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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 C5 |
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管理番号 | 1332298 |
審判番号 | 不服2016-17769 |
総通号数 | 214 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2017-10-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-11-10 |
確定日 | 2017-08-23 |
意匠に係る物品 | 飲料容器用保温カバー |
事件の表示 | 意願2015-21688「飲料容器用保温カバー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成27年(2015年)9月10日付けの意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「飲料容器用保温カバー」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第2 原審の拒絶の理由 原審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,この出願に係る飲料容器用カバーの分野において,飲料カップ周側面に帯状部材を巻き付け,端部付近に設けた面ファスナーにより係止するカバーは極普通に見られるところ(例えば,下記意匠1,2参照),接近した2個の略縦長楕円形状の透孔をカバーに設けて把手とすることも既に知られているから(例えば,下記意匠3,4参照),本願意匠は,これら公知の態様を組み合わせたものを飲料容器用保温カバーとしたまでのものであるから,当業者が容易に創作できたものと認められる,としたものである。 意匠1(別紙第2参照) 特許庁普及支援課が2013年10月28日に受け入れた 大韓民国意匠商標公報 2013年 9月27日13-29号 カップホルダー(登録番号30-0709832)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH25437150号) 意匠2(別紙第3参照) 特許庁普及支援課が2011年 9月28日に受け入れた 米国特許商標公報 2011年 8月23日11W34号 飲料容器保護カバー(登録番号US D643693S)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH23314483号) 意匠3(別紙第4参照) 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1509849号の意匠 (意匠に係る物品,飲料容器用保温保冷カバー) 意匠4(別紙第5参照) 独立行政法人工業所有権情報・研修館が2015年 8月12日に受け入れた 日経トレンディ 2015年 8月 4日388号 第53頁所載 飲料容器用カバーの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HA27005028号) 第3 当審の判断 以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。 1.本願意匠の形態 本願意匠は,(1)全体が略扇面状の,布状のものであって,正面図において,(2)左端から約1/6の範囲を,保護部分とし,その右横に,縦幅ほぼいっぱいの,全体の約1/6の幅の,縦長長方形の面ファスナーを貼付して,(3)右端から約1/4から1/8の範囲に,少し厚い縁を設けた縦2条の筋状開口部を設けて取っ手とした,(4)右端の裏面には縦長の面ファスナーを貼付して,左側の縦長長方形の面ファスナーと雌雄一対としたものである。 2.引用意匠の形態 原審において,本願意匠が,意匠法第3条第2項の規定に該当するとした根拠に用いた意匠1ないし4の形態について認定する。 2-1.意匠1について 意匠1は,全体が,細幅の帯状の扇面状のものであって,左右両端に雌雄一対の面ファスナーを設けたものである。 2-2.意匠2について 意匠2は,倒立円錐台状の容器に巻き付けられているところから,展開した場合は,略扇面状のものであると推認できるものであって,縁部をパイピング様とし,一端部の角は角丸としているものである。 2-3.意匠3について 意匠3は,一重の円筒状周面に底を設けたもので,縦2条の筋状開口部を設けて取っ手あるいはベルト用穴としたものである。 2-4.意匠4について 意匠4は,円筒状の包装用缶に巻き付けられているところから,展開しても扇面状に成るものではないものであって,少し厚い縁を設けた縦2条の筋状開口部を設けて取っ手としたものと認められるが,当該開口部から包装用缶の周面にある模様が見えることから,保護部分の存在が認められないものである。 3.本願意匠の創作の容易性について 本願意匠の創作内容は,シンプルな構成としつつも,飲料容器の保温機能を有し,飲料容器の大きさにも多少対応させて,かつ,取っ手を設けて持ちやすくした上で,取っ手に入れた指がやけどをしないように考慮したものである。 特に,正面の面ファスナーの左約1/6の範囲を保護部分とした態様により,高温の容器に巻き付けた状態で開口部に指を入れても,指が保護部分に当たって,容器に触れないため,やけどを防ぐことができるという点は,本願意匠の創作内容の要といえるところ,そのような態様は,原審拒絶理由通知書に記載された意匠1ないし4には表れていないのであるから,これらの出願前公知の意匠を根拠に,本願意匠の創作が容易であったとはいえない。 4.結び したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2017-08-02 |
出願番号 | 意願2015-21688(D2015-21688) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(C5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 竹下 寛、内藤 弘樹 |
特許庁審判長 |
刈間 宏信 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2017-09-15 |
登録番号 | 意匠登録第1587535号(D1587535) |