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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M2
管理番号 1342042 
審判番号 不服2017-15793
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-25 
確定日 2018-05-15 
意匠に係る物品 レギュレータ 
事件の表示 意願2016- 21992「レギュレータ」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯

本願は,平成28年10月11日の意匠登録出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年2月28日付け :拒絶理由の通知
平成29年4月14日 :意見書の提出
平成29年7月19日付け :拒絶査定
平成29年10月25日 :審判請求書の提出

第2 本願意匠

本願意匠は,意匠に係る物品を「レギュレータ」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠

原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する,というものであって,具体的には,本願意匠と引用意匠とは,主に中央外周に表れる螺子山の有無について相違するが,この意匠登録出願の意匠に係る「レギュレータ」も含まれる弁,バルブ等の分野において,中央外周の螺子山は,本願出願前にありふれた形態であるから(例えば,参考意匠1,2等),新規な態様とはいえず,格別評価することができないものであり,その余の共通する態様のまとまりが,看者に強い共通感を与えるので,本願の意匠は,引例の意匠に類似するとしたものである。
引用意匠は,特許庁意匠課が2009年8月28日に受け入れた,電気通信回線の種類:インターネット,掲載確認日(公知日):2009年8月24日,掲載者:シーケーディ株式会社,掲載ページのアドレス:http://www.ckd.co.jp/newproduct/pdfcat/CC982.pdfに掲載された,「レギュレータ」の意匠であり(特許庁意匠課公知資料番号HJ21022740号),その形態を,同掲載ページに記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。また,参考意匠1は,日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日:平成23年4月4日)に記載された,意匠登録第1410548号(意匠に係る物品,減圧弁)の意匠であり,その形態を,同公報に記載されたとおりとしたもの(別紙第3参照)で,参考意匠2は,特許庁意匠課が2006年1月27日に受け入れた,「空気圧機器 集中潤滑装置 検出装置 システム・エンジニアリング 総合カタログ」第50ページに所載の「レギュレータ」の意匠(別紙第4参照)である(特許庁意匠課公知資料番号HC17066989号)。

第4 対比

1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも,圧力流体を所望の圧力に調節することが可能な「レギュレータ」であり,一致する。

2 形態の対比
(1)本願意匠の形態
全体の基本構成が略直方体形状のボディ部と略円柱形状のハンドル部からなり,ボディ部には,正面に圧力計,両側面に圧力流体導出入のための円孔,上面に円盤状の操作子を有し,ハンドル部は,周側面に凸条が施された把持部と,らせん状の螺子山部からなる。
ボディ部は,最大幅で,正面視の縦横比が約1対1,平面視の縦横比が約1対1で,平面視して,上下がすぼまった隅丸のたる型状で,両側面の中央約1/2強を右側面がコ字状,左側面が逆コ字状に短く張り出している(以下「コ字状張り出し部」という。)。また,正面視して,下端から操作子の上面までの約1/6に全周にわたる水平の分割線があり,該部位の下端約1/5の底面の四隅を切り欠いた段差が,底面視して,ボディよりやや径の大きい円形をボディの端部と重なるように直線状に切り落とし,角部近傍を弧状に凹陥させた略十字状の外形状を形成して,正背面では中央下方に面一の凸部を有するT字状,左右側面では前方にやや張り出して中央下方にコ字状張り出し部と面一となる凸部を形成している。さらに正面及び背面には,上から約2/3の位置にも水平の分割線が形成されている。
また,ボディ部の各部の態様につき,
正面には圧力計を有し,圧力計は,正面視してボディ部の縦の長さの約1/2強の隅丸正方形状で厚みはボディ部の約1/10,中央に指針を有する円形の表示部が形成され,指針は,円形の軸部に細長い針と等脚台形が相対して配された外形状からなり,ボディ部正面の左右中央上端寄りに下辺をボディ部の上から約2/3の水平線にそろえて設置されている。
背面には,圧力計と同位置に圧力計と同形同大で正面の右上隅と左下隅に円弧状の切り欠きを設けた部材を配している。
両側面には圧力流体導出入のための円孔を有し,円孔は,平面視したコ字状張り出し部と同幅の縦長長方形区画内の中央,具体的には,ボディ部の操作子を除いた上端からボディ部の縦の長さの約4/5に面一に形成した縦長長方形の上下端部寄りに水平の細幅溝を形成して,中央をボディ部の縦の長さの約1/2の正方形状とし,該部位の中央にボディ部の縦の長さの約1/4の円孔を設けたものである。また,正方形部分外方の両側には円孔上端から円孔下端よりやや下の位置までの四角形状の浅い凹部が,ボディ部の両端にかけて形成されており,この凹部による段差面は下辺の外方が僅かに下方に傾斜した台形状を形成している。
上面には操作子を有し,操作子は,径がボディ部の幅の約4/5で厚みが径の約1/4の円盤状である。
ハンドル部は,正面視において,全体の縦横比が約3対2の太さがほぼ均一な略円柱であり,螺子山部と把持部の比が約2対3で,把持部の下端約1/3の外周に円環状の凸条帯部を有し,周側面の6箇所に等間隔に下端の帯部とほぼ面一な縦方向の凸条帯部を有する。また,螺子山部は1本の螺子山がらせん状に連続する態様で,ボディ部との接続部分には左側面側に半円状の凸部を有する極薄いリング状部材が見られる。

(2)引用意匠の形態
引用意匠は,斜視図のみであって,かつ図版が小さく不鮮明であるが,合議体では以下のように認定する。
全体の基本構成が略直方体形状のボディ部と略円柱形状のハンドル部からなり,ボディ部には,上面に略円盤状の操作子,正面に圧力計,両側面に圧力流体導出入のための円孔を有し,ハンドル部は,円柱状で端部側に把持部を有する。
ボディ部は,最大幅で,正面視の縦横比が約1対1程度,平面視の縦横比は約1対1程度で,平面視して,4隅が面取りされた8角形で,両側面の中央約1/2強を本願意匠と同様のコ字状張り出し部としている。また,正面視して,下端から操作子の上面までの約1/6に分割線があり,正面で中央下方に面一の凸部を有するT字状を形成しているが,他の面については不明である。
またボディ部の各部の態様につき,
正面には圧力計を有し,圧力計は,正面視してボディ部の縦の長さの約1/2強の隅丸正方形状で厚みは不明であり,中央に指針を有する円形の表示部が形成され,右上隅と左下隅がねじ止めされており,指針は,不明瞭であるものの,円形の軸部に細長い針とやや太めの短い針が相対して配され,ボディ部の左右中央の上端から約1/5,下端から約1/3の位置に配されている。
側面には圧力流体導出入のための円孔を有し,円孔は,平面視したコ字状張り出し部と同幅の縦長長方形区画内の中央,具体的には,ボディ部の操作子を除いた上端からボディ部の縦の長さの約4/5に面一に形成した縦長長方形の上下端部寄りに水平の細幅溝を形成して,中央をボディ部の縦の長さの約1/2のやや横長な長方形状とし,該部位の中央にボディ部の縦の長さの約1/4の円孔を設けたものである。また,横長長方形部分には,円孔とほぼ同幅の「〔(亀甲括弧)」状の張り出しが鍔状に形成されている。
背面については不明である。
上面には操作子を有し,操作子は,径がボディ部の幅の約4/5で厚みが径の約1/4の円盤状で,周側面に凹凸が施されたものと推認されるが,詳細な形状は不明である。
ハンドル部は,正面視において,全体の縦横比が約3対2の略円柱で,把持部は全長の約2/3でやや先細りであり,把持部の周側面の6箇所に等間隔に縦方向の凸条帯部を有する。また,ボディ部との接続部分には凹凸を有するハンドル部全長の約1/8の厚みのあるリング状部材が見られる。

(3)形態の共通点
両意匠は,以下の点で形態が共通する。
(共通点1)全体の基本構成が略直方体のボディ部と略円柱のハンドル部からなる点。
(共通点2)ボディ部の上面に略円盤状の操作子を有する点。
(共通点3)ボディ部の両側面を,平面視してコ字状張り出し部とし,これを上辺とする縦長長方形状の区画を設けて中央に円孔を形成し,円孔の上下に水平の細幅溝を形成した点。
(共通点4)正面視して,ボディ部の下端から約1/6に分割線があり,正面で中央下方に面一の凸部をT字状に形成している点。
(共通点5)ボディ正面に,正面視が正方形状で,指針の付いた円形の表示部を有する扁平な圧力計を設けた点。
(共通点6)ハンドル部の把持部周側面に凸条を設けた点。

(4)形態の相違点
両意匠は,以下の点で形態が相違する。
(相違点1)ボディ部の平面視において,本願意匠は,隅丸のたる型状であるのに対して,引用意匠は,4隅が面取りされた8角形状である点。
(相違点2)ボディ部の底面視において,本願意匠は,ボディ部下端を切り欠いて,略十字状の段差を形成しているのに対して,引用意匠は,ボディ部底面の態様が不明である点。
(相違点3)ボディ部の正面視において,本願意匠は,上から約3/5の位置に分割線を有するのに対して,引用意匠は,分割線がない点。
(相違点4)圧力計の態様について,引用意匠は正面にねじ止め部を有し,厚みや指針の態様については不明瞭である点。また,圧力計の位置が本願意匠はボディ部の上端寄りであるのに対して引用意匠は上端の余地部が広くボディ部の約1/5である点。
(相違点5)ボディ部の背面について,本願意匠は圧力計と同形同大の部材を有するのに対して,引用意匠は不明である点。
(相違点6)ボディ部の側面について,上下の水平細幅溝の間の矩形部分につき,本願意匠は正方形であるのに対して,引用意匠は横長長方形で両側部に「〔」状の張り出しを有する点。また,本願意匠は当該矩形部の外側のボディ部に台形状の切り欠きを形成している点。
(相違点7)ボディ部上面の操作子について,本願意匠は円盤状であるのに対し,引用意匠は周側面の具体的な凹凸の態様が不明瞭である点。
(相違点8)ハンドル部について,本願意匠はハンドル部の端部寄り約3/5が把持部で,残余の部分が螺子山部であって,全体がほぼ均一な太さの略円柱であるのに対して,引用意匠は端部寄り2/3がやや先細りの把持部で螺子山部を有さない点。
(相違点9)把持部の外周面について,本願意匠は端部に把持部の約1/3の円環状の凸条帯部を有するのに対して,引用意匠は端部外周に横方向の帯部を有さない点。
(相違点10)ハンドル部とボディ部の接続部材について,本願意匠は細幅のリング状部材であるのに対して,引用意匠はハンドル部全長の約1/8の厚みで凹凸を有するリング状部材である点。

第5 判断

1 意匠に係る物品の類否判断
本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は,一致する。

2 形態の共通点及び相違点の評価

(1)形態の共通点
(共通点1)の全体の基本構成や,(共通点2)のボディ部上面に操作子を有する点,及び(共通点5)のボディ部正面に圧力計を設けた点は,この種物品における一般的な態様であり,両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから,意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点3)の両側面を,平面視してコ字状張り出し部とし,これを上辺とする縦長長方形状の区画を設けて中央に円孔を形成し,円孔の上下に水平の細幅溝を形成した点は,他の機器との接続手段として,この種物品に見られる態様であって,両意匠にのみ認められる格別の特徴とはいえず,意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点4)のボディ部の分割線や正面中央下端に形成された凸部は,いずれも部分的なものであるから,美感に与える影響は一定程度にとどまる。
(共通点6)のハンドル部の把持部周側面に凸条を有する点は,物品全体からみれば,ごく一部の縦方向の凸条に限られたものであるから,意匠全体の美感に与える影響は小さい。

(2)形態の相違点
(相違点1)は,ボディ部の平面視において,本願意匠のボディ部が隅丸のたる型状であるのに対して,引用意匠は,四隅が面取りされた8角形状で,本願意匠の丸みのある印象に対して引用意匠は角張った印象であるから,ボディ部の美感に大きな差異がある。
(相違点2)のボディ部の底面視における相違は,通常は目に付きにくいボディ部底面の態様ではあるものの,底面の段差は,正面視や側面視においても看取されることから,ボディ部の美感に一定程度の差異をもたらすものである。
(相違点3)のボディ部の正面視における分割線の相違は,部分的な相違ではあるものの,本願意匠のボディ部が3分割に看取されるのに対して引用意匠が2分割に看取され,視覚的な印象が異なるから,ボディ部の美感に差異をもたらすものである。
(相違点4)の圧力計の態様の相違は,使用時に需用者が注目する部分であるから,ボディ部の美感に差異をもたらすものである。
(相違点5)のボディ部の背面の相違は,使用時に目に付くことのない背面側の相違であって,ボディ部の美感に与える影響は小さい。
(相違点6)のボディ部の側面の相違は,他の機器との接続の際に係合する部位であることから,需用者が注目する部分であって,ボディ部の美感に差異をもたらすものである。
(相違点7)のボディ部上面の操作子の相違は,操作に関わる部分であることから,需用者が注目する部分であって,ボディ部の美感に差異をもたらすものである。
(相違点8)のハンドル部の相違は,引用意匠の把持部がやや先細りである点については,部分的な相違であって美感に与える影響は少ないものの,螺子山部の有無については,この種物品に螺子山部を有する態様のものがほかに見られるとしても,原審の拒絶理由の参考意匠1及び参考意匠2は,いずれもハンドル部周側面に螺子山部分と螺子山を有さない部分が交互に現れる態様で,ハンドル部の周側面全体に螺子山が施されたものではないので,本願意匠の態様がありふれたものとまでいうことはできないので,(相違点10)のハンドル部とボディ部の接続部材の相違と相まって,ハンドル部の美感に大きな差異をもたらしているものと認められる。
(相違点9)の把持部の外周面の凸条帯部の相違は,部分的な相違ではあるが,操作に関わる部分であることから,ハンドル部の美感に一定程度の差異をもたらすものである。

3 両意匠の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき,意匠全体として総合的に観察した場合,両意匠は,上記2(2)のとおり,ボディ部及びハンドル部ともに美感に差異があり,使用時において需用者が注目する部分ボディ部側面の具体的態様や圧力計の態様についても美感に差異がある。そうすると,全体の基本構成が共通することや,その他の共通点があいまってもたらす印象を考慮しても,相違点があいまってもたらす印象が,これを凌駕しており,異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は同一であるが,その形態において需用者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しない。

第6 むすび

以上のとおりであるから,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。

また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-05-01 
出願番号 意願2016-21992(D2016-21992) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M2)
最終処分 成立 
前審関与審査官 樫本 光司 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 温品 博康
宮田 莊平
登録日 2018-07-06 
登録番号 意匠登録第1609918号(D1609918) 
代理人 坂井 志郎 
代理人 関口 亨祐 
代理人 千葉 剛宏 
代理人 山野 明 
代理人 千馬 隆之 
代理人 仲宗根 康晴 
代理人 大内 秀治 
代理人 宮寺 利幸 
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