• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1331282 
審判番号 不服2017-5102
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-10 
確定日 2017-07-18 
意匠に係る物品 電気コネクタ 
事件の表示 意願2015- 28283「電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 意願2015- 028283「電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。

結 論

原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。

理 由

第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)12月18日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「電気コネクタ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似する意匠)に該当するため,同条同項柱書の規定により意匠登録を受けることができないとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて「両意匠」という。)は,本願の出願日よりも前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載され,又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった,下記の意匠である。

【引用意匠】(別紙第2参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1186129号
(意匠に係る物品,電気コネクタ用ハウジング)の意匠

第3 当審の判断
1 両意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,端子等の有無はあるとしても,電気接続部品を収容する電気コネクタに係るものであるから,共通する。

(2)両意匠の形態
両意匠の形態を対比すると,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
<共通点>
(A)電源コネクタ(電源コネクタ用ハウジング)の「本体部」を,略横長直方体状の箱体とし,
(B)本体部の正面から背面へと貫通する略細長角筒状の多数の「端子挿入孔」を,方眼状に上下二段設け,
(C)本体部の上面の左右両端部に,上方に突出したリブ状の側壁(以下「本体部側壁」という。)を設け,
(D)本体部の上面中央に,本体部よりも僅かに奥行きの短い平面視略縦長帯状の「ロックアーム」を設け,その前端を本体部の上面中央前方に固定し,
ロックアーム上面の正面側略半分を平坦面とし,その後方を背面側に向かって高くなる小さな傾斜面とし,さらにその後方を一段高い平坦面として,傾斜面と後方側の平坦面の左右両端部に,上方に突出した側壁(以下「ロックアーム側壁」という。)を設け,
ロックアームの上面中央に,平面視略正方形状の「係止用小突起」を設け,
ロックアームの背面側端部に,「ロック解除レバー」を設け,
(E)本体部の上面の背面側中央に,ロックアームの後端部を跨(また)ぐように上方にアーチ状に膨出した「アーチ状部材」を設け,該アーチ状部材の背面側上面に平面視して略逆台形状の切欠きを形成してロック解除レバーの後端部上面を露出させ,
(F)本体部の背面の上端部の左右に,アーチ状部材の後端部から左右に連続して形成された,上方に突出した壁(以下「上壁」という。)を設け,
(G)本体部の背面の下端部に,下方に突出した壁(以下「下壁」という。)を設けた点。
<相違点>
(ア)背面の形状について
(ア-a)本願意匠では,本体部の背面の左右両端部に,左右に突出した壁(以下「横壁」という。)が設けられ,「上壁」,「横壁」及び「下壁」が連続して一体的に形成されることによって,背面全体が上下左右にひろがった鍔(つば)状となっているのに対し,引用意匠では,本体部の背面の左右両端部には壁が形成されていない点。
(ア-b)引用意匠よりも本願意匠の方が,「上壁」の長さが長い点。
(ア-c)本願意匠では,背面の上から約1/3の位置に段差が形成され,その下が背面側に突出しているのに対し,引用意匠ではそうした段差が形成されておらず,略平坦に形成されている点。
(ア-d)本願意匠では,背面視上部の左右と下部の中央に凹部が形成されているのに対し,引用意匠ではそうした凹部が形成されていない点。
(イ)「ロックアーム」について
(イ-a)本願意匠では,「ロックアーム」の横幅が小さく,「ロックアーム」と「本体部側壁」との間隔が広いのに対し,引用意匠では,「ロックアーム」の横幅が大きく,「ロックアーム」と「本体部側壁」との間隔が狭い点。
(イ-b)本願意匠よりも引用意匠の方が,「ロックアーム側壁」の横幅が大きい点。
(イ-c)本願意匠では,「ロック解除レバー」の前端部が「アーチ状部材」の前端部よりも前方に位置し,平面視及び両側面視において「ロック解除レバー」の前端部が表れるのに対し,引用意匠では,「ロック解除レバー」の前端部が「アーチ状部材」の前端部よりも後方に位置し,平面視及び両側面視において「ロック解除レバー」の前端部が表れない点。
(ウ)「アーチ状部材」について
(ウ-a)本願意匠では,「アーチ状部材」の横幅が小さく,「アーチ状部材」と「本体部側壁」が離隔して設けられているのに対し,引用意匠では,「アーチ状部材」の横幅が大きく,「アーチ状部材」と「本体部側壁」が近接して設けられている点。
(ウ-b)背面側に設けられた平面視略逆台形状の切欠きにつき,本願意匠では,横幅が小さく,平面視においてお椀(わん)状に表れるのに対し,引用意匠では,横幅が大きく,平面視においてバスタブ状に表れる点。
(エ)「端子挿入孔」について
(エ-a)「端子挿入孔」の数について,本願意匠は,横5列,上下2段の計10個であるのに対し,引用意匠では,横7列,上下2段の計14個である点。
(エ-b)正面視における「端子挿入孔」の形状について,本願意匠では,略横長長方形状の孔部の下方に横長長円状の孔部が形成されているのに対し,引用意匠では,略正方形状の孔部の下方に略半円状の孔部が形成されている点。
(エ-c)本願意匠では,「端子挿入孔」の左右に,縦長長円状の大小の貫通孔が縦に並べて設けられているのに対し,引用意匠ではそうした貫通孔が設けられていない点。
(オ)側面の形状について
(オ-a)本願意匠では,後端部の横壁を除いて両側面が平坦な面であるのに対し,引用意匠では,複数の面に分割され,後部上方に溝部が形成されている点。
(カ)底面の形状について
(カ-a)引用意匠では,底面前方に,下段の端子挿入孔から連続して形成された筋状の孔部が複数形成されているのに対し,本願意匠ではそうした孔部が形成されていない点。
(カ-b)本願意匠では,底面中央部が横幅全幅にわたって下方に突出しているのに対し,引用意匠では,底面中央が平坦である点。

2 両意匠の類否判断
上記1(1)のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,形態については以下のとおりである。
(1)共通点について
ア 共通点(A)ないし(C)の態様は,当該物品分野においてごく普通に見られるものであるから,共通点(A)ないし(C)が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ 共通点(D)は,目に付きやすい部位に係るものであり,また,共通点(D)に係る態様は,引用意匠以前には見られなかったものと認められる。
しかしながら,共通点(D)に係る部位(ロックアーム)が物品全体に占める割合はそれほど大きなものではなく,また,両意匠の「ロックアーム」の具体的態様は,相違点(イ-a)ないし(イ-c)の点で相違するから,共通点(D)が両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度にとどまる。
ウ 共通点(E)及び(F)に係る態様は,下記参考意匠に見られるように,引用意匠以前に知られていたものであり,また,両意匠の「アーチ状部材」及び「上壁」の具体的態様は,相違点(ア-a),(ア-b),(ウ-a)及び(ウ-b)の点で相違するから,共通点(E)及び(F)が両意匠の類否判断に与える影響は,小さい。
エ 以上のとおり,共通点(A)ないし(C)並びに(E)及び(F)が両意匠の類否判断に与える影響は小さく,また,共通点(D)が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまるものであって,共通点全体があいまって生じさせる美感を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

【参考意匠】(別紙第3参照)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1073061号
(意匠に係る物品,電気コネクタ用ハウジング)の意匠

(2)相違点について
ア 相違点(ア-a)ないし(ア-d),(イ-a),(ウ-a)及び(ウ-b)について検討する。
当該物品の需要者にとって,挿抜作業の効率性は重大な関心事であり,「挟持しやすい形状であるか」,「操作しやすい形状であるか」という点には,特に大きな注意を払うものと認められる。
これを本願意匠について見ると,本願意匠に係る物品の挿抜作業に際しては,背面の端部に形成された「上壁」,「横壁」又は「下壁」の側部を指で挟持し,挿入の際には背面を指で押し込み,ロックを解除する際には「アーチ状部材」の切欠きを手掛かりとして「ロック解除レバー」の位置を探り当て,当該切欠きから露出した「ロック解除レバー」の上面を指で操作するものと認められるから,これらの部位は,需要者の注意を特に強く引くものといえる。
そして,本願意匠は,相違点(ア-a)ないし(ア-d),(イ-a),(ウ-a)及び(ウ-b)に係る態様を備えることによって,引用意匠には見られない,新規な美感を起こさせるものであるといえる。
そうすると,相違点(ア-a)ないし(ア-d),(イ-a),(ウ-a)及び(ウ-b)が両意匠の類否判断に与える影響は,大きい。
イ 相違点(イ-b)及び(イ-c)は,細部における相違にすぎないものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
ウ 相違点(エ-a)は,当該物品分野において常識的な範囲内での数量の相違に過ぎず,相違の程度もそれほど大きなものではないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
エ 相違点(エ-b)及び(エ-c)は,細部の相違ではあるが,端子挿入孔という需要者の注意をひく部位に係るものであるから,両意匠の類否判断に一定の影響を与える。
オ 相違点(オ-a)は,一定の面積を占める部位に係るものであり,また,相違点(ア-a)と相まって生じさせる視覚効果を考慮すると,本願意匠は「上壁」が大きく左右方向に広がっている印象を与えるのに対し,引用意匠は「上壁」が窮屈に折れ曲がって前方に繋(つな)がっている印象を与えるから,両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものである。
カ 相違点(カ-a)及び(カ-b)は目に付きにくい部位に係るものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
キ 以上のとおり,相違点(イ-b),(イ-c),(エ-a),(カ-a)及び(カ-b)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの,相違点(ア-a)ないし(ア-d),(イ-a),(ウ-a)及び(ウ-b)が両意匠の類否判断に与える影響は大きく,相違点(エ-b),(エ-c)及び(オ-a)も両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものであるから,相違点全体が相まって両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。

(3)小括
上記1(1)のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通するものの,形態においては,上記2(1)エのとおり,共通点が両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し,上記2(2)キのとおり,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕(りょうが)し,両意匠は,視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同条同項柱書によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-07-04 
出願番号 意願2015-28283(D2015-28283) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 江塚 尚弘
須藤 竜也
登録日 2017-08-04 
登録番号 意匠登録第1584751号(D1584751) 
代理人 福田 浩志 
代理人 中島 淳 
代理人 加藤 和詳 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ