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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H1
管理番号 1341140 
審判番号 不服2018-1411
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-02-01 
確定日 2018-06-01 
意匠に係る物品 電気接続端子 
事件の表示 意願2016- 28072「電気接続端子」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年(2016年)12月26日の意匠登録出願であって、平成29年(2017年)6月28日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月9日に意見書が提出されたが、同年10月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成30年(2018年)2月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、その意匠(以下「本願意匠」という。)の意匠に係る物品は本願の願書の記載によれば「電子接続端子」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)は、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりであって、願書の「意匠の説明」には「実線であらわした部分(当審注:以下「本願部分」という。)が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。・・・一点鎖線は、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分とその他の部分との境界のみを示す線である。」と記載されている(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
原査定の拒絶の理由に引用された意匠は、日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:昭和45年9月16日)に記載された、意匠登録第279940号の類似第1号(意匠に係る物品、接続端子)の意匠(以下「引用意匠」という。)であり、その形態は同公報に記載されたとおりであって、引用意匠において本願部分と対比、判断する部分は、本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)である(別紙第2参照)。

第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は「電気接続端子」であり、引用意匠の意匠に係る物品は「接続端子」であるが、いずれも電線の末端に取り付けられ、電線導体の電気を伝導させる機能を有するから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通する。

2 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分が被覆電線の絶縁被覆を圧着する用途及び機能を有するのに対して、引用部分は、電線導体を圧着する用途及び機能を有すると推認されるから、本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)の用途及び機能は相違する。

3 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
本願部分の位置が、正面視右方から端子接続部?ワイヤーバレル部?インシュレーションバレル部から成る本願意匠のうち、インシュレーションバレル部の内側と外側の位置であり、本願部分の本願意匠に占める大きさ及び範囲が約1/10である。これに対して、引用部分の位置は端子接続部とワイヤーバレル部から成る引用意匠のうち、ワイヤーバレル部の内側と外側の位置であり、本願部分の本願意匠に占める大きさ及び範囲は約1/3である。したがって、両部分の位置、大きさ及び範囲は相違する。

4 両部分の形態の対比
(1)両部分の形態の共通点
両部分の形態の共通点は以下のとおりである。なお、本願部分の向きに合わせて引用部分を認定する。すなわち、引用部分が表された引用意匠の正面図を左右反転させた図を正面図と認定し、右側面図を左側面図と認定して、他の図もこれに倣って認定する。
(A)全体の構成態様
左側面から見て下辺が弧状で左右辺が上にいくにつれて略逆ハ字状に広がる板状体の内側と外側の部分であって、内側の部分には、2つの凸状帯(以下「内側凸状帯」という。)が周方向に平行に設けられ、外側の部分には、内側凸状帯の裏側に相当する位置に同形の2つの凹状溝(以下「外側凹状溝」という。)が形成されている。
(B)外側凹状溝の態様
外側凹状溝の両端部(正面上端部及び背面上端部)は弧状に形成されている。また、外側凹状溝の内部は弧状面に形成されて、その正面視下端が弧状に窪んでいる。
(2)両部分の形態の相違点
両部分の形態の相違点は以下のとおりである。
(a)本願部分の2つの内側凸状帯は同形同大であって、各内側凸状帯は軸方向に弧状に膨出して、その膨出の程度が、本願意匠の「A-A矢視拡大断面図」及び「C-C部分における正面、左側面および平面を示す拡大斜視図」によれば、両端部においてなだらかに漸次縮小している。これに対して、引用部分の2つの内側凸状帯が同形同大であるかは不明であり、引用意匠の「左側面図」に表された内側凸状帯の両端部は、段差状に形成され、角張っている。
(b)本願意匠の「A-A矢視拡大断面図」によれば、外側凹状溝の両端部の傾斜は緩やかな弧状に形成されている。これに対して、引用部分では、外側凹状溝の両端部の傾斜の具体的形状は不明である。
(c)本願部分では、2つの内側凸状帯の間隔は、内側凸状帯の幅の約1.5倍であるが、引用部分のその間隔は内側凸状帯の幅の約2倍である。
(d)本願部分の2つの外側凹状溝の長さは同じであるが、引用部分では、正面視右側の外側凹状溝が左側の外側凹状溝に比べて若干長い。

第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、用途及び機能が共通するから、類似する。

2 両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、前記第4の2で認定したとおり相違するから、類似しない。

3 両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲は、前記第4の3で認定したとおり相違するから、類似しない。

4 両部分の形態の共通点及び相違点の評価
(1)両部分の形態の共通点
共通点(A)で摘示した、両部分が左側面から見て下辺が弧状で左右辺が上にいくにつれて略逆ハ字状に広がる板状体の内側と外側の部分である点については、「電気接続端子」の物品分野の意匠において、インシュレーションバレル部又はワイヤーバレル部について、左側面から見て下辺が弧状で左右辺が上にいくにつれて略逆ハ字状に広がる板状体とした態様は、例を示すまでもなくありふれているので、この点が部分全体の美感に与える影響は極めて小さい。一方、2つの内側凸状帯を周方向に平行に設け、その裏側に相当する部分に2つの外側凹状溝を形成した態様は、一見して目に付く形状の共通点であるので、両部分の美感に与える影響は一定程度認められる。
また、共通点(B)の態様、すなわち、外側凹状溝の両端部を弧状に形成し、外側凹状溝の内部を弧状面に形成して、その正面視下端を弧状に窪ませた態様については、凹状溝の内部を弧状面に形成することはありふれた手法であるというべきであって、弧状面に形成した結果として外側凹状溝の正面視下端が弧状に窪んで表され、及び外側凹状溝の両端部の形状も弧状に表されることから、共通点(B)が両部分の美感に与える影響は小さい。
そうすると、両部分の形態の共通点は、2つの内側凸状帯と、2つの外側凹状溝を設けた点については一定程度評価されるものの、両部分の美感に与える影響は総じて小さいといえる。
(2)両部分の形態の相違点
これに対して、両部分の形態の相違点(a)及び相違点(b)は、以下のとおり両部分の美感に与える影響が大きいということができる。
まず、相違点(a)で摘示した、2つの内側凸状帯が同形同大であるか(本願部分)、不明であるか(引用部分)の相違は、両部分における主要な構成要素である内側凸状帯に関する相違であるから需要者の注意を惹くというべきであり、また、各内側凸状帯の膨出の程度が両端部においてなだらかに漸次縮小している本願部分の形状は、内側凸状帯の両端部が段差状で角張っている引用部分に比べて明らかに異なっており、傷つきやすい被覆電線を圧着する用途及び機能を有する本願部分の形状に関心を持つ需要者が、本願部分のその形状に特に着目するというべきであるから、相違点(a)が両部分の美感に与える影響は大きいといわざるを得ない。
次に、相違点(b)については、外側凹状溝の両端部の傾斜が緩やかな弧状に形成されているか(本願部分)、不明であるか(引用部分)の相違であって、両部分の形状を子細に観察する需要者にとって、この相違は両部分の視覚的印象に変化を生じさせるといえるから、相違点(b)が両部分の美感に与える影響は大きいということができる。
他方、相違点(c)及び相違点(d)で摘示した、2つの内側凸状帯の間隔が内側凸状帯の幅の約1.5倍であるか(本願部分)、約2倍であるか(引用部分)の相違、及び、引用部分の正面視右側の外側凹状溝が左側の外側凹状溝に比べて若干長いのに対して、本願部分の2つの外側凹状溝の長さが同じであるという相違は、いずれも長さに関する程度の差であって、両部分の視覚的印象を大きく異にするほどのものとはいい難いから、相違点(c)及び相違点(d)が両部分の美感に与える影響は小さい。
そうすると、両部分の形態の相違点(c)及び相違点(d)が両部分の美感に与える影響は小さいものの、上述のとおり相違点(a)及び相違点(b)が両部分の美感に与える影響が大きいから、両部分の形態の相違点を総合すると、両部分の美感に与える影響は大きいというほかない。

5 両意匠の類否判断
このように、両部分の形態の相違点が総じて両部分の美感に与える影響が大きいのに対して、両部分の形態の共通点が両部分の美感に与える影響は総じて小さく、両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、相違点は共通点を圧して需要者に異なる美感を起こさせるといえる。そして、2つの内側凸状帯と、2つの外側凹状溝を設けた形態の共通点が一定程度評価されるものの、これらの形態は、前記第4の3で認定したとおり、本願部分ではインシュレーションバレル部の位置に表され、引用部分ではワイヤーバレル部の位置に表されており、すなわち、異なる位置に表された形態であるから、その形態の共通点を殊更評価することはできない。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が類似するが、両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲が類似せず、その形態においても、相違点が共通点を圧して需要者に異なる美感を起こさせるから、両意匠は類似しない。

第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-05-22 
出願番号 意願2016-28072(D2016-28072) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H1)
最終処分 成立 
前審関与審査官 北代 真一 
特許庁審判長 木本 直美
特許庁審判官 宮田 莊平
小林 裕和
登録日 2018-06-22 
登録番号 意匠登録第1609070号(D1609070) 
代理人 永田 元昭 
代理人 永田 元昭 
代理人 永田 元昭 
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