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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 D3
管理番号 1331294 
審判番号 不服2017-4669
総通号数 213 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-04 
確定日 2017-08-08 
意匠に係る物品 スポットライト 
事件の表示 意願2016- 3546「スポットライト」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成28年(2016年)2月19日に出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「スポットライト」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであって,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分を「本願意匠部分」という。)。

第2 原査定における拒絶の理由及び本意匠
原審における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠(意願2016-3545号(意匠登録第1567323号)の意匠)に類似する意匠と認められず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。
本意匠は,物品の部分について意匠登録を受けようとして,平成28年(2016年)2月19日に出願され,同年12月16日に登録の設定をされたものであり,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「スポットライト」とし,その形態は,願書及び願書に添付した図面に記載したとおりとしたものであって,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(以下,本意匠について意匠登録を受けようとする部分を「本意匠部分」という。)。

第3 手続の経緯
原審の上記拒絶の理由に対して,出願人は,平成28年11月30日に意見書を提出し,本願意匠は本意匠に類似するため,意匠法第10条第1項の規定により,意願2016-3545号の意匠を本意匠とする関連意匠として意匠登録されるべきものであると主張したが,平成29年2月15日付けで拒絶査定がなされたため,審判請求と同日の平成29年4月4日に手続補正書を提出し,願書に記載の「本意匠の表示」を削除し,本願を関連意匠の意匠登録出願ではないものに変更すると共に,審判請求書において,本意匠の表示の削除によって拒絶すべき理由がないとの理由により,「原査定を取り消す。本願の意匠は登録すべきものとする」との審決を求めた。

第4 当審の判断
1.本願意匠と本意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「スポットライト」であり,本意匠の意匠に係る物品は,「スポットライト」であって,両意匠の意匠に係る物品は,一致する。

(2)本願意匠部分と本意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲
本願意匠部分と本意匠部分(以下「両意匠部分」という。)は共に,正面図において略筒状のスポットライトから左側面図に表された照光部(光源及び反射板)と天井取付部材を除く,照明器具であるスポットライト本体部及びそれを上方で支持するアーム部からなるものであって,その,用途及び機能,並びに大きさは共通するものであるが,本意匠の全体が正面図においてスポットライト本体部より約2倍長い略横長直方体状の天井取付部材の端部にアーム部を介してスポットライト本体部を設けているのに対し,本願意匠の全体は正面図においてスポットライト本体部より小さい約3.5分の1の長さの略円柱状の天井取付部材の直下にアーム部を介してスポットライト本体部を設けているから,全体に対する両意匠部分の位置及び範囲は,相違する。

(3)形態
本願意匠部分と本意匠部分の形態を対比すると,主として,以下の共通点と差異点が認められる。

(3-1)共通点
基本的構成態様として,
(A)全体は,概ね,スポットライト本体部及びアーム部からなる点が共通し,
具体的構成態様として,
(B)スポットライト本体部について
スポットライト本体部は,スポットライト照光部を前部とすると,その外周部は,右側面図において,対角を鉛直及び水平方向になるように配した,4辺が膨出した弧を描く略正方形状の後端部から次第に拡径しつつ角を丸め,前端部では円形となる略筒状のものであって,上部半ばから後端にかけて,アーム折り畳み時にアームが収まる略細幅長方形状の切り込み部を設けたものである点,
(C)アーム部について
アーム部は,スポットライト本体中程上端に回動可能に取り付けられ,前方に向かって徐々に先方がせり出した略竿状体であって,天井取付け側が幅広で本体回動部に向かうにつれて先細りとなっており,前部縦中央に稜部を設け,左右両端に向けて緩やかに傾斜させ,左右両端に縦長細幅壁部を設けた態様としている点。

(3-2)相違点
具体的構成態様として,
(ア)スポットライト本体部について
スポットライト本体部後端部において,本願意匠部分は,4辺が膨出した弧を描く略正方形状の後端部の下方半ばを超える部位を1段内側に落ち込んで平坦に塞いだ態様としているのに対し,本意匠部分は4辺が弧を描いた略正方形状の後端部縦方向ほぼ全幅にわたって,複数の凸条部として表れる板状体を中程で水平方向に繋ぎ,極狭い間隔で並行して配している点。

2.類否判断
以上の一致点,共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。
両意匠は,意匠に係る物品が一致し,両意匠部分はその用途及び機能,並びに大きさは共通するが,位置及び範囲は,相違する。

(1)意匠に係る物品の評価
前記,第4の1.(1)のとおり,両意匠の意匠に係る物品は,一致するが,同様の意匠に係る物品(本願意匠においては「スポットライト」)であるものは,多数見受けられ,意匠に係る物品が一致することにより,両意匠の類否判断に与える影響は,小さいものである。

(2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲の評価
前記,第4の1.(2)のとおり,両意匠部分は,その用途及び機能,並びに大きさが共通するが,両意匠の意匠に係る物品「スポットライト」の物品分野において,両意匠部分と同様の照光部と天井取付部材を除く,スポットライト本体部及びアーム部部分として対比可能な,用途及び機能並びに大きさを有する意匠は,本願出願前にごく普通に見受けられるので,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
一方,位置及び範囲については相違し,まず,位置については,両意匠部分共に,天井取付部材にアーム部を介して支持される下方の位置であって,その一端部寄りであるか,ほぼ直下であるかは,「スポットライト」の物品分野において,双方共によく見られる位置といえ,類否判断に大きな影響を与えるほどのものとはいえない。しかしながら,その範囲については,本意匠の全体が正面図においてスポットライト本体部より約2倍長い略横長直方体状の天井取付部材とスポットライト本体部及びアーム部からなる「スポットライト」であるのに対し,本願意匠の全体は正面図においてスポットライト本体部より小さい約3.5分の1長さの略円柱状の天井取付部材を含むスポットライト本体部及びアーム部からなる「スポットライト」であって,そのうちの両意匠部分であるところの「照光部を除くスポットライト本体部及びアーム部」の占める範囲は,一見して看取できる程度に,その全体に対する範囲が相違するといわざるを得ず,類否判断に一定の影響を与えるものである。

(3-1)形態の共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点(A)は,両意匠部分の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから,この点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。また,具体的構成態様としてあげた共通点(B)も,この種スポットライトの物品分野においては,本体部の外形状が,略正方形状の後端部から次第に拡径しつつ角を丸め,前端部では円形となる略筒状のものは本願出願前に見受けられることから,この点をもって,両意匠部分の類否を決定するものとはいえず,共通点(C)のア-ム部の形態については,前方に向かって徐々に先方がせり出した略竿状体の形態は,スポットライトの物品分野において,本願出願前に見受けられ,僅かに先細りとなり,前部縦中央の稜部が形成されている形態については,使用に際しては,容易に観察できない,天井に設置されたアーム部の部分的かつ微細な形態であって,看者の注意を格別惹くものとはいえず,これらの点が両意匠部分の類否判断に与える影響は小さい。
したがって,共通点(A),(B)及び(C)の両意匠の類否判断に及ぼす影響は共に小さく,共通点全体であいまって生じる効果を考慮したとしても,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

(3-2)形態の相違点の評価
これに対して,両意匠部分の具体的構成態様に係る相違点は,相違点(ア)については,スポットライト本体の後方から確認できる態様であって,使用時にも斜め下方から観察できるもので,スポットライト本体の後端部の下方について塞がれて内部の態様が看取できないものか,内部が看取でき,複数の板状体が後端から内部に向けて設けられているのが観察できるものであるかは,一見して目に付く,構造上の相違であって,両意匠部分の類否判断に大きな影響を与えるものである。
したがって,相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に与える影響は大きい影響を与えるものであって,相違点は,共通点を凌駕して,両意匠部分を別異のものと印象づけるものである。

(4)両意匠部分の形態の総合評価
そうすると,形態における共通点(A),(B)及び(C)の両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,共に小さいものであって,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,形態の相違点(ア)については,一見して十分目に付く構造上の相違であって,両意匠部分の類否判断に与える影響は大きく,相違点は,共通点を凌駕して,両意匠部分を別異のものと印象付けるものである。
したがって,本願意匠部分が本意匠部分に類似するということはできない。

3.小括
そうすると,両意匠は,意匠に係る物品は,一致し,両意匠部分の用途及び機能,並びに大きさも共通するが,位置及び,範囲において相違し,範囲の相違点については,両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものであって,形態においては,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,共通点のそれを凌駕しており,両意匠を意匠全体として別異のものと印象づけるものであるから,本願意匠は,本意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,本意匠に類似せず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないものであるが,前記第3に記載のとおり,請求人が平成29年4月4日に提出した手続補正書によって本願願書の本意匠の表示を削除する補正がなされ,原審の拒絶の理由は解消しているので,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-07-25 
出願番号 意願2016-3546(D2016-3546) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (D3)
最終処分 成立 
前審関与審査官 佐々木 朝康 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 正田 毅
渡邉 久美
登録日 2017-08-25 
登録番号 意匠登録第1586104号(D1586104) 
代理人 松井 重明 
代理人 松井 重明 
代理人 倉谷 泰孝 
代理人 伊達 研郎 
代理人 村上 加奈子 
代理人 倉谷 泰孝 
代理人 村上 加奈子 
代理人 伊達 研郎 
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