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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 B1
管理番号 1336218 
審判番号 不服2017-11833
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-08 
確定日 2017-12-15 
意匠に係る物品 タイツ 
事件の表示 意願2016- 18090「タイツ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成28年(2016年)8月25日の意匠登録出願であって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「タイツ」とし,その形態を願書及び願書に添付された図面に記載されたとおりとしたもので,「実線であらわした部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分の境界のみを示す線である。」としたものである。(以下,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)(別紙第1参照)

2.原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって,具体的には,以下のとおりである。

本願は,意匠に係る物品を「タイツ」とする部分意匠の意匠登録出願であって,意匠登録を受けようとする部分は,添付図面において実線で表された部分(以下「本願意匠の部分」という。),すなわち,タイツの上下両端を除く部分で,その形態は,添付図面によれば,パンツ部の前後中央及び両外側において生地を重ねて接着した形態であると認められる。
ところで,本願意匠に係るタイツの属する衣服の分野において,衣服を構成する複数の構成片を縫合ではなく重ねて接着することによって結合させることは,下記引例1及び同2に見られるように本願出願前より行われていた。
また,本願意匠に係るタイツの属する分野において,縫合位置をパンツ部の前後中央及び両外側としたものは,下記引例意匠に見られるように,本願出願前に公然知られていた。
本願意匠の部分は,ありふれたタイツの形状及び引例意匠の公然知られた縫合位置に基づき,単にタイツの構成片の結合方法を,端部を重ね合わせて接着する手法に変更して表した形態にすぎないものであるから,本願意匠に係る物品分野の通常の知識を有する者が容易に創作することができたものと認められる。

引例1(別紙第2参照)
特許庁発行の公開特許公報記載
特開2005-226175

引例2(別紙第3参照)
特許庁発行の登録実用新案公報記載
実用新案登録第3136098号

引例意匠(別紙第4参照)
大韓民国意匠商標公報 2015年11月12日15-43号
レギンス(登録番号30-0824557)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH27447344号)

3.請求人の主張の要旨
(1)意匠法第3条第2項の適用について
(ア)審査官は,拒絶査定において新たに例示された参考意匠1及び参考意匠2によって,本願意匠の部分を含む全体の形状は本願出願前よりありふれているため,各構成片を縫合する位置が前後中央及び両外側とされた引例意匠と,複数の構成片を重ねて接着する態様として引例1及び引例2とが本願出願前より行われているため,本願意匠は容易に創作することができたものであるとして,拒絶理由を維持した。
(イ)しかし,引例意匠によって,パンティ部の上方略1/2を除く前後中央とパンティ部及びレッグ部の外縁側に接合部が設けられてなる構成は公知となっているが,パンティ部前後中央の上縁から股下までの全長と,パンティ部及びレッグ部の外縁に生地を重ねて接着した直線状の接合部が途切れずに設けられた本願意匠の具体的な構成態様は,本願意匠の出願前において公知ではない。
(ウ)また,引例2によって,前後身頃の端部を接着した構成は公知となっているが,パンティ部及びレッグ部の外縁が生地を直線状に重ねて途切れずに接着した態様とされ,かつ,後身頃側を内側,前身頃側を外側に重ねて接着し,後身頃側の端部がやや背面側の位置に全面表れてなる本願意匠の具体的な構成態様についても,本願意匠の出願前において公知ではない。
なお,引例1は,生地の端部を互いに突き合わせ,突き合わせた部分の片面に熱融着テープを配してなるため,本願意匠の創作性を否定する材料にはなり得ないと思料する。
(エ)出願に係る意匠が寄せ集めの意匠である等として,本願意匠が創作容易な意匠であると言うためには,複数の公然知られた意匠を当業者にとってありふれた手法により寄せ集めたにすぎない意匠等である必要があり(審査基準23.5.2),審査基準23.5.2事例1乃至3に挙げられているように,寄せ集める複数の公然知られた意匠の一部分同士を組み合わせたものが出願意匠とほぼ同一であることが必須要件になるものと思料するが,審査官の例示意匠の一部分同士を組み合わせても本願意匠とほぼ同一にはならないため,本願意匠の創作性が否定されるものでないことは明らかである。
(オ)しかるに,接着箇所が増えれば増える程,接着によって接合することが技術的に難しく,特に接着長さが長くなればなる程より一層接着が難しい物品分野の実情を踏まえると,審査官の例示意匠に接した当業者が,参考意匠1及び参考意匠2のタイツ形状に引例意匠の縫製箇所を適用し,かつ,適用した縫製箇所に対して,生地の端部を互いに突き合わせてテープを配した引例1,ウエスト部と裾部を結ぶ正面側の一対位置で,前後身頃の端部をテープ状の熱可塑性樹脂テープで接着した引例2を参考にしても,本願意匠のような接合部,特に外縁の接合部(接着態様)とする創作には到底及ばず,本願意匠を創作することが当業者にとってありふれた手法であるとするには到底無理があり,審査官の認定は強引な判断に他ならないと思料する。
(カ)特に,本願意匠は,着用していない状態(平面に置いた状態)において,パンティ部及びレッグ部の外縁に2重構造となる接着部分を位置させることで,パンティ部及びレッグ部の外縁が立体的に起立した状態となり,スリムなシルエットを際立たせるべく創作したものであり,係る態様について一切表れていない審査官の例示意匠に基づいて,本願意匠に係る物品分野の通常の知識を有する者が容易に創作することができたと判断するのはあまりにも強引であると思料する。
(キ)よって,当業者にとってありふれた手法であると認められる顕著な事実もない以上,本願意匠が寄せ集めの意匠である等として,審査官殿の例示意匠に基づいて,当業者であれば容易に創作することができたとするには無理があり,本願意匠の創作性が否定されるものでないことに疑う余地はない。
(2)拒絶査定に対する反論
仮に,本願意匠のような接着手法がありふれているとするのであれば,同様の接着手法によって接合部が形成されたタイツが本願意匠の出願前に多数存在しているはずであるが,まったく例示がない以上,タイツの分野においてありふれた接着手法でないことは容易に裏付けできるのであり,タイツを含む衣服の分野においてありふれた接着手法であるとするのであれば,衣類の分野において同様の接着手法を用いた意匠登録を受けることは一切できなくなるのであり,審査官の判断には到底納得できるものではない。

4.当審の判断
本願意匠が,当業者であれば,容易にその意匠の創作をすることができたものか否かについて,以下検討する。
(1)本願意匠(別紙第1参照)
本願意匠は,意匠に係る物品を「タイツ」とし,本願部分をウエスト部の僅かに下方からタイツのレッグ部の裾下端部の僅かに上方にかけてまでの部分とし,その形態は,全体を略逆V字状とし,上方のパンティ部と左右のレッグ部は正背面において上下で連続し,パンティ部は,前後の身頃と左右の身頃がそれぞれ中央で分かれ,レッグ部は,股下まで内側が連続し,外側は前後の身頃が左右の側面で分かれ,パンティ部の左右中央,外側の上端から下端まで布地を重ね合わせて接着し垂直方向の接合部とした態様としたものである。
(2)原査定の拒絶の理由の引用意匠
(ア)引例1(別紙第2参照)
引例1は,発明の名称を「衣類」とし,図1(A)は,衣類の接合部の一実施形態を示す正面図,(B)は,そのA-A線展開拡大断面図である。図2(A)(B)「キャミソール」の身頃生地の切り替え継ぎに適用した実施形態であり,図2(C)は「ショーツ」の脇継ぎ及び股下継ぎに適用した実施形態であり,図2(D)(E)は,「タンクトップ型シャツ」の肩継ぎに適用した実施形態であり,図2(F)は,「タンクトップ型シャツ」の脇継ぎに適用した実施形態である。いずれも生地の端部を互いに突き合わせ,突き合わせた部分とT字状に交差する面に熱融着テープを配したものである。
(イ)引例2(別紙第3参照)
引例2は,考案の名称を「ショーツ」とし,前身頃と後身頃を切り放し生地とし,前身頃の左右端部寄りの位置で前身頃の端部と後身頃の端部を重ね合わせて,当該箇所を熱可塑性樹脂フィルムで接着したものである。
(ウ)引例意匠(別紙第4参照)
引例意匠は,意匠に係る物品を「レギンス」とし,ウエスト部分に縦幅のある筒状の帯状部材を設けたもので,本願部分に相当する引用部分は,帯状部材の下方のパンティ部とレッグ部で,全体が略逆V字状で,上方のパンティ部と左右のレッグ部は正背面において上下で連続し,パンティ部は,前後の身頃と左右の身頃がそれぞれ中央で分かれ,前後の身頃の左右中央で縫合され,左右のラインが凸円弧状に外側に膨出したもので,レッグ部は,股下まで内側が連続し,外側は前身頃の左右端部寄りの位置で上端から下端まで垂直方向に縫合された態様としたものである。
(3)創作容易性の判断
まず,この種のタイツの分野においては,全体が略逆V字状で,上方のパンティ部と左右のレッグ部は正背面において上下で連続するものは,引例意匠に見られるように,本願出願前より既に見られる公然知られた態様といえるものである。
また,レッグ部の外側が前後の身頃で分かれ,パンティ部の左右中央と,外側の上端から下端まで垂直方向の接合部とした態様も引例意匠に見られるように,本願出願前より既に見られる公然知られた態様といえるものである。
そして,衣類の分野において,前身頃の端部と後身頃の端部を重ね合わせて,当該箇所を接着したものも,引例1及び引例2に見られるように,本願出願前より既に見られるありふれた態様といえるものである。
しかしながら,引例意匠は,接合部が全て縫合線であり,左右のラインが凸円弧状に外側に膨出したもので,レッグ部の外側は前身頃の左右端部寄りの位置で垂直方向に縫合されたもので,また,引例1及び引例2は,いずれにも本願意匠のようなタイツは表されておらず,その具体的な態様についても,引例1の接合方法は,突き合わせた部分とT字状に交差する面に熱融着テープを配した点で本願部分とは異なり,引例2の接合方法を用いても,本願部分のようなタイツの外側の上端から下端まで布地を重ね合わせて垂直方向の接合部とした態様のものは他には見当たらない。本願部分の接合部の態様は,これらのいずれの態様とも異なるものである。
この種のタイツにおいて,レッグ部の外側が前後の身頃で分かれ,パンティ部の左右中央と,外側の上端から下端まで垂直方向の接合部とした態様も引例意匠に見られるように,本願出願前より既に見られる公然知られた態様といえるものである。しかしながら,引例意匠の左右のラインは凸円弧状に外側に膨出したもので,その外形が本願部分とは異なり,また,外側の縫合する位置も前身頃の左右端部寄りの位置で本願部分とは異なり,引例1や引例2の接合部を有する態様があったとしても,さらに変更を加えなければ,それらの意匠から,本願部分の態様を直ちに導き出すことはできず,本願部分の態様は,独自の態様を表す創作がなされているものといえ,当業者にとって,本願部分の態様が容易に創出し得るものということはできない。
そうすると,本願部分は,外側は前後の身頃が左右の側面で分かれ,パンティ部の左右中央,外側の上端から下端まで布地を重ね合わせて接着し垂直方向の接合部とした態様としたものであって,とりわけ,外側の上端から下端までの長さを布地を重ね合わせて接着した態様は,本願部分の独特の態様といえるもので,当業者であれば容易に創作することができたものとはいうことができないものである。
よって,本願意匠は,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が,引例意匠と引例1及び引例2に見られる,日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠ということはできない。

5.むすび
したがって,本願意匠は,原査定の拒絶の理由によっては,意匠法第3条第2項の規定に該当しないものであり,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-12-05 
出願番号 意願2016-18090(D2016-18090) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (B1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 上島 靖範 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 宮田 莊平
斉藤 孝恵
登録日 2018-01-12 
登録番号 意匠登録第1596571号(D1596571) 
代理人 藤本 昇 
代理人 野村 慎一 
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