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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 H7
管理番号 1341134 
審判番号 不服2017-8581
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-06-13 
確定日 2018-05-14 
意匠に係る物品 スピーカー 
事件の表示 意願2016- 1888「スピーカー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は、部分意匠として意匠登録を受けようとする、2015年(平成27年)7月29日のアメリカ合衆国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う、2016年(平成28年)1月29日の意匠登録出願であって、平成29年(2017年)6月13日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであるが、同年8月23日付けで当審において拒絶理由の通知がなされ、これに対し、同年12月25日に意見書が提出されたものである。

第2 本願意匠

本願意匠は、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品は、「スピーカー」であり、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」ともいう。)は、願書及び願書に添付した図面に表されたとおりのもので、「実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。各図に表されている破切れた細線及び破切れた平行状細線は、模様を表す線ではなく、立体表面の形状を表す線である。」(以下、本願において、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)としたものである。(別紙第1参照)

第3 当審における拒絶の理由及び引用意匠

当審における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するというものであって、具体的には、以下のとおりである。

まず、この種オーディオ用のスピーカーの分野において、(1)筐体を、略縦長直方体形状とし、その正面側縁部を略弧状に面取りし、その正面部中央に、外形状が略隅丸等脚台形状の放音部を配置し、その直下に両端部を略つ字状に形成した横長長円形状のバスレフポートを穿設し、その放音部とバスレフポートを囲うように周縁部を形成して、その周縁部の四隅から幅広帯状のテーパー面を漸次細幅としながら斜め後方に延出し、そのまま側面部の四辺に沿って細帯状のテーパー面を形成した態様としたものが、意匠1にみられるように、本願の出願前より公然知られたものです。
次に、(2)放音部を、径の若干異なる2つの円形枠を縦に小径、大径の順に双方の端部が少し重なるように配置し、上側の枠内には小型スピーカー部と中型スピーカー部を縦に近接して配置し下側の枠内には大型スピーカー部を枠内いっぱいに配置し、その周縁部の両端部に小円を縦に3個ずつ、あわせて6個等間隔に配置した態様とするものが、これまた意匠2にみられるように、本願の出願前より公然知られたものです。
そうすると、本願部分は、意匠1の筐体の縦横の長さの比率を多少変更し、放音部を意匠2の放音部に置き換えたまでにすぎないものですから、本願意匠は、当業者であれば、公然知られた形態に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものです。

意匠1(別紙第2参照)
独立行政法人工業所有権情報・研修館が、平成26年(2014年)12月19日に受け入れた、
「ROKIT POWERED GENERATION3 RP5G3 “White version”」所載の「スピーカーボックス」の意匠

意匠2(別紙第3参照)
米国特許商標公報 登録番号US D657777S号(発行日:2012年4月17日)に記載の「オーディオスピーカー」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH24306856号)

第4 請求人の主張の要点

これに対し、請求人は意見書を提出し、要旨以下のとおり主張した。

1.創作容易性の判断について
(1)本願意匠の筐体と意匠1の筐体とを対比すると、意匠1においては、放音部領域と、バスレフポートを含む領域はほぼ平らにされており、放音領域とその周囲のバスレフポートを含む領域の四隅が面取りされた形状となっている。これに対して、本願意匠においては、放音部領域はほぼ平らになっているものの、その外縁より外側には、四隅外縁から後方に向かってなだらかに連続した湾曲面が表れている。したがって、この点において、意匠1の筐体と本願意匠の筐体の形状には差異がある。
また、意匠1のバスレフポートは、本願意匠のバスレフポートよりも横幅が長く、縦幅が短くされた形状であるのに対して、本願意匠のバスレフポートは、意匠1のバスレフポートよりも横幅が短く、縦幅が広くされている点で、本願意匠のバスレフポートと意匠1のバスレフポートの形状には差異がある。
(2)一方、本願意匠の放音部と意匠2の放音部とを対比すると、本願意匠においては、右側面図を見ると分かるように、凹凸が表れているのに対し、意匠2においては、そのような凹凸が表れていない点で、本願意匠の放音部と意匠2の放音部の形状には差異がある。
(3)以上の通り、本願意匠の筐体と意匠1の筐体、本願意匠の放音部と意匠2の放音部には、それぞれ上記のような差異点があり、もし仮に当業者が意匠1の筐体の縦横の長さの比率を多少変更し、放音部を意匠2の放音部に置き換えたとしても、本願意匠にはなり得ない。

2.以上のように、本願意匠は、意匠1の筐体の縦横の長さの比率を多少変更し、放音部を意匠2の放音部に単に置き換えたものではなく、多様なデザイン面での選択肢から創意工夫を施して創作した独創的な意匠である。よって、本願意匠は、意匠1および意匠2に基づいて当業者が容易に創作できたものではなく、意匠法第3条第2項の規定に該当するものではない。

第5 当審の判断

当審の拒絶の理由に対して、請求人が提出した意見書の主張を踏まえて、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が容易に創作することができたか否かについて、検討し、判断する。

1.本願部分の形態
本願部分は、略縦長直方体形状の筐体のうち、正面部左端寄りやや上方の小矩形部、正面部下端寄りのバスレフポートの内側、背面部右端寄りに縦に並ぶ複数の構成物(端子部、つまみ部、スイッチ部)を除いた部分であって、その形態は、全体を、略縦長直方体形状とし、その正面側の上下端部をそれぞれ薄く面取りし、左右端部をそれぞれ上端から下端に向けて若干斜面状に面取りし、正面部中央に、外形状が略隅丸等脚台形状の放音パネル部を配置し、その直下に両端部を略つ字状に形成した略横長長円形状のバスレフポートを穿設し、放音パネル部とバスレフポートを囲うように周縁部を形成して、その周縁部の四隅から幅広帯状のテーパー面を漸次細幅としながら斜め後方に湾曲させながら延出し、そのまま側面部の四辺に沿って細帯状のテーパー面を形成した態様としたものであり、上記の放音パネル部には、径の若干異なる2つの円形枠を縦に小径、大径の順に双方の端部が少し重なるように配置して放音部とし、上側の小径の枠内には小型スピーカー部と中型スピーカー部を縦に近接して配置し下側の大径の枠内には大型スピーカー部を枠内いっぱいに配置し、放音パネル部の周縁部の左右端部に小円を縦に3個ずつ、あわせて6個等間隔に配置したものであって、側面視において、放音パネル部の上下中央やや上方寄りと下端部がやや前方に突出した態様としたものである。

2.引用意匠の形態
(1)意匠1
意匠1は、全体を、略縦長直方体形状とし、その正面側の上下端部をそれぞれ面取りし、左右端部をそれぞれ上端から下端に向けて若干斜面状に面取りし、正面部中央に、外形状が略隅丸等脚台形状の放音パネル部を配置し、その直下に両端部を略つ字状に形成した略横長長円形状のバスレフポートを穿設し、放音パネル部とバスレフポートを囲うように周縁部を形成して、その周縁部の四隅を斜め後方に、正面視、略隅丸等脚台形状に面取りし、その端部から側面部の四辺に沿って細帯状のテーパー面を形成した態様としたものである。
(2)意匠2
意匠2の放音パネル部は、外形状が略隅丸等脚台形状であって、その内側に、径の若干異なる2つの円形枠を縦に小径、大径の順に双方の端部が少し重なるように配置して放音部とし、上側の小径の枠内には小型スピーカー部と中型スピーカー部を縦に近接して配置し下側の大径の枠内には大型スピーカー部を枠内いっぱいに配置し、その周縁部の両端部に小円を縦に3個ずつ、あわせて6個等間隔に配置した態様としたものであって、側面視において、突出部は見られないものである。

3.本願部分の創作容易性について
本願部分において、全体を、略縦長直方体形状とし、その正面側の上下端部をそれぞれ面取りし、左右端部をそれぞれ上端から下端に向けて若干斜面状に面取りし、正面部中央に、外形状が略隅丸等脚台形状の放音パネル部を配置し、その直下に両端部を略つ字状に形成した略横長長円形状のバスレフポートを穿設し、その放音部とバスレフポートを囲うように周縁部を形成した態様としたものは、意匠1にみられるように本願出願前から公然知られたものである。
しかしながら、上記の周縁部の四隅から幅広帯状のテーパー面を漸次細幅としながら斜め後方に湾曲させながら延出し、そのまま側面部の四辺に沿って細帯状のテーパー面を形成した本願部分の態様は、周縁部の四隅を面取りした態様の意匠1には見られない、本願意匠独自の創作であり、当業者が容易に創作することができたということはできない。
また、放音パネル部の態様について、すなわち、外形状が略隅丸等脚台形状であって、その内側に、径の若干異なる2つの円形枠を縦に小径、大径の順に双方の端部が少し重なるように配置して放音部とし、上側の小径の枠内には小型スピーカー部と中型スピーカー部を縦に近接して配置し下側の大径の枠内には大型スピーカー部を枠内いっぱいに配置し、その周縁部の両端部に小円を縦に3個ずつ、あわせて6個等間隔に配置した態様としたものは、意匠2にみられるように本願出願前から公然知られたものである。
しかしながら、側面視のとおり、本願部分は、放音パネル部の上下中央やや上方寄りと下端部がやや前方に突出しており、この態様は、ちょうど、大径の円形枠の上下端部に当たり、本願部分のこのような態様は、側面視において突出部のない意匠2の態様から導き出せるものとはいえず、本願意匠について、意匠2に基づいて容易に意匠の創作をすることができたということはできない。

そうすると、本願部分における形態は、意匠1及び意匠2から導き出せるものとはいえないから、本願意匠について、その意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、意匠1及び意匠2に基づいて容易に意匠の創作をすることができたということはできない。

第6 むすび

したがって、本願意匠は、当審で示した例示意匠を基にしては、意匠法第3条第2項の規定に該当しないので、当審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。

また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-04-24 
出願番号 意願2016-1888(D2016-1888) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (H7)
最終処分 成立 
前審関与審査官 清水 玲香 
特許庁審判長 温品 博康
特許庁審判官 江塚 尚弘
内藤 弘樹
登録日 2018-06-08 
登録番号 意匠登録第1607947号(D1607947) 
代理人 鈴木 博子 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 弟子丸 健 
代理人 倉澤 伊知郎 
代理人 山本 泰史 
代理人 ▲吉▼田 和彦 
代理人 松下 満 
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