• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L2
管理番号 1341136 
審判番号 不服2017-17300
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-22 
確定日 2018-05-22 
意匠に係る物品 鋼製増殖礁 
事件の表示 意願2016- 22238「鋼製増殖礁」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年10月13日の意匠法第4条第2項の適用を受けようとする意匠登録出願であって、平成29年5月16日付けの拒絶理由の通知に対し、平成29年6月9日に意見書が提出されたが、平成29年9月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成29年11月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願意匠は、意匠に係る物品を「鋼製増殖礁」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである(別紙第2参照)。

引用意匠 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1047514号
(意匠に係る物品、鋼製魚礁)の意匠

第4 当審の判断
1.意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は、「鋼製増殖礁」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「鋼製魚礁」であって、表記は異なるが、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の願書及び願書に添付した図面の記載等を総合すれば、両意匠の意匠に係る物品は、いずれも、人為的に水中に設置して魚等の水生物の繁殖を行うための人工礁であるから、共通するものである。

2.形態の対比
(1)共通点
基本的構成態様として、
ア.全体の外形状は、平面視、略正方形で、高さが一辺の半分弱程度の略直方体形状の枠体であって、棒材を組み合わせてなるものである。
そして、その枠体の上端、上端寄り、下端の3箇所に、それぞれ、棒材を平面視、縦横2本ずつ、等間隔に配置して、3×3の方眼状に枡組みし(以下、それぞれ、上端を「1段目枡組部」、上端寄りを「2段目枡組部」、下端を「3段目枡組部」といい、全体として「枡組部」という。)、その交点からそれぞれ棒材を下端まで垂下して、周側部の棒材12本と合わせて16本柱とし(以下「柱部」という。)、全体として立体格子に組み合わせた態様としたものである点。

具体的な態様として、
イ.柱部は、3段目枡組部より若干突出して、脚部を形成している点、

ウ.2段目枡組部のうち、四隅の枡目の枠内に、それぞれ複数の棒材を平面視、縦に等間隔に配置し、また、それぞれの枡目を囲む周側部に、縦棒を等間隔に多数取り付けて、全体としてかご状としている(以下「石詰部」という。)点、

エ.2段目枡組部と3段目枡組部の四隅と中央の枡目を除く4箇所に、2本の縦棒を2枚の横長長方形薄板で繋いだ略梯子状の部材を、外側に傾斜して取り付けている点、

オ.枡組部の中央の枡目のうち、1段目枡組部と2段目枡組部の間に、2枚の横長長方形板を垂直に立て、対角に取り付けている点、

カ.2段目枡組部のうち、四隅と中央の枡目を除く4箇所に、それぞれ長方形薄板を1枚ずつ、平面視、十字方向に取り付けている点。

(2)相違点
具体的な態様として、
あ.石詰部直下の態様について
(あ.-1)
本願意匠は、2段目枡組部と3段目枡組部の間の位置(枠体の高さの半分よりやや上側の位置)に、それぞれ枡目と略同形の正方形板を水平に取り付けている(以下「天板部」という。)のに対し、引用意匠は、何も取り付けていない点、
(あ.-2)
本願意匠は、2段目枡組部と天板部の間の外側の2面において、それぞれ両端部に、一辺の約4分の1程度の長さの横長長方形薄板片を2枚ずつ、合計4枚、柱に近接して縦に取り付けているのに対し、引用意匠は、何も取り付けていない点、

い.床板部及び柱状部材の有無について
(い.-1)
本願意匠は、3段目枡組部の枡目全部に、それぞれ枡目と略同形の正方形板を水平に取り付けて、床板部としているのに対し、引用意匠は、何も取り付けていない点、
(い.-2)
本願意匠は、上記の四隅の床板部の中央部に、矩形状箱部を4つの縦棒で挟んだ柱状部材を、床板部と天板部を上下に連結するように取り付けているのに対し、引用意匠は、何も取り付けていない点、

う.石詰部の1辺の長さと高さの比率について
本願意匠は、枡目の1辺の長さの約2分の1の高さであるのに対し、引用意匠は、約3分の1の高さである点、

え.遮蔽板の有無について
引用意匠は、2段目枡組部と3段目枡組部の間に、枠体の角の柱部にそれぞれ直角三角形薄板を、頂角を柱の下隅部に合わせて取り付けて、遮蔽板としているのに対し、本願意匠は、何も取り付けていない点。

3.類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。

両意匠は、意匠に係る物品が共通するが、形態については、以下のとおりである。

(1)共通点の評価
基本的構成態様としてあげた共通点ア.は、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから、これらの点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を大きいということはできない。また、具体的な態様としてあげた共通点イ.ないしカ.もこの種物品の先行意匠に照らすと、いずれもありふれた態様であって、両意匠の類否判断に与える影響は微弱である。

(2)相違点の評価
相違点あ.石詰部直下の態様における相違について、すなわち、(あ.-1)及び(あ.-2)の、天板部の有無及び2段目枡組部と天板部の間の横長長方形薄板片の有無についてであるが、当該部位によって、石詰部の直下に、半囲いの略直方体状の空間を形成したものとなり、石詰部と併せて全体の約半分近くの高さを占めるものであって、かつ、枠体の四隅の非常に目立つ箇所であることから、石詰部の下側に何も形成していない引用意匠の態様と比較すると、需要者に異なる印象をもたらすものであって、両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。

次に、相違点い.床板部及び柱状部材の有無について、すなわち、本願意匠は、(い.-1)3段目枡組部の枡目全部に床板部を取り付け、さらに、(い.-2)その四隅の床板部の中央部に、矩形状箱部を4つの縦棒で挟んだ柱状部材を、床板部と天板部を上下に連結するように取り付けたものであるのに対し、引用意匠は、当該枡目には何も取り付けていない点であるが、本願意匠は、3段目枡組部全体に床面を形成することによって、2段目枡組部とは全く異なる表情を持ち、単に枡組だけの引用意匠には見られない、重厚な印象を強く与えており、さらに、四隅の最も目立つ位置に柱状部材を取り付けてなる態様は、非常に目立つものであって、本願意匠の特徴となっており、両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものである。

また、相違点う.石詰部の1辺の長さと高さの比率について、すなわち、本願意匠は、枡目の1辺の長さの約2分の1の高さであるのに対し、引用意匠は、約3分の1の高さである点であるが、本願意匠のほうが、引用意匠よりもかごが深いものであって、その分、本願意匠は、比較的、石が外にこぼれにくいものであるといえるから、需要者の注意をひくものといえ、両意匠の類否判断に一定程度の影響を与えるものといえる。

さらに、相違点え.遮蔽板の有無について、本願意匠は、このような遮蔽板は取り付けていないため、枠体の周側面部を遮るものはなく、枠体内部が、すっきりと見通せるものであり、遮蔽板を取り付けている引用意匠とは、周側面部の外観の視覚的印象が異なるものであるから、両意匠の類否判断に大きな影響を与えるものといえる。

(3)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は、共通し、形態においても、共通点が未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、相違点の印象は、共通点の印象を凌駕し、両意匠は、意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-05-09 
出願番号 意願2016-22238(D2016-22238) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 住 康平 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 宮田 莊平
内藤 弘樹
登録日 2018-06-22 
登録番号 意匠登録第1609144号(D1609144) 
代理人 稗苗 秀三 
代理人 稗苗 秀三 
代理人 小羽根 孝康 
代理人 藤原 清隆 
代理人 小羽根 孝康 
代理人 藤原 清隆 
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社   サービスに関しての問い合わせ