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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1327957 
審判番号 不服2016-17507
総通号数 210 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-24 
確定日 2017-05-15 
意匠に係る物品 電気コネクタ 
事件の表示 意願2015- 13718「電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする平成27年(2015年)6月22日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電気コネクタ」とし,その形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分と,その他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである。(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとし,その拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(意匠公報発行日:平成22年(2010年)8月30日)に掲載された意匠登録第1395773号(意匠に係る物品,電気コネクタ)の意匠の本願意匠に相当する部分の意匠であって,その形態は,同公報の図面に記載されたとおりのものである。(以下,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用部分」といい,本願部分と合わせて「両部分」という。)(別紙第2参照)

第3 当審の判断
本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するか否か,すなわち,本願意匠が,引用意匠に類似するものであるか否かについて,以下,検討する。
1.両意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,雄側の電気コネクタを内部に挿入して嵌合させる雌側の「電気コネクタ」であり,意匠に係る物品は,一致する。

(2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分は,全体を厚みの薄い略横長長方形の板状とする電気コネクタの平面視において左右両端寄りを除く上側の板と下側の板の表面と内面,及び左右両側の板の内側の雄側のコネクタを嵌合する部分を,意匠登録を受けようとする部分としたものであり,引用部分は本願部分に相当する部分であることから,両部分の用途並びに位置,大きさ及び範囲は共通する。
一方,両部分の機能については,本願部分は,平面視において上側の板の右端の雄側の電気コネクタと接する部分に垂下させた辺及び下側板の右側に略コ字状の切り欠きを設けて,雄側の電気コネクタの誤嵌合を防ぐ機能を持たせているのに対し,引用部分には,上側の板の雄側の電気コネクタと接する部分に垂下させた辺や下側の板に切り欠きがなく,雄側の電気コネクタの誤嵌合を防ぐ機能がないことから,両部分の機能は相違する。

(3)両部分の形態
両部分の形態については,主として,以下の通りの共通点及び差異点がある。
(3-1)共通点
両部分は,基本的構成態様として,上側の板の一点鎖線より下の横長の略コ字状の板(以下,「上側板部」という。)と,略縦長長方形状の下側の板(以下,「下側板部」という。)及び左右両側の端部の略長方形の板によって開口部を構成した態様において共通する。
また,両部分は,具体的構成態様として,上側板部において,開口部側の内側に向けた舌状片を複数設けた態様が共通する。
(3-2)相違点
具体的構成態様として,
(A)本願部分の上側板部の右端の面を,左端の面よりやや大きくし,開口部側に段差を設けて左右非対称の形状としているのに対し,引用部分の上側板部の左右の端の面は略四角形状の左右対称の形状としている点,
(B)本願部分の上側板部の右端の内側において,開口部内側に向かって垂下させた片を設けた態様としているのに対し,引用部分の上側板部の左右の面はいずれも平坦なものとし,左右対称の形状としている点,
(C)本願部分の上側板部の両端の面の付け根部分の略U字形状の切り欠きは,右側の切り欠きを左側のものよりやや大きくしたもので,右側の略U字形状の切り欠きには横向きの小さな切り欠きがあるのに対し,引用部分の両端の面の付け根部分の切り欠きは,同じ大きさで左右対称の略U字形の切り欠きとしたもので,横向きの小さな切り欠きはない点,
(D)本願部分の下側板部の開口部側辺に,略コ字状の切り欠きが設けられているが,引用部分の下側板部の開口部側辺には切り欠きがない点,
において主に相違する。

2.両意匠の類否判断
(1)両意匠の意匠に係る物品,部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価
両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の用途並びに位置,大きさ及び範囲は共通するが,この種の電気コネクタの分野において,本願出願前からありふれたものであって,両部分のみの特徴とは認められず,両部分の類否判断を決定づけるまでには至らないものである。
一方,本願部分が,雄側の電気コネクタと接する部分に垂下させた辺や下側板に切り欠きを設けて,雄側の電気コネクタの誤嵌合を防ぐ機能を持たせているのに対し,引用部分には,上側の板に雄側の電気コネクタの誤嵌合を防ぐ機能をもたせていない相違は,需要者にとって,誤嵌合を防ぐために関心の高い機能であることから,類否判断に一定程度の影響を与えるものである。

(2)両部分の形態についての共通点の評価
両部分の横長の略コ字状の上側板部と,略縦長長方形状の下側板部及び左右両側の端部の略長方形の板からなる基本的構成態様の共通点については,部分意匠全体としてみた場合には,この種の電気コネクタの分野において,ありふれた態様といえるもので,格別目立つ態様とはいえず,具体的構成態様に係る上側板部複数設けられた舌状片の態様の共通点についても,ありふれた態様であるから,これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。

(3)両部分の形態についての相違点の評価
一方,相違点(A)の上側板部の右端の面の大きさの違いと段差の有無の相違は,需要者が雄側の電気コネクタを挿入する際に,誤嵌合を防止するために注視して観察することから,上側板部の左右の面の大きさを変え,段差を設けて非対称としたことは,見る者に異なる印象を与え,両部分の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。
次に,相違点(B)の上側板部の右端に開口部内側に向けて垂下させた片があるか否かの態様の相違及び相違点(C)の上側板部の略U字形の切り欠きの相違は,目立つ部位の相違ではないが,雄側のコネクタを表と裏を誤って嵌合させたとしても完全には挿入できない態様としたもので,電気コネクタの誤嵌合に気付かせるものであるから,需要者が感心をもつ部位であることから,これらの相違は軽視することができず,両部分の類否判断に一定程度の影響を及ぼすものである。
そして,相違点(D)の下側板部の略コ字状の切り欠きの有無の相違は,略コ字状の切り欠きそのものは,ありふれた態様であるが,雄側の電気コネクタの嵌合面を確認できる部位であることから,相違点(B)及び相違点(C)と相俟って,需要者に異なる印象を与えるものであり,両部分の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。

そうすると,上側板部の右端の面の大きさの違いと段差の有無の相違点(A)に,上側板部の右端面に垂下させた片があるか否かの相違点(B)及び上側板部の略U字形の切り欠きの相違点(C),下側板部の略コ字状の切り欠きの有無の相違点(D)が相俟った視覚的効果を考慮すると,これら相違点の印象は,共通点の印象を凌駕して,両部分は,部分意匠全体として視覚的印象を異にするというべきである。

(4)小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両部分の部分意匠としての用途並びに位置,大きさ及び範囲が共通するものであるが,両部分の機能及び両部分の形態において,相違点が共通点を凌駕し,それらが両部分の部分意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するものとはいえないので,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-04-28 
出願番号 意願2015-13718(D2015-13718) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 斉藤 孝恵
正田 毅
登録日 2017-05-26 
登録番号 意匠登録第1579492号(D1579492) 
代理人 布施 哲也 
代理人 野間 悠 
代理人 塚原 憲一 
代理人 長谷川 芳樹 
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