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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E3 |
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管理番号 | 1340197 |
審判番号 | 不服2017-16560 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-07 |
確定日 | 2018-04-17 |
意匠に係る物品 | サーフクラフトフィン |
事件の表示 | 意願2016- 25389「サーフクラフトフィン」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。 |
理由 |
第1手続の経緯 平成28年11月22日 意匠登録出願 平成29年 1月31日付け 拒絶理由通知書 平成29年 5月 8日 意見書提出 平成29年 8月 1日付け 拒絶査定 平成29年11月 7日 審判請求書提出 第2 本願意匠 本願は,2016年6月2日のオーストラリア連邦政府意匠局への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとする,2017年(平成28年)11月22日の意匠登録出願(意願2016-25389号)であって,その意匠は,願書及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「サーフクラフトフィン」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)は,願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとしたものであって,「実線で表された部分が部分意匠として登録を受けようとする部分である。」としたものである。(以下,「本願意匠」という(別紙第1参照)。また本願の部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を以下,「本願意匠部分」という。) 第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠 原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用した意匠(以下,「引用意匠」といい,本願意匠と合わせて,両意匠という。)は, 「電気通信回線の種類 インターネット 掲載確認日(公知日) 2016年 2月14日 受入日 特許庁意匠課受入2016年 3月 4日 掲載者 Amazon.com, Inc. 表題 Amazon.com : FCS Performer Performance Core Carbon Surfboard Fins : Sp 掲載ページのアドレス http://www.amazon.com/FCS-Performer-Performance-Carbon-Surfboard/dp/B018IIX3TU/ref=zg_bsnr_3418711_7 に掲載された「サーフボード用フィン」の意匠の,本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分 (特許庁意匠課公知資料番号第HJ27059777号)」(当審注:以下,本願の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分を「引用意匠部分」という(別紙第2参照))) である。 第4 当審の判断 1.本願意匠と引用意匠の対比 (1)意匠に係る物品 本願意匠の意匠に係る物品は,「サーフクラフトフィン」であり,引用意匠の意匠に係る物品は,「サーフボード用フィン」であって,共通する。 (2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲 本願意匠部分は,「サーフクラフトフィン」の下辺部前端と後方寄りに設けられた2つの突出したフィンベース部分であり,引用意匠部分も「サーフボード用フィン」の辺部前端と後方寄りに設けられた2つの突出したフィンベース部分であって,どちらも,サーフボードにフィンを取り付ける際に用いられるフィン側の取り付け部材であるフィンベースとしての用途及び機能を有するものである。 したがって,本願意匠部分と引用意匠部分(以下,「両意匠部分」という。)の物品全体の中での用途及び機能並びに大きさ及び範囲は共通する。 しかしながら,位置については,本願意匠部分がフィン部前端と前方フィンベース部前端が同位置であるのに対し,引用意匠部分の前方フィンベース部の一部は前方に突出して配されているから相違する。 (3)形態 両意匠部分の形態を対比すると,主として,以下の共通点と相違点が認められる。 引用意匠の向きは本願意匠の向きと合わせて認定する。 (ア)共通点 基本的構成態様 (A)両意匠部分は,側面視略横長台形状の前方フィンベース部と後方フィンベース部から成るものである点。 具体的構成態様 (B)前方フィンベース部の前端に倒U字状の切り欠き部があり,右側面視で後方フィンべース部には後方に傾いた略逆U字状の凹部がある点。 (C)前方フィンベース部及び後方フィンベース部の前方辺は共に右側面視で略鉛直状であって,上辺と下辺は平行で水平状である点。 (D)フィンベース部の縦横比率は,右側面図視で前方フィンベース部は約1:3で,後方フィンベース部は約1:2である点。 (E)右側面視で両意匠部分の前方フィンベース部の後方辺がフィン下端と成す角度は,側面視約110度である点。 (イ)相違点 具体的構成態様 (a)本願意後方匠部分は前方フィンベース部の左右側面の前寄りに横長長円状の凹部と後寄りに傾けた逆U字状の凹部を設け,後方フィンベース部の左右側面の前寄りに略正方形状の凹部を設け,左側面側にも後寄りに後方に傾いた略逆U字状の凹部を設けているのに対し,引用意匠部分は,左側面側の態様は不明であって,右側面視で,前方フィンベース部に調子の濃淡は見られるが,凹部の有無は不明であって,後方フィンベース部の前寄りには何らの凹凸も設けていない点。 (b)本願意匠部分は前方フィンベース部及び後方フィンベース部の縦幅に対する厚みが約3:1であるのに対し,引用意匠部分は側面視の図版のみのものであるから厚みは不明である点。 (c)右側面視で本願意匠部分の後方フィンベース部の後方辺がフィン下端と成す角度は,側面視約95度であるのに対し,引用意匠部分の前方フィンベース部の後方辺及び後方フィンベース部の後方辺がフィン下端と成す角度は,約110度である点。 2.本願意匠と引用意匠の類否 以上の「意匠に係る物品」,「用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲」及び「形態の共通点と相違点」が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し,総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。 (1)意匠に係る物品の評価 上記,1.(1)のとおり,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。 同様の意匠に係る物品であるものは,多数見受けられ,意匠に係る物品が共通することにより,両意匠の類否判断に与える影響は,小さいものである。 (2)用途及び機能並びに位置,大きさ及び範囲の評価 上記,1.(2)のとおり,両意匠部分は,物品全体の中での用途及び機能並びに大きさ及び範囲は共通するものの,その位置については,共通するものとはいえないところ,「サーフクラフトフィン」の物品分野において,両意匠部分と同様のサーフクラフトフィンのフィンベース部分,すなわち,フィンの下辺部前端と後方寄りに設けられ突出した2つのフィンベース部分として対比可能な,用途及び機能並びに大きさ及び範囲を有する意匠は,本願出願前にごく普通に見受けられるので,両意匠部分の用途及び機能並びに大きさ及び範囲の共通点が,類否判断に与える影響は,小さい。そして,本願意匠部分のように2つのフィンベース部のうち,フィン部前端と前方フィンベース部前端が同位置に配されているものは「サーフクラフトフィン」の物品分野において,他に見受けられないからこの位置の相違が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は大きい。 (3)両意匠部分の形態の評価 (3-1)両意匠部分の形態の共通点の評価 共通点(A)の全体形状については,両意匠部分の形態を概括的に捉えた場合の基本的構成態様の共通点にすぎないものであり,サーフクラフトフィンの物品分野において,本願の出願前にごく普通に見受けられる基本的構成態様であるから,この共通点が類否判断に与える影響は小さい。 共通点(B)については,確かに,前方フィンべース部の前端に倒U字状の切り欠き部があり,後方フィンべース部には後方に傾いた略逆U字状の凹部がある点は,両意匠部分の共通する特徴であるが,後述するようにフィンべース部の左右側面の凹凸態様の相違点もあり,この共通点が類否判断に与える影響は一定程度に留まるものである。 共通点(C)及び(D)については,「サーフクラフトフィン」の物品分野において,前方フィンベース部及び後方フィンベース部の前方辺は共に側面視で略鉛直状であって,上辺と下辺は平行で水平状である,2つのフィンベース部を設けたものの態様として,フィンベース部の縦横比率が,前方フィンベース部は約1:3,後方フィンベース部は約1:2であるものはごく普通に見受けられる態様であるからこの共通点が類否判断に与える影響は小さい。共通点(E)は前方フィンベース部の後方辺の傾斜に係る具体的態様の共通点であるが,「サーフクラフトフィン」の物品分野において,よく見られる程度の傾きであって,共通点(E)が類否判断に与える影響は小さい。 よって,共通点(B)は類判断への影響が一定程度あるとしても,共通点(A),共通点(C),共通点(D)及び共通点(E)の両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,いずれも小さく,共通点全体があいまって生ずる効果を考慮したとしても,両意匠部分の共通点は,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないということができる。 (3-2)両意匠部分の形態の相違点の評価 これに対して,相違点(a)については,本願意匠部分は前方フィンベース部の左右側面,前寄りに横長長円状の凹部と後寄りに後方に傾けた逆U字状の凹部を設け,後方フィンベース部の左右側面は本願意匠部分が前寄りに略正方形状の凹部を設けているのに対し,引用意匠部分は,前方フィンベース部の全面及び後方フィンベース部の前寄りに何らの凹凸も設けていない点において,その形態の相違は,一見して看取できる両意匠部分の左右側面の凹凸態様の相違であって,この点が類否判断に与える影響は大きい。 相違点(b)は両意匠部分の構成比率に係る相違点であって,この相違点が,類否判断に与える影響は大きい。 相違点(c)については,両意匠部分の後方フィンベース部の後方辺の傾斜に係る具体的態様の相違であるが,多少の傾斜角度の相違であって,相違点(c)が類否判断に与える影響は一定程度に留まるものである。 (3-3)両意匠部分の形態の総合評価 そうすると,共通点(A)ないし(D)の両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は,両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対し,相違点(a)及び相違点(b)は,類否判断に与える影響が大きく,相違点(c)が両意匠部分の類否判断に与える影響一定程度に留まるとしても,それら相違点(a)ないし(c)があいまった視覚的効果も考慮して総合すると,相違点は,共通点を凌駕して,両意匠部分を別異のものと印象付けるものである。 3.小括 したがって,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両意匠部分の用途及び機能並びに大きさ及び範囲は共通するが,これらの共通点が類否判断に与える影響は小さく,位置については相違し,この相違点が類否判断に与える影響は大きく,形態においては,共通点が未だ両意匠部分の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して,相違点が両意匠部分の類否判断に及ぼす影響は共通点のそれを凌駕し,両意匠部分を,全体として別異のものと印象付けるものであって,これらを総合して判断すると,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。 第5 むすび 以上のとおりであって,原査定の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから,原査定の拒絶の理由によって,本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2018-04-05 |
出願番号 | 意願2016-25389(D2016-25389) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(E3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 下村 圭子 |
特許庁審判長 |
小林 裕和 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 正田 毅 |
登録日 | 2018-05-25 |
登録番号 | 意匠登録第1606973号(D1606973) |
代理人 | 特許業務法人北青山インターナショナル |