• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1327944 
審判番号 不服2016-17635
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-25 
確定日 2017-04-14 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2015- 29170「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)12月28日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,特許庁が平成14年10月15日に発行した意匠公報に記載された,意匠登録第1155504号(意匠に係る物品,包装用容器)の意匠であり,その形態は,同公報に掲載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。

1.共通点及び相違点の認定
(1)共通点の認定
意匠に係る物品については,両意匠ともに「包装用容器」であるから,共通する。
その形態については,主に,以下の(A)ないし(E)の点が共通する。
なお,以下,開口部の上端から根元までの部分を「口部とその下の僅かな首部」,首部の根元から正面視略台形状に広がる部分を「肩部」,肩部直下から底面寄りの尻すぼみした下端までの部分を「胴部」,底面部分を「底部」という。
(A)全体が,小径の略短円筒形状の口部とその下の僅かな首部,略中空円錐台形状の肩部,略円筒形状の胴部及び略円形凹状の底部からなる,縦長の細口突出型の容器としたものである
(B)口部とその下の僅かな首部は,略円筒形状とし,周側面の上端寄りに螺旋状ネジ山部,下端寄りに鍔状部,その間に環状凸部を設け,その下に僅かな長さの円筒形状の首部を設けたものである。
(C)肩部は,平面視において12枚の花弁状,側面視において下端部が凹弧状に波打つ面取り態様とし,側面視傾斜角度を,肩部上端の位置と肩部下端の位置とを結ぶ仮想線を計測すると,約45度としたものである。
(D)胴部は,(D1)上下両端部寄りに1条の環状凹溝(以下「横溝」という。)を設けるとともに,(D2)この両溝間において上下右端寄りに余地部を残して,同形同大の略縦長長方形状の凹部(以下「長方形状凹部」という。)を6個設け,凹部内が少しすぼまるように側壁を内方に向けて傾斜状とし,(D3)胴部の下端寄りをすぼめたものである。
(E)底部は,中央の円形部の周囲に放射状に形成された突出部が底面視花弁状に表れているものである。

(2)相違点の認定
物品の形態について,主に,以下の(a)ないし(h)の点が相違する。
(a)容器全体の高さと胴部の横幅の構成比率について,本願意匠は,約2.5対1とするものであるに対して,引用意匠は,約2対1とするものである。
(b)口部とその下の僅かな首部,肩部,及び胴部の構成比率について,本願意匠は,約1.3対1対5.8とするものであるのに対して,引用意匠は,約1.4対1対4とするものである。
(c)口部とその下の僅かな首部の周側面について,本願意匠は,螺旋状ねじ山部を約1周半程度のものとし,また,螺旋状ねじ山と鍔状部との間に形成された環状凸部を,筋状としたものであるに対して,引用意匠は,螺旋状ねじ山部を約2周程度のものとし,また,螺旋状ねじ山と鍔状部との間に形成された環状凸部を,細幅の帯状としたものである。
(d)肩部の側面視凹弧状に波打った態様について,本願意匠は浅く波打った面取り態様としたものであるのに対して,引用意匠は,本願意匠よりも深く波打った面取り態様としたものである。
(e)胴部の長方形状凹部の具体的な側面視形状について,本願意匠は,左右長辺を直線状,上下短辺を凸弧状としたものであるのに対して,引用意匠は,左右長辺を凸弧状,上下短辺を直線状としたものである。
(f)胴部の長方形状凹部の底面の水平方向の断面形状について,本願意匠は,断面図がないものの,斜視図によれば凹部内の上下短辺の側壁が左右にわたり略同幅で表れていることから,断面を緩やかな凸弧状(同心円状)としたものと認められるのに対して,引用意匠は,断面図によれば,緩やかな凹弧状とし,更にその内方に,側面視略縦長長方形状として表れている浅い窪みを設けたものである。
(g)胴部の上下両端寄りの横溝の配置態様について,
本願意匠は上端寄りの横溝については,肩部の下端から胴部の高さの約17分の1下がった位置に配し,肩部の下端と横溝との間を垂直面としたものであり,下端寄りの横溝については,胴部の下端から上方へ胴部の高さの約5.5分の1上がった位置に配し,その横溝の下方を,胴部の下端から下端寄り横溝までの高さの約3分の1の高さの垂直面としたものであるのに対して,引用意匠は,上端寄りの横溝を肩部の直下に配し,肩部下端と当該溝との間にはっきりとわかるような垂直面を設けていないものであり,下端寄りの横溝については,胴部の下端から上方へ胴部の高さの約8分の1上がった位置に配し,この横溝の下方には,垂直面を設けていないものである。
(h)底部の花弁状の突出部について,本願意匠は,丸味のある5個の突出部から構成されたものであるのに対して,引用意匠は,角張った8個の突出部から構成されたものである。

2.共通点及び相違点の評価
以下,共通点及び相違点が存在する形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。
(1)共通点についての評価
共通点(A)ないし(E)からなる態様は,いずれも大まかに捉えた態様の共通点にすぎず,これらの共通点が相俟っても両意匠の類否判断を決するものとはいえない。

(2)相違点についての評価
相違点(a)及び(b)は構成比率の相違であり,本願意匠は引用意匠よりも細長く胴部の高さの比率が大きいものといえるが,その相違は極端に異なるものではなく,容量等に応じて容器の高さや太さの異なるものが種々存在するこの種の物品分野においては,どちらもありふれた範囲のものであり,単に構成比率が相違するのみでは,看者に与える印象は微弱であって,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいとはいえない。
相違点(e)及び(g)は,胴部において,本願意匠が,長方形状凹部の長辺を直線状,短辺を凸弧状とし,上端寄りの横溝の上方及び下端寄りの横溝の下方に垂直面を設けたことにより,容器全体として上下方向に意識させ,容器全体としてスリムな印象を与えるものであるのに対して,引用意匠が,長方形状凹部の長辺を凸弧状,短辺を直線状とし,上端寄りの横溝の上方,及び下端寄りの横溝の下方に垂直面を設けていないことにより,容器全体として左右方向に意識させ,容器全体としてずんぐりした印象を与えるものであり,それぞれの印象は,相違点(a)及び(b)によって強調され,看者に異なる印象を与えるから,相違点(e)及び(g)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
また,相違点(f)は,胴部の長方形状凹部の底面の水平方向の断面形状についての相違であるが,凹部内の底面が凸弧状か凹弧状かという相違は,見た目だけでなく,胴部を握った際にも気付く相違となるものであり,引用意匠の方が本願意匠よりもごつごつした印象を与えるものといえるから,相違点(f)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
その余の相違点である,相違点(c)は,口部とその下の僅かな首部の具体的な態様の相違であるが,細部に係る相違であり,相違点(d)は,肩部の側面視凹弧状に波打った態様について,本願意匠は,引用意匠よりも浅く波打った態様ではあるが,その相違はさほど目立つものではなく,相違点(h)は,底部の花弁状の突出部についての相違であるが,通常目に触れにくい底部における凹部内の相違であるから,相違点(c),(d)及び(h)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。

以上の相違点を総合すると,特に相違点(e)及び(f)が,相違点(a)及び(b)と相俟って,更に,相違点(g)も加わったことで,これらの相違点は,その余の相違点も含めて,両意匠に視覚的に異なる印象を与えるものといえる。

3.類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通するものの,両意匠の相違点が相俟って生じる視覚的効果は,両意匠の共通点のそれを凌駕するものであって,看者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおり,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-03-31 
出願番号 意願2015-29170(D2015-29170) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 並木 文子 
特許庁審判長 山田 繁和
特許庁審判官 正田 毅
江塚 尚弘
登録日 2017-05-19 
登録番号 意匠登録第1578854号(D1578854) 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 佐藤 泰和 
代理人 中村 行孝 
代理人 佐藤 泰和 
代理人 朝倉 悟 
代理人 中村 行孝 
代理人 朝倉 悟 
代理人 永井 浩之 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 永井 浩之 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ