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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7
管理番号 1337112 
審判番号 不服2017-12016
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-03-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-10 
確定日 2017-12-25 
意匠に係る物品 注射筒 
事件の表示 意願2016- 2967「注射筒」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2016年(平成28年)2月12日の意匠登録出願であって, その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「注射筒」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたもので,「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として登録を受けようとする部分とその他の部分の境界線を示す。」(以下,本願において,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当する(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)としたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」という。)は,本願出願前,日本国特許庁発行の意匠公報(意匠公報発行日:平成24年(2012年)4月9日)に掲載された意匠登録第1438091号(意匠に係る物品,医療用注射筒)の意匠の「薬剤混合用の容器部分の離脱後の注射筒」の各図のうち,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分であって,その形態は,同公報の図面に記載されたとおりのものである(以下,本願意匠に相当する部分の意匠を「引用部分」という。)。(別紙第2参照)

第3 当審の判断
1.本願意匠と引用意匠の対比
(1)本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品
本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,いずれも,医療用の「注射筒」であるから,本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,一致する。

(2)本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲
両部分はともに,注射筒の先端部であって注射針を取り付ける部分(ルアーロック部及びノズル部)であるから,その用途及び機能,並びに位置,大きさ,及び範囲は一致する。

(3)両部分の形態
両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び相違点がある。

(3-1)共通点
両部分は,全体を,略短円筒形状の内周面を雌ねじとした外筒部(ルアーロック部)中央に,外筒部の径の約3分の1弱の径の短円筒形状の内筒部(ノズル部)を先端部が外筒部からやや突出するように形成したものである点において共通している。

(3-2)相違点
具体的な態様として,
(ア)外筒部の外周面の段差の有無について,
本願部分は,面一で段差はないのに対し,
引用部分は,外周面の後端部が段差状に拡径している点,
(イ)内筒部の先端部の態様について,
本願部分は,先端部をすり鉢状に内側に傾斜させたものであるのに対し,
引用部分は,平坦面である点,
(ウ)内筒部の後端部の態様について,
本願部分は,後端部の筒内入り口を約30°の角度をつけて,すり鉢状に内側に傾斜させたものであるのに対し,
引用部分は,後端部の筒内入り口を湾曲させ,わずかに傾斜させたテーパー面としたものである点。

2.類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両部分の類否を意匠全体として検討し,判断する。

(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,一致している。

(2)両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲は一致している。

(3)両部分の形態
以下,両部分の形態について検討する。

(3-1)共通点の評価
まず,共通点については,部分全体を,略短円筒形状の内周面を雌ねじとした外筒部中央に,外筒部の径の約3分の1弱の径の短円筒形状の内筒部を先端部がやや突出するように形成した態様は,この種物品の分野において,従来から普通に見られるありふれた態様といえるものであり,両部分のみに共通する態様とはいえないものであるから,この共通点が両部分の類否判断に及ぼす影響は小さいといえる。

(3-2)相違点の評価
相違点(ア)については,本願部分は,段差が無いので,なめらかですっきりした視覚的印象を与えるのに対し,引用部分は,外周面の後端部の段差によってルアーロック部がより強調された視覚的印象を与えており,段差自体も比較的大きく目立つものであることから,この相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
次に,相違点(イ)については,内筒部の先端部の小さな箇所における相違であるが,この種物品が医療関係者等の専門性の高い需要者によって使用されるものであることを勘案すれば,注射筒から注射針に薬液を送り出す際,特に粘稠(ねんちゅう)性のある薬液など,薬液を滞りなく移動できるかどうかは,需要者の関心が高いというべきであるところ,引用部分は,単に先端部を平坦面としただけのものであるのに対し,本願部分は,先端部をすり鉢状に内側に傾斜させて,注射針を取り付けた際の筒内の段差を軽減し,薬液がスムーズに移動できるようにしたものであるから,両部分の需要者に与える印象は異なるものといえる。さらに,両意匠は,全体が透明であり,当該部位は,外観から観察することができるものであることが,視覚的に一層異なる印象を与えるものであるから,この相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きいものである。
また,相違点(ウ)についても,内筒部の後端部の小さな箇所における相違であるが,引用部分は,筒内入り口をわずかに傾斜させた程度のものであるのに対し,本願部分は,注射筒内の薬液を内筒部の筒内にスムーズに送り出すために,後端部の筒内入り口をすり鉢状に内側に傾斜させたものであるから,両部分の需要者に与える印象は異なるものといえる。さらに,上記相違点(イ)と同様,当該部位は,外観から観察することができるものであり,視覚的にも異なる印象を与えるものであるから,この相違点が両部分の類否判断に影響を及ぼすものといえる。

以上のとおり,相違点(ア)及び(イ)が両部分の類否判断に及ぼす影響は大きく,相違点(ウ)も両部分の類否判断に影響を及ぼすものであるから,相違点全体が相まって両部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。

(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品が,一致し,両部分の用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲が一致するものであるが,両部分の形態において,相違点が両部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕しており,両部分は,意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。

第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2017-12-05 
出願番号 意願2016-2967(D2016-2967) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (J7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 前畑 さおり 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 内藤 弘樹
江塚 尚弘
登録日 2018-02-09 
登録番号 意匠登録第1598717号(D1598717) 
代理人 仁科 勝史 
代理人 仁科 勝史 
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