• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1331278 
審判番号 不服2016-16203
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-31 
確定日 2017-07-11 
意匠に係る物品 歩行補助器 
事件の表示 意願2015- 27682「歩行補助器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成27年(2015年)12月11日に意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「歩行補助器」とし,その形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶の理由および引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由として引用した意匠は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2014年10月31日に受け入れた,福祉用具総合カタログvol.13 第065頁所載,「歩行補助器」のフレームのうち支柱の上部から前枠を含むハンドルにかかる部分の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC26015727号)(以下「引用意匠」という。)であって,その形態は,同カタログの写真に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断

以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。
なお,両意匠の対比にあたっては,意匠に係る物品はもとより,本願が物品の部分について意匠登録を受けようとするものであるから,本願部分と引用意匠のそれに相当する部分(以下「引用部分」という。)について,位置,大きさ及び範囲を対比し,それらを踏まえて,本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の形態を対比する。

1.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品について
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品について,いずれも,高齢者等日常生活において自立歩行に支障のある者が,歩行の支えとして押し歩くためのカート車である「歩行補助器」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。

(2)部分意匠としての用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲について
両部分の用途及び機能は,歩行補助器の骨格をなすフレームのうち,歩行中に両手で把持するためのハンドル枠(以下,「ハンドル枠」という。)及びそれを垂直方向で支えるための支柱(以下,「支柱」という。)であって,共通する。
両部分の位置,大きさ及び範囲については,本願部分が,フレーム全体の最上部に位置し,ブレーキレバーを除くハンドル枠及びそれと接合する2本の支柱の上方部分を範囲とするのに対し,引用部分は,原査定における拒絶の理由の記載によると「フレームのうち支柱の上部から前枠を含むハンドルにかかる部分」であり,本願部分に相当する部分であると認めることができるから,両部分の位置,大きさ及び範囲も共通する。

(3)形態について
両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。なお,両意匠を同一方向から対比するため,引用意匠の向きを本願意匠の正面図の向きに揃えたものとして,以下,それぞれ形態を認定し,対比する。

まず,両部分の共通点として,
(A) 平面視略隅丸倒コの字状のハンドル枠の態様について,断面略円形状のパイプによって構成されており,正面側に位置する前枠部(以下,「前枠部」という。)及び前枠部の左右に連続的に形成された2本の側枠部(以下,「側枠部」という。)からなる平面視略隅丸倒コの字状に形成し,側枠部の後方に,使用時に両手で把持するためのグリップ部(以下,「グリップ部」という。)を形成している点,
(B)支柱の形態について,垂直方向に伸びる2本の支柱が,正面視ハンドル枠の両端の側枠部の内側寄りに配置されており,支柱上方が,ブレーキレバー把持部上端近傍の高さから支柱上端にかけて,それぞれ外側に向かって湾曲しており,支柱上端が,側枠部のブレーキレバー取り付け部前端近傍の位置において,ハンドル枠と平面視略直角に接合している点,
(C)グリップ部について,側枠部中央近傍のブレーキレバー取り付け部後端位置から側枠部後端にかけて,把持のためパイプ径よりやや太めに形成している点,
が認められる。

次に,両部分の相違点として,
(ア)ハンドル枠の側面視角度について,本願部分は,前方に向かって上向きに斜め約12度に形成しているのに対し,引用部分は,略水平に形成している点,
(イ)支柱の上端とハンドル枠の接合位置について,本願部分は,ハンドル枠の内側の真横付近で接合するのに対し,引用部分は,ハンドル枠の内側寄りとはいえたとしても,本願部分のように真横付近とするものであるかどうか不明である点,
(ウ)ハンドル枠の平面視形状について,本願部分は,左右の側枠部を平面視平行に配置しているのに対し,引用部分は,左右の側枠部を後方に向かってやや開いた略ハの字状に配置している点,
(エ)前枠部の態様について,本願部分は,側枠部から連続するパイプのままであるのに対し,引用部分は,側枠部と連続する隅丸状の角部を除く,前枠部全体が太径のラバーで覆われている点,
が認められる。

2.本願意匠と引用意匠の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は同一であり,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は共通している。
以下,共通点及び相違点が存在する両部分の形態について,検討する。

まず,共通点(A) のハンドル枠及び共通点(B)の支柱の態様については,周辺意匠にも同様の態様が散見されること(参考文献1及び参考文献2:別紙第3及び別紙第4参照)から,これらの態様のみで両部分が特徴づけられるものとはいえず,類否判断に与える影響は必ずしも大きいものとはいえない。
共通点(C)のグリップ部の態様についても,歩行補助器のグリップ部の態様としてごくありふれたものであって,本願部分と引用部分のみが持つ共通点とは到底いえず,両部分の類否判断に与える影響は軽微なものにとどまるものである。

これに対して,相違点(ア)のハンドル枠の側面視角度については,本願部分のように,略垂直な支柱に対してハンドル枠を同様の傾斜角で取り付けたものが周辺意匠にみられず,水平に取り付けられた,比較的ありふれた態様の引用部分とは大きく異なっており,歩行時にハンドル枠を把持する需要者にとって,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。
相違点(イ)については,ハンドル枠を把持した際にも使用者の目に触れやすく,支柱との接合位置という,ハンドル枠からの荷重の支持に関わる部位であることから,相違点(ア)同様に,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼすものである。
また,相違点(ウ)のハンドル枠の平面視側枠部が平行配置かハの字配置か,及び相違点(エ)の前枠部のラバーの有無については,いずれも比較的ありふれた態様であるが,これらの相違点が相まって,本願部分は,パイプの露出面積が多い,やや簡素な四角い枠体という印象を与えるのに対し,引用部分は,パイプの露出面積が少なく,比較的丈夫そうな印象を与える点で異なっており,需要者にとって,両部分の類否判断に少なからぬ影響を及ぼすものである。

そして,これらの各相違点に係る態様が相まって生じる視覚的効果は,意匠登録を受けようとする部分を全体として見た場合,上記共通点をしのぎ,需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願部分は,引用部分に類似しないものということができる。

したがって,両意匠の意匠に係る物品は同一であり,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲も共通するが,両部分の形態については,相違点が共通点をしのぎ,両部分の類否判断に大きな影響を及ぼしており,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。


第4 むすび

以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-06-26 
出願番号 意願2015-27682(D2015-27682) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 生亀 照恵 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 神谷 由紀
正田 毅
登録日 2017-08-10 
登録番号 意匠登録第1585158号(D1585158) 
代理人 多田 裕司 
代理人 山内 聡 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ