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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1327955 |
審判番号 | 不服2016-18815 |
総通号数 | 210 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-06-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-12-14 |
確定日 | 2017-05-15 |
意匠に係る物品 | 蛍光灯 |
事件の表示 | 意願2015- 27374「蛍光灯」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成27年(2015年)12月7日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「蛍光灯」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由および引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が平成27年(2015年)1月9日に受け入れたカタログ「ECO Litus 超省エネ蛍光灯」第1頁所載の蛍光ランプの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC27000986号)(以下,「引用意匠」という。)であって,その形態は,同頁に掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,本願意匠は,「蛍光灯」であり,引用意匠は,「蛍光ランプ」であるが,いずれも外装管(以下,「外装管」という。)に蛍光管を内蔵し,照明器具として用いられる蛍光灯であるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 なお,両意匠を対比するため,引用意匠の写真に現された蛍光ランプの向きを本願意匠の図面の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定し,対比する。 (1)共通点 (A)全体を,細長い略円柱形状とし,その中央に円筒形状の透明な外装管を設けたものとし,外装管の左右両端に略倒凸字形状の口金部(以下,「口金部」という。)を縮径した側を外側として左右対称に設けている点, (B)外装管内部には,反射板と蛍光管を内蔵し,透明な外装管から内部を視認できる点, (C)口金部は長手方向の全体の長さの約1/4の外側寄りの長さ部分を段差状に縮径し,その縮径した部分の付け根部分に細帯状の傾斜面(以下,この部分を「細帯状傾斜面」という。)を設け,細帯状傾斜面と外装管寄り端部との間に縦方向に切替え線を設けている点, (D)口金部の左右側面の端部には細い円柱状の接続端子を左右側面視上下中央に間隔を空けて水平状に2本を配している点, において主に共通する。 (2)差異点 (ア)外装管内部の態様について,本願意匠は,断面視略三日月形状の回路収容ケースが上半部にあるのが視認できるのに対して,引用意匠は,そのような回路収容ケースが外装管内部に視認できない点, (イ)蛍光管の位置について,本願意匠は,外装管の底面寄りに,外装管の下端内部に接するように設けられているのに対して,引用意匠は,底面視中央に設けられているが,側面視における位置は不明である点, (ウ)反射板の態様について,本願意匠は,蛍光管と回路収容ケースの間に回路収容ケースに接するように凸弧状に反射板が設けられ,正面視すると外装管の下半部寄りに細帯状に左右両端部まで設けられているのに対して,引用意匠は,外装管の左右端部寄りに余地部を残して,外装管の上半部の内側に沿って反射板が設けられている点, (エ)口金部の切替え線について,本願意匠は,細帯状傾斜面の外装管寄りの太い円筒状部の外装管寄りに切り替え線があるのに対して,引用意匠は,太い円筒状の細帯状傾斜面寄りに切り替え線がある点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)共通点 そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成であるが,全体を,細長い略円柱形状とし,その中央に円筒形状の透明な外装管を設けたものとし,外装管の左右両端に略倒凸字形状の口金部を縮径した側を外側として左右対称に設けた態様は,全体の構成が共通するものではあるが,この種の物品分野においては両意匠以外にも既に多数見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 次に,共通点(B)についても,反射板と蛍光管を内蔵し,透明な外装管から内部を視認できる点は,他にも見られるごくありふれた態様といえるものであり,両意匠のみに共通する態様とはいえず,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 また,共通点(C)についても,口金部の長手方向の全体の長さの約1/4の外側寄りの長さ部分を段差状に縮径し,その縮径した部分の付け根部分に細帯状傾斜面を設け,細帯状傾斜面と外装管寄り端部との間に縦方向に切替え線を設けている態様についても,段差状に縮径し細帯状傾斜面を設けた口金は,他にも見受けられ,その特徴が両意匠のみに認められる態様とはいうことができず,口金部の態様が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 さらに,共通点(D)については,口金部の左右側面の端部には細い円柱状の接続端子を左右側面視上下中央に間隔を空けて水平状に2本を配している態様は,この種の蛍光灯の物品分野においては,ごく普通に見られる態様といえるものであって,形態的な特徴とはいえないことから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 (2)差異点 これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,まず,差異点(ア)の外装管内部の回路収容ケースが視認できるか否かの差異については,外装管内部に回路収容ケースが視認できる本願意匠は,その機能的な特性が分かり易く,機能的な印象を与えるものといえ,そのような回路収容ケースが外装管内部に視認できない引用意匠とは,需要者が取り付けの際,周方向から観察した場合に,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 次に,差異点(イ)の蛍光管の位置については,外装管の内部中央に設けられている態様のものが一般的で,多数見受けられるが,それらと比較した場合,本願意匠の蛍光管は明らかに下半部寄りであり,外装管の底面寄りに,外装管の下端内部に接するように設けられている本願意匠の態様は,一般的な態様のものとは視覚的な印象を異ならせるものであって,極めて特徴的なものといえ,また,蛍光管の位置は使用時に需要者の関心を惹く部分であるから,この点が明確でない引用意匠とは,需要者に与える印象が異なるものといわざるを得ず,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 また,差異点(ウ)の反射板の態様について,部分的な特徴であり,引用意匠の反射板の具体的な取り付け態様が必ずしも明確ではないが,本願意匠の蛍光管と回路収容ケースの間に回路収容ケースに接するように凸弧状に反射板が設けられ,正面視すると外装管の下半部寄りに細帯状に左右両端部まで設けられている態様は,差異点(ア)の外装管内部に回路収容ケースが視認できるか否かの差異と相俟って,その差異を無視することができず,両意匠の外装管内部の印象が異なるもので,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。 さらに,差異点(エ)の口金部の切替え線の位置については,細部に係る態様ではあるが,外装管寄りに切り替え線がある本願意匠は,口金部の中央部が広い印象を与えるものといえ,細帯状傾斜面寄りに切り替え線がある引用意匠とは,その印象が異なるものといえるものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。 (3)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-04-28 |
出願番号 | 意願2015-27374(D2015-27374) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 清水 玲香 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
正田 毅 斉藤 孝恵 |
登録日 | 2017-05-26 |
登録番号 | 意匠登録第1579260号(D1579260) |
代理人 | 小林 正樹 |