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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立不成立) L3
管理番号 1337124 
判定請求番号 判定2017-600017
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 判定 
判定請求日 2017-04-06 
確定日 2018-01-25 
意匠に係る物品 ブロック 
事件の表示 上記当事者間の登録第1458966号判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 甲第3号証によって示されたイ号意匠は,登録第1458966号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第1 手続の経緯
平成23年11月 4日 意匠登録出願(意願2011-25456号)
平成24年11月30日 意匠権の設定の登録
(登録第1458966号)
平成29年 4月 6日 本件判定請求(本件判定請求人)
平成29年 4月20日 補正書(本件判定請求人)提出
平成29年 6月 9日 審尋(1)発送
平成29年 6月22日 新たな判定請求書が添付されている回答書
(本判定請求人)提出(なお,添付された判定
請求書は,請求当初の判定請求書の全文を補正
する趣旨の手続補正書と認める。)
平成29年 8月 7日 答弁書(本件判定被請求人)提出
平成29年10月11日 審尋(2)発送

第2 請求の趣旨及び理由
1.請求の趣旨
本件判定請求人(以下「請求人」という。)は,エス・ストック製品カタログ(甲第3号証)は,登録第1458966号の意匠の範囲に属する,との判定を求め,要旨,以下のとおり主張した。

2.請求の理由
(1)判定請求の必要性
請求人は,本件判定請求に係る登録意匠「ブロック」(以下「本件登録意匠」という。)の意匠権者である。
本件判定被請求人(以下「被請求人」という。)が現在販売しているエス・ストックは,本件登録意匠の意匠権を侵害するものであるので,請求人は,平成28年4月18日付けでその旨の警告状を被請求人に送付したが,被請求人は,「エス・ストック意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない」旨主張するので,特許庁による判定を求める。

(2)本件登録意匠の手続の経緯
出願 平成23年11月4日(意願2011-25456号)
登録 平成24年11月30日(登録1458966号)

(3)本件登録意匠の説明
本件登録意匠は,意匠に係る物品を「ブロック」とし,その形態の要旨を,次のとおりとする。
基本的な形態は,舗装材の平面に筋状の細い溝を多数施し,その正面に少なくとも2つの大きな円形貫通孔を形成し,右側面に凸状部を右辺に沿って形成し,左側面に凸状部を嵌め込み可能な凹状の溝状部を左辺に沿って形成し,背面の当たり面には隙間を設けるための凸状のものを形成したものである。

(4)カタログに掲載の「エス・ストック」の説明
基本的な形態は,舗装材の平面に筋状の細い溝を多数施し,その正面に少なくとも2つの大きな円形貫通孔を形成し,その大きな円形貫通孔の間にさらに2つの小さな円形貫通孔形成したもので,右側面に凸状部を右辺に沿って形成し,左側面に凸状部を嵌め込み可能な凹状の溝状部を左辺に沿って形成し,背面の当たり面には隙間を設けるための凸状のものを形成したものが両側面ある点で,本件登録意匠と共通するため,全体としてみれば類似するものである。

(5)本件登録意匠とエス・ストックとの比較説明
(a)本件登録意匠との比較において,意匠に係る物品の性質,用途及び使用態様からみて,平面視,底面視及び左右側面視における両意匠の構成態様が需要者の注意を最も引く部分であり,意匠の要部に当たる。
甲第3号証には,中央上部に,複数を敷き詰めた施工例として,平面と正面が看者の注意を引くように斜視状態の写真を大きく表示するとともに,エス・ストックを2個横に並べた図を描いている。
一方,請求人の製品カタログ(甲第4号証)には,2頁中央部に,正面と平面が目立つように製品の施工状態の写真を大きく表示するとともに,請求人製品を2個横に並べて配置した正面図が描かれている。
そして,複数の円形貫通孔に対して「雨水貯留を目的とした空洞部」の説明文が記載されるとともに,「雨水が貯留できる画期的な構造」の説明文と断面図が描かれている。
(b)平面における複数の筋状の細い溝の模様について,本件登録意匠の平面には溝模様を形成していない部分があるのに対して,エス・ストックは全面にわたって多数形成されているが,甲第3号証に記載の「貯留・透水機能/ゲリラ豪雨等による都市洪水抑制」のセールスポイントには何ら寄与していないので,意匠の類否判断における影響は,平面視が正面視よりも低いと言わざるを得ない。
(c)側面に形成された嵌合用凸状部と嵌合用凹状部の形状・大きさが多少異なるとしても,左右側面に形成された嵌合用の凸状部と凹状部があれば,舗装用ブロック又は透水性舗装材を施工した時に,不陸・段差の発生を抑制できる。したがって,需要者にとっては,不陸・段差の発生を抑制する物品(製品)選択の上で考慮する場合,嵌合用の凸状部と凹状部があることが重要であって,それらの形状の大小についてのウエイトが低いといえる。

(6)エス・ストックが本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する理由の説明
請求人は,平面の全面にわたって複数の筋状の細い溝を形成した意匠を平成26年9月11日付けで意願2014-20126号(甲第5号証)として意匠登録出願したところ,平成27年5月8日付けで拒絶理由通知が発行された。
上記(5)比較説明の内容から意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する,と判定を求める。

(7)むすび
したがって,エス・ストックは,本件登録意匠の範囲に属するので,請求の趣旨どおりの判定を求める。

3.証拠方法
甲第1号証:意匠登録証(意匠登録第1458966号)および意匠公報
甲第2号証:平成28年4月18日付け警告状
甲第3号証:エス・ストックが掲載された製品カタログ
甲第4号証:ユニドレインが掲載された製品カタログ
甲第5号証:意願2014-20126の拒絶理由通知書
甲第6号証:被請求人の「エス・ストック」と請求人の「ブロック」の形
態を比較できるように請求人が作成した図面

第3 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は,その願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「ブロック」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。
すなわち,縦横高さ(又は「長さ,幅,厚さ」のこと。)の比率を約5:5:2とした,上面が正方形の平板な直方体であって,正面から背面にかけて円形貫通孔を3つ並べて設け,右側面の上下中央には右辺に沿って本体厚さの約3分の1の大きな嵌合用凸状部を設け,左側面の上下中央には左辺に沿って本体厚さの約3分の1の大きな嵌合用凹状部を設けたものであって,上面には,前後方向の極細い溝を多数横並べにした筋状模様を設けており,その模様部は,左から細幅帯状模様部,細幅帯状無地部,太幅帯状模様部,細幅帯状無地部及び細幅帯状模様部として,上面全面を成しており,その各々の幅は,約1:1:4:1:1である。底面の左右両端には,上面の左右両端の細幅帯状模様部と略同幅の細幅帯状模様部を設け,その余を無地部としており,その幅は約1:6:1である。背面には,隙間を設けるための球面凸状部を上面側に2つ,底面側に2つの計4つ千鳥状に設けたものである。

2.エス・ストックの意匠
(1)請求人が請求時に提出した判定請求書によっては,判定の対象となる意匠が不明であるから,補正を検討するようにと行った審尋(1)に対して,請求人は,回答書を提出し,当該回答書に,新たな判定請求書が添付されていたところ,当合議体は,この回答書に添付された平成29年6月22日付けの判定請求書により,当初の判定請求書の全文が補正されたと認めた。
しかしながら,いまだ判定を求めようとする意匠が不明であるとして,二度目の審尋(平成29年10月11日に発送した「審尋(2)」)を行い,期間を指定して回答書を提出する機会を与えたが,請求人からは何らの応答もないので,上記のとおり全文が補正された判定請求書の記載内容から判定の対象となる意匠を認定するほかない。請求の趣旨は,上記第2の1.に記載のとおりであるが,請求の理由において,甲第3号証のカタログに表れた意匠について主張していることからみて,「エス・ストック製品カタログ(甲第3号証)」という書証自体の意匠ではなく,甲第3号証のカタログに表れた意匠を判定の対象としていると解するのが相当である。

(2)すなわち,エス・ストックの意匠(以下「イ号意匠」という。)は,甲第3号証の右上の写真と左上の線図に表されたもので,「透水性舗装材 雨水貯留浸透透水平板」(以下,単に「透水性舗装材」という。)である。
そして,その形態は,縦横高さの比率を約4:4:1とした,平板な直方体であって,上面全面には,前後方向の極細い溝を多数横並べにした筋状模様を設けた,全体が暗灰色のものであり,その正面には,左右両端に大きな正円形が,その間にやや小さい縦長長円形が2つ横並びに表れており,大きな正円形のそれぞれの左隣に透水性舗装材の高さよりやや低い柱状の模様が1本,計2本垂直に設けてあり,右側面の下から約3分の1の位置には右辺に沿って極小の嵌合用凹状部を設け,左側面の下から約3分の1の位置には左辺に沿って極小の嵌合用凸状部を設けたものである(別紙第2参照)。

3.本件登録意匠とイ号意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品
本件登録意匠は,願書の記載によると,意匠に係る物品は「ブロック」であって,「塀,門柱,土留めなどの構築物,又は床材としてしようされるレンガ及びコンクリート製のブロック」というものである。これに対して,イ号意匠は,透水性舗装材であって,人などが交通する場所を舗装する材であるから,「床材として使用されるブロック」に限って,本件登録意匠と共通する物品と認められる。

(2)両意匠の形態
両意匠の形態については,主として以下の共通点と相違点が認められる。
ア.共通点
(ア)基本的構成態様において,上面が正方形の平板な直方体であって,(イ)上面に前後方向の極細い溝を多数横並べにした筋状模様を設けた点,(ウ)一方の側面には,その辺に沿って嵌合用凸状部を設けた点,(エ)他方の側面には,その辺に沿って嵌合用凹状部を設けた点,が共通している。

イ.相違点
(a)ブロック本体の縦横高さの比率につき,本件登録意匠は,約5:5:2であるのに対して,イ号意匠は,約4:4:1である点,(b)正面の形態につき,本件登録意匠は,背面にかけて円形の貫通孔を3つ並べて設けているのに対して,イ号意匠は,左右両端に大きな正円形が,その間にやや小さい縦長長円形が2つ横並びに表れており,大きな正円形のそれぞれの左隣に透水性舗装材の高さよりやや低い柱状のものが1本,計2本垂直に立っている点,(c)嵌合用凸状部につき,本件登録意匠は,本体厚さの約3分の1の大きな凸状部を右側面の上下中央に設けているのに対して,イ号意匠は,極小の凸状部を左側面の下から約3分の1の位置に設けている点,(d)嵌合用凹状部につき,本件登録意匠は,本体厚さの約3分の1の大きな凹状部を左側面の上下中央に設けているのに対して,イ号意匠は,極小の凹状部を右側面の下から約3分の1の位置に設けている点,(e)上面の筋状模様につき,本件登録意匠は,左から細幅帯状模様部,細幅帯状無地部,太幅帯状模様部,細幅帯状無地部及び細幅帯状模様部として,上面全面を成しており,その各々の幅は,約1:1:4:1:1としているのに対して,イ号意匠は,上面全面を模様部としている点,(f)底面の筋状模様につき,本件登録意匠は,左右両端に,上面の左右両端の細幅帯状模様部と略同幅の細幅帯状模様部を設け,その余を無地部としており,その幅は約1:6:1であるのに対して,イ号意匠は不明である点,(g)背面の形態につき,本件登録意匠は,円形貫通孔を3つ並べて設け,かつ,隙間を設けるための球面凸状部を上面側に2つ,底面側に2つの計4つ千鳥状に設けたものであるのに対して,イ号意匠は不明である点。

4.類否判断
イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するか否かについて,すなわち,両意匠が類似するか否かについて,検討する。
(1)両意匠の意匠に係る物品
上記「3.(1)」で述べたとおり,本件登録意匠の「ブロック」と,イ号意匠の「透水性舗装材」においては,床材として使用されるブロックに限って共通している。

(2)両意匠の形態
ア.共通点の評価
共通点(ア)については,この物品分野においては極ありふれた形態であって,両意匠のみの特徴とはいえない。
共通点(イ)については,ブロックの材質や施工場所の条件によっては,すべり止めが必要となるこの種物品分野においては,ブロック上面に筋状模様を設けることは,ありふれた形態であって,両意匠のみの特徴とはいえない。
共通点(ウ)及び同(エ)については,木材などの板材(床材)の分野で本実継ぎといわれる一般的な手法による形態であるが,両意匠における要部の一つと認められ,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。

イ.相違点の評価
相違点(a)は,ブロック本体の縦横高さの比率につき,(a-1)ブロック本体の縦横の長さが同じ場合は,本件登録意匠は,約20:20:8であるのに対して,イ号意匠は,約20:20:5となり,本件登録意匠の本体高さ(厚さ)「8」は,イ号意匠の「5」の,1.5倍以上あり,そうすると嵩(かさ)の違いや,厚さの違いによる耐久性の相違につながる視覚的相違により,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。また,(a-2)ブロック本体の高さが同じ場合は,本件登録意匠は,約5:5:2であるのに対して,イ号意匠は,約8:8:2となり,本件登録意匠の一辺の長さ「5」は,イ号意匠の「8」の5分の3程度の小さなものであり,その面積比では,2.5倍以上異なり,一つ一つを見比べた場合は,その大きさの違い,また,並べて施工した状態では,その目地が表れる度合い(粗密)が異なることから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。
相違点(b)は,イ号意匠の正円形と長円形が,雨水貯留用の空洞の正面形状と認められたとしても,背面まで抜けている貫通孔であるかどうかは,不明である。仮に,本件登録意匠と同様に貫通孔だとしても,その具体的な形状,大きさ及び本数に違いがあり,需要者が期待する貯水量に影響があることから,この相違は両意匠の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点(c)及び同(d)は,イ号意匠の極小のものに比べて,本件登録意匠のものは,本体厚さの約3分の1の大きなものであり,その分,凸状部の突出量も,凹状部の深さも大きく,複数個をつなげた時の強度は,イ号意匠よりも絶大で,本件登録意匠は,イ号意匠に比べてより高い耐久力をもたらす印象を与えるから,この相違は両意匠の類否判断に及ぼす影響は非常に大きい。
相違点(e)は,施工後における施工場所の視覚に訴える部分の相違であり,その点で商品価値(施工主など需要者に対する訴求力)があると考えられるから,この相違は両意匠の類否判断に及ぼす影響は一定程度認められる。
そうすると,その他の相違点を挙げるまでもなく,これら相違点がもたらす印象は,共通点が醸し出す印象をしのいでおり,見る者に両意匠が別異であると認識させるものである。

ウ.類否判断
上記のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は共通するものの,その形態については,両意匠の共通点及び相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,相違点が共通点を圧し,両意匠は,類似しないものといえる。

5.結び
以上のとおりであるから,イ号意匠は,本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
よって,結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2018-01-17 
出願番号 意願2011-25456(D2011-25456) 
審決分類 D 1 2・ 1- ZB (L3)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 渡邉 久美 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2012-11-30 
登録番号 意匠登録第1458966号(D1458966) 
代理人 弁護士法人クレオ国際法律特許事務所 
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