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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 D4
管理番号 1335189 
審判番号 不服2015-13515
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-16 
確定日 2015-12-15 
意匠に係る物品 空気清浄機 
事件の表示 意願2014- 7522「空気清浄機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠

本願は,意匠法第14条第1項の規定により2年間秘密にすることを請求した,平成26年(2014年)4月4日に出願された意匠登録出願であり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「空気清浄機」とし,その形状,模様若しくは色彩又はそれらの結合(以下,「形態」という。)を,願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである(別紙第1参照)。


第2 原査定の拒絶の理由

原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,願書に記載した本意匠(意願2014-007521の意匠(別紙第2参照)。以下,「本意匠」という。)に類似する意匠と認められないので,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものであって,具体的には以下のとおりである。

この意匠登録出願の意匠と願書に記載した本意匠は,(1)本体の各辺に一体的に設けられた帯状の面取りの内,下辺部の具体的な態様,(2)側面に桟状に表れた通風口部の有無,(3)全体のプロポーション比率,に関する差異がある。
差異点(1)については,換言すれば,脚部を含むか否かの差異であり,両意匠は,それぞれ,異なる美感を呈しているから,当該差異点が類否判断に及ぼす影響は極めて大きいと認められる。また,本願意匠が属する空気清浄機の分野において,正面,背面,右側面,左側面に操作部や通風口部等を設けることなく平滑な面を形成したものは,本願意匠のみの特徴ではないものの,先行例は限られ,看者の注意を大きく惹く造形であることから,差異点(2)が類否判断に及ぼす影響は極めて大きいと認められる。
したがって,全体観察した場合,両意匠は類似していないといわざるを得ない。


第3 手続きの経緯

上記原査定の拒絶の理由に対して,請求人は意見書を提出し,本願意匠は本意匠に類似する意匠であって,意匠法第10条第1項の規定に該当すると主張したが,平成27年(2015年)4月14日付けの拒絶の査定がなされたため,同査定を不服として同年7月16日に審判を請求し,原査定を取り消し本願意匠を登録すべきものとするとの審決を求め,同年10月19日に手続補正書を提出して,本願の本意匠の表示を削除する補正を行った。


第4 当審の判断

以下,本願意匠が本意匠とは類似せず,意匠法第10条第1項の規定に該当しないものであるか否かについて検討する。

1 本願意匠と本意匠(以下,「両意匠」という。)の対比,及び類否判断
(1)両意匠の対比
ア 意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,ともに「空気清浄機」であるから一致する。

イ 形態
(ア)共通点
両意匠は,
(A)空気清浄機本体(以下,「本体」という。)と脚部によって構成されたものであり,全体の形態を略縦長直方体状とし,上面略全面に吹き出し口を設けている点,
(B)本体の略縦長直方体各辺を構成する部分(以下,「フレーム部」という。)を,すべて均一の幅とし,フレーム部を本体各面と約45度の角度となるテーパー状として,上面側フレーム部4本及び側面側フレーム部4本がそれぞれ接続する本体上面の四隅部分を丸く形成している点,
(C)正面,背面のフレーム部に囲まれた略隅丸長方形状部分を,略平坦面としている点,
(D)上面に設けられた吹き出し口の周囲を,上面の4本のフレーム部から内側に傾斜した細幅テーパー状に形成している点,
(E)すべてのフレーム部の端縁部(底面側を除く)に細幅の面取り加工を施している点,
が共通する。

(イ)相違点
両意匠は,
(a)本体底面部及び脚部において,本願意匠は,その脚部を,側面側の直立したフレーム部4本がそのまま連続して垂下し,四隅が対角線方向に張り出した底面視横長長方形状のものとして本体底面に設けているのに対して,本意匠は,その脚部を,本体の縦横幅と略同幅とした底面視略隅丸正方形状の板体と,当該板体の縦横幅より一回り小さい断面視略隅丸正方形状の接続部とから構成されたものとして本体底面に設けている点,
(b)本願意匠の本体は,平面視略横長長方形状,正面視やや縦長の長方形状となる縦,横,奥行きの長さとしているのに対して,本意匠の本体は,平面視略正方形状,正面視略縦長長方形状となる縦,横,奥行きの長さとしている点,
(c)本願意匠は,細幅の吸い込み口を,本体下面の正面側,背面側,及び両側面側端縁部に各1つずつ設けているのに対して,本意匠は,広幅の吸い込み口を左右側面の下方に各1つずつ設けている点,
が相違する。

(2)両意匠の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は一致するから,以下,両意匠の形態の共通点及び形態の相違点について評価し,両意匠の類否を総合的に判断する。

ア 形態の共通点の評価
共通点(A)の,本体と脚部によって構成され,全体の形態を略縦長直方体状とし,上面略全面に吹き出し口を設けている形態は,両意匠の骨格を成す基本的な構成態様ではあるものの,空気清浄機の基本的構成態様としては,従来から見られる態様であるから,この共通点(A)の共通性のみをもって本願意匠が本意匠に類似すると決定づけるには至らないものである。
また,共通点(B)の,フレーム部を,すべて均一の幅とし,フレーム部を本体各面と約45度の角度となるテーパー状として,上面側フレーム部4本及び側面側フレーム部4本がそれぞれ接続する本体上面の四隅部分を丸く形成している形態は,本願意匠と本意匠の輪郭を構成する目立つ部分の形態ではあるが,この形態は,直方体状箱体の各辺を面取り加工したような形態であり,立体物の造形として極めて特徴的な形態であるとはいえないから,この共通点(B)も,その共通性のみをもって本願部分と願書記載本意匠部分が類似するものであると決定づけるには至らないものである。
そして,共通点(C)の,正面,背面のフレーム部に囲まれた略隅丸長方形状部分を,略平坦面としている形態は,本体の形状を略直方体状箱体とすることが普通である空気清浄機の造形として,各面を平坦面とすることは意匠の創作という観点からいえば,とりたてて特徴的なものとはいえず,また,本意匠の出願前にも見られた形態でもあるから,この共通点(C)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
また,共通点(D)の,上面に設けられた吹き出し口の周囲を,上面の4本のフレーム部から内側に傾斜した細幅テーパー状に形成している形態は,上面における僅かな部分の形態であり,また,部品の端縁部をテーパー状とすることはとりたてて特徴的な造形手法ではないから,両意匠を全体として見たときには,この共通点(D)が両意匠の類否判断に与える影響は小さいものである。
さらに,共通点(E)の,すべてのフレーム部の端縁部(底面側を除く)に細幅の面取り加工を施している点については,面取り加工の幅が狭いためにとりたてて目立っておらず,両意匠全体を見たときには,僅かな部分の共通性であるといえるから,この共通点(E)が両意匠の類否判断に与える影響は微弱である。

イ 形態の相違点の評価
一方,相違点(a)の,本体底面部及び脚部において,本願意匠は,その脚部の四隅と側面側の直立したフレーム部4本が連続して垂下し,四隅が対角線方向に張り出した底面視横長長方形状のものとして,本体底面に設けているのに対して,本意匠は,その脚部を,本体の縦横幅と略同幅とした底面視略隅丸正方形状の板体と,当該板体の縦横幅より一回り小さい断面視略隅丸正方形状の接続部によって構成されたものとして,本体底面に設けている点については,本願意匠は,直立した側面側フレーム部から脚部が連続した形態となっているために,本体と脚部が一体的で,すっきりした印象を看者に与えているのに対し,引用意匠は,脚部が本体とは別体であることが明白であり,上記形態は異なる美感を呈しているといえるから,この相違点(a)は,両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものである。
そして,相違点(c)の,本願意匠は,細幅の吸い込み口を,本体下面の正面側,背面側,及び両側面側端縁部に各1つずつ設けているのに対して,本意匠は,広幅の吸い込み口を左右側面の下方に各1つずつ設けている点については,本願意匠の吸い込み口が下面に設けられたことで,正面及び背面に加えて左右側面も略平坦面で構成されており,相違点(a)の本願意匠の形態によるすっきりした印象を,さらに引き立てているといえ,この相違点(c)は,相違点(a)が両意匠の類否判断に与える影響をさらに増大させているものといえる。

しかし,相違点(b)の,本願意匠の本体は,平面視略横長長方形状,正面視やや縦長の長方形状となる縦,横,奥行きの長さとしているのに対して,本意匠の本体は,平面視略正方形状,正面視略縦長長方形状となる縦,横,奥行きの長さとしている点については,本願意匠の構成比も本意匠の構成比も従来から多様に存在する空気清浄機の縦,横,奥行きの範囲内のものであって,看者の注意を惹くような特徴的な構成比であるとはいえず,どちらも縦長の空気清浄機のフレーム部であるとの共通の印象を覆すほどのものとはいえないから,この相違点(b)が両意匠の類否判断に与える影響は小さい。

ウ 総合評価
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が一致し,また,形態の共通点がいくつか認められるものの,それらの形態の共通点が両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまるのに対して,形態の相違点(a)及び相違点(c)が両意匠の類否判断に与える影響は大きく,形態の共通点及び相違点を総合的に評価すると,形態の各相違点,特に相違点(a)及び相違点(c)があいまって生じる視覚的効果が,共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として需要者に異なる美感を起こさせていることから,本願意匠は本意匠と類似しない。

2 本願意匠が第10条第1項の規定に該当しないものであるか否かについて

上記のとおり,本願意匠は本意匠に類似するものとは認められないので,意匠法第10条第1項に規定されている意匠(関連意匠)に該当しない。


第5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,意匠法第10条第1項の規定に該当しないから,本意匠の関連意匠として意匠登録を受けることができないものであるが,前記第3のとおり,平成27年10月19日に提出した手続補正書によって,本願の本意匠の表示を削除する補正がなされているから,原査定の拒絶の理由によっては拒絶することができない。

また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-11-25 
出願番号 意願2014-7522(D2014-7522) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (D4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 越河 香苗 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 久保田 大輔
小林 裕和
登録日 2015-12-25 
登録番号 意匠登録第1542819号(D1542819) 
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