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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 J2
管理番号 1333291 
審判番号 不服2017-8170
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-06 
確定日 2017-09-20 
意匠に係る物品 腕時計 
事件の表示 意願2016- 10991「腕時計」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成28年(2016年)5月24日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「腕時計」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたもので,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であり,当該部分は透明である。」としたものである。(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。

この意匠登録出願の意匠は,意匠に係る物品を腕時計とし,時計本体正面側に設けられた透明のカバーケース部について意匠登録を受けようとするものであるが,この種ケースの意匠創作にあたり,ケース周縁部からケース中央の頂点に向かって複数の傾斜面を設けることは,この種物品分野において本願出願前よりありふれており(例えば,以下の意匠1から意匠5),本願意匠と同様に,傾斜面を4面としたものも本願出願前より見受けられる(以下の意匠5)。

そうすると,本願出願前より公然知られた腕時計(以下の意匠6)を基本とし,そのカバーケース部について,上述の手法を用いて4面の傾斜面を有するケース部としたにすぎない本願意匠に格別の創意を見出すことはできず,当業者であれば,容易に創作することができたものと認められる。


意匠1(別紙第2参照)
特許庁特許情報課が2007年1月18日に受け入れた
2006年11月30日発行の国際事務局意匠公報(CD-ROM番号:No10/2006)に記載された国際意匠登録 第 DM/068 219号の時計用ガラスの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH18531413号)

意匠2(別紙第3参照)
特許庁特許情報課が2007年1月18日に受け入れた
2006年11月30日発行の国際事務局意匠公報(CD-ROM番号:No10/2006)に記載された国際意匠登録 第 DM/068 219号の時計用ガラスの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH18531419号)

意匠3(別紙第4参照)
特許庁特許情報課が2007年1月18日に受け入れた
2006年11月30日発行の国際事務局意匠公報(CD-ROM番号:No10/2006)に記載された国際意匠登録 第 DM/068 219号の時計用ガラスの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH18531425号)

意匠4(別紙第5参照)
特許庁特許情報課が2007年1月18日に受け入れた
2006年11月30日発行の国際事務局意匠公報(CD-ROM番号:No10/2006)に記載された国際意匠登録 第 DM/068 219号の時計用ガラスの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH18531431号)

意匠5(別紙第6参照)
昭和50年特許出願公開第006367号の第5図,及び関連する記載により表された腕時計の意匠

意匠6(別紙第7参照)
欧州共同体商標意匠庁が発行した
欧州共同体意匠公報2007年10月24日腕時計(登録番号000789748-0005)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH19208332号)

3.請求人の主張の要旨
(a)本願意匠の要旨
本願に係る意匠は,いわゆる正四角錐の風防を有する腕時計であって,腕時計の風防は,正方形の輪郭を有して中央の頂点から正方形の各角に下ろされる4つの稜線を有する。しかも,正方形の対角線は文字盤の「12時」「3時」「6時」「9時」に合わせて平面視で上下左右方向に配置される。
(b)引用意匠の要旨
意匠1は,時計用のガラスであって,正方形の輪郭を有して中央の頂点から正方形の各辺に下ろされる6つの稜線を有する。2つの稜線は文字盤の「12時」「6時」に合うものの,4つの稜線は文字盤の「3時」「9時」からずれる。
意匠2は,時計用のガラスであって,正方形の輪郭を有して中央の頂点から正方形の各辺に下ろされる10本の稜線を有する。2つの稜線は文字盤の「12時」「6時」に合うものの,他の8つの稜線は文字盤の「3時」「9時」からずれる。
意匠3は,時計用のガラスであって,正方形の輪郭を有して中央の頂点から正方形の各辺に下ろされる12本の稜線を有する。4つの稜線は文字盤の「12時」「3時」「6時」「9時」に合うものの,他の6本の稜線は文字盤の「12時」「3時」「6時」「9時」からずれる。
意匠4は,時計用のガラスであって,正方形の輪郭を有して中央の頂点から正方形の各辺に下ろされる14本の稜線を有する。2つの稜線は文字盤の「12時」「6時」に合うものの,他の12本の稜線は文字盤の「12時」「3時」「6時」「9時」からずれる。
意匠5は,時計用のガラスであって,円形の輪郭を有して中央の頂点から下ろされる4つの稜線は頂点回りに90度の間隔で配置される。稜線は文字盤の「12時」「3時」「6時」「9時」に合う。
意匠6は,腕時計であって,風防の輪郭は「12時」「3時」「6時」「9時」の方向に対角線を有する正方形に形成される。
(c)本願意匠と引用意匠との対比
最高裁 昭和45年(行ツ)第45号「可撓伸縮ホース事件」によれば,意匠法3条2項は,物品の同一または類似という制限をはずし,社会的に広く知られたモチーフ(現在では公知のモチーフ)を基準として,当業者の立場からみた意匠の着想の新しさないし独創性を問題とする。そして,意匠法第3条第2項に基づく意匠の創作性を問うにあたって,意匠審査基準に提示されるように,ありふれた手法により他の公然知られた意匠に置き換えて構成したにすぎない意匠,ありふれた手法により寄せ集めたにすぎない意匠,ありふれた手法により配置を変更したにすぎない意匠,ありふれた手法により構成比率または単位の数を変更したにすぎない意匠,公然知られた形状,模様若しくは色彩またはこれらの結合をそのまま表したという当業者にとってありふれた手法により創作された意匠,転用の商慣行というありふれた手法がある場合において転用された意匠といった具合に,一貫して,ありふれた手法により創作された意匠か否かが判断される。
本願意匠および意匠1?意匠5を対比するに,意匠1?意匠5では風防の稜線は「辺」か「円」かに接続され,「角」には接続されていない。したがって,四角形の輪郭の各角に向かって頂点から稜線を下ろすことは,意匠1?意匠6のうちいずれかのモチーフに見られるありふれた手法ではなく,着想は新しく,独創的なものである。複数の公然知られた意匠を組み合わせて一の意匠を構成したにすぎない意匠とは明らかに相違する。
(d)むすび
以上のように,本願意匠は,意匠1?意匠6に含まれるモチーフに基づき,ありふれた手法により創作された意匠ではなく,よって,原査定を取り消す,この出願の意匠はこれを登録すべきものとする,との審決を求める。

4.当審の判断
本願意匠が,当業者であれば,容易にその意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。
(1)本願意匠
本願意匠は,意匠に係る物品を「腕時計」とし,バンド付きの腕時計において,本願部分を時計の文字盤を覆う風防部分(以下,この部分を「風防部」という。)としたもので,竜頭を設けた円形枠状の時計用側に対して,正面視斜め45度の角度に設けられた隅丸正方形状の太幅の枠の内側に設けられた風防部の枠の上部に突出した部分としたもので,その部分の形態は,部分全体を扁平な略正四角錐状の透明な部材とし,正面視斜め45度の角度に設けられた隅丸正方形状として,その稜線が垂直方向と水平方向に,中心である中央の頂点で交わる十文字状に表れ,頂点の内角が90度ずつとなるもので,底面視した高さを左右の長さの約1/24程度に形成したものである。
(2)原査定の拒絶の理由の引用意匠
(ア)意匠1
意匠1は,意匠に係る物品を「時計用ガラス」とし,正面視を正方形状として,中心である中央の頂点から2本の垂直方向の稜線と,その中心で交わる左右に2本ずつの斜めの稜線によって,全体を6分割し,頂点の内角が60度ずつとなるもので,本願部分に相当する引用部分1において,枠の上部に突出した部分の底面視した高さを左右の長さの約5/24程度に形成したものである。
(イ)意匠2
意匠2は,意匠に係る物品を「時計用ガラス」とし,正面視を正方形状として,中心である中央の頂点から2本の垂直方向の稜線と,その中心で交わる左右に4本ずつの斜めの稜線によって,全体を10分割し,頂点の内角が36度ずつとなるもので,本願部分に相当する引用部分2において,枠の上部に突出した部分の底面視した高さを左右の長さの約5/24程度に形成したものである。
(ウ)意匠3
意匠3は,意匠に係る物品を「時計用ガラス」とし,正面視を正方形状として,中心である中央の頂点から2本の垂直方向の稜線と,その中心で交わる左右に5本ずつの斜めの稜線によって,全体を12分割し,頂点の内角が30度ずつとなるもので,本願部分に相当する引用部分3において,枠の上部に突出した部分の底面視した高さを左右の長さの約5/24程度に形成したものである。
(エ)意匠4
意匠4は,意匠に係る物品を「時計用ガラス」とし,正面視を正方形状として,中心である中央の頂点から2本の垂直方向の稜線と,その中心で交わる左右に6本ずつの斜めの稜線によって,全体を14分割し,頂点の内角が約26度ずつとなるもので,本願部分に相当する引用部分4において,枠の上部に突出した部分の底面視した高さを左右の長さの約5/24程度に形成したものである。
(オ)意匠5
意匠5は,発明の名称を「腕時計」とし,本願部分に相当する引用部分5において円形の「カバーガラス」の表面にカット面を設けたもので,第5図において,その稜線が垂直方向と水平方向に中央の頂点で交わる十文字状に表れ,頂点の内角が90度ずつとなるものが表されている。
(カ)意匠6
意匠6は,意匠に係る物品を「腕時計」とし,バンド部に対して正面視斜め45度の角度に設けられた正方形状の時計用側の内側に正面視斜め45度の角度に設けられた風防部を正方形状のガラス部分としたものである。
(3)創作容易性の判断
まず,この種の腕時計の分野においては,風防部が正面視略正方形状であって,枠の上部に突出し,その中心で交わる稜線によって,全体を均等に分割して頂点の内角が均等になるものは,意匠1ないし意匠4に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
また,その稜線が垂直方向と水平方向に中央の頂点で交わる十文字状に表れ,頂点の内角が90度ずつとなるものも意匠5に見られるように本願出願前より既に見られる態様といえるものである。
そして,この種の腕時計の分野においては,バンド部に対して正面視斜め45度の角度に設けられた正方形状の時計用側の内側に正面視斜め45度の角度に設けられた風防部を正方形状のガラス部分としたものも,意匠6に見られるように本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
しかしながら,意匠1ないし意匠4に表されたものは正方形状の対向する辺の中央を結ぶ垂直線とその中心で交わる斜めの稜線からなるもので,正面視斜め45度の角度に設けられた隅丸正方形状とし,その稜線が垂直方向と水平方向に,中心である中央の頂点で交わる十文字状に表れている本願部分とは,その具体的な態様が異なるものである。
また,意匠5には,表面にカット面を設け,その稜線が垂直方向と水平方向に中央の頂点で交わる十文字状に表れ,頂点の内角が90度ずつとなる態様が表されているが,意匠5のカバーガラスは円形であり,四隅がない点で本願部分とは異なり,中心部の高さが不明で,意匠1ないし意匠4に表された正方形状の時計用ガラスと意匠5のカバーガラスを組み合わせたとしても,本願部分の態様を導き出すことができないものである。
そして,意匠6は,正面視斜め45度の角度に設けられた正方形状の時計用側のガラスによる風防部で,本願部分の円形枠状の時計用側に対して,正面視斜め45度の角度に設けられた隅丸正方形状の太幅の枠の内側に設けられた風防部の枠の上部に突出した態様は,これら意匠1ないし意匠6のいずれにも見当たらない態様といえるものである。
この種の腕時計の物品分野において,風防部が正面視略正方形状であって,枠の上部に突出し,その中心で交わる稜線によって,全体を均等に分割して頂点の内角が均等になるものは,意匠1ないし意匠4に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものであり,また,表面にカット面を設け,その稜線が垂直方向と水平方向に中央の頂点で交わる十文字状に表れる態様も意匠5に見られるように本願出願前より既に見られる態様といえるものであり,正面視斜め45度の角度に設けられた正方形状のガラスによる風防部も意匠6に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
正面視斜め45度の角度に設けられた隅丸正方形状とし,その稜線が垂直方向と水平方向に,中心である中央の頂点で交わる十文字状に表れ,底面視した高さを左右の長さの約1/24程度に形成している本願部分の態様は,意匠1ないし意匠6のいずれの意匠にも見当たらず,意匠1ないし意匠4時計用ガラス部に意匠5の垂直方向と水平方向に中央の頂点で交わる十文字状に表れる稜線を設けたとしても,意匠1ないし意匠4の正方形を正面視斜め45度の角度に傾け,四隅と中央の頂点を結ぶ稜線を表さなければ,それらの意匠から,本願部分の態様を導き出すことはできず,また,意匠6のように正面視斜め45度の角度に風防部を設けたとしても,枠部の内側に小さめに設けられた本願部分と,時計用側の縁一杯に大きめに設けられた意匠6とは,全体に対する部分の割合が異なるもので,さらにその厚みや四隅の態様も本願部分のものとは異なり,さらに多数の変更を加えなければ,本願部分の態様を導き出すことはできないものである。扁平な略正四角錐状の風防は,他には見当たらず,また,本願部分と同様の厚みを有するものも他には見られず,四隅に向かってその稜線が垂直方向と水平方向に中央の頂点で交わる十文字状に表れた態様は,本願部分の独自の態様を表す創作がなされているものであり,当業者にとって,本願部分の態様が容易に創出し得るものということはできない。
そうすると,本願部分は,部分全体を扁平な略正四角錐状の透明な部材とし,正面視斜め45度の角度に設けられた隅丸正方形状として,その稜線が垂直方向と水平方向に,中心である中央の頂点で交わる十文字状に表れ,頂点の内角が90度ずつとなるもので,底面視した高さを左右の長さの約1/24程度に形成した態様としたものであって,とりわけ,扁平な略正四角錐状の四隅に向かってその稜線が垂直方向と水平方向に中央の頂点で交わる十文字状に表れた態様は,本願部分の独特の態様といえるもので,当業者であれば容易に創作することができたものとはいうことができないものである。
よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,意匠1ないし意匠6に見られる,日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。

5.むすび
したがって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-09-05 
出願番号 意願2016-10991(D2016-10991) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (J2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 原川 宙 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 正田 毅
斉藤 孝恵
登録日 2017-10-27 
登録番号 意匠登録第1591198号(D1591198) 
代理人 特許業務法人落合特許事務所 
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