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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E1
管理番号 1332312 
審判番号 不服2017-7083
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-17 
確定日 2017-09-12 
意匠に係る物品 乗用自動車おもちゃ 
事件の表示 意願2016- 17679「乗用自動車おもちゃ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,2016年2月22日の域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成28年(2016年)8月19日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「乗用自動車おもちゃ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に表されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定の拒絶の理由及び本意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであり,本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成26年(2014年)2月17日)に記載された,意匠登録第1490140号(意匠に係る物品,自動車おもちゃ)の意匠であって,その形態は,同公報に記載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠との対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「乗用自動車おもちゃ」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「自動車おもちゃ」であるが,いずれも2ドアの乗用自動車を模した自動車おもちゃであるから,本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は共通する。

(2)形態
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお,両意匠の形態の対比にあたっては,引用意匠の図面について図の表示と図中の向きを本願意匠の図面に合わせることとし,引用意匠の「右側面図」を「正面図」とし,引用意匠の「正面図」を「左側面図」とし,引用意匠の「背面図」を「右側面図」とし,その他は,これらに準じて表されているものとする。また,車体の前面側を「前方」又は「フロント側」(両意匠の図面では,「左側面図」として表れる。),車体の後面側を「後方」又は「リア側」(両意匠の図面では,「右側面図」として表れる。),車体の左側を「左側面側」(両意匠の図面では,「正面図」として表れる。),車体の右側を「右側面側」(両意匠の図面では,「背面図」として表れる。)として以下記載する。

まず,共通点として,
(A)全体は,車幅より横幅が短いキャビンを車体前方にせり出して配置したショートノーズ・ロングデッキスタイルの2ドアスポーツカーのおもちゃであって,
(B)車体のフロント側は,フロントフェンダー及びフロントフードの上面全体を前方に向かって漸次下に傾斜させ,左右のフロントフェンダー側面の前方部分を車体内側に向かって湾曲させて,フロントフェンダー及びフロントフード全体が前方に向かって窄まったような態様に形成したものであって,その前端上方部分には,平面視「く」の字状の板体からなるフロントバンパーを一体的に形成し,車体の上面部分には,左右のフロントピラー根元部分からフロントフード前端中央付近にかけて,前方に向かって漸次幅の狭くなる膨出部(以下「フロントフード膨出部」という。)を平面視略横「ハ」の字状になるように左右に2つ形成し,実車ではヘッドライトの部分にあたる幅広で側面視略円弧状の左右のフロントフェンダー前方側上面部分に,平面視略ブーメラン状の区画部を設けたものであって,車体の前面部分には,中央に略横長長方形状の大開口部を形成し,その左右に略平行四辺形状の小開口部を形成し,下端部全体を前方に突出させて水平なフロントスポイラーを形成し,このフロントスポイラーから略縦長フィン状の縦桟を大開口部と左右の小開口部の境界部分に立設している点,
(B-1)左右のフロントフード膨出部の間の凹み部の中央やや前寄りの部分に,前方側の縁部分のみ立ち上がった平面視略逆D字状の開口部(以下「フロントフード開口部」という。)を設け,その開口部の上方に略長方形状の板体を1枚左右のフロントフード膨出部の間に架け渡して配設している点,
(B-2)フロントバンパーは,その上面中央部分をフロントフード膨出部の間の凹み部に合わせた形状に切り欠き,フロントフェンダーの平面視略ブーメラン状の区画部の前方部分を水平な凹状面となるように切り欠いたものであって,フロントバンパー下面中央部分から下に延びる縦桟に,水平な略ブーメラン状のフィンスポイラーを垂下している点,
(C)車体側面側は,車体側面側の下辺部分には,側面視が縦長の長靴を横に倒したような形状のサイドシルをフロントフェンダーアーチ後方部分からリアフェンダーアーチ前方部分にかけて配設し,車体側面側のショルダー部分には,フロントフード膨出部とフロントフェンダーとの間の凹み部からドアを経てキャビン後方部分で上下2つに分岐した側面視略横Y字状の板体(以下「横Y字状板体」という。)を形成し,この板体の分岐した上方側は車体後方の上面部分で左右の横Y字状板体上面側同士がつながり,この板体の分岐した下方側はクォーターパネルを覆いつつサイドシル後方部分と面一になるように形成され,この横Y字状板体下方側とサイドシルの間には,側面視略平行四辺形状の切り欠いたような凹み部を形成し,その凹み部の後方側の奥にエアインテークを形成している点,
(C-1)フロントピラーとドア上辺部の前方部分の間に,略三角形状の板体を設け,この板体下方部分から略水平方向にステーを設け,その先端に略砲弾状のアウトサイドリアビューミラーを設けている点,
(D)車体リア側は,車体の上面部分には,横Y字状板体の上下に分岐した部分の後方に,側面視略円弧状に膨出したクォーターパネルを横Y字状板体との間に隙間を設けて形成し,このクォーターパネル上面部分に平面視略斜めコの字状に切り欠かれたエアインテークを設け,キャビン後方に設けられた幅広で板状のセンターピラーと横Y字状板体の上方側部分により囲まれた部分に,平面視略横長D字状のリアガラスを設けたものであって,車体の後面部上方部分には,リアフードの上辺部分を平面視略弓形状に突出させて水平なリアスポイラーを配し,このスポイラーの両端部に,段差が1段施された略円柱状のテールランプを左右1つずつ設け,車体の後面部中央部分には,リアバンパーを水平に設けたものであって,リアバンパーの上部には,奥まった位置に略等脚台形状の開口部を設け,リアスポイラー下面側中央部分からリアバンパー上面側中央部分に幅太の縦桟を1つ設け,リアバンパー下部には,左右端部にテールパイプを2本ずつ配し,その内側部分に後面視略等脚台形状に切り欠いたディフューザーを形成し,リアバンパー下部中央部分から左右ディフューザー中間部分の奥まった位置に幅太の縦桟を1つ配設している点,
(D-1)リアバンパーは,上方に向かって前方に傾斜する傾斜面の下方に細幅の垂直面が形成された断面視略三角形状に形成され,車体後端部の形状に合わせて平面視略弓形状に突出して形成している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)キャビン上部のルーフの有無について,本願意匠は,左右のフロントピラーからフロントガラス上辺部分にかけて一体の枠体を形成し,フロントガラスとセンターピラーの間には何も設けていないのに対して,引用意匠は,センターピラー中央部分からフロントガラス上辺全体に向かって平面視ラッパ状に広がった形状のバールーフを設け,このバールーフの両側に,ドアと一体的に形成された平面視略直角台形状のルーフパネルを一体的に配して,平面視略横等脚台形状のルーフを構成している点,
(イ)キャビン内部の態様の有無について,本願意匠は,ハンドル,ダッシュボード,シート等の実車の運転席及び助手席を詳細に模してキャビン内部の態様を形成しているのに対して,引用意匠は,そのような態様を形成していない点,
(ウ)各開口部のメッシュの有無について,本願意匠は,フロントフード開口部,車体前面部の大小開口部,リアバンパー上部の開口部,クォーターパネル上面部及びドアの凹み部後方のエアインテーク等の実車において開口部となる箇所をメッシュ状に表しているのに対して,引用意匠は,当該区画を形状線のみで表している点,
(エ)フロントフード開口部の態様について,本願意匠は,平面視が前後に詰まった略逆D字状であるのに対して,引用意匠は,本願意匠に比べて前後に幅のある略逆D字状である点,
(オ)リアバンパー中央部分の態様について,本願意匠は,リアバンパー中央部分に後面視略U字状の平坦部を形成しているのに対して,引用意匠は,該部位に後面視略横長長方形状の平坦部を形成している点,
が認められる。

2.両意匠の形態の評価及び類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,本願意匠と引用意匠が類似するか否か,すなわち両意匠の類似性について考察する。

(1)両意匠の類否判断手法について
本願意匠の意匠に係る物品は,乗用自動車おもちゃであるが,この趣味性が高く嗜好品ともいえるこの種のスポーツカーのおもちゃにおいては,需要者は,その外観を細部にわたって注意深く観察するものである。
そして,この種物品の需要者にとっては,それがクローズボディであるのか,オープンカーであるかの相違は強く関心を惹くものであるから,これらを混同して認識することは考えられないといえる。
したがって,本願意匠と引用意匠の類否判断においては,単に全体の形態を比較するのではなく,この物品の需要者が重視する部分に比重を置いて,両意匠の共通点が与える印象と,相違点が与える印象を対比し,それらが両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価,総合して,意匠全体として類似するか否かを判断することとする。

(2)共通点の評価
まず,共通点(A)の全体の態様,共通点(B)ないし(D-1)の各部の態様は,両意匠の基調を形成し,需要者に共通の印象を与えるものであるが,趣味性が高く嗜好品ともいえるこの種のスポーツカーのおもちゃの需要者は,その外観を細部にわたって注意深く観察するものであるから,上記共通点(A)ないし(D-1)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められるものの,この共通点のみでは,両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

(3)相違点の評価
これに対して,相違点(ア)のキャビン上部のルーフの有無,及び相違点(イ)のキャビン内部の態様の有無については,外観を細部にわたって注意深く観察する需要者にとって,クローズドボディを模したものか,オープンカーを模したものかの相違や,実車のキャビン内部を模したものが表れているかどうかの相違は,その印象にとても大きな影響を及ぼすものであるから,相違点(ア)及び相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きいといえる。
次に,相違点(ウ)の各開口部のメッシュの有無について,実車に基づき開口部にメッシュを施したものと,単に開口部の区画を形状線でのみ表したものとでは,その完成度やディテールにこだわる需要者にとって,視覚的印象を大いに異にし,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,この相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響も大きいものである。
したがって,上記相違点(ア)ないし(ウ)は,意匠全体として見た場合,需要者に別異の印象を強く与えるものであって,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。

他方,相違点(エ)のフロントフード開口部の態様,及び相違点(オ)のリアバンパー中央部分の態様については,スポーツカーのおもちゃ全体として見た場合,気付きにくい細部の相違であるから,細部の態様にこだわる需要者にとってみても,これらの相違点(エ)及び相違点(オ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。

(4)両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品については共通し,両意匠の形態については,共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められるものの,共通点全体としては両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,上記(1)のとおり,趣味性が高く嗜好品ともいえるスポーツカーのおもちゃの意匠の類否判断においては,全体の形態に加えて各部の具体的な形態をより重視して対比するため,相違点が相俟って生じる視覚的効果は両意匠の類否判断に大きく影響を与えるものであり,意匠全体として見た場合には,これらの相違点は需要者に別異の印象を与え,両意匠に異なる美感を惹起させるものであるから,本願意匠が,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび

以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠を意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,本願については,原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。


別掲
審決日 2017-08-29 
出願番号 意願2016-17679(D2016-17679) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (E1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 宗 裕一郎 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
神谷 由紀
登録日 2017-09-29 
登録番号 意匠登録第1588788号(D1588788) 
代理人 大貫 進介 
代理人 伊東 忠彦 
代理人 伊東 忠重 
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