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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D6
管理番号 1342050 
審判番号 不服2018-795
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-20 
確定日 2018-06-19 
意匠に係る物品 整理箱 
事件の表示 意願2016- 23236「整理箱」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成28年10月26日の意匠登録出願であって、平成29年5月16日付けの拒絶理由の通知に対し、平成29年6月28日に意見書が提出されたが、平成29年10月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成30年1月20日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願意匠は、意匠に係る物品を「整理箱」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した写真及び図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである(別紙第2参照)。

引用意匠
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2011年12月9日に受け入れた
家得宝 浙江双魚塑▲膠▼有限公司 DF-801
第9頁所載
整理箱の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HD23006035号)

第4 当審の判断
1.意匠に係る物品の対比
本願意匠の意匠に係る物品は「整理箱」であり、引用意匠の意匠に係る物品も同じく「整理箱」であるから、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。

2.形態の対比(以下、対比のため、本願意匠の図面における向きを、引用意匠にもあてはめることとする。)
(1)共通点
基本的構成態様として、
ア.全体は、やや下窄まりで上面開口の略隅丸横長長方錐形状とする深箱状の本体部と、その本体部の開口部に冠着した、開口部より一回り大きい平面視、略隅丸横長長方形の蓋部からなるものであって、本体部の長手方向、下端部四隅近傍に略半円状の浅い凹陥部を設け、略円盤状の車輪を1個ずつ取り付けている点。

具体的な態様として、
イ.蓋部の上面周縁に沿って突条の縁部を設け、その上面内側に略短円柱形状の突起部を複数個設けている点、

ウ.車輪の径の長さは、本体部の高さの約3分の1程度で、その外観において、略扁平ドーム状の円盤部の外周に略円環状のタイヤ部を取り付けたものである点。

(2)相違点
具体的な態様として、
あ.蓋部の上面に設けられる突起部の態様について
本願意匠は、車輪の径より若干小さい径の突起部を、平面視、上下中央の左右端部寄りの対称位置に、1個ずつ設け、突起部の周縁に沿って凹陥状の浅い環状溝を形成しているのに対し、引用意匠は、本願意匠の突起部よりも小ぶりな突起部を、平面視、上下2段に3個ずつ、横一列に等間隔に設け、真ん中の2個の突起部のみ、他の突起部より、高さをやや低くしたものである点、

い.車輪の態様について
(い.-1)本願意匠は、車輪を、本体部の側面より若干外側に突出して取り付けているのに対し、引用意匠は、本体部から突出せず、本体部の内側に収めている点、
(い.-2)本願意匠は、円盤部に何も形成していないのに対し、引用意匠は、円盤部の外周端部寄りの偏心位置に、円形の浅い凹球面部を1つ形成している点、

う.本体部の底面部の態様について
本願意匠は、周縁部を残して段落ちの平坦面状とし、上記あ.の突起部に相当する位置に円形の突条を1個ずつ設けているのに対し、引用意匠は、底面側を確認できる図がないため、不明である点、

え.色彩の相違について
本願意匠は、本体部は水色、蓋部は茶色、車輪は円盤部が白色でタイヤ部が薄黄色にそれぞれ着色したものであるのに対し、引用意匠は、本体部は青色、蓋部は赤色、車輪は円盤部が緑色でタイヤ部が黄色にそれぞれ着色したものである点。

3.類否判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は、同一である。

(2)形態の共通点及び相違点の評価
両意匠の意匠に係る物品は、おもちゃ箱としても使用できる整理箱であるから、その需要者は、子どもの保護者をはじめとする一般需要者である。
したがって、この需要者の視点に基づき、各共通点及び相違点が観察されやすい部分か否か、関心を持って観察する部位か否かを評価し、各共通点及び相違点における形態が両意匠の類否判断に与える影響を、以下に個別評価する。

(3)共通点の個別評価
基本的構成態様としてあげた共通点ア.は、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点に過ぎないものであるから、これらの点が両意匠の類否判断に与える影響が大きいということはできない。また、具体的な態様としてあげた共通点イ.及びウ.もこの種物品の先行意匠に照らすと、いずれもありふれた態様であって、両意匠の類否判断に与える影響は微弱である。

(4)相違点の個別評価
相違点あ.の蓋部上面の突起部の態様の相違について、両意匠は、突起部の大きさ、数、配置が、それぞれ大きく異なっており、最も目につきやすい蓋部上面において、これらの相違は極めて顕著であることに加えて、本願意匠は、引用意匠にはない円形溝を突起部の周縁に形成していることから、個々の突起部がより強調される効果を発揮しており、需要者に、一見して異なる視覚的印象をもたらすものであるから、相違点あ.が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。

次に、相違点い.の車輪の態様の相違について、まず、(い.-1)車輪を、本体部の側面より若干外側に突出して取り付けているか否かの点であるが、両意匠の車輪は、その径の長さが本体部の高さの約3分の1で、比較的大きく、正面視においてかなり目立つものであるが、本願意匠は、さらに、車輪を本体部より外側に突出して取り付けているため、車輪を、立体状に一層強調したものとなっており、本体部の内側に収めた引用意匠とは異なる印象となっている。また、(い.-2)円盤部の外周端部寄りの偏心位置に、円形の浅い凹陥部を1つ形成したものであるか否かの点については、この凹陥部を形成することにより、車輪が回転する際に、凹陥部の位置が、円盤部周縁に沿って移動して、車輪全体にリズム感を生みだす効果をもたらすことから、需要者の注意をひくものといえる。
したがって、相違点い.は、両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。

また、相違点う.の本体部の底面部の態様について、
本願意匠は、周縁部を残して段落ちの平坦面状とし、上記あ.の突起部に相当する位置に円形の突条を1個ずつ設けているものであるが、これは、複数の整理箱を積み重ねる際に、上側の整理箱の底面部の円形の突条と、下側の整理箱の蓋部上面の突起部とを嵌合させることにより、横ずれや脱落を防止する効果をもたらすものであり、底面部は、使用時において隠れてしまう箇所ではあるが、整理箱を複数個積み重ねて押し入れ等に収納できる構造である点は、需要者の関心をひくものといえ、軽視できるものではないから、この相違は,両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。

一方、相違点え.の色彩の相違については、両意匠は、それぞれ異なる色により各部位を着色したものであるが、この種整理箱の物品の分野においては、様々な色彩のバリエーションを販売することは普通に行われており、両意匠の態様についても、単に色彩のバリエーションの域を出ないものであるから、この相違が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものといえる。

(5)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は一致するものの、形態においては、共通点が、未だ両意匠の類否判断を決定付けるまでには至らないものであるのに対して、相違点が、両意匠の類否判断に与える影響は共通点のそれを凌駕しており、意匠全体として見た場合、相違点の印象は、共通点の印象を凌駕し、両意匠は、意匠全体として視覚的印象を異にするというべきであるから、本願意匠は、引用意匠に類似するということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-06-04 
出願番号 意願2016-23236(D2016-23236) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (D6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 松下 香苗 
特許庁審判長 小林 裕和
特許庁審判官 内藤 弘樹
宮田 莊平
登録日 2018-07-20 
登録番号 意匠登録第1610912号(D1610912) 
代理人 黒田 勇治 
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