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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 F3
管理番号 1330163 
審判番号 不服2017-2002
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-02-10 
確定日 2017-06-26 
意匠に係る物品 写真プリント用紙 
事件の表示 意願2016- 13158「写真プリント用紙」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,平成28年(2016年)6月21日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「写真プリント用紙」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。

従来からこの種物品分野においては,全体形状を長方形の平板状とすることはごく普通に行われていることであり(例えば意匠1,意匠2参照),また正面の四辺に沿って画像枠を囲むように縁を設けることや(例えば,意匠3,意匠4参照),この縁幅を各辺で異なる幅としたり,長手辺沿いの縁幅を最も幅広としたりすることも(例えば,意匠5,意匠6参照),従来からごく普通に行われていることである。
本願意匠は,全体形状を長方形の平板状とし,画像枠をありふれた縦長長方形のものとして,用紙の長手辺沿いの縁幅を最も広く取って横一列に4つ並べた程度に過ぎないので,当業者であれば容易に創作出来たものと認められる。

意匠1(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1411909号の意匠
(意匠に係る物品:写真プリント用紙)

意匠2(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1422302号の意匠
(意匠に係る物品:写真プリント用紙)

意匠3(別紙第4参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1357006号の意匠
(意匠に係る物品:写真プリント用紙)

意匠4(別紙第5参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1357007号の意匠
(意匠に係る物品:写真プリント用紙)

意匠5(別紙第6参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1515790号の意匠
(意匠に係る物品:写真プリント用紙)

意匠6(別紙第7参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1515791号の意匠
(意匠に係る物品:写真プリント用紙)

3.請求人の主張の要旨
(1)本願意匠に係る物品の形態
本願意匠に係る物品は,上記したように「写真プリント用紙」であり,本願意匠に係る物品の形態は,次のとおりである。
(ア)基本的構成態様について
本願意匠に係る物品の形態の基本的構成態様は,全体として,横長の長方形形状の外枠形状を有し,内部に複数の画像枠が設けられている点にある。
(イ)具体的構成態様について
本願意匠に係る物品の形態の具体的構成態様としては,以下の点が挙げられる。
(イ-1)横長の長方形形状(外枠)
本願意匠に係る物品の形態は,本願の意匠に係る物品の説明に記載したように,そのサイズは,縦約61.5mmおよび横約152mmである。
(イ-2)相互に隙間を空けた4つの画像枠
この外枠の中に,相互に隙間を空けて4つの画像枠が設けられている。
(イ-3)上側の縁の上下幅よりも下側の縁の上下幅の方が大きい
画像枠の上側の縁の上下幅よりも下側の縁の上下幅の方が大きく設けられ,下側の縁には,使用状態を示す参考図に示すように,様々な情報の印刷を可能としている。
(イ-4)左から1番目および2番目の画像枠が同じ大きさ
左から1番目および2番目の画像枠は同じ大きさで,縦横の比率は,約1.3:1である。この画像枠は,使用状態を示す参考図に示すように,通常,使用者のアップ画像の印刷に適した枠の大きさとなる。
(イ-5)左から3番目および4番目の画像枠が同じ大きさ(1,2番目と相違)
左から3番目および4番目の画像枠は同じ大きさで,縦横の比率は,約1.6:1である。左側に位置する画像枠と比較すると,上側および下側の辺の位置は同じですが,細長い比率の画像枠の形態であり,この画像枠は,使用状態を示す参考図に示すように,通常,使用者の全身画像の印刷に適した枠の大きさとなる。
(2)各引用意匠に表れる形態
(ア)引用意匠1
引用意匠1には,横長の外枠形状を有する用紙(縦約41mm,横約152mm)に,中央のミシン目を挟んで左右にそれぞれ,実線により区画された合計8つの画像枠が設けられている。8分割された画像枠の内左側の6つの画像と,右側の2つの画像とは異なる縦横比となっている。
(イ)引用意匠2
引用意匠2には,横長の外枠形状を有する用紙(縦約41mm,横約152mm)に,中央のミシン目を挟んで左側には一つの横長の画像枠,右側には若干中央のミシン目寄りに設けられ,実線により区画された合計6つの画像枠が設けられている。6分割された画像枠はそれぞれ同じ大きさである。
(ウ)引用意匠3
引用意匠3には,正方形の外枠形状を有する用紙(縦横約127mm)に,正方形の画像枠が設けられ,右側辺および底辺に沿って合計11個の正方形の小さい画像枠が実線により区画されている。
(エ)引用意匠4
引用意匠4には,正方形の外枠形状を有する用紙(縦横約127mm)に,正方形の画像枠が設けられ,この画像枠は4×4個の正方形の画像枠に実線により区画されている。さらに,下辺に沿って位置する左から2番目と4番目の画像枠はそれぞれ2×2の小さい画像枠に実線により区画されている。
(オ)引用意匠5
引用意匠5には,横長の外枠形状を有する用紙(縦約76mm,横約116mm)に,横長の長方形の画像枠が,上側の縁の上下幅よりも下側の縁の上下幅の方が小さく設けられている。画像枠は,左側に上下に縦長の枠,右側に高さが等しく上下2段,それぞれ横方向に3分割された枠が,実線により区画されている。
(カ)引用意匠6
引用意匠6には,横長の外枠形状を有する用紙(縦約76mm,横約116mm)に,横長の長方形の画像枠が,上側の縁の上下幅よりも下側の縁の上下幅の方が小さく設けられている。画像枠は,左側に上下に縦長の枠,右側に幅が等しく3分割され,上下の高さが異なるように上下2段に区画された枠が,実線により区画されている。
(3)本願意匠に係る物品の形態の創作非容易性の判断
(ア)拒絶査定の判断1
拒絶査定には,まず,『意見書「3(1),3(2-1)」で主張された用紙の縦横比の点については,例示した引用意匠1や同2より太幅で,引用意匠5や同6よりも細幅の,例えば特開2005-161656号の図9に記載の大判用紙や,登録第1458718号意匠等にもみられるとおり特に新規なことなく』と記載されている。
しかし,本願意匠の用紙と同一サイズの用紙を記載する引用意匠はなく,明らかに本願用紙のサイズは,新規なサイズである。さらに,この種の分野において,写真プリント用紙のそのものの大きさに対して,需要者は十分な注意を払うことから,本願意匠に係る物品を製造したり販売する業界の当業者は,当然に需要者が注意を払う観点に立って本願意匠に係る物品の創作を行なう。したがって,本願意匠の用紙のサイズを選択した点に十分な創作的価値を見出すことができる。
(イ)拒絶査定の判断2
次に,拒絶査定には,『画像枠を4つ設けた点については,画像枠が横一列に並べられる中にあっては,単なる数の選択に過ぎないものであり』と記載されている。
しかしながら,拒絶理由通知で挙げられた6つの引用意匠,および,拒絶査定で挙げた,特開2005-161656号の図9,および,登録第1458718号意匠のいずれにも,『画像枠を4つ設けた』意匠の開示はありません。したがって,単なる数の選択に過ぎないものである,ということはできず,画像枠を4つ設けた点に十分な創作的価値を見出すことができる。
(ウ)拒絶査定の判断3
次に,拒絶査定には,「(意見書)『3(2-3)』の上下の縁幅比が引用意匠5や同6の縁幅比と逆転している旨の主張は,参考図に表されているような画像印刷された状態を前提とした主張であって,画像枠のみが表された意匠に基づくものではなく,」と記載されている。
しかしながら,本願意匠の正面図には,明らかに画像枠の上側の縁の上下幅よりも下側の縁の上下幅の方が大きく設けられている形態が表れており,出願人の主張は,『参考図に表されているような画像印刷された状態を前提とした主張』ではない。
画像枠の上側の縁の上下幅よりも下側の縁の上下幅の方が大きく設けられている形態を採用している点にも,十分な創作的価値を見出すことができる。
(エ)拒絶査定の判断4
次に,拒絶査定には,『(意見書)「3(2-4),3(2-5)」のうち,画像枠の縦横比については,引用意匠1や同5の参考図における上半身像と全身像を表す画像枠に見られる縦横比と大差がありませんので,それぞれ従来例に比して格別の創作がなされたものとはいえず,画像枠の左2つと右2つが異なる大きさのものとして配置されている点も,美的創作の観点から特に意味のあるものとして表されたものと認めることは出来ません』と記載されている。
しかしながら,引用意匠1は,横長の外枠形状を有する用紙(縦約41mm,横約152mm)に,中央のミシン目を挟んで左右にそれぞれ,実線により区画された合計8つの画像枠が設けられ,8分割された画像枠の内左側の6つの画像と,右側の2つの画像とは異なる縦横比となっており,この形態から,本願意匠の形態の左2つと右2つが異なる大きさの画像枠を創作することはできない。
また,引用意匠5は,横長の外枠形状を有する用紙(縦約76mm,横約116mm)に,横長の長方形の画像枠が,上側の縁の上下幅よりも下側の縁の上下幅の方が小さく設けられ,画像枠は,左側に上下に縦長の枠,右側に高さが等しく上下2段,それぞれ横方向に3分割された枠が,実線により区画されており,この形態から,本願意匠の形態の左2つと右2つが異なる大きさの画像枠を創作することはできない。
本願意匠の形態の左2つと右2つが異なる大きさの画像枠を創作している点に,十分な創作的価値を見出すことができる。
(4)意匠審査基準
意匠審査基準の創作非容易性の欄には,容易に創作することができる意匠と認められるものの例(第2部第3章23.5)として,「(a)置換の意匠(23.5.1)」,「(b)寄せ集めの意匠(23.5.2)」,「(c)配置の変更による意匠(23.5.3)」,「(d)構成比率の変更又は連続する単位の数の増減による意匠(23.5.4)」,「(e)公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合をほとんどそのまま表したにすぎない意匠(23.5.5)」,および「(f)商慣行上の転用による意匠(23.5.6)」の6類型が例示されている。
しかしながら,いずれの類型を引用意匠1から6,特開2005-161656号の図9,および,登録第1458718号意匠に適用したとしても,本願意匠に係る物品の形態にはならない。
(5)結論
以上の次第で,本願意匠に係る物品の形態は,上述の「(1)(ア),(イ)」に記載の形態を備えていることを特徴としており,この特徴は,上記引用意匠1から6,特開2005-161656号の図9,および,登録意匠第1458718号のいずれの意匠の形態からも容易に創作できるものではなく,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当するものではないと確信する。

4.当審の判断
本願意匠が,当業者であれば,容易にその意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。
(1)本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「写真プリント用紙」とし,その形態は,全体を正面視横長長方形状の写真プリント用の薄い用紙とし,用紙全体の正面視の縦横比を約1:2.5としたもので,正面側に4つの縦長長方形の画像枠(以下,「画像枠」という。)を横1列に配したものである。正面において,画像枠は用紙のやや上側寄りに設けられ,上下及び左右に余白部を設けたもので,上側の余白部は用紙の縦の長さの上から約1/20の位置までの細幅で,下側の余白部は用紙の縦の長さの下から約1/5の位置までの太幅で,左右の余白部は用紙の縦の長さの約1/7程度の幅で上側の余白部より太幅で下側の余白部より細幅であり,各画像枠同士の間にも上側の余白部よりは細幅の隙間が設けられている。各画像枠は4つとも同じ高さで等間隔に並列し,左側の2つの画像枠は,その縦横比が約1.3:1でやや太幅で,右側の2つの画像枠は,その縦横比が約1.6:1でやや細幅である。
(2)原査定の拒絶の理由の引用意匠
(あ)意匠1
意匠1は,意匠に係る物品を「写真プリント用紙」とし,用紙全体の正面視の縦横比を約1:3.7としたもので,正面の左右中央に縦方向にミシン目を施し,正面側に大きな2つの横長長方形の枠を配し,その枠に上下2段の画像枠を4つずつ,合計8つの画像枠を配したものである。正面において,2つの横長長方形の枠は用紙のやや右側寄りに設けられ,2つの横長長方形の枠の上下及び左右に余白部を設けたもので,上下の余白部と右側寄りの余白部は細幅で,中央及び左側の余白部は太幅で,ミシン目を挟んで同様の余白部が左右に表され,切り離した場合に左右が同形同幅となるものである。2つの横長長方形の枠の内側の8つの画像枠において,各画像枠同士には隙間が設けられておらず,8つの画像枠の各画像枠は上下が同じ大きさで,上下4つの画像枠の高さが同じで,そのうち左側の上下3つずつの計6つが正方形で右側の上下2つが縦長長方形で細幅である。
(い)意匠2
意匠2は,意匠に係る物品を「写真プリント用紙」とし,用紙全体の正面視の縦横比を約1:3.7としたもので,正面の左右中央に縦方向にミシン目を施し,正面側に大きな2つの横長長方形の枠を配し,その枠に左側はそのままの大きさで1つの画像枠とし,右側は上下2段の画像枠を3つずつ,合計6つの画像枠を配したものである。正面において,2つの横長長方形の枠は用紙のやや左側寄りに設けられ,2つの横長長方形の枠の上下及び左右に余白部を設けたもので,上下の余白部と左側寄りの余白部は細幅で,中央及び右側の余白部は太幅で,右側の横長長方形の枠の内側の6つの画像枠において,各画像枠同士には隙間が設けられていない。右側の6つの画像枠の各画像枠は上下が同じ大きさで,6つの画像枠が正方形である。
(う)意匠3
意匠3は,意匠に係る物品を「写真プリント用紙」とし,用紙全体を正方形としたもので,正面側の左上に大きな正方形の枠を配し,その枠の周囲に逆L字状に右辺と底辺に小型の同じ大きさの正方形を11個配したもので,大きな正方形はそのまま1つの画像枠とし,小型の正方形は角に1個,縦と横に5個ずつで,合計11個,大きな正方形の画像枠と合わせて合計12個の画像枠を配したものである。正面の縦方向に分割可能とし,画像枠を6個ずつ左右に分割可能としたものである。正面において,四辺の縁に細幅の余白部を設けたもので,12個の画像枠において,各画像枠同士には隙間が設けられていない。
(え)意匠4
意匠4は,意匠に係る物品を「写真プリント用紙」とし,用紙全体を正方形としたもので,正面側全体に縦4個,横4個ずつの小さめの正方形の枠を配し,最下段の行の左から2つめの正方形と右端の正方形をさらに4分割してさらに小型の同じ大きさの正方形を4個ずつ配したもので,正方形はそれぞれを1つの画像枠とし,小型の正方形は上から3段目まで4個ずつ12個と最下段の左端と右から2つ目に2個で,合計14個,さらに小型の正方形の画像枠は4個ずつ8個で,合わせて合計22個の画像枠を配したものである。正面の左右中央で縦方向に分割可能とし,左右に11個ずつ分割可能としたもので,正面において,四辺の縁に細幅の余白部を設けたもので,22個の画像枠において,各画像枠同士には隙間が設けられていない。
(お)意匠5
意匠5は,意匠に係る物品を「写真プリント用紙」とし,用紙全体の正面視の縦横比を約1:1.57としたもので,正面側に大きな横長長方形の枠を配し,その枠の左側に大きめの縦長長方形の画像枠を1つ,右側に小型の縦長長方形の画像枠を上下2段左右に3列,合計6つ,大きめの画像枠と合わせて合計7つの画像枠を配したものである。正面において,横長長方形の枠は用紙のやや下側寄りに設けられ,横長長方形の枠の上下及び左右に余白部を設けたもので,上側の余白部は太幅で,左右の余白部はそれより細幅で,下側の余白部はさらに細幅である。横長長方形の枠の内側の7つの画像枠において,各画像枠同士には隙間が設けられていない。右側の6つの縦長長方形の画像枠は上下に3つずつの画像枠の高さがそれぞれ同じで,上段の3つの画像枠は左側の2つが太幅で右端が細幅で,下段の3つの画像枠は左側が細幅で右側の2つが太幅である。
(か)意匠6
意匠6は,意匠に係る物品を「写真プリント用紙」とし,用紙全体の正面視の縦横比を約1:1.57としたもので,正面側に大きな横長長方形の枠を配し,その枠の左側に大きめの縦長長方形の画像枠を1つ,右側に左右3列上下2段の小型の縦長長方形画像枠を合計6つ,大きめの画像枠と合わせて合計7つの画像枠を配したものである。正面において,横長長方形の枠は用紙のやや下側寄りに設けられ,横長長方形の枠の上下及び左右に余白部を設けたもので,上側の余白部は太幅で,左右の余白部はそれより細幅で,下側の余白部はさらに細幅である。横長長方形の枠の内側の7つの画像枠において,各画像枠同士には隙間が設けられていない。右側の6つの縦長長方形の画像枠は左右3列の画像枠の横幅がそれぞれ同じで,左右の2列は上段の画像枠の高さが小さく,下段の画像枠の高さがあり,それらの中央の列は上段の画像枠の高さがあり,下段の画像枠の高さが小さい。
(3)創作容易性の判断
まず,この種の写真プリント用紙の分野においては,全体を正面視横長長方形状の写真プリント用の薄い用紙とすることは,意匠1及び意匠2に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
また,この種の写真プリント用紙の分野において,大きさの異なる画像枠を配し,画像枠全体の外側に余白部を設けることも,意匠3及び意匠4に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
そして,横長長方形の画像枠全体の上下及び左右に余白部を設けたもので,上側の余白部は太幅で,左右の余白部はそれより細幅で,下側の余白部はさらに細幅とした,余白部の幅に変化をもたせた態様も,意匠5及び意匠6に見られるように本願出願前より既に見られる態様といえるものである。
さらに,画像枠の高さがそれぞれ同じで,画像枠の幅が異なるものを組み合わせた態様は,意匠5に見られるように,本願出願前より既に見られる態様といえるものである。
しかしながら,本願意匠の用紙と同様の縦横比を有するものは,意匠1ないし意匠6のいずれの意匠にも見当たらず,意匠1ないし意匠4に表されたものはいずれも2段以上の画像枠を有するもので,一列に4つの画像枠を配した本願意匠とは,その具体的な態様が異なるものである。
また,意匠5及び意匠6には,余白部の幅に変化をもたせた態様が表されているが,いずれも太幅の余白部を上側に設けている点で,下側に太幅の余白部を設けた本願意匠とは異なるものである。
そして,同じ高さで画像枠の幅が異なるものを組み合わせた態様が意匠5に見られるが,意匠5は,右側の6つの縦長長方形の画像枠が上下に3つずつの画像枠の高さがそれぞれ同じで,上段の3つの画像枠は左側の2つが太幅で右端が細幅で,下段の3つの画像枠は左側が細幅で右側の2つが太幅であるもので,本願意匠のように各画像枠が4つとも同じ高さで等間隔に並列し,左側の2つの画像枠がやや太幅で,右側の2つの画像枠がやや細幅であるものは,これら意匠1ないし意匠6のいずれにも見当たらない態様といえるものである。
意匠1及び意匠2のように,全体を正面視横長長方形状の写真プリント用の薄い用紙とし,意匠3及び意匠4のように,大きさの異なる画像枠を配し,画像枠の周囲に余白部を設け,意匠5及び意匠6のように余白部の幅に変化をもたせたとしても,用紙全体の正面視の縦横比を約1:2.5とし,正面側に4つの縦長長方形の画像枠を横一列に配し,さらに各画像枠同士の間にも細幅の隙間を設けなければ,それらの意匠から,本願意匠の態様を直ちに導き出すことはできず,また,意匠5や意匠6のように余白部の幅に変化をもたせたとしても,太幅となる余白部の上下が逆の態様で本願意匠のものとは異なり,下側の余白部を太幅とし,さらに変更を加えなければ,本願意匠の態様を直ちに導き出すことはできない。本願意匠のように各画像枠が4つとも同じ高さで等間隔に並列し,左側の2つの画像枠がやや太幅で,右側の2つの画像枠がやや細幅であるものは,これら意匠1ないし意匠6のいずれにも見当たらない態様といえ,独自の態様を表す創作がなされているものであり,当業者にとって,本願意匠の態様が容易に創出し得るものということはできない。
そうすると,本願意匠は,全体を正面視横長長方形状の写真プリント用の薄い用紙とし,大きさの異なる画像枠を配し,画像枠全体の外側に余白部を設け,下側の余白部を太幅としたもので,用紙全体の正面視の縦横比を約1:2.5とし,正面側に4つの縦長長方形の画像枠を横一列に配し,さらに各画像枠同士の間にも細幅の隙間を設けた態様としたものであって,とりわけ,本願意匠の同じ高さに一列に表れる画像枠の横幅を変化させ,画像枠の縦横比が本願意匠と同様のものは,他には見当たらず,本願意匠の独特の態様といえるもので,当業者であれば容易に創作することができたものとはいうことができないものである。
よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,意匠1ないし意匠6に見られる,日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。

5.むすび
したがって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-06-09 
出願番号 意願2016-13158(D2016-13158) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (F3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 正田 毅
斉藤 孝恵
登録日 2017-07-28 
登録番号 意匠登録第1584178号(D1584178) 
代理人 特許業務法人深見特許事務所 
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