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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 H2
管理番号 1339238 
審判番号 不服2017-17784
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-30 
確定日 2018-04-10 
意匠に係る物品 電流検出器 
事件の表示 意願2016- 28154「電流検出器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年(2016年)12月26日の意匠登録出願であって、平成29年(2017年)5月29日付けの拒絶理由の通知に対し、同年7月10日に意見書が提出されたが、同年8月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年11月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)の意匠に係る物品は本願の願書の記載によれば「電流検出器」であり、本願意匠の形態は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであって、願書の【意匠の説明】には「図面中、実線で表した部分(当審注:以下「本願部分」という。)が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」と記載されている(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び本意匠
1 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、願書に記載した本意匠(平成28年(2016年)12月27日付けの出願番号特定通知書により意願2016-28152と通知された意匠登録出願の意匠。)に類似する意匠と認められないので、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとの理由であって、具体的には以下のとおりである。
「この意匠登録出願の意匠と願書に本意匠として記載した意願2016-028152の意匠とは、検出器本体の背面側から内側にかけて形成された放熱フィン状の複数の突出片部分を意匠登録を受けようとする部分としたものであることは共通します。
しかしながら、両意匠の当該部分の具体的形態は、検出器本体の内側に突出した部分の正面側方向の先端位置が大きく異なり、その結果、各突出片の具体的形状が明らかに異なるものです。加えて、検出器本体の形状が異なることに起因するとしても、各突出片の突出幅の変化の具体的態様が異なり、また、各突出片の頂部の具体的形状も異なります。そして、これらの異なる点が相俟って、当該突出片部分全体として異なる印象を表出するものと認められます。
したがって、この意匠登録出願の意匠と願書に本意匠として記載した意願2016-028152の意匠とは、類似しないものと認められます。」

2 本意匠
本意匠に係る出願は、本願と同日の平成28年(2016年)12月26日に意匠登録出願がなされ、平成29年(2017年)7月7日に意匠権の設定の登録がなされて、同月31日に意匠公報が発行されている。
本意匠の意匠に係る物品は同公報の記載によれば「電流検出器」であり、本意匠の形態は同公報の【図面】に記載されたとおりであって、同公報の【意匠の説明】には「実線で表した部分(当審注:以下「本意匠部分」という。)が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」と記載されている(別紙第2参照)。

第4 本意匠の表示を削除する手続補正
拒絶の理由(前記第3の1)に対して請求人は意見書を提出し、本願意匠と本意匠とは類似しているため、本願意匠は、意匠法第10条第1項の拒絶理由に該当しないから、本願意匠は登録されるべきと主張したが、同主張を採用することなく拒絶の査定がなされたため、同査定を不服として審判を請求し、「原査定を取り消す。本願の意匠は登録すべきものとする」との審決を求めた。そして、審判請求後、平成30年(2018年)3月6日に手続補正により本願の本意匠の表示を削除した。

第5 当審の判断
以下、本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて検討する。

1 本願意匠と本意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は「電流検出器」であり、本意匠の意匠に係る物品も「電流検出器」であって、「電流検出器」は被測定電流導体に流れる電流を検出するために用いられ、磁束変化を電流として検出する機能を有するから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通する。
(2)本願部分と本意匠部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも孔部に挿通された被測定電流導体を支える用途及び機能を有するから、用途及び機能が共通する。
(3)両部分の位置、大きさ及び範囲
本願部分の位置は、中央に大きな孔部を有して厚みがやや薄い略直方体状電流検出器の背面側であって、当該孔部と背面後端面(リング状)との間のテーパー面の上部の位置であり、本願部分の大きさ及び範囲は、孔部周方向に沿った横幅が孔部最大径の約1/4.3である。
これに対して、本意匠部分の位置は、中央に大きな孔部を有して厚みがやや薄い略直方体状電流検出器の背面側ではあるものの、当該孔部と背面後端面(リング状)との間のテーパー面と、孔部内周面(背面寄り)の2つの面から成る背面視右上の位置であり、本願部分の大きさ及び範囲は、孔部周方向に沿った横幅が孔部最大径の約1/2.5である。
このように、両部分の位置、大きさ及び範囲は相違する。
(4)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると、主として、以下の共通点と相違点が認められる。
ア 両部分の形態の共通点
(A)複数のフィンについて
両部分には、孔部と背面後端面との間のテーパー面から突設するフィンが複数配されており、各フィンは同形同大であって、孔部周方向に等間隔に並んでおり、背面から見た各フィンの後端面は略細幅棒状である。
イ 両部分の形態の相違点
(a)フィンの数、間隔及び形状
本願部分のフィンの数は3つであって間隔は広く、フィンの形状は、斜視方向から見て略三角板であり、背面から見た各フィンの後端面の横幅は等幅である。
これに対して、本意匠部分のフィンの数は7つであって間隔は狭く、テーパー面のみならず孔部内周面(背面寄り)からも突設したフィンの形状は、斜視方向から見て略逆「し」字状の板であり、テーパー面からの突出幅は小さく、孔部内周面(背面寄り)からの突出は大きく表されている。また、背面から見た各フィンの後端面の横幅は、内側寄りでしだいに大きくなっている。
(b)孔部内周面から突出したフィンの態様
本意匠部分では、フィンが孔部内周面からも突出しており、背面から見た7つのフィンの孔部内周面側の端部が直線状に揃っており、すなわち、7つのフィンのうち真ん中のフィンの孔部内周面からの突出が最も大きく、両側のフィンにいくにつれてその突出は漸次小さくなっている。
これに対して、本願部分では、フィンがテーパー面のみから突出しており、孔部内周面からは突出していないので、背面から見ると、3つのフィンの孔部内周面側の端部は孔部内周面と同じ位置(高さ)で横一直線上に並んでいる。

2 類否判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通するから、類似する。
(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、主たる用途及び機能が共通するから、類似する。
(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
前記1(3)で認定したとおり、両部分の位置については、テーパー面の上部の位置(本願部分)か、テーパー面と孔部内周面(背面寄り)の2つの面から成る背面視右上の位置(本意匠部分)かで相違する。また、両部分の大きさ及び範囲についても、孔部周方向に沿った横幅が孔部最大径の約1/4.3(本願部分、α)であるか、約1/2.5(本意匠部分、β)であるかで相違し、すなわち、本願部分において孔部最大径に占める孔部周方向に沿った横幅が、本意匠部分における同横幅の約3/5(≒β÷α)である点で相違する。このような両部分の位置、大きさ及び範囲の相違は、後述する形態の相違とあいまって、需要者に異なる視覚的印象を与えるから、部分全体の美感に与える影響は大きい。
(4)両部分の形態の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は電流検出器であり、電流検出器は被測定電流導体を孔部に挿通させるという用途を有しているから、需要者は、電流検出器の孔部及びその周囲の態様に特に注目するというべきであり、また、電流検出器の需要者には、電気機器に関する専門的知識を持つ者や、各種電気機器を検査する電子機器関連業者も含まれると考えられる。したがって、両部分の形態の共通点及び相違点の評価においては、そのような需要者も念頭において、孔部及びその周囲の具体的態様について評価することとする。
ア 両部分の形態の共通点の評価
共通点(A)で指摘した両部分の形態の共通点、すなわち、テーパー面から突設するフィンが複数配されて、各フィンが同形同大であって、孔部周方向に等間隔に並び、背面から見た各フィンの後端面が略細幅棒状である共通点は、両部分を概括的に捉えた態様であって、上述したとおり、電流検出器の需要者が孔部周囲の態様に注意を払うことを勘案すると、同形同大のフィンが等間隔に並んでいること自体が需要者の注意を惹くとはいい難く、フィンの形状や間隔、突出の度合いなどにも需要者は関心を寄せるというべきであるから、共通点(A)が部分全体の美感に与える影響は小さいというほかない。
イ 両部分の形態の相違点の評価
これに対して、両部分の形態の相違点については、以下のとおり評価され、相違点を総合すると、部分全体の美感に与える影響は大きいといわざるを得ない。
まず、相違点(a)で指摘したフィンの数及び形態についての相違は、本願部分の数が本意匠部分の数(7つ)の1/2以下の3つであり、本願部分の形態が略三角板状接続部であって略逆「し」字状の板である本意匠部分と大きく異なるから、これらの相違は、需要者が一見して気付く相違であって需要者に異なる視覚的印象を与えているというべきである。そして、本意匠部分では、テーパー面のみならず孔部内周面(背面寄り)にもフィンが回り込み、しかも孔部内周面(背面寄り)での突出の度合いは大きくなっているから、そのような回り込みや突出の変化のない本願部分に対しては、本意匠部分に比べて異なる視覚的印象を需要者は抱くこととなる。したがって、相違点(a)が部分全体の美感に与える影響は大きい。
次に、相違点(b)で指摘した孔部内周面から突出したフィンの態様についての相違、すなわち、フィンが孔部内周面からも突出して背面から見た7つのフィンの孔部内周面側の端部が直線状に揃っているか否かの相違、及び、真ん中のフィンの孔部内周面からの突出が最も大きくて両側のフィンにいくにつれてその突出は漸次小さくなっているか否かの相違についても、フィンが孔部内周面から突出せずに、背面から見て3つのフィンの孔部内周面側の端部が孔部内周面と同じ位置(高さ)で横一直線上に並んでいる本願部分は、本意匠部分と比べて需要者に与える視覚的印象に変化をもたらしているといえるから、相違点(b)が部分全体の美感に与える影響も大きい。
(5)両意匠の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、部分全体として総合的に観察した場合、両部分は、フィンの数及び形態の美感が大きく相違し、また、孔部内周面から突出したフィンの態様についても大きく相違しており、これらを総合すると、両部分は全体として美感が大きく相違するといえる。これに対して、複数の同形同大のフィンが等間隔に並んでいる共通点は概括的にすぎず、需要者に共通の美感を起こさせるほどのものとはいい難い。そうすると、両部分の形態は、部分全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が類似し、両部分の用途及び機能も類似するが、両部分の位置、大きさ及び範囲の相違とあいまって、両部分の形態が需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。

3 本願意匠が第10条第1項の規定に該当するか否かについて
本意匠は、本願の意匠登録出願人の意匠登録出願に係る意匠であるから、意匠法第10条第1項に規定されている本意匠の要件を満たしている。
また、本願意匠と本意匠は、本願意匠の意匠登録出願の日が本意匠の意匠登録出願の日以後であって本意匠の意匠公報の発行の日前であるから、本願意匠の意匠登録出願の日は、意匠法第10条第1項に規定されている関連意匠の意匠登録出願の日の要件を満たしている。
しかし、前記3のとおり、本願意匠は本意匠に類似するものとは認められないので、本願意匠は、意匠法第10条第1項に規定されている、本意匠に類似する意匠(関連意匠)の要件を満たさない。
したがって、本願意匠は、意匠法第10条第1項の規定に該当しない。

そして、前記第4のとおり、本願は、平成30年(2018年)3月6日に願書の本意匠の表示を削除する手続補正がなされているから、原審の拒絶の理由によっては拒絶することはできない。

第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、意匠法第10条第1項の規定に該当しないから、本意匠の関連意匠としては意匠登録を受けることができないものであって、願書の本意匠の表示を削除する手続補正がなされているから、原審の拒絶の理由によっては拒絶することができない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-03-27 
出願番号 意願2016-28154(D2016-28154) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (H2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 北代 真一 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 小林 裕和
渡邉 久美
登録日 2018-04-20 
登録番号 意匠登録第1604456号(D1604456) 
代理人 木内 光春 
代理人 木内 加奈子 
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