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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 B3 |
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管理番号 | 1331284 |
審判番号 | 不服2017-3557 |
総通号数 | 213 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-09-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-02-21 |
確定日 | 2017-07-15 |
意匠に係る物品 | 髪飾り |
事件の表示 | 意願2016- 4559「髪飾り」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成28年(2016年)2月15日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「髪飾り」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面代用写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.原査定における拒絶の理由および引用意匠 原査定において,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとして,拒絶の理由に引用された意匠(以下,「引用意匠」という。)は,特許庁が平成25年(2013年)7月1日に発行した意匠公報掲載の意匠登録第1450977号「髪飾り」の意匠であって,その形態は,同公報に掲載された図面代用見本に現されたとおりのものである。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,いずれも髪にピンで留めて飾るための「髪飾り」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。 両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。 (1)共通点 (A)全体を,扁平な楕円形状のベースの上面に,薄い布地を木の葉状に形成したもの(以下,「木の葉状飾り」という。)を平面視して上下に3列に並べて上面飾りとしたもので,平面視した背面側寄りにひだを形成した水玉模様入りのネット状レース部(以下,「ネット状レース部」という。)を略扇形状に設けた点, (B)楕円形状のベースの底面側の周囲に細幅帯状の縁部を設け,その内側を網目状に形成している点, において主に共通する。 (2)差異点 (ア)木の葉状飾りの態様について,本願意匠は,厚みのあるはっきりとひだの寄った小さめの木の葉状飾りが13個立体的に配されているのに対して,引用意匠は,厚みがなくひだが目立たない丸みを帯びた大きめの木の葉状飾りが12個やや扁平に配されている点, (イ)正面側のネット状レース部の態様について,本願意匠は,左右に略長方形状のネット状レース部を折り返して正面側をすっきりさせているのに対して,引用意匠は,花模様の縁飾りの付いたひだの寄った白色のレース部の上部に略半円形状のネット状レース部を重ねて設けている点, (ウ)本願意匠は,楕円形状のベースに帯状のメッシュ素材を折り返して縫い付け,ヘアーピン留め部を底面視下方中央と左右に設けているのに対して,引用意匠は,ヘアーピン留め部を設けていない点, (エ)ネット状レース部の水玉の態様について,本願意匠は,一つ一つの水玉が小さめでやや明調子であるのに対して,引用意匠は,一つ一つの水玉が大きめで暗調子である点, において主な差異が認められる。 4.類否判断 (1)共通点 そこで検討するに,共通点(A)については,全体の基本構成ではあるが,全体を,扁平な楕円形状のベースの上面に,薄い布地を木の葉状に形成した木の葉状飾りを平面視して上下に3列に並べて上面飾りとしたもので,平面視した背面側寄りにひだを形成した水玉模様入りのネット状レース部を略扇形状に設けた態様は,全体の構成が共通するものではあるが,この種の物品分野においては,ネット状レース部を設けた髪飾りは両意匠以外にも既に多数見られるもので,両意匠のみに認められる格別の特徴とはいえず,また,木の葉状飾りにおいて両意匠の各部位には差異点が認められ,全体の基本構成が共通している点のみでは両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度に留まるものである。 次に,共通点(B)についても,楕円形状のベースの底面側の周囲に細幅帯状の縁部を設け,その内側を網目状に形成した態様が共通しているが,底面側の態様であり,さほど目立つ共通点とはいえず,細部に係る目立たない共通点といえるものであり,この点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。 そして,共通点全体として両意匠の類否判断に与える影響を考慮しても,両意匠の類否判断を決定付けるに至るということはできない。 (2)差異点 これに対して,差異点に係る態様が相俟って生じる視覚的な効果は,両意匠の類否判断を決定付けるものである。 すなわち,まず,差異点(ア)の木の葉状飾りの態様については,厚みのあるはっきりとひだの寄った小さめの木の葉状飾りが13個立体的に配されている本願意匠は,シャープな印象を与えるもので,厚みがなくひだが目立たない丸みを帯びた大きめの木の葉状飾りが12個やや扁平に配されている引用意匠は,柔らかい印象を与えるもので,見た目の印象が明確に異なるものであり,その差異は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。 次に,差異点(イ)の正面側のネット状レース部の態様について,引用意匠の白色のレース部は縫い付けてあるもので,花模様の縁飾りの付いたひだの寄った白色のレース部の上部に略半円形状のネット状レース部を重ねて設けた態様が特徴的なものといえ,左右に略長方形状のネット状レース部を折り返して正面側をすっきりさせている本願意匠の態様とは,明確に異なるものといえ,本願意匠は,正面側に下がるネット状レース部がないため,シンプルな印象を与えるもので,白色のレース部の上部に略半円形状のネット状レース部を重ねて設けた引用意匠とは,視覚的な印象を異ならせるものといえ,ネット状レース部の態様については,使用時に需要者の関心を惹く部分であるから,その差異は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。 また,差異点(ウ)のヘアーピン留め部の有無について,部分的な特徴ではあるが,この種の髪飾りを使用する場合,どこにヘアーピンを留めて使用するかについては,需要者の関心が高い部分に関する差異であるから,その差異を無視することができず,ヘアーピン留め部の有無により両意匠の使用時の印象が異なるもので,その差異は,両意匠の類否判断にある程度の影響を与えるものといえる。 さらに,差異点(エ)の水玉の態様について,細部に係る態様で,どちらもありふれた態様ではあるが,本願意匠は,一つ一つの水玉が小さめでやや明調子であるため,軽く繊細な印象を与えるものといえ,一つ一つの水玉が大きめで暗調子である引用意匠は,やや重い印象を与えるものといえ,両意匠は,その印象が異なるものといえるものであるから,その差異は,両意匠の類否判断に僅かではあるが影響を与えるものといえる。 (3)小括 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,それが両意匠の意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。 5.むすび したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当せず,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-06-27 |
出願番号 | 意願2016-4559(D2016-4559) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(B3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山永 滋 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
斉藤 孝恵 正田 毅 |
登録日 | 2017-08-25 |
登録番号 | 意匠登録第1586060号(D1586060) |