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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1333299 
審判番号 不服2017-9399
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-28 
確定日 2017-10-10 
意匠に係る物品 スピーカーボックス 
事件の表示 意願2016- 20453「スピーカーボックス」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,2016年(平成28年)9月23日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「スピーカーボックス」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,米国特許商標公報に2012年12月18日に掲載されたスピーカーボックス(登録番号US D672748S)の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH24322427号)であり,その形態は,同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
いずれも,「スピーカーボックス」であるから,本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,一致する。

(2)本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の形態
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

(3-1)共通点
基本的構成態様として,
(A)全体は,周側面部を,正面側に向かって拡開した略横長四角錐台形状としている点。

具体的な態様として,
(B)正面部において,全体が横方向に緩やかに湾曲している点,
(C)正面部において,縁部を除いた放音部全面に小さな孔が多数穿たれたスピーカーグリルを取り付けている点。

(3-2)相違点
具体的な態様として,
(ア)正面部の横と縦の長さの比率について,
本願意匠は,縦と横の長さの比率が,約1:1.6であるのに対し,
引用意匠は,縦と横の長さの比率が,約1:2.0である点,
(イ)正面部の縦の長さと側面部の横の長さの比率について,
本願意匠は,正面部の縦の長さと側面部の横の長さの比率が,約1:1であるのに対し,
引用意匠は,正面部の縦の長さと側面部の横の長さの比率が,約1:1.2である点,
(ウ)周側面部の傾斜角度について
本願意匠は,周側面部の4面の傾斜角度をすべて約5度としているのに対し,
引用意匠は,平面部と底面部の傾斜角度をそれぞれ約5度とし,左右側面部の傾斜角度をそれぞれ約12度としている点,
(エ)正面部の縦方向の湾曲の有無について,
本願意匠は,全体が縦方向に僅かに湾曲しているのに対して,
引用意匠は,垂直面で湾曲はない点,
(オ)背面部の態様について
本願意匠は,中央部に円形の孔を1つ設け,その直下に円形の端子部を1つ配置し,左下隅にXLR端子と右下端にスピーカーケーブル用端子を配置したものであるのに対し,
引用意匠は,右端部寄りに略矩形状の端子部と電源ケーブルを縦に配置し,右端部側の全幅の約5分の1と上下中央部の横帯状の面積を除いて,小円を近接して縦横に規則的に多数形成したものである点,
(カ)操作部の有無について
本願意匠は,操作部を設けていないのに対し,
引用意匠は,平面部の正面部寄り中央に略縦長長円形状の操作部を設けている点。
(キ)脚部の有無について
本願意匠は,脚部を形成していないのに対し,
引用意匠は,底面部および左側面部に小さな突起をそれぞれ4個ずつ取り付けて脚部としている点,
(ク)スピーカーグリルの着脱の有無について,
本願意匠は,スピーカーグリルを着脱可能に取り付けているのに対し,
引用意匠は,スピーカーグリルの着脱が不明である点,
(ケ)スピーカーグリルを外した状態の正面部の態様について,
本願意匠は,左端部寄りに正面視,略円形のスピーカー部を1個配置し,右端部寄りに略円形孔のバスレフポート部を1個穿設し,四隅および上下端部やや右寄りに小円孔を1個ずつ,合計6個形成したものであるのに対し,
引用意匠は,スピーカーグリルを外した状態の図が無いため不明である点。

2.類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

両意匠は,意匠に係る物品が一致するが,形態については,以下のとおりである。

(1)共通点の評価
共通点(A)の全体の態様,正面部において,共通点(B)の全体が横方向に緩やかに湾曲している態様および共通点(C)の縁部を除いた放音部全面に小さな孔が多数穿たれたスピーカーグリルを取り付けている態様は,下記参考意匠に見られるように,本願意匠の出願前より公然知られているものであって,それが両意匠のみの格別の態様とはいえず,意匠全体として見た場合には,両意匠を類似と判断するまでには至らないものであるから,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱である。

【参考意匠】(別紙第3参照)
日本国特許庁発行の意匠公報掲載
意匠登録第1461243号
(意匠に係る物品,スピーカー)の意匠

(2)相違点の評価
相違点(ア)および(イ)については,両意匠の全体形状に関わるものであるところ,本願意匠は,全体的に背が高く奥行きが短いずんぐりした印象をもたらしているのに対し,引用意匠は,全体的に横長で奥行きが長いスマートな印象をもたらしているものであって,これらの相違点は,視覚的に大きく異なる印象を与えるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
次に,相違点(ウ)については,本願意匠は,周側面部の傾斜角度をすべて約5度に統一し正面側に向かって均一に拡開させることで周側面部全体に視覚的な統一感をもたらしているのに対し,引用意匠は,左右側面部の傾斜角度を平底面部の傾斜角度の2倍以上としていることから横方向の拡がりがより強調された印象を与えており,この相違点は,両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
また,相違点(エ)については,この種スピーカーボックスの分野において,正面部全体が縦方向に湾曲したものが本願出願前より一般に知られているものではあるが,本願意匠は共通点(B)の横方向に湾曲した態様と相まって上下左右に湾曲した態様をなしており,正面部に独特な立体感をもたらしているものであって,この意匠的効果が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
さらに,相違点(オ)については,さほど目に付かない背面部における相違ではあるが,各種接続端子の種類や配置,壁面等取り付け用のネジ孔の有無は需要者が関心を持って観察するものであって,両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。
さらに加えて,相違点(カ)については,操作部自体は小さなものではあるが,平面部の目立つ箇所に配置されており,需要者の注意を引くものといえ,その相違が両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものである。
一方,相違点(キ)については,脚部自体はごく小さなものであり,その取り付けられる箇所も底面部と左側面部というさほど目立たない箇所に取り付けられていることから,細部における相違に止まるものであって,両意匠の類否判断に与える影響は小さいものといえる。
また,相違点(ク)および(ケ)については,この種スピーカーボックスの分野において,スピーカーグリルは着脱可能に取り付けられたものも固着されたものもどちらも普通に見受けられるものであり,また,本願意匠のスピーカーグリルを外した状態の正面部の態様も格別特徴のあるものではないことから,これらはいずれも細部における相違にすぎないものであるから,両意匠の類否判断に与える影響は小さいものといえる。
以上のとおり,相違点(キ)ないし(ケ)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの,相違点(ア)ないし(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点(オ)および(カ)も両意匠の類否判断に一定の影響を与えるものであるから,相違点全体が相まって両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。

(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,一致するが,形態においては,共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,相違点の印象は,共通点の印象を凌駕し,両意匠は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-09-26 
出願番号 意願2016-20453(D2016-20453) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 北代 真一 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 江塚 尚弘
内藤 弘樹
登録日 2017-10-20 
登録番号 意匠登録第1590491号(D1590491) 
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