け,水平帯状部分には座布団領域を設けないようにした点においても,引用意匠とは異なるものである。
(4)態様(B)について
本願の願書の「意匠の説明」では,本願意匠の特定の仕方を「色彩を含めて意匠登録を受けようとする部分を構成するものである」としており,よって,本願意匠において,上下逆L字状領域の垂直帯状部分に並ぶ座布団領域は,上記8色の枠色のいずれとも異なるグレー系の暗色調の色の領域であり,かつ,全ての座布団領域が同一色の領域であると認められる。
ここで,画像3においては,特許掲載公報の図ということもあって画面全体がグレースケールで示されており,画面左端の正方形状の領域の色が不明である。
意匠審査基準に鑑みると,画像3の正方形状の領域の色をグレー系の暗色調の色とすることが「よく見られる改変」に該当するか否かが問題となるも,画像3の正方形状の領域は,左端に縦に並ぶ数字の,地となる画面の色との同化を防止するものであって,オッズ画面上に表示された枠色の領域を地として,その枠色との同化を防止するものではなく,枠色との同化を防止するような観点は開示されていないから,画像3の正方形状の領域の色をグレー系の暗色調の色とすることは「よく見られる改変」に該当するものではない。
(5)まとめ
このように,本願意匠は,特に,水平帯状部分と垂直帯状部分を繋げた上下逆L字状領域のうちの垂直帯状部分に,上下と左右にそれぞれ隙間を空けた形で座布団領域を設けた点,および,全ての座布団領域を,いずれの枠色とも異なる同一色の暗色調の領域とした点において引用意匠と異なるものである。
本願意匠は,「軸」となる枠の色を上下逆L字状領域の水平帯状部分と垂直帯状部分全体で表しながらも,垂直帯状部分に並ぶ「相手」の番号の視認性を高めるといった機能的な美感を有するとともに,実際に離れた場所から見たときには,水平帯状部分の明度が高く,垂直帯状部分の明度が低いといった,特有のまとまり感を有するものであり,このような美感については,引用意匠によってはなしえないものである。

2 むすび
以上のように,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,画像1ないし3に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものではなく,意匠法第3条第2項の規定に該当するものではない。

第4 当審の判断
請求人の主張を踏まえ,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,すなわち,本願意匠が容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。
1 引用画像(画像1ないし画像4)について
(1)画像1
オッズ情報を表示するワイドプラズマモニター出力装置のワイドプラズマモニター上に表示される表示画面の画像である。
画面内は上下2段からなり,上段は横9つ,下段は左詰めで横6つの枠線のない上下逆L字状の表示帯が表されたオッズ表が配され,右下隅には合計(票数)などの表が配されて,全体は暗調子及び明調子であらわされた濃淡のみのものである。
(2)画像2
レースデータ送受信システム,レースデータ送受信プログラム,レースデータ受信端末装置及びレースデータ受信プログラムによって液晶表示ディスプレー(LCD)に表示されたランキング表の画像である。
画像は,枠番,出走馬名,などを表示したタイトル項目以下,縦11列横10行からなる表であって,左側1列目に枠番として,略正方形状に線で囲いその中に数字を配し,背景は樣々な段階の明調子及び暗調子を施した略正方形状濃淡調子部が並んでいる。縦左から2列目は略正方形の枠のみの略正方形状部,左6列目から10列目までは縦列ごとに各格子内が同濃淡の調子で表されており,全体は暗調子及び明調子であらわされた濃淡のみのものである。
(3)画像3
LED表示盤に表示された画像である。
画面の左側約3分の1に枠番,馬番,馬名,騎手名などの枠線のない縦長の表を配し,その余右側に賭式に応じた各オッズ表などを2段に配したものであって,縦長の表の左側縦1列目において,枠番を示す略正方形の暗調子部に白抜きの数字を配したものが,略正方形の暗調子部の縦の長さ約半分の間隔を開けて等間隔に15個表され,左側縦2列目は枠線も馬番を示す暗調子部もない黒字の数字のみが1列目と横並びに縦1列に15個表されている。
全体は暗調子及び明調子であらわされた濃淡のみのものである。

2 本願意匠の創作容易
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって,意匠に係る物品は「公営競技用電光表示盤」であり,その形態は,前記第1のとおりのものである。
物品の部分の意匠における創作容易性の判断については,当該部分の形態が,当該意匠登録出願前に公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて当業者であれば容易に創作することができたものであるか否かを判断すると共に,当該部分の用途及び機能を考慮し,「意匠登録を受けようとする部分」を当該物品全体の形態の中において,その位置,大きさ及び範囲とすることが,当業者にとってありふれた手法であるか否かを判断することにより行うべきところ,本願意匠部分の用途及び機能は,競馬などの公営競技に係るオッズ表において枠の番号又は馬の番号に対する縦表示帯部に並ぶ番号に連動するオッズ値を示す用途であって,そのオッズ値を見誤らないための縦表示帯部に並ぶ番号の視認性を高める機能に係るものと認められる。
次に,大きさ及び範囲について検討すると,公営競技用電光表示盤において,オッズ表は限られた枠数(競馬ならば通常8枠まで)又は出走馬数に対応して配列されるから,自ずと分割態様は限られ,表示画面の右下隅に表などを配したものは,一般的に複数の表を表示した場合,ごく普通に見受けられる配置態様であり,上下逆L字状の表示帯を用いたオッズ表は,例を示すまでもなく公営競技電光表示盤の分野においてよく見受けられるものである。
そこで,この本願意匠部分の位置,範囲においては,表示画面上,ごく普通に見受けられる表の配置態様に基づく,表示画面部右下隅の位置に配した,よく見受けられるオッズ表の最下欄を除く上下逆L字状の表示帯部分の範囲であって,格別の創作を要したものとはいえず,大きさにおいても主に屋外に設置される公営競技用電光表示盤であるから,表示画面に複数の表が表示されていても,屋外において,ある程度の距離から見て,見やすい程度の常識的な大きさのものと推認できるので,この種公営競技用電光表示盤の分野に照らしてありふれた程度の大きさのものであるといえ,格別の創作を要したものとはいえない。よって,本願意匠部分の当該物品の形態の中における位置,大きさ及び範囲については,当業者にとって容易に想到できたものといえる。
次に本願意匠部分の形態について検討する。
本願意匠部分は「色彩を含めて意匠登録を受けようとする部分を構成する」ものであって,表示帯部分に黄色の色彩が施されている点について,引用の画像1ないし画像3は色彩のない暗調子及び明調子であらわされた濃淡のみのものであるが,公営競技において枠の番号と色彩は特定されており,競馬の場合は,枠番に対応する8色のうち1色(本願意匠部分においては5枠の黄色)を選択するまでであるから,格段の創作を要したということはできない。
そして,本願意匠部分の(イ)の上下逆L字状の帯状体の形態については,上述のとおり,この公営競技用電光表示盤の物品分野のオッズ表の態様として,よく見られる態様であって,(例えば画像1)格別の創作を要したということはできない。
しかし,(ロ)の縦表示帯部に表の項目横列に対応する番号の背景となる略正方形状の黄灰色部を配した態様は,表の各列に各番号を囲む略正方形の暗調子模様を表すことは画像3のように見受けられるとしても,その配置態様,つまり,表示帯のうち縦表示帯部に(ハ)のような周囲に僅かな余地部を設けて略正方形状の黄灰色部を等間隔に縦に6つ並べて配した態様は,公営競技用電光表示盤の物品分野における表示態様として,画像1ないし画像3には見られない本願意匠部分の視認性を高める機能に関わる特徴的態様というべきものであって,上下逆L字状の表としてのまとまりと横方向に対応する項目の視認性に考慮して(イ)の態様に(ロ)及び(ハ)の態様を組み合わせて具体的態様を創出したというべきであるから,画像1ないし画像3に基づいて容易に想到したものとはいえない。
すなわち,画像1については,複数の上下逆L字状表示帯が表されているが,原審拒絶理由での「上記形状」が,どの上下逆L字状表示帯を指すかは,示されておらず,画像1の下段に見られるような,よく見受けられる上下逆L字状の表示帯をもとにして,縦列の数字部を略正方形の模様を設けた画像2又は画像3のものに置き換えるとしても,画像2の左側1列目の略正方形状濃淡調子部は,数字の1が配されたものが最も明るい調子で,数字の5が配されたものは,ごく淡い明調子であることから公営競技の枠番に応じた色,いわゆる,枠番の1枠の白色、5枠の黄色に対応する明暗調子が表された略正方形状濃淡調子部と推認でき,各番号によって濃淡調子の相違する略正方形状濃淡調子部が11個,縦1列に並んだものであり,本願意匠部分にはない枠線で略正方形状にさらに囲われたものである。その左側2列目は濃淡のない略正方形状に線で囲われた略正方形の模様部であって,それぞれの略正方形状濃淡調子部及び略正方形の模様部を,表の各格子内縦方向ほぼいっぱいに配したものである。したがって,よく見受けられる上下逆L字状の表示帯をもとにして,縦列の数字部を略正方形の模様を設けた画像2のものに置き換えても,すべてを同じ黄灰色(明暗調子でいえば淡い暗調子)で表された略正方形状部を上下逆L字状部の縦表示帯部のみに縦一列に周囲に僅かな余地部を設けて等間隔に縦に6つ並べた本願意匠部分のような態様とはなるものではない。
次に,画像3の左側縦1列目の略正方形の暗調子部は,その暗調子部に白抜きで数字(枠の番号)が表され,左側縦2列目は単に黒字で数字(馬の番号)が表されており,略正方形の暗調子部の縦の長さ約半分の間隔を開けて等間隔に15個表されているものであり,その枠番の横に記された番号がその枠の馬の番号であることを示している。左側縦1列目の略正方形の暗調子部は,単に周りの地色と数字が同化して見えることを防止するためではなく,右側のオッズ表で見るための番号を混同しないよう枠番と馬番との識別性を高めるため,コントラストの強い濃い暗調子に白抜きとしていると推認される。そうすると,そのような画像3の強いコントラストの濃い暗調子部を上記のよく見受けられる上下逆L字状の表示帯をもとにして,縦1列に配しても,本願意匠部分のような横方向のオッズ値との連動を高めるため地色からの視認性を強調しつつ,上下逆L字状部の表示帯部との一体感を妨げない程度の明暗調子でいえば淡い暗調子にあたる正方形状の黄灰色部のものとして,縦表示帯部に配した本願意匠部分のような態様とはなるものではない。
そして,この種公営競技用電光表示盤の分野において,上下逆L字状の表示帯の縦表示帯部のみに(ロ)のような略正方形状の黄灰色部を(ハ)のような周囲に僅かな余地部を設けて略正方形状の黄灰色部を等間隔に縦に6つ並べて配した態様とすることは,結局,他には同様の態様が見られないものであり,本願意匠部分独特の態様といえるものであるから,本願意匠部分の態様は画像1ないし画像3をもとにして,容易に想到できるものではない。
したがって,本願意匠は,当業者であれば,容易に創作することができたものということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたときに該当しないので,当審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-03-02 
出願番号 意願2015-24276(D2015-24276) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木本 直美上島 靖範 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 渡邉 久美
刈間 宏信
登録日 2017-03-31 
登録番号 意匠登録第1575320号(D1575320) 
代理人 西川 孝 
代理人 三浦 勇介 
代理人 荒谷 聡 
代理人 稲本 義雄 
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