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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1330159 
審判番号 不服2017-668
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-17 
確定日 2017-06-19 
意匠に係る物品 包装用缶 
事件の表示 意願2015- 29076「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)12月28日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用缶」とし,その形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,特許庁総合情報館が1990年4月12日に受け入れた外国雑誌「emballages」(1990年3月31日発行)の第12頁所載の「包装用缶」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HB02015950号)であり,その形態は,同頁に掲載されたとおりとしたものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。

1.共通点及び相違点の認定
(1)共通点の認定
意匠に係る物品については,両意匠ともに「包装用缶」であるから,共通する。
その形態については,主に,以下の(A)ないし(C)の点が共通する。
(A)全体について,周側面の上方を緩やかに膨らませ(以下,この膨らませた部分を「膨らみ部」という。),下方を正面視凹弧状に緩やかに縮径した(以下,この縮径した部分を「縮径部」という。)中空の略縦長円柱形状とし,
(B)全体の高さと上端の直径の比率を,約2.7対1とし,
(C)上端及び下端の縁部を,缶特有の巻き締め態様としたものである。

(2)相違点の認定
形態について,主に,以下の(a)ないし(d)の点が相違する。
(a)周側面の態様について,本願意匠は,膨らみ部を中間付近にかけて略直線状に漸次広がるものとし,膨らみ部の面と縮径部の面とが中間付近で切りかわるものであり,中間付近の直径を最も大きくしたものであるのに対して,引用意匠は,膨らみ部を凸弧状に湾曲したものとし,膨らみ部の面と縮径部の面とが正面視緩やかなS字状を描くように中間付近で滑らかに反転したものであり,上端から全体の高さの約4分の1下がった位置の直径を最も大きくしたものである。
(b)周側面の底部寄りの態様について,本願意匠は,略逆円錐台形の台座状の部分(以下「台座部」という。)を設けたものであるのに対して,引用意匠は,そのような台座部を設けていないものである。
(c)上下両端の直径の大きさについて,本願意匠は,下端の直径が上端の直径よりも小さいものであるのに対して,引用意匠は,下端の直径が上端の直径よりもやや大きいものである。
(d)上面の態様について,本願意匠は,上面略中央に開口用把持片を備えたものであるのに対して,引用意匠は,上面の態様が明らかでないものである。

2.共通点及び相違点の評価
以下,共通点及び相違点が存在する形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。
(1)共通点についての評価
共通点(A)の態様は,大まかに捉えた態様の共通点にすぎず,また,共通点(B)及び(C)もありふれた態様にすぎず,これらの共通点は,両意匠の類否判断を決するものとはいえない。

(2)相違点についての評価
相違点(a)の周側面の具体的な態様の相違は,周側面の広範囲におよび,全体の形状を特徴付けるものであり,本願意匠は全体の高さの中間付近に重心を置いたもの,他方の引用意匠は全体の高さの上方に重心を置いたもの,という印象においても異なり,両意匠のように周側面の広範囲を直径の大きさの変化によって特徴付けている意匠においては,その変化の態様こそが,視覚的な差別化を図る創作部分であり,需要者が注視する部分といえるから,相違点(a)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
相違点(b)の台座部の有無の相違は,周側面下端から全体の約12分の1上がった位置の縦幅における相違であるが,本願意匠の台座部が斜視図においても確認できる程度の高さを有し,相違点(c)とも相俟って,本願意匠の下端寄りは先細りした態様,引用意匠の下端寄りは裾広がりの態様,という逆の態様といえる程度に相違するものであるから,相違点(b)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。
相違点(c)の上下両端の直径の大きさの相違については,僅かな相違であるとしても,相違点(b)と相俟って,周側面下端寄りの態様を上述のとおり異にするものであるから,相違点(c)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。
相違点(d)の上面の態様の相違については,本願意匠の上面の態様が従来から見られる程度のものであるから,引用意匠の上面の態様が明らかでないとしても,相違点(d)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。

以上の相違点を総合すると,特に相違点(a)が,相違点(b)及び(c)と相俟って,その余の相違点(d)も加わり,両意匠について需要者に異なる印象,すなわち,本願意匠は,全体の高さの中間付近に重心をおくとともに,下方を絞って,全体としてスリムな印象,他方の引用意匠は,全体の高さの上方に重心をおきつつも,下方を裾広がりとし、下端の直径が上端の直径よりもやや大きいため,安定感のあるどっしりとした印象を需要者に与えるから,これらの相違点は,両意匠の類否判断を決するものといえる。

3.類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通するものの,両意匠の相違点が相俟って生じる視覚的効果は,両意匠の共通点のそれを凌駕するものであって,需要者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-06-06 
出願番号 意願2015-29076(D2015-29076) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 鶴田 愛 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 江塚 尚弘
正田 毅
登録日 2017-07-07 
登録番号 意匠登録第1582442号(D1582442) 
代理人 野間 悠 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 布施 哲也 
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