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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 D7
管理番号 1327946 
審判番号 不服2016-18602
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-09 
確定日 2017-04-14 
意匠に係る物品 テーブル 
事件の表示 意願2015- 24245「テーブル」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成27年(2015年)10月30日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「テーブル」とし,形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」ともいう。)を,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたもので,「実線であらわした部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注:以下「本願実線部分」という。)である。斜視図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」としたものである。(別紙第1参照)

第2 原審の拒絶の理由

原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には以下のとおりである。

本願意匠は,テーブルの脚部の一方を部分意匠として意匠登録を受けようとするものである。
当該物品分野において,脚部を,天板側から接地面側へ向けて先細りとなる平板を接合し,逆さV字状とする態様は,意匠1及び意匠2に見られる通り,本願出願前公知の態様となっている。
本願意匠は,意匠3の脚部の一方を,意匠1に表された平板状のものとし,意匠2に表されたように,天板に直接接合させる態様としたに過ぎず,当業者であれば容易に創作することができたものである。

意匠1 (別紙第2参照)
独立行政法人工業所有権総合情報館が2001年 5月17日に受け入れた form Zeitschrift fur Gestaltang
第89頁所載
テーブル用脚の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HB13017322号)

意匠2 (別紙第3参照)
大韓民国意匠商標公報 2014年 2月24日14-05号
ドレッサー(登録番号30-0730849)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH26408205号)

意匠3 (別紙第4参照)
DM/080797 2013年 5月17日
事務机(登録番号DM/080797)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH25504206号)


第3 請求人の主張の要旨

(1)本願意匠の脚の形態は,側面視逆さV字状を呈してなり,甲第3号証に示すように,脚の高さと接地面における脚全体の幅の比(縦横比)が約1:1.1に形成されてなるものである。これは,本願意匠は「シンプルな構成の中にも程よい緊張感を与えてなり,ダイニングからミーティングまで違和感なく馴染む,多様な空間で使用可能なテーブル」を具現化するためにデザイン創作されたものであることから,多様な空間(使用用途)に馴染むように縦横比をほぼ等しく構成したものである。
すなわち,仮に脚を縦長の縦横比の逆さV字状に形成した場合には,重心が高く,スリムかつシャープで尖がったような,不安定な印象を需要者に強く与えてなり,また,横長の縦横比の逆さV字状に形成した場合には,重心が低く,ワイドでどっしりとしていて安定感のある印象を需要者に強烈に与えてなる結果といるが,本願意匠の創作者は,その何れでもなく,スリムさと安定感のバランスの取れた,まさに多様な用途に使用可能であるテーブルであることが需要者に瞬時に把握できるテーブルをデザイン創作したものである。

(2)脚の位置について,本願意匠の脚は天板の端面から正面視中央寄りのやや奥まった位置に設けられ,脚の上面は天板と直に接し,側面視略三角形状の接合金具が脚の左右に2つ,脚の内面(裏面)に形成され,正面視左右両端に設けられた一対の脚を繋ぐ梁(ビーム)が形成された構成からなるものである。
この点についても,天板の端面近傍に脚が設けられていたり,天板と脚との間に大きい接合部材が形成されていたりする場合,側方(正面及び側面)または斜め上方から接合金具が視認されることとなり,テーブル全体の印象に大きく影響する結果となることから,前記した脚の位置,接合金具の構成においても,本願意匠のデザインコンセプトである「シンプルな構成」を実現するべく創意工夫したものである。

(3)審査官は拒絶理由通知書において,「意匠3の脚の一方を,意匠1に表された平板状のものとし」と判断されたが,意匠1に表された脚部は確かに本願意匠と同様に逆さV字状に形成されているものの,甲第3号証に示すように,意匠1の脚の高さと接地面における脚全体の幅の比(縦横比)は約2:1であり,本願意匠に比して縦長に形成されていることから,そもそも本願意匠と意匠1の脚とはまったく異なる形態に形成されたものである。
この点について,審査官は,同拒絶理由通知書において,「脚部を,天板側から接地面側へ向けて先細りとなる平板を接合し,逆さV字状とする態様は,意匠1及び意匠2に見られる通り,本願出願前公知の態様となっている」と,あたかも逆V字状に形成された脚は全て縦横比等に関わらず当然に創作容易であるかのように述べられているが,意匠1と意匠2,また本願意匠の脚の形状がそれぞれ全て異なること,また,形状の相違によって需要者に与える印象がまったく異なることから,概略的な構成(平板を接合し逆さV字状とする構成)が共通することにより,縦横比が明らかに異なる脚までをも創作容易と判断することは強引である。

(4)また,同じく拒絶理由通知書において,本願意匠の脚を「意匠2に表されたように天板に直接接合させる態様としたに過ぎず」と判断しているが,意匠2の脚は,天板のみならず,天板下に設けられた大きな引出し(あるいは棚)にも脚の内面(裏面)が接合された態様であることから,天板との関係のみに着目して本願意匠と対比することには無理がある。
すなわち,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は,テーブルの一方の脚のみではあるが,部分意匠の認定においては意匠登録を受けようとする部分の意匠全体に対する位置,大きさ,範囲を参酌すべきであり,先に述べたように係る位置,大きさ,範囲の相違が,テーブル全体の印象に大きく影響するにもかかわらず,天板と脚との接合部分という公知意匠の一部分を取り出して本願意匠の創作性を否定することは適当でない。

(5)先に述べたように,本願意匠はシンプルな構成でありながら,程よい緊張感を与えてなるテーブルを需要者に提供するべくデザイン創作されたものであって,天板と脚との接合部分についても,あまりに大きく目立つ接合部材を採用すると需要者に必要以上の圧迫感を与えてしまう懸念がある一方,テーブルの安定性を担保する必要もあるため,それらを両立させるべく,天板のやや奥まった箇所に,天板の荷重を適切に脚に伝えることができる側面視略三角形状のコンパクトな接合金具を脚の内面(裏面)設けることで,逆さV字状の脚をより一層際立たせるように創作されたものであり,本願意匠の天板と脚との接合箇所は,意匠2や意匠3のような天板の端面近傍でもなく,意匠2のように天板のみならず引出しや棚と接合させた態様ともまったく異なるものであって,本願意匠はテーブル全体における脚の位置,大きさ,範囲においても意匠2及び意匠3から容易に創作できたとは到底いえない。

(6)これまで述べたように,本願意匠の創作者は,確固たる本願意匠のデザインコンセプトを念頭に置き,脚の形態のみならず,テーブル全体に対する位置,大きさ,範囲,等のバランスを考慮して検討に検討を重ねて本願意匠を創作したものであることから,意匠1乃至意匠3に接した当業者が容易に本願意匠を創作できるとは到底考えられない。


第4 当審の判断

以下,本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か,すなわち,本願意匠が,この意匠の属する分野における通常の知識を有する者が容易に創作することができたものであるか否かについて検討する。

1 本願意匠
本願意匠の意匠に係る物品は「テーブル」であり,本願実線部分は,正面視右側の脚の部分(以下,「本願実線部分」という)であり,その他の部分は破線で表されている。すなわち,本願実線部分は,平面視長方形状の天板裏面長手方向中央の梁部材(以下,梁という)の左右それぞれの端部に取り付けられた,2組の側面視略逆さV字状脚(以下,「逆さV字脚」という)のうち,正面視右側に位置するものである。
本願実線部分の用途及び機能は,テーブル天板を支持し,床面に接地するために構成された脚である。
本願実線部分の形態は,基本的構成態様として,
(A)2本の略角柱状の脚を上方で一体に接合し,右側面視逆さV字状に組合せたものであり,
また,具体的構成態様として,
(B)2本の脚の正面及び背面視形状は同幅の一直線状で,天板から垂直に接地しており,右側面視形状は次第に幅を狭めた先細り状で,天板から外側に傾斜して接地しており,
(C)2本の脚による逆さV字の内角は60度弱,脚の高さと接地面における脚全体の幅の比(以下,「縦横比」という)は,約1:1.1に形成されている。
(D)逆さV字脚の頂端部(以下,「頂端部」という)は,梁の終端,すなわち正面視天板端からやや中央寄り,及び右側面視天板裏面中央位置において,天板と直に接している。また,その頂端部内側に設けられた略三角形状の別部材を介して梁の終端と接合し,天板を支持している。


2 原査定の理由の引用意匠
(ア)意匠1
意匠1は,意匠に係る物品は「テーブル用脚」であり,2本の略角柱状の脚を組み合わせた逆さV字脚の頂端部中央に暗色の薄板をはさみ,逆さV字脚を2組連結したものである。逆さV字脚の略角柱状の各脚は下方向に向かって先細った形状であり,V字の内角は約30度,縦横比は約2:1であるものと認められる。また,本願実線部分の正面視に相当する面の上方に,二つの円孔が縦並びに設けられている。

(イ)意匠2
意匠2は,意匠に係る物品は「ドレッサー」であり,長方形の天板下方に設けられた収納部の側面に沿って,2本の先細った五角形の平板状の脚を組み合わせた逆さV字脚が形成されている。V字の内角は約30度,縦横比は約7:4であるものと認められる。天板と逆さV字脚の接合の態様については,V字の頂端面が天板と接合するとともに,V字の側面分岐部近傍が収納部側面に接している。

(ウ)意匠3
意匠3は,意匠に係る物品は「事務机」であり,長方形の天板裏側の長手方向終端からやや中央寄りの位置に,2本の角柱状の脚を組合せた逆さV字脚が2組表されている。逆さV字脚の角柱状の各脚は先細ってはおらず,また,V字の内角,及び天板と逆さV字脚の接合の態様については,短い補助部材が天板裏面に存在するのが見受けられるものの,斜視図のみであるため,具体的な構成態様は明らかでない。


3 創作非容易性の判断
テーブルの物品分野において,(A)の基本的構成態様,及び(B)の具体的構成態様はありふれたものであるが,(C)及び(D)の具体的構成態様を形成することは,意匠1ないし意匠3には見られない本願実線部分独自の創作であるから,これらの公然知られた意匠の形態に基づいて,当業者が容易に創作することができたということはできない。

すなわち,意匠1は,V字の内角は約30度,縦横比は約2:1で,縦長の逆さV字状に形成されており,また,各脚の上方に縦並びの2つの円孔を有していることから,本願実線部分は意匠1の逆さV字脚の形状をほとんどそのまま表したものであるということはできない。

また,意匠2は,原審の拒絶の理由において,逆さV字脚が天板と直に接する態様の例として挙げられたものであるが,確かに逆さV字脚の頂端面は天板と接しているものの,同時にV字の側面分岐部近傍に至るまでドレッサーの収納部側面とも広範囲に接しており,本願実線部分の接合の態様(D)と同様の態様とは認め難い。したがって,逆さV字脚と天板との接合の態様が,意匠2により公然知られているということもできない。

また,意匠3は,天板の終端からやや中央寄りの位置に逆さV字脚が表されているが,斜視図のみであるため,逆さV字脚が天板裏面と直に接しているかどうか,具体的な接合の態様は明らかでない。よって,逆さV字脚と天板との接合の態様は,意匠3によっても公然知られているということもできない。

よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が意匠1ないし意匠3に見られる公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。


第5 むすび

以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第3条第2項が規定する,意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-03-30 
出願番号 意願2015-24245(D2015-24245) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (D7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 北代 真一 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 神谷 由紀
正田 毅
登録日 2017-04-28 
登録番号 意匠登録第1577416号(D1577416) 
代理人 野村 慎一 
代理人 石井 隆明 
代理人 藤本 昇 
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