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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6
管理番号 1342052 
審判番号 不服2018-59
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-04 
確定日 2018-06-18 
意匠に係る物品 飲食用スプーン 
事件の表示 意願2016-26971「飲食用スプーン」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,物品の部分について意匠登録を受けようとする,平成28年(2016年)12月13日付けの意匠登録出願であって,平成29年7月31日付けの拒絶理由の通知に対し,同年9月22日付けで意見書が提出されたが,同月28日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成30年1月4日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面代用ひな形によれば,意匠に係る物品を「飲食用スプーン」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様又は色彩の結合」を「形態」という。)を願書及び願書に添付した図面代用ひな形のとおりとしたものであり,「黒色で塗った部分以外の部分が,部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである(別紙第1参照)。
すなわち,本願意匠は,飲食用スプーンの部分(以下,本願意匠に係る物品のうち,意匠登録を受けようとする部分を「本願部分」という。)についての意匠であり,本願部分は,飲食用スプーン全体から,柄部の裏面の略中央部分を除いた位置,大きさ及び範囲であり,飲食用スプーンとしての用途及び機能を有している。
そして,その本願部分の形態は,基本的な構成として,平面視において,すくい部が略滴形状で,当該スプーンを右手で持ったときに手前側(以下,同様。)の先端の一部を斜めに切り落とした形状とし,柄部は細長く,すくい部と柄部は滑らかな凹み(へこみ)曲線により連続しており(以下,この部分を「柄根元部」という。),柄部分は,全体が平板形状であって,その先端部は末広がりである。
具体的には,すくい部の輪郭線につき,手前側縁及び向こう側縁共に膨出度合いがやや大きく,向こう側縁が,回り込みながらより先端側まで延びており,切り落とし線の角度が,長手方向中心線に直交する線(共に仮想線)からより大きな角度となっており,切り落とし線と手前側縁の所に角が認められ,柄根元部のやや奥からすくい部の凹みが始まり,その凹みは余り深くないものであって,柄の部分は,肉薄で,縁部分が切り立っており,その先端部は,平面視で角の丸い略台形状であり,すくい部は鏡面加工で光沢があるのに対して,柄部分は細かな粗面加工により光沢がないものである。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたもので,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
著者の氏名:Amazon.co.jp
表題:北陸アルミ スイーツ・アイスクリームスプーン シャインシルバー A-1283
媒体のタイプ:[online]
掲載年月日:2016年3月22日
検索日:[2017年7月20日検索]
情報の情報源:インターネット
情報のアドレス URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B01DBBX5L0
に掲載されたスプーンの意匠のうち,本願意匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分の意匠
(以下,引用意匠に係る物品のうち,本願部分に相当する部分を「引用部分」といい,本願部分と併せて「両部分」という。)

引用意匠は,飲食用スプーンの意匠であり,引用部分は,スプーンの内の本願部分に相当する位置,大きさ及び範囲であり,スプーンとしての用途及び機能を有している。
そして,その引用部分の形態は,基本的な構成として,平面視において,すくい部が略滴形状で,手前側の先端の一部を斜めに切り落とした形状とし,柄部は細長く,すくい部と柄部は滑らかな凹み曲線により連続しており,柄部分は,全体にわたって断面形状が扁平となる長円形のものであって,その先端部は末広がりである。
具体的には,すくい部の輪郭線につき,手前側縁及び向こう側縁共に膨出度合いがやや小さく直線的で,向こう側縁の先端が,回り込まず短めで,切り落とし線の角度が,小さな角度となっており,そのため,すくい部の先端の角度が広い態様で,切り落とし線と手前側縁は曲線でつながっており,角の存在が認められないものであって,柄根元部からすくい部の凹みが始まり,その凹みは始まってすぐに深くなるものであって,柄の部分は,肉厚で,縁部分に丸みがあり,その先端部は,平面視で湾曲状となっており,全体が白濁色のものである。

第4 対比
1.意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「飲食用スプーン」であり,その内容は,広く飲食の際に用いるスプーンであるのに対して,引用意匠に係る物品は「スプーン」であり,その内容は,スイーツやアイスクリームを食するときに用いるスプーンである。

2.両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の対比
本願部分は,飲食用スプーンの部分であって,それは,飲食用スプーン全体から柄部の裏面の略中央部分を除いた位置,大きさ及び範囲であり,飲食用スプーンとしての用途及び機能を有しているのに対して,引用部分は,スプーンの部分であって,それは,スプーンの内の本願部分に相当する位置,大きさ及び範囲であって,スイーツやアイスクリームを食するときに用いるスプーンとしての用途及び機能を有している。

3.両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(1)共通点について
基本的構成として,
ア.平面視において,すくい部が略滴形状である点,
イ.すくい部を手前側の先端の一部を斜めに切り落とした形状とした点,
ウ.柄部は細長く,すくい部と柄部は滑らかな凹み曲線により連続している点,
エ.柄部分の先端部は末広がりである点,
が認められる。

(2)相違点について
基本的な構成として,
ア.柄部分の全体形状について,本願部分は,全体が平板形状であるのに対して,引用部分は,全体にわたって断面形状が扁平となる長円形のものである点,
具体的形状として,
イ.すくい部の輪郭線について,本願部分は,手前側縁及び向こう側縁共に膨出度合いがやや大きく,向こう側縁が,回り込みながらより先端側まで延びており,切り落とし線の角度が,長手方向中心線に直交する線からより大きな角度となっており,そのため,すくい部の先端の角度が引用意匠のものよりも尖っている(とがっている)態様で,切り落とし線と手前側縁の所に角が認められるのに対して,引用部分は,手前側縁及び向こう側縁共に膨出度合いがやや小さく直線的で,向こう側縁の先端が,回り込まず短めで,切り落とし線の角度が,小さな角度となっており,そのためすくい部の先端の角度が広い態様で,切り落とし線と手前側縁は曲線でつながっており,角が認められないものである点,
ウ.すくい部の凹みの態様について,本願部分は,柄根元部のやや奥からすくい部の凹みが始まり,その凹みは余り深くないものであるのに対して,引用部分は,柄根元部からすくい部の凹みが始まり,その凹みは始まってすぐに深くなるものである点,
エ.柄の部分の形状について,本願部分は,肉薄で,縁部分が切り立っており,柄の先端部は,平面視で角の丸い略台形状であるのに対して,引用部分は,肉厚で,縁部分に丸みがあり,柄の先端部は,平面視で湾曲状である点,
オ.表面加工による全体の形態について,本願部分は,すくい部は光沢があるのに対して,柄部分は光沢がないものであるのに対して,引用部分は,全体が白濁色のものである点,
が認められる。

第5 判断
1.意匠に係る物品の類否判断
本願意匠に係る物品は,広く飲食の際に用いる「飲食用スプーン」であり,引用意匠に係る物品は,スイーツやアイスクリームを食するときに用いる「スプーン」であるから,両意匠共に,飲食用のスプーンと認められるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。

2.両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲の評価
本願部分は,飲食用スプーン全体から,柄部の裏面の略中央部分を除いた位置,大きさ及び範囲であるのに対して,引用部分は,スプーンの内の本願部分に相当する位置,大きさ及び範囲である。そして,両部分は共に,飲食用スプーンとしての用途及び機能を有している。
よって,両部分の,用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は,一致する。

3.両部分における形態の評価
(1)共通点
共通点ア.及び同イ.については,大半のスプーンが,すくい部を略卵形または略滴形状であるところ,略滴形状でかつ,手前側の先端の一部を斜めに切り落とした形状とした点は,特徴的なものであって,この点については,似ているという感覚が生じるのであるから,類否判断に与える影響は一定程度認められる。
共通点ウ.及び同エ.については,この種物品においてほとんどのものが,この形状を備えているから,両部分のみの特徴とはいえず,類否判断に与える影響はない。

(2)相違点
相違点ア.については,本願部分は,肉薄なものであるのに対して,引用部分は,ボリュームのある感じを生じさせるものであるから,両部分の類否判断に与える影響は大きい。
相違点イ.については,本願部分は,全体が幅広く,先端が鋭い感じを生じさせるものであるのに対して,引用部分は,全体の幅が狭く,先端が鈍い感じを生じさせるものであるから,類否判断に与える影響はとても大きい。
相違点ウ.については,すくい部は,この種物品において,使用目的を達成するための機能的形状が重要な要素と認められるから,この相違点ウ.に相違点イ.が合わさって,類否判断に与える影響は大きいといえる。
相違点エ.については,この種物品においては,すくい部の機能的形状と並んで,柄の部分の装飾的形状が重要な要素と認められるところ,本願部分は,薄い金属板をプレスして出来上がるシンプルな印象を与える形状であるのに対して,引用部分は,肉厚で重厚な印象を与える形状であるから,両部分の類否判断には,一定程度の影響を与えるといえる。
相違点オ.については,本願部分の鏡面加工で光沢があるものも,粗面加工により光沢がないものも,引用部分の白濁色としたものも,この種物品分野ではよく見る表面加工であって,どれも特徴的とはいえず,また,この程度の相違であれば,同製品のカラーバリエーションほどの差異にしか見えないものであるから,両部分の類否判断には影響を与えない。

(3)両部分における形状の類否判断
以上のとおり,共通点ア.ないしエ.によって,一定程度の共通感を生じさせてはいるが,いまだ限定的といえ,両部分の類否判断を決するものとまではいえない。
それに対して,相違点ア.ないしエ.による形態の相違は,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両部分の類否判断を決するものといえる。
よって,本願部分の形態と引用部分の形態は,部分における全体観察においては類似しないと認められる。

4.両意匠における類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通し,両部分の用途及び機能,並びに位置,大きさ及び範囲は一致していると認められるが,その両部分の形態は,上記のとおり類似しないから,本願意匠と引用意匠とは類似しないものといえる。

第6 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2018-05-29 
出願番号 意願2016-26971(D2016-26971) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 竹下 寛 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2018-07-06 
登録番号 意匠登録第1609958号(D1609958) 
代理人 松本 征二 
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