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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F2
管理番号 1338199 
審判番号 不服2017-10617
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-14 
確定日 2018-02-13 
意匠に係る物品 紙類収納箱 
事件の表示 意願2015- 20518「紙類収納箱」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は,平成27年(2015年)9月15日の意匠登録出願であって, その意匠は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「紙類収納箱」とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって,「実線で表した部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。一点鎖線は部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」としたものである(以下,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願部分」という。)。(別紙第1参照)


第2 原査定における拒絶理由
原査定における拒絶理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであり,拒絶理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」といい,「本願意匠」とあわせて「両意匠」という。)は,本願出願前,日本国内又は外国において電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠,すなわち,特許庁意匠課が2013年11月22日に受け入れた,電気通信回線の種類:インターネット,掲載確認日(公知日):2013年11月5日,掲載者:株式会社リヒトラブ,掲載ページのアドレス:http://www.lihit-lab.com/products/newproducts/assets_c/2013/10/A5024-2051.htmlに掲載された「携帯用書類ケース」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ25047631号)であって,拒絶理由通知書の付記記載から,引用意匠(なお,複数個現れている同ケースの意匠のうち,付記記載の「薄い筐体」全体が現れている左端の意匠を引用意匠と認める。)として掲げた「携帯用書類ケース」の蓋接続部以下の収容部分を,本願部分に対応する引用意匠の部分(以下,「引用部分」といい,「本願部分」とあわせて「両部分」という。)として引用したものであると認められる。そして,この引用意匠及び引用部分の形態は,上記の掲載ページに掲載された写真に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3 当審の判断
1.両意匠の対比
図の対比のため,引用意匠の前面を本願意匠の「正面図」における正面,以下,右側面を「右側面図」における右側面,上面を「平面図」における平面とし,引用意匠に現れていない面について,底面を「底面図」における底面,左側面を「左側面図」における左側面,背面を「背面図」における背面とし,写真と図面の平仄を合わせる。
(1)意匠に係る物品
いずれも,端部に設けられた蓋を開いて,略矩形状の書類や画用紙などの紙類を収納し,要すれば手で持ち運べるようにした,書類収納ケースであるから,共通する。
(2)両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲
(2-1)用途及び機能
いずれも,紙を収納するケースの本体であるから,一致する。
(2-2)位置,大きさ及び範囲
いずれも,蓋の下端より下の部分であるから,共通する。
(3)両部分の形態
両部分の形態については,主として,以下のとおりの共通点及び差異点がある。
(3-1)共通点
正面視,略矩形状で,側面視,横の長さを縦の長さの約1/7とする,薄い箱体である点。
(3-2)差異点
(ア)正面視の,縦の長さと横の長さの比について,本願部分は,約1:1であるのに対し,引用部分は,約1:3である点,
(イ)箱体のなりたちについて,本願部分は,正面の板材に,左側面側,右側面側及び底面側の各フラップが備わった部材(以下「平面側部材」という。)を,背面の板材に,左側面側,右側面側及び底面側の各フラップを直角に立てて各フラップの隣り合う縁同士を接合して略「ちりとり」形状とした部材(以下「底面側部材」といい,「平面側部材」とあわせて「両部材」という。)に,両部材の左側面側,右側面側及び底面側の各フラップ同士が重なるよう,覆いかぶせて箱体のなりたちとしているのに対し,引用部分は,写真が小さく細部まで鮮明になっていないため,箱体のなりたちが不明である点,
(ウ)箱体の背面側の各縁の具体的な態様について,本願部分は,左側面視,右側面視,底面視,A-A’部分拡大視,B-B’部分拡大断面視,C-C’部分拡大断面視,D-D’部分拡大断面視及びK-K’、L-L’部分拡大視で,正面側部材の各フラップの背面側の縁が背面の板材の面まで達しておらず,結果,略「L」字状の段差のある縁取りとなっているのに対し,引用部分は,写真が小さく細部まで鮮明になっていないため,その具体的な態様が不明である点。

2.類否判断
以上の共通点及び差異点が,両部分の類否判断に与える影響を評価し,総合して,両部分の類否を意匠全体として検討し,判断する。
両意匠は,意匠に係る物品,並びに部分意匠としての用途及び機能が一致し,位置,大きさ及び範囲が共通するが,形態については,以下のとおりである。
(1)共通点の評価
共通点として挙げた,正面視,略矩形状で,側面視,横の長さを縦の長さの約1/7とする,薄い箱体である点については,側面視で横の長さが縦の約1/7という薄さという点を考慮してもこれらだけでは概括的な形状というほかなく,両部分の類否判断を左右するとは言いがたい。
(2)差異点の評価
これに対して,差異点の(ア)は,両部分の正面の基本構成,そして,差異点(イ)及び(ウ)は,箱体のなりたちと具体的な態様に関わるものであり,これらがあいまって類否判断に与える影響は大きい。
(ア)の,正面視の,縦の長さと横の長さの比の差異について,略矩形状の紙類を収納する以上,当該比を様々な比にして,紙類の種類などに応じて,紙類の短辺を下にして収納する箱体としたり,長辺を下にして収納する箱体としたりすることが,この種の物品の分野において,あたりまえに行われているものの,本願部分は,約1:1であるのに対し,引用部分は,約1:3であって,引用部分の横長が本願部分の約3倍と,正面の基本構成を大きく異にすることも加味すると,この差異点が,類否判断に影響を与えることは否めない。
(イ)の箱体のなりたちの差異について,引用部分は箱体のなりたちが不明である一方,本願部分が,平面側部材を,底面側部材に覆いかぶせて箱体のなりたちとしており,このなりたちは,本願出願前,この種の物品の分野において見受けられない新規なものであり,また,差異点(ウ)の箱体の背面側の各縁の具体的な態様の差異,すなわち,差異点(イ)の本願部分のなりたちに由来する,略「L」字状の段差のある縁取りとする本願出願前に見受けられない本願部分の具体的な態様も考え合わせると,(イ)も含めたこれら差異点は,全体として新規なものであって,需要者の視覚に影響を与え,結果,箱体のなりたちが不明である引用部分と本願部分の類否判断に影響を与えるものである。
(3)小括
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,共通するが,両部分の形態においては,共通点が未だ両部分の類否判断を左右するに至らないものであるのに対して,差異点が両部分の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており,意匠全体として見た場合,差異点の評価は,共通点の評価を凌駕しているから,両部分は類似せず,よって,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。


第4 むすび
以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-01-30 
出願番号 意願2015-20518(D2015-20518) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 重坂 舞 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 宮田 莊平
江塚 尚弘
登録日 2018-03-02 
登録番号 意匠登録第1600350号(D1600350) 
代理人 河野 英仁 
代理人 河野 登夫 
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