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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1334426 
審判番号 不服2017-5565
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-19 
確定日 2017-10-18 
意匠に係る物品 包装用容器 
事件の表示 意願2016- 9290「包装用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成28年(2016年)4月27日付けで意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形態を,願書の記載及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,以下のとおりのものである(別紙第2参照)。
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2009年11月 2日
受入日 特許庁意匠課受入2009年11月 6日
掲載者 株式会社資生堂
表題 資生堂 商品ディクショナリー
掲載ページのアドレス
http://www.shiseido.co.jp/products/s0104pdt/view/pdt00002.asp?TOP=1&SHOHIN_C=39666&P=pdt05000.asp&S=1
に掲載された「包装用容器」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ21035475号)

第3 当審の判断
以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。

1.両意匠の共通点及び相違点
(1)共通点
意匠に係る物品については,両意匠ともに「包装用容器」であるから,一致し,形態については,以下の(A)ないし(D)の点が主に共通する。
(A)全体を,本体及び蓋の両端から徐々に縮径させた,正面視緩やかな凹弧状のくびれ部を有する略縦長円柱形状とし,高さと直径(本体と蓋との境界付近の直径)の比率を約9対2としたものである。
(B)本体が,蓋よりも高さがあり,周側面中間部の上方に本体と蓋との境界線が表れている。
(C)本体と蓋の色彩を,同色としたものである。
(D)本体の正面に,文字部を設けたものである。
(2)相違点
形態について,以下の(ア)ないし(カ)の点が主に相違する。
(ア)縮径の態様について,本願意匠は,本体においては上端の直径を下端の直径の約83パーセントの大きさ,蓋においては下端の直径を上端の直径の約95パーセントの大きさ,としたものであるのに対して,引用意匠は,本体においては,上端の直径を下端の直径の約80パーセントの大きさ,蓋においては下端の直径を上端の直径の約87パーセントの大きさとしたものであり,本願意匠は,特に蓋の縮径の程度が引用意匠のそれと比べて小さいものである。
(イ)本体の高さと蓋の高さの構成比率について,本願意匠は,約2.5対1としたものであるのに対して,引用意匠は,約2対1としたものであり,本願意匠は,引用意匠よりも,本体の占める割合が大きいものである。
(ウ)蓋に覆われる本体上部の態様について,本願意匠は,蓋を外した状態の図によって,本体上部の吐出具付きキャップが表れており,その態様は,上方に向かってややすぼめた円錐台形状のキャップの上面中央に,筋状凸部を周側面に設けた扁平略円柱状体と,その上部の,頂部側方から口部を少し突出させた略円柱状体からなる吐出具を備えたものであるのに対して,引用意匠は,蓋を外した状態の図がなく,本体上部の態様が不明である。
(エ)透明部について,本願意匠は,本体及び蓋を透明としたものであるのに対して,引用意匠は,本体及び蓋を不透明としたものである。
(オ)色彩について,本願意匠は,本体及び蓋を赤色としたものであるのに対して,引用意匠は,本体及び蓋を橙色としたものである。
(カ)文字部について,本願意匠は,本体の正面上方に文字部を横方向に設けたものであるのに対して,引用意匠は,本体の正面上端寄りから文字部を縦方向に設けるとともに,底部寄りに文字部を横方向に設け,また,蓋の正面下方に文字部を2段構成で横方向にレリーフ状に設けたものである。(なお,文字部に表されている文字については,文字は意匠の構成要素とは認められないから,文字の相違は,相違点として認定しない。)

2.共通点及び相違点の評価
以下,共通点及び相違点が存在する形態について,その共通点及び相違点の評価を行う。
(1)共通点について
共通点(A)は,意匠全体に及ぶものであるが,概括したものにすぎず,また,両意匠のみの特徴といえる程のもではないから,共通点(A)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きいとはいえない。
共通点(B)ないし(D)は,この物品分野において極普通に見られる態様であり,容器一般の態様を概括した程度のものにすぎないから,共通点(B)及び(D)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きいとはいえない。
そうすると,共通点(A)ないし(D)が,両意匠の類否判断を決するということはできない。
(2)相違点について
相違点(ア)の縮径の態様についての相違と,相違点(イ)の本体と蓋の構成比率の相違とは,両相違が相俟って両意匠に異なる印象,つまり,本願意匠は,蓋の縮径の程度が小さく,蓋の意匠全体に占める割合も引用意匠と比べると小さく,全体としてスリムで裾拡がりとした形態であるとの印象を需要者に与え,他方の引用意匠は,蓋も本体と同様に縮径の程度が大きく,蓋の全体意匠に占める割合も本願意匠と比べると大きく,全体としてやや寸胴で頭でっかちな形態であるとの印象を需要者に与えるから,相違点(ア)及び(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
相違点(ウ)は,蓋に覆われる本体上部の態様の相違であるが,使用時に必ず目にするとともに,需要者が関心を寄せる部分であり,また,当該部分の態様が不明な引用意匠に対して,本願意匠の,上方に向かってややすぼめた円錐台形状のキャップや筋状凸部を周側面に設けた扁平円柱状体の吐出具の下端の態様は,この物品分野においてありふれたものではなく,本願意匠の特徴の1つと認められるものであるから,相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
相違点(エ)の透明の有無の相違については,この物品分野において,本体や蓋を不透明としたものはもちろんのこと,単に本体や蓋を透明としたものは,極普通に見受けられる態様であるが,透明としたか否かにより,外部から内容物の残存量等を確認できるか否かといった点は需要者も関心を示す相違といえるから,相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものの,一定程度認められる。
相違点(オ)の色彩の相違については,両意匠ともに単色で均一に色彩を施したものにすぎず,また,この物品分野において,本願意匠のように赤色としたものは,従来から見受けられるものであるが,一見して気付く相違であるから,相違点(オ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものの,一定程度認められる。
相違点(カ)の文字部の相違については,ありふれた態様による相違であり,本体における相違は軽微な相違といえるが,蓋部におけるレリーフ状の文字部の有無については,蓋の開閉時に蓋を指先で摘んだ際にも凹凸の有無として気付く相違であるから,相違点(カ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものの,一定程度認められる。
そうすると,相違点(ア)及び(イ)が相俟って需要者に与える印象の相違に,相違点(ウ)や,その余の相違点も加わって,これらの相違点は,両意匠の類否判断を決するものといえる。

3.類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は一致するものの,両意匠の相違点が相俟って生じる視覚的効果は,両意匠の共通点のそれを凌駕するものであって,需要者に異なる美感を起こさせるものである。
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。

第4 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-09-26 
出願番号 意願2016-9290(D2016-9290) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 鶴田 愛 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 正田 毅
神谷 由紀
登録日 2017-11-24 
登録番号 意匠登録第1593395号(D1593395) 
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