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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1331286 
審判番号 不服2017-4473
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-30 
確定日 2017-07-27 
意匠に係る物品 ローラー付きオーバルチューブ 
事件の表示 意願2016- 11677「ローラー付きオーバルチューブ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成28年(2016年)6月1日付けで意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「ローラー付きオーバルチューブ」とし,その形態を,願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下,当該部分を「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠は,独立行政法人工業所有権情報・研修館が2012年6月27日に受け入れた株式会社ベッセル・ジャパン発行のカタログ“TUBES CATALOG”の第7頁所載の ON/OFFチューブ Fのロールオン型と表示された「包装用容器」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC24013214号)(以下,当該意匠を「引用意匠」という。)の本願意匠に相当する部分(以下,当該部分を「引用部分」という。)であり,その形態は,同カタログに掲載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下,本願意匠と引用意匠を併せて「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。
なお,両意匠の対比にあたっては,意匠に係る物品はもとより,本願部分と引用部分(以下,本願部分と引用部分を併せて「両部分」という。)について,用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲を対比し,そして,両部分の形態を対比し,これらを踏まえて,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを判断する。

1.共通点及び相違点の認定
(1)共通点の認定
(1-1)意匠に係る物品
意匠に係る物品については,本願意匠は「ローラー付きオーバルチューブ」であり,引用意匠は「包装用容器」であるが,どちらも化粧品が収容される容器であって,ローラーを介して化粧品を塗布するものであるから,共通している。
(1-2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
両部分の位置,大きさ及び範囲については,片手で握り込める程の大きさの容器本体の先端に設けたキャップ部分であるから,共通している。
そして,当該キャップ部分は,先端にローラーを備えた回転部と基部からなるものであって,ローラーを介して,容器本体に収容された化粧品を塗布するものであり,回転部を水平方向に回転させることにより,開閉することができるものであるから,両部分の用途及び機能も共通している。
(1-3)両部分の形態
両部分の形態については,主に,以下の(A)ないし(C2)の点が共通する。(なお,引用部分については,正面の斜め上方から見た写真しかなく,また,不鮮明な箇所もあるが,陰等も考慮しつつ認定を行った。)
(A)ローラー付きキャップ部は,先端の正面視倒コ字状の凹部に樽型のローラーを備えた回転部と下端の細幅帯状の基部とからなり,全体として,先端へ向けて漸次先細りした平面視略楕円形状の柱状体としたものである。
(B)回転部の周側面には,回転部を開閉位置に合わせるための目印として,幾何学形状の目印を設けたものである。
(C)基部の周側面には,(C1)開閉位置を示す文字部を施すとともに,(C2)カバーを被せた際にカバーを保持するための,係止部を設けたものである。

(2)相違点の認定
形態について,主に,以下の(a)ないし(e)の点が相違する。
(a)ローラー付きキャップ部の平面視形状について,本願部分は,最大幅における縦横比を約2対3とする略横長楕円形状としたものであるのに対して,引用部分は,最大幅における縦横比が不明な略横長楕円形状である。
なお,引用部分は,写真から受ける印象としては,右側寄りの影が幅広に表れており,本願部分よりも丸みのある厚めの印象を与えるものである。
(b)回転部の先端の正面視態様について,本願部分は,ローラーの両脇から略水平方向に少し幅を持たせた上辺部を設け,やや角張った肩部を有するものであり,ローラーがやや突出状に表れた態様となるものであるのに対して,引用部分は,ローラーの両脇が,なだらかな曲線状であり,この曲線とローラーの上辺の凸弧状をあわせて曲線がなだらかにつながる態様を呈しているものである。
(c)幾何学形状の目印について,本願部分は,僅かに突出させた略正方形状とする目印を,回転部の背面側中央の下端に接する位置に設けたものであるのに対して,引用部分は,写真が不鮮明であるため,目印が突出したものであるかどうかまでは特定することができないが,略三角形状の目印を,回転部の中間寄りに設けたものである。
(d)カバーを保持する係止部について,本願部分は,基部の左右両側面の下端寄りに,それぞれ,短い筋状の突出部として,当該係止部を設けたものであるのに対して,引用部分は,基部の上端寄りの文字部を除いた位置に,筋状凹部として,当該係止部を設けたものであるが,背面側や側面部にも設けたものであるのかどうかは,不明である。
(e)開閉位置を示す文字部について,本願部分は,基部の正面側中央及び背面側中央を文字部としたものであるのに対して,引用部分は,正面側中央を文字部としたものであるものの,背面側は,不明である。(なお,文字部に表されている文字については,文字は意匠の構成要素とは認められないから,文字が相違したとしても,相違点として認定しない。)

2.共通点及び相違点の評価
以下,共通点及び相違点が存在する両部分の形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。
(1)共通点についての評価
共通点(A)の,全体の基本的な構成態様は,この種物品において,両部分にのみ見られる特徴のある態様といえるものではなく,概括した態様にすぎないから,共通点(A)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,大きいとはいえないものである。
共通点(B)及び(C1)の,回転部を開閉位置に合わせるための目印を設けることや,開閉位置を示す文字部を設けることは,当該物品に限らず回転部を備えた物品においては,従来から極普通に行われているから,共通点(B)及び(C1)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さいものである。
共通点(C2)の,カバーを保持する係止部を設けることは,当該物品に限らずカバーを有する物品においては,従来から極普通に行われているから,共通点(C2)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さいものである。
そうすると,これらの共通点を総合したとしても,両部分の類否判断を決するものとはいえない。

(2)相違点についての評価
相違点(a)は,平面視縦横比の相違であるが,それは厚みの相違として認識できるものであり,厚みの相違は部分全体から受ける印象に少なからず影響を及ぼすものといえるから,相違点(a)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められるものである。
相違点(b)は,回転部の先端の正面視態様に係るものであるが,当該箇所は,塗布する際に肌に接する部分であるから,需要者が注視する部分であり,この相違により,本願部分は,先端部が幅の広い,角張った印象を与えるのに対して,引用部分は,先端部が幅の狭い,丸味のある印象を与え,視覚的に印象が大きく異なるから,相違点(b)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,大きいものである。
相違点(c)は,幾何学形状の目印に係るものであるが,本願部分のように四角形状の突出部とした態様は,目印の態様として,ありふれたものではなく,その配置態様と相俟って,引用部分とは明確に相違しており,相違点(c)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,軽視できないものである。
相違点(d)は,カバーを保持する係止部に係るものであるが,凸状のものとしたか,それとも凹状のものとしたかの相違は,その配置態様の相違と相俟って,明確に相違し,両部分において,それぞれのアクセントになっており,相違点(d)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,軽視できないものである。
相違点(e)は,開閉位置を示す文字部に係るものであるが,引用部分において背面側の態様が不明であるとしても,軽微な相違にすぎず,相違点(e)が両部分の類否判断に及ぼす影響は,小さいものである。
そうすると,相違点(a)ないし(d)は,その余の相違点が軽微なものであるとしても,両部分について異なる印象を与え,両部分の類否判断を決するものといえる。

3.類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通し,両部分の用途及び機能,並びに位置等についても共通するものであるが,両部分の形態の相違点が相俟って生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕するものであって,需要者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおりであり,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条同項の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-07-13 
出願番号 意願2016-11677(D2016-11677) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2017-08-10 
登録番号 意匠登録第1585038号(D1585038) 
代理人 日高 賢治 
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