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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 C6
管理番号 1337104 
審判番号 不服2014-9817
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-27 
確定日 2015-01-27 
意匠に係る物品 火床カバー 
事件の表示 意願2013-20062「火床カバー」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,部分意匠として意匠登録を受けようとする,平成25年(2013年)8月30日の意匠登録出願であり,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「火床カバー」とし,その形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするもので,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(当審注;以下,「本願実線部分」ともいう。)である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである。(別紙第1参照)

第2 当審の拒絶の理由
当審における拒絶の理由は,本願意匠が,出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので,意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって,具体的には,本願意匠は,部分意匠として意匠登録を受けようとする出願に係るもので,願書の記載及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「火床カバー」とし,その形状,若しくは色彩又はこれらの結合については,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので,その記載内容によると,「実線で表された部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である」としたもので,具体的には,上方が開口した扁平(へんぺい)な箱状のものであって,全体形状は,略倒立四角錐台状(しかくすいだいじょう)で,開口部周縁には鍔部(つばぶ)を設けてあり,底面から上方開口縁部にわたる角部は,4分の1円弧にて角丸としたものであって,強度を上げるために長辺側周面及び底面を凹凸状にした火床カバーで,本願実線部分は,鍔部,底面及び長辺側周面部の凹凸状部分を除いた部分であって,それは,火床カバーの,左右両側の短辺側周面と角丸部分で,正確には,その内の,短辺側周面の下部に,水平に設けた複数個の小円孔は除くものです。

しかしながら,本願意匠が属するバーベキューグリルやバーベキューこんろ等の分野においては,その本体形状を,開口部周縁に鍔部を設けた扁平な角丸の略倒立四角錐台状としたものは,極普通に存在し,公然知られた形状であり,また,そのグリルやこんろ内に配置させる火床カバーを,同様に,開口部周縁に鍔部を設けた扁平な角丸の略倒立四角錐台状とし,その左右両側の短辺側周面と角丸部分を,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分としたまでの本願意匠は,当業者であれば,容易に創作することができたものといわざるを得ません。

なお,本願実線部分は,上記認定のとおり,角丸部分を加えた右側短辺側周面と,角丸部分を加えた左側短辺側周面の,物理的に分離した2か所部分ですが,両部分は,対称の位置にあって,その形状は同一なので,一意匠と認められます。


〔参考〕
広く知られた,本体形状を開口部周辺に鍔部を設けた扁平な角丸の略倒立四角錐台としたバーベキューグリルやバーベキューこんろの例。

参考意匠1(別紙第2参照)
物品名 肉焼き器
受入日 1997.08.08
文献名 MADEFOREXPORT
号巻頁 106頁
発行国 (DE)ドイツ連邦共和国(西)
発行者 MarketingOrganisationGmbH
(特許庁意匠課公知資料番号第HB09011060号)

参考意匠2(別紙第3参照)
名称 使い捨て式バーベキューこんろ(第4図)
公開日 1988.11.21
出願番号 実願昭62-071057
考案の名称 使い捨て式バ-ベキューこんろ

参考意匠3(別紙第4参照)
物品名 肉焼き器
受入日 1997.08.08
文献名 MADEFOREXPORT
号巻頁 106頁
発行国 (DE)ドイツ連邦共和国(西)
発行者 MarketingOrganisationGmbH
(特許庁意匠課公知資料番号第HB09011059号)

参考意匠4(別紙第5参照)
物品名 (使いすて)肉焼き器
発行日 1991.03.19
受入日 1991.05.20
文献名 大韓民国意匠公報
号巻頁 937巻 31頁
発行国 (KR)大韓民国(南)
発行者 大韓民国特許庁
(特許庁意匠課公知資料番号第HH03028110号)

第3 当審の判断
以下において,本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性,つまり,本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて,検討し,判断する。

1.本願意匠の形態
本願意匠は,「第1 本願意匠」で述べたとおりのものであって,その形態は,上方が開口した扁平な箱状のものであって,全体形状は,略倒立四角錐台状で,開口部周縁には鍔部を設けてあり,底面から上方開口縁部にわたる角部は,4分の1円弧にて角丸としたものであって,強度を上げるために長辺側周面及び底面を凹凸状にした火床カバーで,本願実線部分は,鍔部,底面及び長辺側周面部の凹凸状部分を除いた部分であり,それは,おおむね火床カバーの短辺側周面と角丸部分を介して長辺側周面部の凹凸状部分の手前までの部分であって,平面視で略「コ」字状に表れる,左右2か所部分であって,正確には,その内の,短辺側周面の下部に,水平に設けた複数個の小円孔は除くものである。
具体的な各所の寸法は,(鍔部を除いた本体)全体において,横幅:奥行き:高さ(深さ)が,約4.7:2.4:1であって,長辺側周面の傾きは,側面視で約60度であり,短辺側周面の傾きは,正面視で約70度であって,角丸の半径の長さは,短辺側周面上縁の長さ(上方開口縁部の奥行き長さ)の約10分の1の長さであり,その半径の長さを,短辺側周面の下端まで一定としたものである。
そして,この当該左右2か所の平面視略「コ」字状部分は,おおむね左右の短辺側周面と角部であるから,それらは相対する位置にあり,その形態は同一であるので,物理的に離れた2か所部分に係るが,1意匠と認められるものである。

2.本願意匠の創作の容易性について
この種物品分野において,上方が開口した扁平な箱状のものであって,全体形状は,略倒立四角錐台状で,開口部周縁には鍔部を設けてあり,底面から上方開口縁部にわたる角部を4分の1円弧にて角丸とした火床は,数多く見られるため,火床カバーとしての,この段階までの形態の創作においては,創作に容易でない理由は認められないが,約4.7:2.4:1という具体的な各所の寸法,及び,約60度という長辺側周面の傾き,約70度という短辺側周面の傾き,並びに周面上端から下端まで,短辺側周面上縁の長さの約10分の1の一定の長さの半径で角丸とした態様は,先行意匠には見られない本願意匠独自の態様を持つものであるから,本願意匠は,各部具体的な寸法や傾斜角度を考慮すると,公知の形態に基づいて容易に創作ができたものということはできない。

3.結び
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第2項の規定に該当しないので,原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2015-01-15 
出願番号 意願2013-20062(D2013-20062) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (C6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 宏幸 
特許庁審判長 本多 誠一
特許庁審判官 清野 貴雄
橘 崇生
登録日 2015-02-13 
登録番号 意匠登録第1519115号(D1519115) 
代理人 大西 正夫 

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