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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 J7
管理番号 1329144 
審判番号 不服2016-18225
総通号数 211 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-07-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-05 
確定日 2017-05-22 
意匠に係る物品 温熱治療具 
事件の表示 意願2015- 1954「温熱治療具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,意願2015-1953号を本意匠とする平成27年(2015年)2月2日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「温熱治療具」とし,その形態を願書及び願書に添付された写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。

この意匠登録出願に係る温熱治療具や温熱パッドなどの分野において,粘着部分のパターンをしま模様状や波模様状,格子状等種々の態様に置き換えたり,また,しま模様も縦や横に置き換えたりすることは,本願出願前より極普通に行われているのでありふれた手法であり(意匠1,意匠2),この意匠登録出願の意匠は,本願出願前に公然知られた形状と認められるカイロ(温熱パッド)の意匠(意匠3)の片面に,公然知られた温熱治療具の粘着部分のしま模様状(意匠1)をありふれた手法を用いて設けたうえで,ごく普通の透明の剥離シートで被覆したに過ぎないので,容易に創作できたものと認められる。

意匠1 (別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1065300号の意匠

意匠2 (別紙第3参照)
特許庁発行の公開実用新案公報記載
昭和62年実用新案出願公開第157521号

意匠3 (別紙第4参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1207734号の意匠

3.請求人の主張の要旨
(1)本願意匠の要旨
本願意匠は,意匠に係る物品を「温熱治療具」とするものであり,その構成態様は次のとおりである。
(i)全体を正面視略横長隅丸矩形状としたシート材において,左右部のそれぞれ略中央部に発熱体部を大きく備え,正面部に縦方向の帯状粘着部と非粘着部(基布部)が交互に表れるように縞模様状部を形成して,その上に左右部のそれぞれを覆うように透明剥離シート部を重ねて形成した上で,正面部が表側になるように長手方向中央部で2つ折りにしている。
(ii)開いた状態の正面部に形成した粘着部と非粘着部(基布部)からなる縞模様状部について,左右両端部から中央部に向かっては,相対的に幅太の粘着部と幅細の非粘着部(基布部)が交互に表れるように形成して,一方で,折曲げ部(開いた状態の左右方向中央部)においては,該縞模様状部の非粘着部の約2倍幅で非粘着部(基布部)を表している。
(iii)左右それぞれの剥離シート部は,温熱治療具本体部外縁形状と略同一に,折曲げ部側の角を略直角状とし,他端部(正面視左方及び背面視右方)側の角を略隅丸状とした片側略隅丸矩形状をなしている。
(iv)帯状粘着部について,温熱治療具本体部の縦方向の全体を通して,すなわち上端部から下端部に亘って形成している。
(v)剥離シート部は,折曲げ部側の端部において,上下に亘って基布部から浮き上がった突出部を形成している。

(2)拒絶理由として通知された意匠の要旨
(2-1)引用意匠1
引用意匠1は,「温熱治療具」に係るものであり,その構成態様は次の通りである。
全体を横長隅丸矩形状のシート材として,中央部に発熱体を大きく形成し,正面部に,横長帯状の粘着部と非粘着部を,その幅の比がおよそ2:1になるように交互に連続させている。
(2-2)引用意匠2
引用意匠2の意匠は,「粘着固定式使い捨てカイロ」に係るものであり,その構成態様は次の通りである。全体を横長矩形状のシート材として,中央部の広い部分を断面扁平略六角形状の発熱体部として表し,正面部に縦方向に帯状の粘着部を形成して,非粘着部と交互に連続させている。
そして,粘着部を物品正面部の上端部及び下端部に余白部を形成するように配して,
(i)一の実施形態では,粘着部と非粘着部の幅の比をほぼ同幅として,3本の粘着帯部を形成して,
(ii)また,別の実施形態では,非粘着部よりも細幅の帯状粘着部を10本形成して,
(iii)さらに別の実施形態では,非粘着部よりも細幅の帯状粘着部を波状に5本形成している。
(2-3)引用意匠3
引用意匠3の意匠は,「カイロ」に係るものであり,その構成態様は次の通りである。
全体を正面視で僅かに横長の略隅丸矩形状としたシート材において,左右部のそれぞれ略中央部に発熱体部を大きく備え,背面部の左右部のそれぞれ中央部に粘着部を大きく形成して,外周部と横方向中央部が一つながりとなるように非粘着部を表した上で,背面部が表側になるように長手方向中央部で2つ折りしている。また,それぞれの発熱体部について断面略扁平台形状として,さらに,外周部及び折り返し部において固着部を平坦部として形成している。

(3)本願意匠の創作非容易性について
(3-1)本願意匠が独自の創作を実現していることについて
本願意匠は,正面視略横長隅丸矩形状のシート材を中央部分で2つ折りにした上で,折曲げ部において一対の剥離シート部のそれぞれが大きく突出部を表す特徴的構成を形成している。
そのために,本願意匠は,粘着部の配し方にも独自の造形的工夫を表している。すなわち,本願意匠は,帯状粘着部と非粘着部(基布部)が交互に連続するように備えて縞模様状部をなしているが,この帯状粘着部は,開いた状態の正面部の上端部から下端部に亘って形成している。また,本願意匠は,粘着部と非粘着部(基布部)がなす縞模様状部について,開いた状態の左右両端部から中央部に向かっては,相対的に幅太の粘着部と幅細の非粘着部(基布部)が交互に表れるように形成しているのに対して,中央折曲げ部においては,該縞模様状部の非粘着部の約2倍幅で非粘着部(基布部)を表している。また,本願意匠は,透明剥離シートについて,一定以上の硬さを有する素材を用いて形成している。それにより,本願意匠は,2つ折りの状態の折曲げ部側の端部において,剥離シート部が上下に亘って基布部から浮き上がった構成をなす。
つまり,本願意匠は,開いた状態の中央部の非粘着部を幅広に形成することと,剥離シートに所定の硬さの素材を用いたことで,剥離シートについて摘み片となるように浮き上がらせて,大きな突出部を実現した意匠である。そして,本願意匠は,上記した通り,帯状粘着部を物品の縦方向いっぱいに亘るように形成することで,剥離シートが折り返し部以外ではほとんど浮き上がらない貼着状態を示して,その結果,折り返し部のみで大きく突出する構成を強調している。
この構成は,本願意匠が全体をコンパクトな形態として,収納と持ち運びやすさの利便を図った上で,使用時に需要者が突出部を摘んで容易に剥離シート部を剥がすことができ,患部への貼付をスムーズに行えるようにした創作が実現したものである。その結果,本物品の使用に際し,需要者は適切な摘み位置である突出部を容易に視認することができ,左右どちらの手でも簡単に剥離シートを摘んで剥がすことができる製品を実現している。
(3-2)本願意匠が従来意匠から容易に導かれないことについて
原審の拒絶査定では,折曲げ部に形成した非粘着部の幅について,「折りたたんで収納するタイプの温熱治療具の折りたたみ部には,意匠3に見られるように粘着部を設けないのが一般的であって,そうすると,結果として,折曲げ部の非粘着部は縞模様状部の非粘着部よりも幅広となることが普通であ」るとの認定・判断がなされている。
しかしながら,2つ折りタイプの温熱治療具等がその折曲げ部を非粘着部とするとは限らず,たとえ折曲げ部を非粘着部として形成するとしても,その幅を非粘着部よりも広く形成することが「普通」であることについては,特に先行意匠等は挙げられておらず,また,当業者が当然に思い付くことの証左もない。
特に,意匠3は,発熱性粉体部に対応するように,広げた状態の左右部のそれぞれ中央部に大きく粘着部を配した意匠であって,折曲げ部付近の非粘着部を粘着部よりも幅広に形成する意匠の例を示すものではない。さらにいえば,意匠3として引用されたカイロの意匠は,粘着部を剥離シートで保護するものではなく,そのまま包装用袋に収容して保護する意匠である。よって,意匠3は,本願意匠における,物品表面を保護しながら使用者の摘み易さも考慮した剥離シートを備えることを前提とした意匠ではなく,本願意匠の創作に当って直接のヒントになるものではない。
実際に創作の現場では,仮に2つ折りの温熱治療具の意匠において,折曲げ部を非粘着部とする場合であっても,その具体的な幅はそれぞれの意匠の創作目的に基づいて決定されるものである。そうした場合,本願意匠は,使用者が摘み易いような十分な大きさの突出部として剥離シートを浮き上がらせるために,折曲げ部の非粘着部を縞模様状部の非粘着部の約2倍の幅の大きさに形成したものであるところ,その創作を示唆する先行意匠は存在しない。たとえば,原審で挙げられた意匠1及び意匠2は,粘着剤部として種々の縞模様を配する意匠があることを示す例にはなるものの,本願意匠の具体的な縞模様部の構成がありふれた手法によって表されたデザインであることを示す例にはならない。すなわち,本願意匠は,意匠1の縞模様をそのまま配したものでないことはもちろん,原審において「ありふれた手法」の例として示された意匠1及び意匠2からも直接導くことができない創作である。よって,本願意匠における折曲げ部の非粘着部の構成について,「公然知られた温熱治療具の粘着部分のしま模様状(意匠1)をありふれた手法(意匠1及び意匠2)を用いて設けた」と認定し,本願意匠独自の創作ではないとした原審の判断は誤りである。
実際に,従来意匠例を参照すると,この種物品の剥離シート部の形状としては,従来から温熱治療具本体部の外縁に沿って全体的に貼着されるものが知られている。さらに,一対ないし複数の剥離シート部を備えた意匠も,従来から存在している。しかしながら,本願意匠のように,折り返し部のみに大きく突出部を形成する剥離シート部を備えた温熱治療具の意匠は従来に見当たらず,仮に,原審で挙げられた意匠3に従来意匠の剥離シート部と粘着部の配し方を組み合わせたとしても,折曲げ部側の端部に上下に亘って基布部から大きく浮き上がる突出部を表した意匠には容易に想到しない。また,開いた状態で,左右部においては一定間隔で連続する縞状部を表しながら,中央部でのみ幅広の非粘着部を配する本願意匠の構成についても,その創作のヒントとなる先行モチーフは存在しない。
さらに,原審が認定したように,シート材の折り返し部付近で剥離シートの端部が浮くことが自然だとしても,剥離シートの全周におけるどの部分を浮かせるか,また,どの程度の幅を浮かせるのかは粘着部の範囲や剥離シートの素材の選択によって変わるものであり,そのデザイン表現には商品の企画・目的に沿った創作が働くものである。そうした場合,本願意匠は,折りたたむ向き(本願意匠であれば横方向)に対して垂直の向き(本願意匠であれば縦方向)で物品いっぱいに亘る帯状粘着部を形成して,所定の硬さの剥離シートを採用することで,折曲げ部付近においてのみ剥離シートが浮き上がる構成とし,また,その折曲げ部において正面側から背面側にかけて十分な幅の非粘着部として表すことで,折曲げ部近傍で剥離シート部が基布部から浮き上がって突出した摘み片部として目立つように形成したものであり,従来に見られない独自の創作を表したものといえる。
本願意匠は,上述の通り,透明剥離シートが大きく浮き上がった摘み片部を形成するために,粘着部の上下端部の位置を決め,また,粘着部と非粘着部(基布部)がなす縞模様部を開いた状態の左右部に形成しつつも,折曲げ部に相当する部分の非粘着部を幅広にする構成を表現したものである。これは,請求人が,本願意匠に係る商品の需要者として手先の取り扱いや視認において難があることが多い高齢者等を想定した上で,その特有の背景を踏まえて,造形面での課題の解消に取り組んだ成果が表れたものである。実際に,本願意匠に係る商品パンフレットにおいては「お客様の要望にお応えして,フィルムがさらに剥がしやすくなりました。」の案内を記載して,商品の使い勝手について訴えている。
このように,本願意匠は,温熱治療具の分野において,従来に見られないデザイン構成によって新たな使い勝手を実現して,この創作によって従来品と比べて商品価値をさらに高めたものである。すなわち,本願意匠の創作は当業者が誰でも実現できたものではなく,競争の厳しい温熱治療具の業界において,より優位な商品となる意匠を世に出そうとする企業努力によって実現できたものである。
以上をまとめると,本願意匠は,従来意匠には見られない「折曲げ部のみで大きく突出した摘み片部」という構成を備えた意匠であって,かかる突出部を形成するために,帯状粘着部の配置に工夫を表し,開いた状態における左右の縞模様状部と中央の非粘着部の構成について,独自のデザイン表現を行ったものといえる。そして,その結果,本願意匠は意匠全体として,従来の温熱治療具の意匠から飛躍した新規な美感を呈する意匠を実現している。

4.当審の判断
本願意匠が,当業者であれば,容易にその意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。
(1)本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「温熱治療具」とし,全体を,薄いシート状の基布部(以下,「基布部」という。)を2つ折りにし,背面視において右側の上下端部を大きく隅丸状とした略D字状の略縦長長方形状としたものである。正背面視の縦横比を約5:4とし,正背面視して周囲に厚みの薄い帯状の縁部(以下,「縁部」という。)を設け,縁部の内側である中央部をやや肉厚とし,正背面に基布部の外形と同形状の透明な剥離シートが設けられている。基布部の正背面には縦方向に帯状の粘着部(以下,「帯状粘着部」という。)が4本ずつ上下端部まで設けられ,帯状粘着部と略メッシュ状の基布部が交互に表れ,正面視において基布部の横幅を約1とすると帯状粘着部の横幅は,右から3本の横幅が約1.75で左側端部の横幅が約2.25の縦縞模様を構成し,2つ折りに折れ曲がる部分は正背面とも横幅を約1とする基布部が表れている。剥離シートは,2つ折りに折れ曲がる部分において,端部側の縦辺が正背面側に僅かに浮いた状態となっている。また,基布部全体を開いた状態において,全体が隅丸略横長長方形状となり,帯状粘着部のない内側面において縁部の内側にやや肉厚の中央部が隅丸略縦長長方形状に左右対称に2個表れるものである。
(2)原査定の拒絶の理由の引用意匠
(ア)意匠1
意匠1は,意匠に係る物品を「温熱治療具」とし,全体を隅丸略横長長方形状としたもので,正背面側の周囲に厚みの薄い帯状の縁部を設け,縁部の内側である中央部をやや肉厚とし,背面側において縁部の内側である肉厚の中央部が横長長方形状に表れるものである。正背面視の縦横比を約1:1.3とし,基布部の正面側には横方向に帯状粘着部が5本設けられ,帯状粘着部と略メッシュ状の基布部が交互に表れ横縞模様を形成している。帯状粘着部は,その縦幅が基布部の縦幅を1とすると約2倍である。
(イ)意匠2
意匠2は,考案の名称を「粘着固定式使い捨てカイロ」とし,左右に厚みの薄い帯状の縁部を縦方向に設けたもので,第3図ないし第5図に短手方向に帯状粘着部が表されている。第1図,第2図,第7図,第8図には本体部の正面側のほぼ全体を覆う大きな幅広い粘着部が表されている。第3図には,上下に余地部を設けて中央と左右に3本の帯状粘着部が表されている。第4図には,上下に僅かに余地部を設けて10本の細い帯状粘着部が縦縞状に表されている。第5図には,上下に余地部を設けて5本の波状の帯状粘着部が表されている。第6図には,縦方向に4本横方向に5本の格子状に粘着部が表されている。
(ウ)意匠3
意匠3は,意匠に係る物品を「カイロ」とし,全体を,薄いシート状のカイロ本体を2つ折りにし,折り曲げ部以外の3辺で保護シート材を密封状にシールし包装したカイロであって,平面視において右側の上下端部を隅丸状とした略D字状の略縦長長方形状としたものである。カイロ本体も平面視において右側の上下端部を隅丸状とした平面視略D字状の略縦長長方形状とし,カイロ本体の平面視の縦横比を約5:3とし,カイロ本体を平面視して周囲に厚みの薄い帯状の縁部を設け,縁部の内側である中央部をやや肉厚としている。カイロ本体の平底面には周囲の縁部以外を粘着部としている。カイロ本体を開いた状態において,全体が隅丸横長長方形状となり,縁部の内側である肉厚の中央部が隅丸縦長長方形状に左右対称に2個表れるものである。
(3)創作容易性の判断
まず,この種の温熱治療具の物品分野においては,帯状粘着部と略メッシュ状の基布部が交互に表れ縞模様を形成し,その帯状粘着部の幅が基布部の幅を1とすると約2倍であるものは,意匠1に見られるように,本願出願前より既に見られる公然知られた態様といえるものである。
また,「粘着固定式使い捨てカイロ」においては,横長長方形状の短手方向に帯状粘着部が縦縞状に表されているものも,意匠2に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
そして,カイロ本体を2つ折りにし,片側の上下端部を隅丸状とした略D字状の略縦長長方形状とし,カイロ本体を開いた状態において,全体が隅丸横長長方形状となり,縁部の内側である肉厚の中央部が隅丸縦長長方形状に左右対称に2個表れるものも,意匠3に見られるように,本願出願前より既に見られる態様といえるものである。
しかしながら,意匠1に表されたものは,隅丸横長長方形状の基布部の長手方向に帯状粘着部が横縞状に表されており,本願意匠の態様とは異なり,また,意匠2に表された第3図の帯状粘着部は3本で,第4図の帯状粘着部は10本で,その本数や幅が異なり,いずれも帯状粘着部が上下端部に余地部を残して設けられているものであり,本願意匠の態様とは異なるものである。
意匠3は,折り曲げ部以外の3辺で保護シート材を密封状にシールし包装したカイロであって,カイロ本体の粘着部全体を保護シート材で覆ったものであって,本願意匠の剥離シートが帯状粘着部に沿って密着し,2つ折りに折れ曲がる部分において,端部側の縦辺が正背面側に僅かに浮いた状態となっているものとは異なるものである。
本願意匠の態様は,背面視において右側の上下端部を大きく隅丸状とした略D字状の略縦長長方形状で,丸みを帯びた態様が意匠1ないし意匠3のいずれとも異なり,また,本願意匠の帯状粘着部は正背面にそれぞれ4本ずつ上下端部まで設けられ,4本のうち背面視左側端部の横幅が基布部の約2.25倍の幅があり,これらの帯状粘着部と略メッシュ状の基布部が交互に表れ縦縞模様を形成しており,さらに2つ折りに折れ曲がる部分の正背面には基布部が表れており,意匠1の横縞模様を意匠2の帯状粘着部のように単に縦方向にしたとしても,本願意匠の態様を容易には導き出すことができないものである。本願意匠は,その具体的な態様が意匠1ないし意匠3のそれぞれの,いずれの態様とも大きく異なるものである。
そして,本願意匠のような剥離シートの態様は,意匠1ないし意匠3のいずれにも,他の意匠にも見当たらず,特徴的なものであって,独自の創作がなされているものといえ,当業者にとって,本願意匠の剥離シートの態様を容易に創出し得るものということはできない。
そうすると,本願意匠の形態は,特に帯状粘着部の具体的な態様や剥離シートの態様が,本願意匠の独特の態様といえるもので,当業者であれば容易に創作することができたものとはいうことができないものである。
よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,意匠1ないし意匠3に見られる,日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。

5.むすび
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,原査定の拒絶の理由によっては,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-05-09 
出願番号 意願2015-1954(D2015-1954) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 前畑 さおり久保田 大輔 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 須藤 竜也
斉藤 孝恵
登録日 2017-06-02 
登録番号 意匠登録第1580047号(D1580047) 
代理人 野間 悠 
代理人 布施 哲也 
代理人 布施 哲也 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 野間 悠 
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