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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K1
管理番号 1333304 
審判番号 不服2017-6284
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-01 
確定日 2017-10-12 
意匠に係る物品 はさみ 
事件の表示 意願2016- 5241「はさみ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成28年(2016年)3月9日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「はさみ」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由および引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,以下のとおりのものである。

表題: PLUSデジタルカタログ
タイプ: [online]
掲載年月日: 不明
公知日: 2015年12月(掲載カタログの索引第22頁下部に「発行2015年12月」と記載あり)
検索日: [平成28年8月24日検索]
情報の情報源: インターネット
情報のアドレス:http://dcs.gamedios.com/iportal/CatalogDetail.do?method=initial_screen&volumeID=PLS11001&categoryID=663580000&catalogID=7569830000&type=mc&position=2&sortKey=CatalogMain22330000&sortOrder=ASC&designID=PLSD001

画面上部に表示されている,『PLUSステーショナリーカタログ2016』のカタログ内第77頁,左側下方に掲載された写真図版4点により表された 「はさみ(フィットカット万能タイプ 品番SC-175HM)」の意匠


第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。

1.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品について
両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品について,いずれも「はさみ」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

(2)形態について
両意匠の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。なお,両意匠を同一方向から対比するため,引用意匠の向きを本願意匠の正面図の向きに揃えたものとし,正面視左側を前方,正面視右側を後方として,以下,それぞれ形態を認定し,対比する。

(2-1)共通点
(A)略対称形の一対の鋏体を,ねじ部において接続し回動自在としたはさみの全体の構成比率について,ねじ部前方の刃体側とねじ部後方の持ち手側の長さの比率を約1:2とし,刃体側と持ち手側の幅の最大部の比率を約1:6に形成して,刃体側に対して持ち手側を顕著に大きくした点,
(B)ねじ部から刃体側の切っ先まで(以下,「刃体部」という)の形状について,刃体部内側及び背側の外形線を共に凸湾曲状に形成した,略笹の葉形状とした点,
(C)持ち手側について,刃体部から連続的に湾曲形成され,内側に略木の葉型の空隙を形成したキャップ回し部(以下,「キャップ回し部」という)と,キャップ回し部の外側から鋏体を覆い,略わらじ型の指掛け穴(以下,「指掛け穴」という)の周縁を立体的に形成した把持部(以下,「把持部」という)から構成した点,
(D)把持部について,刃体部寄りの先端を先窄まりに形成し,指掛け穴の略わらじ型の前側円弧を後側円弧よりも小さく形成し,略わらじ型の外側の湾曲部を正面視略大円弧状として周縁を一定の細幅に形成し,内側の湾曲部を正面視略水平とし,その周縁を断面形状の変化する太幅の指当たり部(以下,「指当たり部」という)とした点,
(E)キャップ回し部について,一対の波線状円弧により略木の葉型に形成し,木の葉型の後方に直線状の隙間を形成し,その延長上に,指当たり部から一体的に突出した略台形状の突起(以下,「台形突出部」という)を形成した点,
(F)ねじ部近傍の刃体の外縁形状について,正面視二重円状のねじ部の左上の刃体の外縁を小さな凸円弧状,その右下の刃体の外縁をやや大きな凸円弧状に形成した点,
が認められる。

(2-2)相違点
(ア)把持部の前端外側の湾曲形状について,本願意匠の把持部前端外側の湾曲部は,凹円弧から凸円弧に変化する頂部を段差状として段部(以下,「段部」という)を形成しているのに対し,引用意匠は段部を形成せず,凹円弧から凸円弧に滑らかに変化している点,
(イ)把持部の指掛け穴の前側の形状について,本願意匠が,指掛け穴の前側から指当たり部中央近傍にかけて幅広のテーパ面を形成しているのに対し,引用意匠は,指掛け穴の前側の形状に沿った幅狭のテーパ面を形成した点,
(ウ)指当たり部の形状について,本願意匠は,正面視において極めて緩やかで略水平の凸湾曲状とし,断面視における端面上部を略平坦に形成しているのに対し,引用意匠は,正面視においてやや膨らんだ凸湾曲状とし,端面上部を略山状に形成した点,
(エ)把持部の指掛け穴後側の形状について,本願意匠の指掛け穴の後側の湾曲部は,前側の湾曲部よりもやや大きい円弧状としているのに対し,引用意匠は,幅広で直線に近い緩円弧状である点,
(オ)ねじ部近傍の刃体の態様について,本願意匠は,ねじ部の右側に小円孔を形成し,ねじ部の右下側の外縁形状をキャップ回し部と連続する緩円弧状に形成しているのに対し,引用意匠は,該部位に小円孔はなく,ねじ部の右下側の外縁形状を略四半円弧状とし,その円弧の上端からキャップ回し部との間を直線状に形成して針金切断部としている点,
が認められる。

2.本願意匠と引用意匠の類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

まず,両意匠はいずれも「はさみ」に係るものであるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。

次に,形態の共通点について,共通点(A)の刃体と持ち手側の大きさの比率は,本願意匠の出願前に,同様の比率のものが参考意匠1(特許庁意匠課受入日平成10年(1998年)7月10日,プラス株式会社発行の内国カタログ PLUS OFFICE APPLIANCES CATAROG第950頁所載の「はさみ」の意匠,特許庁意匠課公知資料番号第HC10014732号:別紙第3参照)にもみられるため,この共通点(A)は,周辺意匠を参酌すると,全体の比率という概略的な共通性にとどまり,両意匠の類否判断に及ぼす影響が格別大きいものとはいえない。
共通点(B)の,刃体部の形状を略笹の葉形状とすることは,はさみの物品分野において,刃体部の構成態様としてありふれたものであって,両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きいものとはいえない。
共通点(C)及び共通点(E)の,略わらじ型の指掛け穴及び台形突出部を設けた把持部,及び略木の葉型のキャップ回し部によって持ち手側を構成したものは,多数の先行意匠,例えば参考意匠1,参考意匠2(インターネット掲載確認日(公知日)平成22年(2010年)6月14日,掲載者株式会社まるきん,表題「ダイワ トゲチョキ オレンジ」,掲載ページのアドレス http://shop.marukin-net.co.jp/catalog/popup_image.php/pID/9737 所載「はさみ」の意匠,特許庁意匠課公知資料番号第HJ22016062号:別紙第4参照),及び参考意匠3(2009年2月25日発行の大韓民国意匠公報,登録番号第30521289号に表されている「園芸用はさみ」の意匠,特許庁意匠課公知資料番号第HH21407188号:別紙第5参照)等,にみられることから,これらはキャップ回し部を有する,多用途に用いられるはさみにおける一般的な構成態様であって,両意匠の類否判断に及ぼす影響が大きいものとはいえない。
共通点(D)の,把持部の先端部が窄まっており,かつ,指掛け穴の形状が同様のものは,引用意匠のほか周辺意匠にほとんどみられないことから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度あるものといえる。
共通点(F)については,ねじ部近傍の刃体の外縁形状の2か所のうち,いずれかを凸円弧状としたものは周辺意匠に散見され,2か所とも凸円弧状としたものも参考意匠3にみられることから,両意匠のみに特徴的な態様とはいえず,この態様の共通性をもって両意匠の類否判断を決定することはできない。

これに対して,相違点(ア)の把持部の前端外側の湾曲形状については,本願意匠は,段部を有することで無骨な視覚的印象を与えるのに対し,引用意匠は段部がないため滑らかですっきりした視覚的印象を与える点で異なっており,使用時においても外側の目につきやすい位置にあることから,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものといえる。
相違点(イ)ないし(エ)の態様について,この種のはさみにおいて,指当たり部を主体とした把持部の構成態様には,切断の際の力のかけやすさにも関わることから,細部の態様にも需要者の注意が払われるものと認められるところ,これら(イ)ないし(エ)の把持部の形状の相違が相まって,使用時の手指の掛かり方に違いをもたらすものと認められ,両意匠の類否判断に少なからぬ影響を及ぼすものといえる。
相違点(オ)のねじ部近傍の刃体の態様については,両意匠は外縁形状が顕著に異なっており,また,引用意匠のような直線状の針金切断部は参考意匠1のように従来から周辺意匠にみられる態様である一方,本願意匠のような位置に小円孔を設けることは,周辺意匠にほとんどみられないものであるから,両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものといえる。

そして,意匠全体として見た場合,相違点(ア)ないし(オ)の相違点によって生じる視覚的効果は大きく,上記共通点(A)ないし(E)が相まったとしても需要者に別異の美感を起こさせるものであるから,本願意匠は,引用意匠に類似しないものということができる。

したがって,両意匠は,意匠に係る物品について一致し,形態の基本的な形状に共通点が存在するものの,具体的形状における相違点によってもたらされる総合的な印象が共通点のそれを凌駕しており,意匠全体としては視覚的印象を異にするものであるから,両意匠は類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-09-27 
出願番号 意願2016-5241(D2016-5241) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 石川 天乃清野 貴雄 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 神谷 由紀
江塚 尚弘
登録日 2017-10-27 
登録番号 意匠登録第1591253号(D1591253) 
代理人 特許業務法人コスモ国際特許事務所 
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