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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3
管理番号 1330164 
審判番号 不服2017-979
総通号数 212 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-08-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-01-24 
確定日 2017-06-23 
意匠に係る物品 建物用手すり 
事件の表示 意願2016- 8759「建物用手すり」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成28年(2016年)4月21日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「建物用手すり」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「緑色で着色した部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が,本願出願前の2014年10月17日に受け入れた「2014年度版 福祉用具総合カタログ VOL.11」の第71頁に所載の浴室用手すりの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC26014866号)における本願の「意匠登録を受けようとする部分」に相当する部分(以下,本願部分に相当する引用意匠の部分を「引用部分」という。)としたものであって,引用意匠及び引用部分の形態は,同カタログに掲載された写真版により現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「建物用手すり」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「浴室用手すり」であるが,いずれも建物の壁面等に設置される手すりであるから,本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。

2.本願部分と引用部分の対比
(1)部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分と引用部分(以下「両意匠部分」という。)の用途及び機能は,手すり棒を支持しつつ正面視L字状になるように連結するための手すり棒連結用のブラケット(以下「連結ブラケット」という。)及び手すり棒を支持するための端部のブラケット(以下「エンドブラケット」という。)であって,その位置,大きさ及び範囲は,手すり棒を正面視L字状に配した手すりにおける中央部の連結ブラケット及び両端部のエンドブラケットの部分であるから,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。

(2)両意匠部分の具体的形態
両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
なお,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。

まず,共通点として,
(A)両意匠部分全体は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分ではない2本の手すり棒を正面視L字状に連結する連結ブラケット及びこの連結ブラケットに連結された各手すり棒の先端部に取り付けられるエンドブラケットからなるものであって,
(B)連結ブラケットは,台座部の正面側外周角部をR状に面取りした略円板状の台座(以下「台座部」という。)と,その台座部中央部分から正面側に向かって立設する略円柱状の支柱(以下「連結ブラケット支柱部」という。)及びその上端部に形成された,円柱形を正面視L字状に折曲した形態の手すり棒の連結部(以下「手すり棒連結部」という。)からなり,互いに直交する連結ブラケット支柱部と手すり棒連結部の水平部分及び垂直部分を手すり棒連結部の折曲部分から3方向に向かって延ばしたような形態となるよう形成している点,
(C)エンドブラケットは,連結ブラケットと同様な形態の台座部と,その台座部中央部分から正面側に向かって立設する略L字状の支柱(以下「エンドブラケット支柱部」という。)からなる点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)連結ブラケット支柱部の態様について,本願部分は,支柱根元部分を台座部に向かうにつれて拡径するラッパ形状に形成し,支柱上端部と手すり棒連結部をなだらかに接合し,この支柱上端部と手すり棒連結部の接合部の左側面側及び底面側の部分に略三角形状の平坦部が表れているのに対して,引用部分は,支柱全体を同径の略円柱状に形成している点,
(イ)手すり棒連結部の態様について,本願部分は,手すり棒挿入部外周部分を先端に向けて縮径したテーパー面となるように形成した略円柱状の2つの連結部を正面視L字状になるようになだらかに接合し,この接合部の正面側部分に略三角形状の平坦部が表れているのに対して,引用部分は,手すり棒挿入部外周部分に赤色のリング状部分を設けた同径の略円柱状からなる2つの連結部を接合し,接合部分に斜め45°の形状線が表れている点,
(ウ)エンドブラケット支柱部の態様について,本願部分は,支柱根元部分を台座部に向かうにつれて拡径するラッパ形状に形成し,支柱先端部の手すり棒挿入部外周部分を先端に向けて縮径したテーパー面となるように形成しているのに対して,引用部分は,支柱先端部の手すり棒挿入部外周部分に赤色のリング状部分を設けた同径の略円柱形状に形成している点,
(エ)台座部の態様について,本願部分は,台座部の正面側支柱部根元部分から外周面背面側部分にかけて形成された細幅スリットを手すり棒によって隠れる位置に1つ配し,2つの短いスリットを細幅スリットの反対側の外周面部分に並設し,円形及び長円形状のノックアウト穴を円周状に沿って複数設けた壁面取り付け部を台座部の背面側部分に嵌合したものであるのに対して,引用部分は,台座部の正面側支柱部根元部分から外周面に向かって僅かに傾斜させた,全体をやや扁平な略円板状に形成し,台座部の背面側部分の形態については不明である点,
が認められる。

3.両意匠部分の形態の評価
まず,共通点(A)の両意匠部分全体の態様については,この種物品分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠:電気通信回線の種類:インターネット,掲載確認日(公知日):平成14年(2002年)12月6日,特許庁意匠課受入日:平成15年(2003年)1月17日,掲載者:東陶機器株式会社,表題:プレスリリース,掲載ページのアドレス:http://www.toto.co.jp/press/2002/09/10_2.htmに掲載された「浴室用手すり」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ14000550号),別紙第3参照)であり,両意匠部分のみに共通する特徴とはいえないものであるから,この共通点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱であるといわざるを得ない。
また,共通点(B)の連結ブラケットの態様,及び共通点(C)のエンドブラケットの態様については,手すり棒を正面視L字状に配した建物用手すりにおける連結ブラケット及びエンドブラケットの形態を概略的に捉えたに過ぎないものであるから,この共通点(B)及び共通点(C)の共通性のみをもって両意匠部分の類否判断を決定することはできない。
そして,これらの共通点(A)から共通点(C)の態様によって生じる視覚的効果は,これらを全体としてみても大きいものとはいえず,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)の連結ブラケット支柱部の態様,及び相違点(イ)の手すり棒連結部の態様については,連結ブラケット支柱部と手すり棒連結部の水平部分及び垂直部分からなる直交する3つの円柱状部材を,それらの接合箇所に略三角形状の平坦部が表れるようになだらかに接合し,連結ブラケット支柱部及び手すり棒連結部が一体的に形成されたものであるとの印象を与える本願部分の態様と,水平部分及び垂直部分を斜め45°に切断して接合したかのように見える手すり棒連結部を,連結ブラケット支柱部の上部に単に接合して形成されたものであるとの印象を与える引用部分の態様とは,特に支柱根元部分のラッパ形状の有無,手すり棒挿入部外周部分の赤色のリング状部分の有無も含めて看者に別異な印象を与えているものであるから,これらの相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,相違点(ウ)のエンドブラケット支柱部の態様については,根元部分をラッパ形状とした本願部分の態様と,支柱先端部の手すり棒挿入部分に赤色のリング状部分を設けた引用部分の態様とは,上記の相違点(ア)及び相違点(イ)と相まって看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ウ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
また,相違点(エ)の台座部の態様については,外周面に一定の幅を有し,やや厚みがあるとの印象を与える本願部分の態様と,台座部の正面側を傾斜面とした扁平で薄いものとの印象を与える引用部分の態様とは,該部位に形成された複数のスリットの有無も含めて看者に別異な印象を与えているものであるから,この相違点(エ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるといえる。
そして,これらの相違点(ア)から相違点(エ)によって生じる視覚的効果はいずれも大きく,それらが相まって生じる別異の印象は,両意匠部分の類否判断を決定付けるほど大きいものである。

4.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については共通し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても共通しているが,両意匠部分の形態については,共通点が類否判断に及ぼす影響は両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配しているものであるから,両意匠部分は類似しないものである。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-06-09 
出願番号 意願2016-8759(D2016-8759) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 木村 恭子内藤 弘樹 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
神谷 由紀
登録日 2017-07-07 
登録番号 意匠登録第1582522号(D1582522) 
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