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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K4
管理番号 1332299 
審判番号 不服2017-5546
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-18 
確定日 2017-08-25 
意匠に係る物品 米飯成形装置用ローラー 
事件の表示 意願2016- 11875「米飯成形装置用ローラー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,平成28年(2016年)6月2日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「米飯成形装置用ローラー」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の公開特許公報に記載された,公開日が平成28年3月24日の特開2016-039783における【図7】および【図8】に表される符号1の米飯成形ローラの意匠(一対で表されている同一の意匠の片側のもの)としたものであって,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「米飯成形装置用ローラー」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「米飯成形ローラ」であるが,いずれも米飯成形装置に一対で取り付けられて回転することで,寿司用のシャリ玉などの米飯成形物を成形するためのローラーであるから,本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。

(2)両意匠の形態
両意匠の形態を対比する(なお,対比のため,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとする。)と,主として,以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。

まず,共通点として,
(A)全体は,正面視六角形の貫通孔(以下「六角貫通孔」という。)を形成した円柱において,その外周面に,凹状の切り欠き部(以下「凹状面部」という。)を,六角貫通孔の内側面と凹状面部の平坦な底面(以下「底面部」という。)が相対する位置に,等間隔に6つ形成したものであって,隣り合う凹状面部の間には,米飯成形装置に取り付けられた際に,相反する方向に同期して回転する一対のローラー同士が噛み合う部分となる,側面視略波形状の突き合わせ面(以下「突合面部」という。)をローラーの回転軸方向に等間隔に6条形成した構成としている点,
(B)凹状面部は,時計回りに回転するローラーにおいて,先に噛み合う突合面部の壁面(以下「前側面部」という。),平坦な底面部,及び後に噛み合う突合面部の壁面(以下「後側面部」という。)からなり,前側面部はローラーの軸方向に沿って湾曲することなく平面視略直線状に形成し,底面部はローラーの端部からローラーの回転軸方向中央部分に向かって端部付近が漸次凹み,その中央部分は略平坦面になるように形成し,後側面部は,端部からローラーの回転軸方向中央部分に向かって端部付近が漸次湾曲し,平面視略弓形状に形成している点,
(C)突合面部は,ローラーの回転軸と直交する方向に円弧状に僅かに湾曲している平面視略横長長方形状の曲面を,側面視において傾きのない水平状の凸部先端部から,その傾斜角度を変えながら3つの傾斜面で水平状の凹部底面部まで連続してつなぎ,略山形状の凸部が7つ表れる波形になるように形成した構成としている点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)突合面部の軸方向中央部分に形成された溝部の有無について,本願意匠は,溝部を形成していないのに対して,引用意匠は,凹状面部の平坦面やや上方付近にまで達する側面視略V字状の溝部を1つ形成している点,
(イ)凹状面部における前壁面部の形成角度の態様について,本願意匠は,断面視における前壁面部と底面部との角度を約75度のオーバーハングで形成しているのに対して,引用意匠は,引用意匠の記載された特開2016-039783における【図4】の記載から推認すると,断面視における当該角度をほぼ直角となるように形成している点,
(ウ)凹状面部における正面視の切り欠き部分の態様について,本願意匠は,該部位が略ハート形の右半分の形状であるのに対して,引用意匠は,該部位が先頭を左向きとする略船形状である点,
が認められる。

2.両意匠の形態の評価
以上の共通点及び相違点が,両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価する。
(1)両意匠の類否判断手法について
両意匠の意匠に係る物品は,寿司用のシャリ玉などの米飯成形物を成形するためのローラーであって,ローラーの形態の違いが成形されるシャリ玉の形態に大きく影響する。このことを理解している食品スーパーの寿司弁当コーナーで握り寿司商品を製造する担当者や管理者などの需要者は,単にローラーの形態を観察するのではなく,このローラーによってどのような形態の米飯成形物が成形されるのかについても考慮しつつ各部位を観察するものであって,米飯成形物の形状や硬さなどの品質に大きく影響する凹状面部の形態を,特に注意を払って観察するものと認められる。
したがって,本願意匠と引用意匠の類否判断においては,成形される米飯成形物の形態等を考慮しつつ,米飯成形装置用ローラーの各部位の形態について比較し検討して,意匠全体として両意匠が類似するか否かを判断することとする。

(2)共通点について
共通点(A)の全体の態様,共通点(B)の凹状面部の態様,及び共通点(C)の突合面部の態様は,この米飯成形装置用ローラーの分野において,本願意匠の出願前に既に見られるもの(参考意匠:日本国特許庁発行の意匠公報(発行日:平成27年(2015年)5月18日)に掲載された,意匠登録第1523553号(意匠に係る物品,米飯成形装置用ローラー)の意匠,別紙第3参照)であって,両意匠のみに共通する特徴であるとはいえないものであるから,これらの共通点(A)ないし(C)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいとはいえず,これらの共通性のみをもって両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

(3)相違点について
相違点(ア)の突合面部の軸方向中央部分に形成された溝部の有無については,この略V字状の溝部があることで,ローラーにより成形された米飯成形物が落下する際,ほぼ水平の姿勢のまま落下可能となることから,この溝部の有無は,作業効率を重視する需要者にとっては注視する部分であって,それ以外の共通する態様に埋没してしまうものであるとはいえず,両意匠が別異であるとの印象を強く与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
次に,相違点(イ)の凹状面部における前壁面部の形成角度の態様については,当該形成角度を,引用意匠のような直角ではなく,本願意匠のような鋭角にすることで,米飯成形物の底面側に窪みが形成され,米飯成形物落下後の転倒や傾きを防止するとともに,米飯成形物の底面側の米飯の密度を減じ,米飯成形物の中に多くの空気を含ませることが可能となることから,この物品の需要者にとっては当該部位も注視する部分であって,その相違により両意匠は別異であるとの印象を与えるものと認められるから,この相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きいものである。
また,相違点(ウ)の凹状面部における正面視の切り欠き部分の態様については,正面側及び背面側の端部における特に目に付く部位に形成されたものであって,これを見る需要者に対し,異なる印象を与えるものであるから,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も一定程度ある。
そうすると,相違点(ア)ないし(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,成形される米飯成形物の形態の違いも考慮すると大きいものであって,これらの相違点(ア)ないし(ウ)は,意匠全体として見た場合には,両意匠の類否判断を決定付けるほどのものである。

3.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品について共通し,形態については,共通点全体としては両意匠の類否判断を決定付けるとまでは至らないものであるのに対して,相違点(ア)ないし(ウ)は全体として両意匠の類否判断を決定付けているといえる。
したがって,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕(りょうが)し,両意匠は,視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび

以上のとおりであるから,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-08-15 
出願番号 意願2016-11875(D2016-11875) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 内藤 弘樹 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 神谷 由紀
江塚 尚弘
登録日 2017-09-08 
登録番号 意匠登録第1586948号(D1586948) 
代理人 西村 啓一 
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