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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7 |
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管理番号 | 1337119 |
審判番号 | 不服2017-6865 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-05-12 |
確定日 | 2018-01-23 |
意匠に係る物品 | カメラ付き携帯電話機 |
事件の表示 | 意願2016- 12221「カメラ付き携帯電話機」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願意匠 本願は,平成28年(2016年)6月8日付けで意匠登録出願されたものであり,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「カメラ付き携帯電話機」とし,その形態を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第2 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は,以下のとおりのものである(別紙第2参照)。 中華人民共和国意匠公報 2014年 7月 9日14-28号 携帯電話機(公開番号CN302873818S)の意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HH26005651号) 第3 当審の判断 以下,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するか否かについて,本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)を対比し,両意匠の共通点及び相違点の認定,評価を行うことにより,本願意匠が引用意匠に類似するか否かを検討し,判断する。 1.両意匠の共通点及び相違点 (1)共通点 意匠に係る物品については,本願意匠が「カメラ付き携帯電話機」であり,引用意匠が「携帯電話機」であるから共通し,形態については,以下の(A)ないし(H)の点が主に共通する。 (A)全体は,正面視縦横比を約2対1とする縦長長方形状の板状体とし,(B)周側面と背面が一体になった本体部と,正面パネルからなるものであって,(C)正面には,上下両端のやや広めの余地部と,左右両端の僅かな余地部で額縁状に残して,略中央に縦長長方形状の表示部を設けたものであり,(D)本体の周側面は,正面側に少しすぼまり,背面側にかけて丸みを帯びたものであり,周側面の正面寄りが正面視にて細幅帯状に表れており,(E)背面には,左上部に円形のカメラとそれより小さい円形のモバイルライトを縦に配し,(F)右側面には,長短2つの縦長長円形の操作部を縦に配し,(G)上面には,左端寄りに円形のイヤホンジャックを配し,(H)底面には,中央に横長の変形6角形の接続端子を設けたものである。 (2)相違点 形態について,以下の(ア)ないし(コ)の点が主に相違する。 (ア)周側面の湾曲態様について,本願意匠は,正面側から背面側にかけてほぼ一定の曲率で湾曲したもの(丸みがあるもの)であるのに対して,引用意匠は,正面側をほぼ直線状といえる程度の緩い凸弧状の傾斜部(丸みがないもの)とし,中間を越えた辺りから背面側を大きく湾曲したものである。 (イ)周側面の上側辺と下側辺の背面側の湾曲態様について,本願意匠は,上下両端が背面にかけて同程度の曲率と長さで湾曲し,側面視で上下対称としたものであるのに対して,引用意匠は,上端を下端よりも背面にかけて長く(カメラ付近の高さ位置まで)湾曲し,側面視で上下非対称としたものである。 (ウ)正面パネルの態様について,本願意匠は,本体から盛り上がるように周縁を緩やかに湾曲したものであるのに対して,引用意匠は,全面にわたり平坦としたものである。 (エ)正面パネルの周囲の態様について,本願意匠は,枠体を設けたものであり,枠体は,正面側を平坦としつつ,周側面側を本体周側面と同様に湾曲させたものであって,正面パネル周縁の傾斜部との間に,枠体の平坦部が段部として表れたものであるのに対して,引用意匠は,枠体を設けていないものであり,正面パネルの厚み分が周側面の傾斜部と同様の傾斜になっているものである。 (オ)指紋センサーの有無について,本願意匠は,右側周側面の略中央に縦長長円形の凹部を形成し,その底部に指紋センサーを後方に傾けて設けたものであるが,引用意匠は,指紋センサーを備えていないものである。 (カ)本体部の表示部の上側余地部の態様について,本願意匠は,枠体に接するようにして略逆台形のレシーバーを設け,その下方左側に円形のサブカメラ,下方右側に横長長円形の近接センサーを配したものであるのに対して,引用意匠は,余地部の略中央に横長長円形のレシーバーを設け,その右脇に近接センサーと推認できる円形のものを配したものである。 (キ)背面側カメラの態様について,本願意匠は,全体的に僅かに突出したものであるのに対して,引用意匠は,本願意匠に比して,より上端寄りに設けてあり,カメラの上端寄りが背面上部の湾曲部から突出し,下端寄りは背面の平坦部と面一状としたものである。 (ク)スピーカーについて,本願意匠は,背面にスピーカーを設けていないものであるのに対して,引用意匠は,背面の右下にスピーカー孔群を設けたものである。 (ケ)ストラップ孔について,本願意匠は,右側周側面の下端寄りにストラップ孔を設けたものであるのに対して,引用意匠は,ストラップ孔を設けていないものである。 (コ)左側周側面において,本願意匠は,正面側にある枠体の上方に接して略縦長長方形のメモリーカードカバーを設けたものであるのに対して,引用意匠は,上部中央に縦長長円形部が表れているものである。 2.形態の共通点及び相違点の評価 (1)共通点について 共通点(A)及び(B)からなる態様は,全体の形状を概括した程度のものであって,この物品分野においては極めてありふれたものであり,共通点(C)及び(D)は,いずれもこの物品分野において極普通に見られるものであり,共通点(E)ないし(H)は,携帯電話機の各種の機能を利用する際に,一定程度関心を払う部位に係るものではあるが,いずれも部分的であると共に,両意匠のみに見られる特徴のある態様とはいえないものである。 したがって,これらの共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 (2)相違点について 相違点(ア)は,周側面の湾曲態様についての相違であるが,本体を少し斜めから観察すれば気が付く相違であり,正面側のすぼまり方に丸みがあるものとないものとでは,携帯電話機を手にした際の見た目の印象の違いとなって表れ,需要者に両意匠を異ならせる印象をもたらすものといえるから,相違点(ア)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点(イ)は,周側面の背面側における上下両端の湾曲態様を上端と下端とで対称形としたか否かの相違であるが,この相違は,上下の形態の印象にある程度の影響を与えるから,相違点(イ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。 相違点(ウ)は,正面パネルが本体から盛り上がるように周縁を緩やかに湾曲させたか,それとも全体にわたり平坦としたかの相違であるが,使用時に表示部に注目することを考慮すれば,この形状の違いに伴う正面パネル周縁のリフレクションの違いも需要者の目を惹く相違といえるから,相違点(ウ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点(エ)は,正面パネルの周囲に枠体を設けたか否かの相違であるが,その相違によって,本願意匠の枠に囲まれた正面パネルの態様と,引用意匠の正面パネルと本体との前後2枚重ねに見える態様とでは,印象が大きく異なるから,相違点(エ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点(オ)は,指紋センサーの有無の相違であるが,本願意匠の長円形状凹部の底に後方に傾けて指紋センサーを設けた態様は,凹凸の少ない周側面において目立つものであり,センサーの有無という機能の差が認識できる相違でもあるから,相違点(オ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。 相違点(カ)は,正面パネル上部のレシーバー付近の相違であるが,部分的な相違であるものの,電話するときや撮影をする際に目が行く部分における相違であるから,相違点(カ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。 相違点(キ)は,背面側カメラの態様の相違であるが,部分的な相違であるものの,周側面の上端における背面側の湾曲態様と関係するものであり,造形的な処理として,目に付くものであるから,相違点(キ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響を軽視することはできない。 相違点(ク)ないし(コ)は,スピーカー,ストラップ孔,メモリーカバーに関する相違であるが,一定程度の関心を払う部位であるものの,部分的な相違であるから,相違点(ク)ないし(コ)が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。 そうすると, 相違点(ア)及び(ウ)が相まって,本願意匠の正面側は丸みのある印象を与えるのに対して,引用意匠の正面側はシャープな印象を与え,その余の相違点も加わって,両意匠について需要者に異なる印象を与えるから,これらの相違点は,両意匠の類否判断を決するものといえる。 3.類否判断 上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通するものの,両意匠の相違点が相まって生じる視覚的効果は,両意匠の共通点のそれを凌駕するものであって,需要者に異なる美感を起こさせるものである。 したがって,本願意匠は,引用意匠に類似しないものと認められる。 第4 むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-01-11 |
出願番号 | 意願2016-12221(D2016-12221) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 智加 |
特許庁審判長 |
温品 博康 |
特許庁審判官 |
正田 毅 橘 崇生 |
登録日 | 2018-02-16 |
登録番号 | 意匠登録第1599508号(D1599508) |
代理人 | 堅田 裕之 |