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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1334421 
審判番号 不服2017-7773
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-30 
確定日 2017-10-24 
意匠に係る物品 電気コネクタ 
事件の表示 意願2016- 7161「電気コネクタ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成28年(2016年)3月31日の意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「電気コネクタ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。断面図を含めて部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を特定している。一点鎖線は意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであり,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,特許庁意匠課が2005年2月25日に受け入れた「温度計測器総合カタログ」第82頁に所載の「電気コネクター」(特許庁意匠課公知資料番号第HC17017336号)の,写真中左側に現れている端末のうち,本願意匠の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠(以下,本願部分に相当する引用意匠の部分を「引用部分」という。)としたものであって,引用意匠及び引用部分の形態は,同カタログに掲載された写真版により現されたとおりのものである。(別紙第2参照)

第3 当審の判断

1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「電気コネクタ」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「電気コネクター」であるが,単なる表記の違いにすぎず,いずれも電気コネクタであると認められるから,本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は一致する。

2.本願部分と引用部分の対比
(1)部分意匠としての用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
本願部分と引用部分(以下「両意匠部分」という。)の用途及び機能は,電源プラグの雌コネクタにおける雄コネクタと嵌合して抜けないようにするための略角筒状の部分であって,その位置,大きさ及び範囲は,電源コードの先端に設けられた電源プラグ先端側の,コンセント挿入ピンの付け根部分及びこのコンセント挿入ピンを囲む有底な略角筒状の部分におけるコンセント挿入ピンを除いた部分であるから,両意匠部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は,共通する。

(2)両意匠部分の具体的形態
両意匠部分の形態を対比すると,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
なお,対比のため,本願意匠の図面における正面,平面等の向きを,引用意匠にもあてはめることとする。

まず,共通点として,
(A)両意匠部分全体は,電源プラグの先端側に形成されたコンセント挿入ピンの付け根部分及びこのコンセント挿入ピンを囲うように形成された,平面視が略倒立凸形状の有底な略角筒状部分(以下「凸形筒状部」という。)におけるコンセント挿入ピンを除いた部分からなるものであって,
(B)凸形筒状部のコンセント挿入ピンの付け根付近を除く正面中央部分に,雄コネクタの突条部分と嵌合するための正面視略縦長長方形状の突出部分(以下「嵌合用突出部」という。)をその上辺が凸形筒状体の端部と一致するような配置で1つ配設している点,
(C)凸形筒状部の嵌合用突出部のある壁面は,その厚みを他の壁面より厚くなるように形成している点,
が認められる。

他方,相違点として,
(ア)嵌合用突出部に形成された長方形状貫通孔の有無について,本願部分は,凸形筒状体の端部付近に,縦横比が約5:7の正面視横長長方形状の貫通孔を1つ形成しているのに対して,引用部分には,何も貫通孔を設けていない点,
(イ)凸形筒状部の外周部分の態様について,本願部分は,凸形筒状部の嵌合用突出部を除く略角筒状部分の四隅を平面視において僅かな隅丸に形成しているのに対して,引用部分は,該部位を平面視においてより大きな円弧の隅丸に形成している点,
が認められる。

3.両意匠部分の形態の評価
まず,共通点(A)の両意匠部分全体の態様,及び共通点(B)の嵌合用突出部の態様については,突条部を設けた雄コネクタと嵌合する雌コネクタの形態としては,本願意匠の出願前に既に見られるものであり,両意匠部分のみに共通する特徴とはいえないものであるから,この共通点(A)及び共通点(B)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱である。
また,共通点(C)の壁面の態様については,この電気コネクタの分野においては,コネクタの着脱の際に負荷のかかる部分を強化する目的で厚く形成することが極普通に行われているところであるから,嵌合用突出部のある壁面を厚く形成したことを意匠上高く評価することはできず,この共通点(C)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も微弱である。
そして,これらの共通点(A)から共通点(C)の態様は,いずれも特段特徴のない態様にすぎず,両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は微弱であるから,これら共通点を全体として見てもその影響は大きいものとはいうことができず,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものである。

これに対し,相違点(ア)の嵌合用突出部に形成された長方形状貫通孔の有無については,電気コネクタの分野において,抜けやすいピン状のコネクタ同士を接続する際に,雄コネクタの係合部を嵌入するための貫通孔を雌コネクタの略角筒状部分に設けることは既に行われているものの,両意匠のような抜けにくい電源プラグ同士を接続するコネクタにおいて,雌コネクタの略角筒状部分に雄コネクタの突条部分と嵌合するための嵌合用突出部を設けて凸形筒状部とし,更に嵌合用突出部に雄コネクタの係合部を嵌入するための貫通孔を設けたものは,先行意匠に照らすところ見つけることができず,該部位は本願部分のみがもつ独自の態様であるとして看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(ア)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。
次に,相違点(イ)の凸形筒状部の外周部分の態様については,平面視が,角張った略長方形のような印象を与える本願部分の態様と,丸まった略長円形のような印象を与える引用部分の態様とは,看者に別異な印象を与えるものであるから,この相違点(イ)が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響も大きい。
そして,これらの相違点(ア)及び相違点(イ)によって生じる視覚的効果は看者に別異な印象を与えるものであって,それらが相まって生じる別異の印象は,両意匠部分の類否判断を決定付けるほど大きいものであるといえる。

4.両意匠の類否判断
上記のとおり,両意匠の意匠に係る物品については一致し,両意匠部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲についても共通しているが,両意匠部分の形態については,共通点が類否判断に及ぼす影響は両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点が相まって生じる視覚的効果は,共通点のそれを凌駕して,類否判断を支配するほど大きいものであるから,両意匠部分は類似しないものである。
したがって,本願意匠と引用意匠とは類似しないものと認められる。

第4 むすび

以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであるから,本願については,原査定における拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。


別掲
審決日 2017-10-11 
出願番号 意願2016-7161(D2016-7161) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 江塚 尚弘
神谷 由紀
登録日 2017-11-17 
登録番号 意匠登録第1592730号(D1592730) 
代理人 特許業務法人平田国際特許事務所 
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